※この作品はR-18です。

修羅   作:神仙神楽

3 / 3
アイテム名:2013/04/09のT京新聞

2013年、4月9日に発刊された新聞紙。
発刊会社はT京NePa、号数は100346、編集者は[雷 紗千香(23)][携帯番号:*90-**54-*2*5]

見出しA:犯行者目撃多数、未だ足取り取れないカラーギャング

リードA
先日未明、T都商店街裏路地にて[日下部陵介(38)]が死亡しているのが発見された。
先月起こった[強姦殺人事件]の犠牲者[朝槻千代(16)]の遺族であり、関係あるものとして警察は取り調べを行っている。
現場に残った痕跡を見る限り、カラーギャングであるレッドデットの物と思われるコートが存在しており、レッドデットについて調査を絞っているが結果は芳しくない。

編集後記
レッドデットは半年前に出来たばかりの新規カラーギャングであり、赤のコートに首元に巻く黒のバンダナが特徴である。当時は黄巾賊、ブルースクエア等に呑まれていた印象が強いが、何らかのきっかけで大きく台頭してきた。
恐らくカラーギャングの頭が変わった影響だと思われる。



4月8日(1)

Side In:Kai Kuratori
AM02:10

 

 草木も眠る丑三つ時。徐々に老化が始まったこの体には堪えるが、学生時代から今まで縁のあった知古、日下部(くさかべ) 陵介(りょうすけ)の連絡があった為指定された場所へと向かう。

全く、折角気持ち良く茣蓙で寝ていたというのにこんな時間に何の用なのだろう。飲み過ぎてタクシー代も持ってないから足代わり、等と言われたらこぶし一発位叩き込んでも許されるはずだ。

内心でそう思いつつも外面は普段演じる"胡散臭い中年"を装い、指定された場所近くまでたどり着く。

 

(…ん?…こいつは)

 

 その中、微かにかぎ取れた鉄錆の匂い。…犯罪の片棒でも担がされるのだろうか?それは正直御免だが…あいつの娘だった千代(ちよ)ちゃんが殺されてからの荒れようは見ていられなかった。

そんな時に俺は有ろうことか、仕事を多くすることで娘の死から目を逸らさせようとした。本来なら引っぱたいてでも前向きにさせるべきなのかもしれなかった、そんなときに。

そのツケが回ってきたのだろう。そう割り切り、鉄錆の匂いをたどる様にして足を進めていく。

 その路地の角の死角、そこに踏み入れようとした時にあいつの声が聞こえた。

 

「…そこに、居るのは…黒鳥、か?」

 

「お、そこにいたのか。何でこんなところに―――」

 

 声の先へ振りむき、俺は言葉を失う―――下半身があるべき場所から臓物が溢れ、既に出来た大きな血だまりに沈む知古の慣れの果てを見て。

既にあいつは目も見えていないのか濁った瞳で俺の声が聞こえた先、そこから微かにずれた場所に焦点を合わせているように見える。…刑事をやってた時に見かけた、死にゆく同僚の姿が重なる。

 

(…ああ、此奴は駄目だ)

 

「ちょいと、若造とやんちゃ…してな。結果が、この様だ」

 

「助けてほしい、と言われても俺にゃ無理だなぁそれは。そんなら岸谷の坊ちゃんを呼ぶべきだよ」

 

 陵介が首を横に振る。…そうだろう、陵介自身がそれはよく分かっている。

そうなると、俺を呼ぶ理由なんざ一つしかない。その傷ではもう、長く持たないのも見える為手早く話を進めることにした。

 

「…娘さんの復讐、かい?」

 

「…、あぁ…別れたカミさんに、似て。とびっきりの美人だった…最後に、見たのは。棺桶の中の、苦しげな顔だったなんざ。見ていい悪夢じゃねぇけどよ」

 

 瞼が徐々に落ちていく陵介の手を掴む。まだ、意識はあるようで。掴まれた手を弱弱しく握り返してきた。

 

「その悪夢の元凶を追っていたら…親玉、らしきものに目を付けられちまった。銃弾が効かない、一撃で胴から下が消し飛ぶ…俺には、なんも出来なかった」

「…カミさんに、俺の通帳を預けてある。…高々、800万じゃ…娘の、学費で。こんな無謀な頼みが出来るのは…果たせそうなのは…あんた、位しか思いつかなかったんだ」

 

「頼む―――娘の、仇を。…娘が持っていた女性としての、尊厳を踏みにじったあいつ等を…殺して、くれ」

 

 眼を閉じる。…たしかにどれだけ依頼の報酬が良くとも、これは自身の身に余るだろう。今の陵介は親玉らしき存在から受けた、たったの一撃でそうなっている。受ければただでは済まない。

しかも殺すとなれば犯罪だ。警察に目をつけられよう物なら社会的に死ぬことも約束される。それが800万―――自身の命がそれと同等と考えれば割に合わない。

 

「分かったよ、俺に任せてゆっくり休んでくれ」

 

―――だが陵介には、色々と世話になった。ひと月前から今まで恩を仇で返すような真似もしていた。

ならば、これを断る事はできない―――言い方が悪いか―――結局のところ俺は、陵介と千代ちゃんを殺した奴らを殺し返したかった。

 

「あぁ…最期まで、世話になっちまったな―――、ぁ…」

 

 俺の言葉を聞いて、心残りが無くなったのか。

そこに居たのか、千代

微かな声と共に、冷たくなった手がするりと俺の手から抜け落ちた。

 

「…死んだあとに、漸く言えるなんてなぁ…あんがとよ、陵介。世話になったのはおっさんだってのに」

 

 それを見ながらも、俺が居た痕跡を消してその場を離れる。血の付いた上着は裏路地に溜まっていたゴミ箱の中に入れておく。今日は可燃ごみの日だ、気付かれなければ俺に警察が繋がることはないだろう。

 

Side out


Side In:Ran Mitake
AM08:10

 

 桜並木の舞う商店街、幼馴染達の待ち合わせ場所へ足を進める。羽丘学園中等部に入学してから二年目が始まり、いつも通り皆と一緒に登校しようとしていた矢先。

私が普段使っている通路に赤色のコートと首筋に付けた黒のバンダナが特徴的な男子たちが屯していた。新聞は見ていないけれど、その特徴的な姿はここ等辺では大きく騒がれているカラーギャング―――レッドデットのものだとすぐにわかる。

 

(…どうしよう)

 

 既に時間は迫っており、いつも通り此処を突っ切れば間に合うだろう。しかしてそれはカラーギャングである彼らに目をつけられるかもしれないというリスクを伴う。

かといって他の道は遠回りとなる以上、皆に予め連絡を入れて一人で遅刻する事になる。あたし一人の為に皆を巻き込むわけにはいかないから。

それに、遠回りした先で彼らに遭遇しない保証がない。

 

(…怖いけど、突っ切ろう)

 

 一歩踏み出す。すると彼ら―――4人のカラーギャングが此方に目を向けてきた。

 

「ん?ぉ、結構な別嬪じゃん」

 

「マジだ…なぁ、そこのカワイ子ちゃんは何処に行くんだい?」

 

 口調が気持ち悪く、思わず顔を顰める。幸運にも相手は此方の顔までは見えなかったらしく、ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながら近づいてくる。

…栗の花のような臭いが鼻に突く。これは何の臭いだろうか。そう考えつつ、断る言葉を考え。

 

「アンタには関係ない。そこを通りたいんだけど」

 

「んー、釣れないのもまたよし。羽丘学園の中学生か…入学式サボって、俺たちと遊ばねぇ?悪い様にはしねぇよ」

 

 断ったのにも拘らず、何処か粘る様に此方にさらに話しかけてくる。服装の下に見える顔や体系は漫画に存在しそうな古典的ヤンキーであり、それなりに筋肉質なようだ。

そうなると、彼らに捕まれば逃げられないという事も分かる。話しかけつつ近づいてくるそれから、一定の距離を取る様に後ろに歩いて行く。

 

「遊ばないから」

 

「そうか。じゃあ、通れば?」

 

「そうする」

 

 そう言って、あいつはあたしの歩く先から横に避ける。なるべくその男から距離を取りつつ、その通路をまっすぐ行こうとして。

―――あたしの死角から、両(・)手(・)が(・)掴(・)ま(・)れ(・)た(・)ことに数瞬遅れて気付いた。

 

「ッ、離してッ!」

 

「いーや?通行料払ってねぇから離さねぇよ?」

 

「此処に通行料なんて無い!」

 

「いーやあるね。俺らが決めて、反対する奴が居ねぇんだから。今やっと反対が1人だ」

 

 ガキ大将の理論と同じことを宣うカラーギャングたちから下卑た笑い声が響く。周りに助けを求めようにも、なぜか人通りがない。

そして掴まれている手を振り払おうにも、そいつらの力が強すぎて離す事も儘ならない。万事休す、だろう。

 

「…通行料って?」

 

「そりゃ、もう。お前自身―――」

 

「目を閉じて歯を食いしばれ」

 

 直後。あたしの両手が自由になると同時に二人のカラーギャングが鼻血の軌跡を残して宙を舞った。その光景に一瞬正面のカラーギャング2人も茫然となり

 

「走れ」

 

―――その男性の声で、一気に蹴り上げて走り抜ける。あまり運動は得意ではないが、それでも必死に走れば距離が取れる筈。

 

『…っは!?逃がすな、追え!』

 

『追わせない』

 

 会話が遠くなり、徐々に人通りのある場所へと出ていく。時間は幸運にも余りたっていないようだった。

…5分ぐらいやり取りしていたと思ったのに、1(・)分(・)も(・)経(・)過(・)していない。

逆浦島太郎ともいえる現象に何処か首を傾げながらも、皆の待ち合わせ場所―――羽沢珈琲店へと向かうことにした。

 

AM08:15

 

「おはよ、蘭ちゃん。息乱れてるけど…何かあったの?」

 

「おはよう、蘭。随分と汗かいてるけど大丈夫か?」

 

「大丈夫。少し性質の悪いナンパに絡まれただけ。おはよう、巴、つぐ」

 

 待ち合わせ場所に着くと、既に集合していた姉御気質の宇田川(うだがわ) 巴(ともえ)と頑張り屋の羽沢(はざわ) つぐみがあたしに声をかけてくる。

二人ともどこか心配性なところもある為か、普段と違う様子のあたしを見て心配そうにしていた。…巴、つぐみに内心の恐怖を悟らせないよう、そっけなく答える。

 

「なら、良いんだけど…カラーギャングの話が結構上がっているから、気を付けないと…」

 

「そうだよなー…3年前は黄巾賊とブルースクエアで…今はレッドデットとダラーズ、だもんなぁ…」

 

「…ダラーズ?」

 

 初めて聞いたカラーギャングの名前を聞いて小さく首を傾げる。つぐみはその様子に気付いたのかあたしの方を見つつ口を開いた。

 

「ダラーズっていうのは最近ネットのチャットで話が上がるカラーギャングなんだって」

 

「なんでもカラーギャングの中では指定された色がない、らしい。だから名前だけが一人回りして、その実態は誰も分かっていない…だけど、トップはいるみたいなんだよなぁ」

 

「…?巴、その言い方だと―――」

 

「あぁ、あこがダラーズに誘われてな。NFOのプレイヤーがそれを教えてくれたんだと」

 

 その言葉につぐみとあたしは巴へ眼を向ける。その様子を苦笑いしつつ、巴は軽い口調であたしたちに言葉を返した。

 

「大丈夫、活動内容は特にないし抜けるのにも特に規制はなさそうだって父さんが言ってたから」

 

「…入ったの?」

 

つぐみの言葉に巴は頷く。…これからどうなるのだろう、そう内心で不安を覚えながらも。

―――さっきあたしを助けてくれた、"畳と鉄錆の匂いを纏った男性の声"に。ほんの一瞬、考えが向いた。

 

(次会ったら、ありがとうって言おう)

Side out

 




現在キャスト
黒鳥(くらとり) 海(かい)
性別:男性 種族:不明 職業:放浪者 年齢:40
容姿はテイルズのレイヴン。

美竹(みたけ) 蘭(らん)
性別:女性 種族:不明 職業:中学生 年齢:13
容姿はバンドリの美竹蘭。

宇田川(うだがわ) 巴(ともえ)
性別:女性 種族:不明 職業:中学生 年齢:13
容姿はバンドリの宇田川巴。

羽沢(はざわ) つぐみ
性別:女性 種族:不明 職業:中学生 年齢:13
容姿はバンドリの羽沢つぐみ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。