王子と完璧なメイド 作:メランコリー
突如現れた魔物の大軍によって滅亡の危機に瀕した王国。しかし女神アイギスにより加護を与えられた王子は数多の困難を仲間と共に乗り越え、遂には王都奪還を成し遂げる。更には他国や他種族の救援に駆けつけ、見返りも求めずに助けていく。そんな姿を見て、人々は彼を自然とこう呼び始めた……「救世主」と。
さて、そんな王子が今何をしているかというと……
「こちらが次に見ていただく書類です、ご主人様」
地道に書類仕事をしていた。
ここは王都、王子執務室。
いくら武名轟く王子といえども、一国の王子であるからには内政からは逃れられない。数多の戦場に赴くかたわら、こうして机の上で書類とにらめっこもしなければならないのだ。
普段秘書をしてくれている政務官アンナが多忙なため、代役として秘書をしてくれている王宮侍女のセーラが差し出してきた書類を王子は一瞥した。
どれどれ……これは、次の城下町視察に関する書類か
「はい。ご主人様を始めとした王国軍のご活躍により、町は一層賑わっております。変化した街並みを自らの眼で確かめ、国民の生活環境の向上を実感すると共に次なる戦いへの英気を養うというのが目的となります」
確かに……最近は戦場と王宮を行き来するばかりであまり城下をゆっくり見て回ることが出来ていない。これではいずれ国民の実情を無視した差配をしていたかもしれない。
分かった、視察の日はいつになる?
「来週の休息日がよろしいかと。最低限ご主人様に目を通して貰わなければならないものは今週中に終わりそうですし、今は他国からの救援依頼も来ておりませんから」
セーラの言葉に小さく頷き、王子は少し考えこんだ。
「どうされました、ご主人様?」
書類仕事にも若干余裕ができ、戦場にも出る必要がないとなれば、少しくらい羽目を外してもバチは当たらないのではないだろうか。
丁度目の前には俺の言うことならなんでも聞いてくれるセーラもいることだし、ちょっと予定を聞いてみようか。
「今夜の予定、でしょうか? それならばいつも通りご主人様の就寝までお側に控えるつもりですが……ああ、なるほど」
訝しげに王子の問いに答えたセーラであったが、なにやら納得した様子でさらに言葉を続けた。
「私の身体は全てご主人様のものでございます。そのように私の了承を得ようとせずとも、命令して下されば喜んで夜伽に参ります」
やはり悟られたか……まあそれだけ何度もセーラを夜伽に誘っているからこそ、予定を聞いただけで察せられてしまうのだろうが。
しかしそれも仕方ないことなのだ。なにせセーラと言えば、容姿端麗、才色兼備の王国が誇る唯一無二のメイドであるのだ。
こんな完璧で魅力的な女性に私はあなたのものである、などと言われたら自制が効かなくなるのも致し方ない。
そう責任転嫁した王子は、彼女に今夜自室に来るよう改めて伝え、また書類とのにらめっこに戻るのであった。
王宮侍女武官セーラ。
王国の誇る最高のメイドにして、いざ戦場に出れば槍斧を手に一騎当千の働きをする武官でもある。更に時には王子の執務すらサポートするなど、まさに王国に欠かせない人材である。
そんな彼女と王子が初めて夜を共にしたのが約半年前のこと。
ある程度気心が知れ、半ば冗談のつもりでベッドに誘ってみた所、「了解しました」とあっさりと承諾の返事を得てしまったのである。
一度誘った手前取り止める訳にもいかず、なによりも彼女の美しい身体に一度でいいから触れてみたいという欲望に逆らえなくて王子も彼女の承諾を良しとした。
その時の体験は王子の記憶に強く残るほど強烈なものであった。
その日の夜、そわそわと王子の待っていた寝室にセーラが入り、やおらそのメイド服を下からたくし上げれば彼女は既に下着を着けておらず、その秘所までうっすらと濡れていたのである。
流石に驚いた王子が尋ねたところ、
「ご主人様のお手を煩わせないよう、事前に準備して参りました。早速セーラのはしたない穴をお使いください」
などと言うのである。性行為前の愛撫や会話も含めて楽しむタイプの王子としてはいささか無粋に感じたが、それがセーラなりの性行為の仕方なのだと考えればそれを尊重しない訳にもいかなかった。
少々意表を突かれたが、それでも彼女の美しい身体を見て王子の逸物はいきり立っており、セーラに自ら男根を入れるよう王子は命じた。
失礼します、と丁寧にお辞儀をして寝転んだ王子の上に馬乗りになったセーラは、躊躇いなく王子の陰茎を己の膣口に当てて、ゆっくり入れていく。
そして王子の肉棒が全てセーラの膣内に飲み込まれた時、また王子は驚いた。
セーラのウネウネとした膣穴に酔いしれながら繋がった部分を見ると、なんとそこからは赤い血が一筋こぼれ出しているのである。
それを見てようやくセーラは純潔であったこと、そして今まさに王子のたわいもない誘いによって今まで守られてきた純潔を失ってしまったことを知った彼は一時下腹部の快楽を忘れ、苦痛に顔を歪めているセーラに詰め寄った。なぜ純潔であることを言わなかったのか、なぜ俺の誘いを断らなかったのかと。
「はぁ、はぁ……それは、言ってしまえば優しいご主人様はこの逢瀬を無しにしようとするか、あるいは私が出来るだけ苦しまないよう愛撫を施してくれるだろうと考えたからです……。ンッ……、ご主人様に愛を与え、その精を受け止めることこそが私の責務であるのに、この夜の仕事が無くなったり、ご主人様から逆に快楽を与えていただくなどメイドとして私は許せないのです……」
それを聞いて王子は愕然とした。
確かにセーラが処女だと知っていたならあんなにも軽々しく誘わなかったし、仮に夜を共に過ごすことになるなら彼女に最高の初体験を与えるため念入りに愛撫をしただろう。
その王子の考えを見透かした上で、セーラは完璧なメイドとして王子に尽くすためにあえて黙っていたのだ。
その後セーラの思いを汲んだ上で、やはりセックスはお互いが気持ちよくなってこそと考えた王子は、快楽の赴くままセーラの秘部に肉棒を突き刺しながらもセーラの感じる所を探し、最終的にはなんとかセーラと一緒にイクことが出来た。
これがセーラとの初体験の記憶である。
セーラの美しい顔と身体に溺れた王子はその後も何度も彼女をベッドに誘ったものの、セーラは王子の快楽を優先するばかりで自ら進んで気持ちよくなろうとしない。
下着を着けてくるようにとの命令には流石に応じたが、あくまで自分はメイドとしてご主人様を満足させることが使命なのだというスタンスは崩さなかった。
それでも王子の百戦錬磨の手練手管があるからこそお互い気持ちよくなれているが、王子としては普段クールなセーラをもっと感じさせ、快楽のままに王子を求める彼女を見てみたいのである。
それには普段と違うことをしてセーラのペースを乱さなければならないと思った王子は、今夜のセーラとの逢瀬を楽しみに待つのであった。
コンコンコン、と三度規則正しく鳴らされたノックによって、王子は待ち人が来たことを悟った。
「ご主人様、セーラでございます」
入れ、と短く王子は答えた。
部屋に入ってきたセーラは常と変わらぬ上品なメイド服のままであったが、その表情はこれからの行為に期待しているのか少し赤い。
「王宮侍女武官セーラ、畏れ多くも王子の夜伽をさせていただきたいと存じます」
そう言って頭を下げるセーラに、王子は目の前で自分の気分を高めるように服を脱ぐよう命じた。
「……はい。それではお目汚しでございますが、セーラの脱衣する様をご覧ください」
少し躊躇ってからそう答えるセーラ。ご主人様の命令には完璧に答えたいが、今までにない命令であったため少し返答が遅れてしまったのだ。
ではなぜそんな命令を王子が出したかというと、まずはセーラに性行為への照れと羞恥を感じて欲しかったからである。
王子の昂ぶった性欲を鎮めることこそメイドの使命だと思っていたセーラは、今まで王子とのセックスに羞恥心など覚えたことがない。それはメイドとして当然であるからだ。
更に言えば、今まで王子がセーラを夜伽に呼んだのは戦場帰りなどでどうしようもなく性欲が高まった時だけだったのでそれでも問題なかった。
だが今回は昂ぶった性欲を鎮めるためではなく、まずは王子を“その気”にさせる所から始めなければならない。
(これはいつもと勝手が違うかもしれませんね……)
そう心の中で呟いたセーラは王子がどのような脱ぎ方を期待しているのか考え始めた。
少し悩んで考えがまとまったのか、セーラは小さく頷いて動き始める。
まず手を伸ばしたのは首元に付いているリボン付きのスカーフ。それは白いエプロンと見事に調和してセーラをより上品な存在に仕立て上げていたのだが、いざ外してみると王子が驚くほどセーラの印象に変化があった。
胸元までかかっていたスカーフが無くなると、なんとセーラの大きな胸がまるで強調されてるかのように見えるのである。決して露出されてるわけでもないのに、腰から下についている白いエプロンと対比され、胸部のラインが分かるように張り付いたメイド服のワンピースに自然と目が吸い寄せられてしまうのだ。
次に外されたのがセーラの腰より下を守っているエプロン。王宮用に豪奢な模様が入れられたそれを脱ぐと、セーラの身体を覆い隠すものは手首やスカーフの白いフリルを除いて青一色に染められたワンピースだけとなった。
頭に残されたヘッドドレスは残しておくように、とマニアックな命令を出した後、王子は改めてセーラの全体像を見る。
普段のメイド服に比べ単色のワンピースは一見すると地味な印象だが、だからこそセーラの芸術品じみた顔の造形や、胸元を押し上げている乳房の大きさ、抱きしめたら折れてしまいそうなほど細い腰元に王子の目が行く。
自然と次の脱衣を催促するような目になっている王子を見てセーラは安堵したように笑い、遂には上部のワンピースに手をかけた。
首の後ろに手を回しホックを外したセーラは、焦らすように背中のファスナーを下に下ろしていく。
ファスナーが腰にまで達して外れる音がし、ゆっくりと脱いでいくセーラ。その下から現れた白いブラジャーに包まれた巨乳を、王子は穴が空くほど見つめていた。
「ご主人様?」
セーラから声をかけられようやく我を取り戻した王子は、最後に腰に残ったロングスカートを脱ぐよう命じる。
先程の王子の反応で上手く王子の気を惹けていることを察したセーラは嬉しそうに微笑んでからスカートの横のファスナーに手を伸ばす。
誘うように王子を見つめながらファスナーを下ろすセーラに、王子はいつのまにか己の肉棒がそそり立っていることに気がついた。
そしてロングスカートが床に落ちその下から純白のパンツとガーターベルトが現れ、遂にセーラの美しい肢体が露わになる。
その眩い身体を見て思わずホゥ、と息をつく王子を見て、セーラは楽しげに言う。
「フフ、脱衣をご主人様に見せることなど初めてで不安でしたが、どうやらご満足いただけたみたいですね。それでは次は、先程ご主人様の興味を引いたこの胸で御奉仕させていただきますね」
前回の伽でもこちらがとても気になっていたようですし、と続けるセーラ。
彼女はベッドに座る王子の足元に近づき、失礼します、と呟いて丁度王子の下腹部が目の前に来るように跪いた。
王子のズボンのチャックをおろし、パンツの隙間から猛った王子の陰茎を丁寧に出すと、その威容にセーラはまあ、と笑った。
「私のせいでこれほど大きくなってしまったのですね……ならば、ご主人様の精を全て受け止めることが私の責務でございましょう。どうか私の胸の中に存分に射精して下さいませ」
これほど興奮したのはセーラにそうするよう命令を出した王子のせいであるし、そもそもセーラが興奮の原因でなくとも「王子の性欲を受け止めるのはメイドたる私の使命」などとセーラは言うだろうが、そんな無粋なことを王子は言わなかった。
セーラはブラジャーに包まれた両乳の谷間に王子の逸物を挟み、少しだけ飛び出した王子の亀頭を躊躇いなく口に咥えこんだ。
先端だけでも十分に存在感のある肉棒に圧倒されながらも、セーラは己の舌を大胆に絡みつかせる。
「ンッ……ム……ハッ……ンン!」
(まずは唾液をしっかり含んだ舌を絡ませて亀頭やカリを突くようにする……そして時折王子の顔を見て、どこが気持ちいいのかしっかり探る)
王子以外と関係を持ったことのないセーラは初めてのフェラにかかりきりとなってあまり胸を使えていないが、その奉仕の心のなせる技なのか、少しずつ王子の感じるツボを見つけそこを重点的に攻め始めた。
数分して王子の逸物が今にも射精しそうなほどビクビクと震え始めて先走り液が口内を満たしはじめたところで、ようやくセーラは肉棒から口を外す。
「ンゥ……お待たせしました。胸を使っての奉仕も初めてなので、何かご要望があればすぐにおっしゃってください」
そう言ってセーラが胸の左右から肉棒をギュッと締め付けると、その胸の柔らかさに王子は陶酔した。唾液に塗れた肉棒はスムーズにセーラのパイズリを受け、亀頭が谷間から出たり入ったりしている。その光景の素晴らしさもあり、今にも王子は射精しそうになった。
しかしここで出してはただセーラに奉仕をされただけで、いつもの逢瀬と変わらない。王子は唇をグッと噛み締め込み上げる射精感を耐えた。
そして射精の波が少しずつ遠ざかっていくのを感じ、王子は安堵の息を吐いた。パイズリというのは他の奉仕に比べ刺激が少ないので、一度耐えてしまえば射精を我慢することができる。
王子をイカせることが出来ず少し焦りはじめたセーラに、当初の目的を果たすべく王子は声をかける。
「ハッ……、王子自ら私の胸を使って刺激を与える、ですか? ですがそれは……」
自分だけの奉仕で王子を満足させたいセーラは当然渋ったが、王子も目的の為にここは譲れない。強く説得する王子にセーラも最終的には折れた。
「はい、分かりました……今回は王子の手の動かし方を見て勉強させていただきます。ですが次こそは私だけで満足させてみせます!」
セーラの承諾を得た王子は心の中でガッツポーズをした。なぜ無理矢理射精を耐えてまでセーラの胸に触る許可を得たかというと、当然セーラに前戯をするチャンスが欲しかったからだ。
今まではセックスが始まってからしかセーラに快楽を与える機会がなかったが、胸に触りさえすればどさくさに紛れてセーラを気持ちよくさせられる自信が王子にはあった。
セーラの許可を得た王子は早速ブラジャーに手を伸ばす。少し震える手で優しくブラジャーを剥ぎ取ると、可愛らしいピンク色の乳首が現れた。しかも先程までの行為でセーラも興奮したのか、ピンと立っている。
主人が使用人の服を脱がせるなどあってはありません! と言って毎回セーラが自分で服や下着を脱いでいただけに、自らの手で彼女の下着を剥ぎ取れたことに王子は達成感を感じた。
ひとしきり感動を味わった王子はセーラをベッドに横たわらせ、彼女の身体を両足で跨いで己の肉棒が胸に挟まる位置に調整する。そうして改めて王子は、締め付けるものが無くなってたゆんと揺れている両胸の間に自分の肉棒を挟み込む。
「ンンっ……」
まずはセーラの胸を正面から鷲掴みし、ゆっくりとこねるように回していく。王子の手の形に合わせていやらしく形を変える胸を見て、思わず笑みがこぼれる。
鷲掴みしている掌の中心部にポツンと立った乳首を感じるが、先に乳房全体のやわやわとした感触を楽しむ。以前のセックスで乳首がセーラの特に感じる所だと知っているので、お楽しみは後に取っておくのだ。
その後何度も胸を揉んでひとまずは満足した王子はようやくセーラを喜ばせるための行動を起こす。今度は横から両胸を掴み、親指が乳首に当たる位置に持ってきたのだ。
己の射精感を高めるために左右で違う揉み方をし、肉棒に与える刺激に工夫をしながら、その親指は乳輪を擦ったり、時々乳首を弾いたりする。
最初は主の喜ばせ方を勉強すべくジッと王子の両手を見つめていたセーラであったが、次第に様子が変わってくる。
「ハァ……ンッ……ハン!」
と少しずつ呼吸を荒げ始め、何かを求めるように王子を濡れた目で見つめてくるのだ。
そのどこか弱々しくも、だからこそ色気を感じるセーラの顔を見て、ただでさえ高まっていた射精感が頂点に達し、王子は思わず射精をしてしまった。
しまった……予定では前戯でセーラを一度絶頂させておくつもりだったのに、先にイッてしまうとは……
そう後悔する王子だが、自分の胸にかかった精液をボーッとした目で見つめているセーラを見て、まだチャンスはあると考えた。
(これで……終わり?)
王子の射精を目の前で見届けたセーラだったが、まだ動き出せないでいた。いつもであれば精をはき出した王子に労いの言葉をかけ、身体に残った精液の処理に迅速に動き出すセーラが、である。
何かが物足りないような、あと少しで何かを得られなかったような、そんな寂しさに襲われ、主の意を汲みすぐに実行する完璧なメイドとしての仮面が少しの間剥がれ落ちそうになっているのだ。
(私は一体何を考えているのですか! ご主人様の目の前でこのような醜態を晒すなど……あってはならないのに)
ようやく頭が回り始めたセーラはまず最初にご主人様の様子を確認しようと辺りを見渡し、自分の腰の近くにいるのを発見した。
「申し訳ございませんご主人様。すぐに後始末の用意を……アァ!!」
セーラが呆然としている間にあっという間に肉棒を復活させていた王子が、いきなりセーラの秘所に逸物を沈めていったのである。思わぬ刺激に甲高い喘ぎ声を上げるセーラ。
先程の乳首攻めで濡れきっていたセーラの膣は、何の抵抗もなく王子の肉棒を受け入れていった。
「アァ、待って、待って下さいご主人様……ハァン! これでは、セーラは何の奉仕もできませ……んアァン!」
今まで王子とセーラのセックスは、セーラの騎乗位であることがほとんどだった。それがセーラにとって自分のペースで王子に奉仕できる最善の体位であったし、王子も自らを喜ばせようと必死に腰を振るセーラを見るのが好きだったからである。だからこそ正常位で王子と性行為をするなどセーラにとって考えられないことであったし、恋人同士のようなその体位は己には決して許されないのだと思ってすらいた。
「ハァ、ンアァ、ンン……! どうかお待ちを……ご主人、様……これ、ではセーラがメイドではいられなく……ンンンッ!」
容赦なくセーラを突きまくる王子。既に何度かイッているのか、セーラの膣は断続的にキュッキュッと締まってくる。その気持ち良さに王子もすぐに限界が訪れた。
クッ、もう出る……膣内に出すぞ、セーラ!
「アァ、イヤァ、アァン! ご主人様、ご主人様っっ──!」
そう宣言していくらかもしない内に王子は二度目の射精をはき出す。
長く濃厚なその射精感に酔いしれ、しばらくしてから王子はセーラの上に倒れこんだ。
ンンッ……どうやら少し眠っていたようだ
セーラの普段とは違う甘えるような姿に興奮し、性豪である王子がたった二度の射精で満足してしまったらしい。
目を覚ました王子は汗や精液を綺麗に拭い取られ、服を着せられた己の身体を見て、セーラが後始末を既に済ませてくれていることに気がついた。
感謝の言葉を述べようと目で探した王子は、少し離れた位置で背筋をピンと伸ばし立っているセーラを見つけた。
セーラの方も王子が目を覚ました事に気がついて、王子に先んじて口を開く。
「おはようございます、ご主人様。朝の弱いご主人様にしてはお早いお目覚めですね」
時刻はまだ深夜とも言える時間だが、普段王子の朝の弱さに苦労しているセーラとしては冗談の一つも言いたくなるのだろう。
王子が苦笑で返すと、セーラは一つため息をついた。
「はぁ……まあそれはいいでしょう。それよりもご主人様には一つ苦言を呈したいことがございます」
なんと。朝の目覚めの悪さすら上回る苦言があるというのか。
驚く王子。それもそのはずで、セーラが面と向かって苦言を呈してくることなど今までなかったことだからだ。大抵のことは王子の命令に従おうとするし、本当にセーラの意に反することはそもそも王子は命令しない。これは心を決めて聞かねばなるまい、と王子は決心してセーラに先を促した。
「はい、そのことですが……これから先、私との性行為であの体位はしないでほしいのです」
…………は? それが、苦言を呈したいこと?
思わぬ言葉に混乱する王子。セーラが面と向かって主に己の意見を述べるのなら、てっきりもっと政治や軍事に関わる重要なことだと思っていたのだ。それが蓋を開けてみれば、まさかの体位の話である。
「お言葉ですが、これは私のメイドとしての誇りに関係するのです。あのような体位で一方的に攻められてしまえば、私はご主人様に奉仕することがかないません。主に奉仕をしないメイドなど、剣を持たない剣士のようなものです」
そう言われ、王子もようやく真剣に考え始める。
確かに、王子に動いてもらい、セーラが快楽を享受するだけというのは、彼女の流儀に反するのかもしれない。
だが、王子としても反論が無いわけではない。
だが、それが主の命令なら黙って聞くことこそ真のメイドなのではないか? それに、二度目の射精はそれだけで満足するほど心地よいものだった。お互いに快楽を得られるのなら、そちらの方が良いに決まってるだろう。
王子の反論を聞いて、セーラがまた口を開く。
「王子のお言葉は最もです。ですが、理由はそれだけではないのです」
少し躊躇してから、セーラは思いきったように話し始める。
「あの体位は……恋人同士がやるべきものです。確かにお互いの満足感は他の体位の比にならないでしょうが、それはあれが恋人同士を想定されているからでしょう。一介のメイドに過ぎない私がご主人様の恋人など……あまりにも畏れ多いことです」
「ご主人様は他国の姫や他種族の重要人物と結婚しなければならないお立場。そこに私の入る余地などありませんし、身分違いの主に懸想するなど……メイドの最大の禁忌です」
私はご主人様の側に居させてもらえるだけで幸せなのです、とセーラは続ける。
その悲壮な決意を聞いて愕然とする王子。
確かに、以前から兆候はあった。純潔を王子に何も言わず捧げたり、自分のことは二の次で王子の快楽を一番に考えたり、度を越して主に奉仕するメイドというあり方に自分を当てはめていた。
つまりセーラは、メイドと主という関係を絶対のものとして、王子にはそれ以上近づかない、それ以上の関係性は築かないと宣言しているのだ。
これは、体位がどうとかはどうでもよくなる程の重大な問題だった。いや、どうでもよくはないが、問題の本質からは遠く外れたものであったのだ。
なら……今までセーラが俺に身体を許してきたのはただメイドであったからだと、俺には主としての感情以外は何も持ち合わせてないと言うのか?
そう王子に問われ、苦しげな顔をするセーラ。
「そんな、そんな訳ないでしょう! 私は相手がただ主だからといって身体を委ねたりしませんし、ご主人様のことだってふとした時に一人の男性として見てしまうのです!」
「でも……だからこそダメなのです。その感情に名前を付けることも、表に出してしまうことも。それが私の選んだメイドの道なのですから」
悲しさで顔をいっぱいにするセーラ。それを見て王子は思わずセーラに近づいていき、力一杯抱きしめた。
「何のつもりですか、ご主人様。これでは、これでは私の中に未練が残ってしまうではないですか……」
王子は涙を流すセーラの顔のすぐ横で囁いた。
まだ己の道を一つに決めるのは早すぎるんじゃないか? メイドとして以外に、セーラがなりたいものがあるかもしれないだろ?
「ですが……私はメイドであることを捨てられません。それに、メイドでなくなったらご主人様の側にいることすらできなくなってしまう」
ならメイドをしながらでも両立できる道を探そう。俺とセーラ、二人でならきっと見つけられるさ。
「……フフ、ご主人様は悪い人ですね。そんな事を言われたら私も期待してしまうではないですか」
大いに期待してくれ。丁度今、いい方法を思いついたんだ。来週まずはそれを一緒に試そう。
「ありがとうございますご主人様。このセーラ、心の底から……しております」
小さく呟かれた最後の言葉は聞こえないフリをした。それを聞くのは全て解決してから。それまでは、その言葉はセーラの中に閉まっておいてもらおう。