色々、話したいですが、とりあえず、あとがきにて。
続きをどうぞ
空は暗く。街はまだ、眠りの中。指揮官養成校の片隅で、聞こえてくる複数の人の声。校庭にいるのは、伊勢、高雄。ジュリオ・チェザーレ、能代の四人。四人は、朝練をしていた。まず最初に、筋トレから始まり、体術、剣術等のトレーニングをしている。時間は早朝、五時過ぎ。汗を流した四人の表情は、満足気。
「いゃ~、二人加わると、色々助かって良いねぇ」
「拙者も、同感だ」
「張り合いがあるわぁ」
伊勢と高雄が、満面の笑みで言う。
「身体を動かさないと鈍るから、こっちも助かっているよ」
ジュリオ・チェザーレもにこやかに言う。四人は、汗を拭いながら、整備場へ向かった。猛海の部屋の前を通る。微かに聞こえる声。天城の声だと、四人は気付く。その声は、艶っぽさを含み、部屋の中でナニが行われているか、容易に判断出来た。その場を、素早く通り過ぎようと、歩く速さが上がる三人に対して、能代だけが、その場に立ち尽くす。
「…天城さん?」
能代の脳内は、パニックを起こしていた。伊勢が能代の腕を掴む。伊勢の顔は真っ赤に染まっていた。
「…能代、早く行くぞ」
伊勢に、強く腕を引かれ、能代は素直に従った。しかし、思考は停止状態。風呂場に逃げ込む様に入り、荒くなった呼吸を整える。四人の顔は真っ赤だ。
「…ぃ…今のは」
震える声で、能代が言う。それは、誰に問うつもりでもなかった。
「……」
能代の独り言に、三人は無言。気まずい雰囲気が、脱衣室を包む。急に伊勢が、自分の頬を叩く。
「…よし!風呂入ろうぜ!」
「…ぉお、そうだな」
伊勢と高雄の言葉に、ジュリオ・チェザーレと能代が頷き、四人は服を脱ぐと浴室へと入っていった。
朝、七時過ぎ。台所で朝食を作る天城。その横では、無言で能代が手伝っている。時折、視線を天城に向け、何か言いたげな表情になるものの、すぐに視線を反らす能代。
「…能代さん」
「……はぃ」
「何かありましたか?」
手早く、卵焼きやお味噌汁を作りながら、天城が視線を能代に送り、出来上がった卵焼きを、能代の前に置く。能代は、それを等間隔で切り、後ろのテーブルに並べられた複数の皿に、盛り付けていく。
「……いぇ…それより、ベルファストさん達は」
「猛海様のところです」
能代の問いに、天城が淡々と答える。天城は鯖の味噌煮の味を確認中。軽快な音と共に、ご飯が炊き上がった。
「能代さん、皆さんを呼んで来て下さい」
「分かりました。指揮官」
「ベルファストさん達と一緒に来るでしょうから、その必要はありません」
能代の言葉を遮り、微笑む天城。その表情は妙に艶めいている。能代の顔が、赤く染まり、天城を直視できない。逃げるように、みんなを呼びに向かった。
朝食を済ませて、各々寛いでいた八時半頃。松葉づえを付きながら、猛海が居間に入ってくる。
「…あら、猛海様?ベルファストさん達は?」
椅子に座り、お茶を啜っていた天城が、声を掛ける。天城の横には、エンタープライズが座り、天城とエンタープライズに向かい合う形で、能代とビスマルクが座っていた。
「うん?…あぁ、ちょっと責めすぎた」
「…猛海、もう少し言葉を考えてくれ」
不敵な笑みで言う猛海に、エンタープライズとビスマルクが溜め息をつく。
「何で?」
「……」
猛海の問いに、無言で能代に視線を向ける三人。能代の顔は、熟れたトマトの様に赤い。猛海は能代に視線を向けた。それと同時に、豪快に鳴る猛海のお腹の虫。天城はクスクス笑う。エンタープライズとビスマルクも笑っていた。天城が、椅子から立ち上がり。
「猛海様。今、準備しますから、こちらにお掛け下さい」
促され、猛海は椅子に座る。しばらくすると、目の前に朝食が用意された。右手がない猛海は、使い慣れない左手に箸を持つ。天城が隣に座った。
「……見られると食べにくい」
四人の視線を集め、猛海は呟いた。ビスマルクが椅子から立ち上がり、台所に向かう。再び戻って来たビスマルクの手には、三人分の箸が握られている。ビスマルクが、天城とエンタープライズに箸を渡す。ビスマルクの意図を理解した二人。天城がお茶碗を持ち、箸で掴んだご飯を、猛海の口元に持っていく。
「はい、猛海様」
「…っえ?」
「あ~んです」
素直に口を開ける猛海に、天城はご飯を入れた。咀嚼する猛海を見つめる四人。ビスマルクも、卵焼きを口元に運び、エンタープライズも鯖の味噌煮を口元に持っていく。それらを、大人しく猛海は頬張り咀嚼。三人はニッコリと微笑む。
「…なんと言うか、餌付けしてるみたいだな」
「そうですね」
「……ちょっとクセになりそうだ」
三人の会話を、能代は無言で聞いている。そして、猛海を、愛しいく見つめる三人の表情を観察。その後も三人は、次々と食べ物を、口元に持っていく。
「あのさ、リハビリにならないんだけど」
朝食を食べ終えた猛海が言う。
「…ぃや、あまりにも」
「その、可愛らしくて」
「母性本能が…ねぇ?」
しどろもどろの三人は互いを見合う。猛海は溜め息を一つ。
「まぁ、俺も調子に乗って食べたから、怒る権利はないんだけど」
そう言って、椅子から立ち上がる猛海。
「ちょっと出掛けるから」
「どちらに?」
「小野先生の所」
行き先を聞いて、黙り込む三人。能代はその様子に、首を傾げた。
「どうしたんですか?」
「猛海様が、小野先生の所に行く時は、私達はついて行けないんです」
「…どうしてですか?」
「それは…」
言葉を濁す天城。能代達、新メンバーは、その理由をまだ知らない。当の天城達でさえ、どうして猛海は、連れて行ってくれないのか、教えてもらっていない。
「いや、今回は全員連れていく。天城、ベルファスト達を起こして来て」
猛海の発言に、三人は驚きの表情。言葉を発せずにいる。
「天城?」
天城の顔を覗き込む猛海。天城は、我に帰った。
「…畏まりました。今すぐに」
そう言って、そそくさと居間を出ていく。天城が、居間を出たと同時に、猛海のスマホが鳴った。
「もしもし、小野先生?」
『おう、猛海。こっちの準備は出来てるぞ』
「分かりました。今、みんなに準備するように、言ったので」
『了解、んで?ちゃんと、話したのか?』
電話越しから、小野が問う。猛海は無言。
『…まだなのか。まぁ、良いや』
「小野先生も良いんですか?」
『そうだな、本当は知られたくはないんだが、猛海のところの娘達なら、心配はしてないよ』
「…そうですか」
『とりあえず、一時間後に迎えに行くから、宜しく』
そう言って、小野は電話を切った。スマホを無言で見つめる猛海。その後ろ姿を、エンタープライズとビスマルクが見つめていた。
小野からの電話から、一時間後。整備場の前に、大型のバスが停車。出迎える猛海達。バスから出てきた人物に、天城達が驚いた。
「…貴女は」
「遅れて申し訳ないね。水瀬君。天城達も、昨日はお疲れ様。怪我の具合は良いのかい?」
にこやかな笑顔で、三笠が言った。天城は、猛海に視線を向ける。
「猛海様、どうして三笠さんがここに?」
「…う~ん、その説明は、後で良いか?とりあえず、小野先生の所に着いてからするから」
「…分かりました」
猛海の言葉に、頷く面々。続々とバスに乗り込み、バスは、小野が所有する山へと向かった。
猛海達を乗せたバスは、山の中腹にある建物の前に着く。そして、そのまま建物の中に入っていった。真っ暗な建物の中、地面が小刻みに揺れ、天城達は警戒する。
「警戒する必要なない」
猛海の言葉に、天城達は黙って従う。しばらくして、地面の揺れが治まった。猛海は慣れたように、バスを降りる。天城達は、警戒しながらも、猛海の後を追い、バスを降りた。バスを降りてから、異なる反応を見せる面々。驚いた表情の者、感心したような表情の者、期待に目を輝かせる者。それぞれの感情が、表情だけで分かる。天城達の目に映るのは、大きな何かの装置、沢山の配線やパイプが、至る所に張り巡らされ、中には、大きな水槽もある。その側で、複数の白衣を着た研究員達が、忙しなく動き回っていた。
「…これは」
エンタープライズが小さく呟く。
「やぁ、俺の研究所へ、ようこそ」
白衣を着た小野が、エンタープライズ達の前に現れた。猛海も小野の横に立つ。
「いゃ、正確には『俺達の』って言うべきか」
「……俺達のって」
「言葉の通りだよ。君達も、薄々気付いていただろ?」
小野の言う通り、エンタープライズ達は気付いていた。猛海が、いつも身に付けていた武具。あれは、小野と開発しているであろうと。
「やはり、そうだったのか」
ビスマルクがポツリと言う。他の者達も、複雑な表情で、猛海を見た。
「私達をここに連れて来た理由は?」
リットリオが問う。猛海は、みんなを一瞥すると、口元を隠しながら、背を向ける。
「おいおい、猛海」
「…ゎ…分かってる…けど、心の準備がなぁ」
猛海の言葉に、呆れた表情の小野。一同は無言で、猛海を見つめる。小野は、溜め息を一つ。
「なら、俺から言ってやろうか?」
「…いや、自分から…言う」
その言葉で、小野は猛海の肩を軽く叩くと、他の研究員の元へ向かった。小野がいなくなり、猛海は何度も深呼吸をする。猛海の背中に突き刺さる、複数の視線。
「…えっと、みんなに来てもらったのには、その……理由があって」
言いながら振り返る猛海。真剣な表情の面々。猛海は、一瞬、視線を反らす。
「猛海様、話して下さい」
ベルファストの言葉に、猛海は覚悟を決めた。
「…その、俺をサポートして欲しい」
そう言葉にする。無言の面々。猛海はみんなに視線を向けた。呆けた表情で、猛海を見つめている面々。そして、一気に吹き出し笑い。
「何を言うのかと思ったら」
「そんな事か」
「…そんな事って、俺には」
リットリオが手で、猛海の発言を制する。
「サポートも何も、我々は指揮官をお守りするのが、使命だ」
「いや、そうじゃない」
リットリオの言葉に、猛海は首を横に振る。
「俺は守られるより、守りたい。それは、天城達がよく理解してるだろ?」
「ええ、そうですね」
猛海の言葉に、頷く天城。
「俺が、言いたいのは、そのままの意味。侵略者達の戦闘で、サポートして欲しいって事だ」
視線を一人一人に向け言う。
「正直、今の俺じゃ、戦場に出ても足手まといなだけ」
「それなら」
「俺が嫌なんだ。分かるだろ?ビスマルク」
真剣な表情の猛海。ビスマルクは、小さく息を吐く。
「やっぱり、そう言うと思ったぜ。流石、あたし達の指揮官だ」
伊勢が満面の笑みで言う。高雄も満面の笑み。夕立達も悪戯っ娘のように可愛いらしい笑みを見せる。
「私達が、猛海様の『お願い』を拒否すると思いましたか?」
「……いや、それはないって、思ってたけど」
「それでは何故ですか?」
「…それは…、俺の…」
「俺の?」
メイド隊三人の上目遣い。真っ赤な顔を、隠しながら。
「プライドって言うか。俺が、お前達を守るって言ったのに、サポートをお願いするのが、恥ずかしかったからだ!」
ヤケクソ気味に、猛海は叫んだ。その叫びは、研究所内に響き渡る。他の研究員と話していた小野が、ニヤニヤと見ていた。一瞬の静寂。
「猛海しゃ~ん!」
突如、誰かが乱入してきた。緑色の髪に、獣耳を生やした少女。腕よりも長い白地の服が、猛海に抱き付く。
「おう、明石か。久しぶりだな。留守の間、元気にしてたか?」
「心配で、元気な訳ないにゃ!猛海しゃんが、負傷したって、小野先生から聞いた時、生きた心地しなかったにゃ!」
言いながら、猛海の腹部をポコポコと殴る明石。
「すまん、すまん」
「すまんじゃ、ないにゃ!」
涙目の明石。猛海が頭を撫でる。それを唖然と見つめている面々。天城が近付く。
「猛海様、もしかして」
「あ~、すまん。みんなに紹介する。明石だ」
「夕立、綾波久しぶりにゃ、他のみんなも久しぶりにゃ。明石の指揮官は猛海しゃん。みんなの仲間にゃ!」
無言の面々。
「……あの、明石さんは、いつ召喚されましたか?」
「えっと、そうだにゃ。キュラソーの後くらい?かな」
その発言に、絶句する天城。
「…つまり、私達と同じ時に?」
「うんにゃ、エンタープライズ達より前にゃ」
「一年以上前って事か」
驚愕の表情。
「待ってくれ、それが事実だったとして、今までどこにいたんだ?」
「それは」
「明石、その続きは俺が説明する」
そう言って、猛海はみんなに説明をした。
「要するに、明石さんは、猛海様の為に、小野先生の所で、ずっと武具作りのお手伝いをしていたと」
「そうだにゃ。猛海しゃんから、天城達の事は聞いていたにゃ。やっと逢えて、明石嬉しいにゃ」
屈託のない笑みの明石。
「それに、他のみんなも逢いたがってたにゃ」
「他のみんなは?」
明石の言葉に、猛海は問う。
「…猛海、怪我の具合はどうだ」
猛海の背後から近付く、一人の女性。赤髪を結い上げ、白い軍服に身を包んだその女性が、猛海の背中を優しく撫でる。
「モナーク、心配掛けたな」
「ったく、猛海も無茶をする。助かったから、良かったが。一つ間違えば死んでいたそうじゃないか」
呆れた表情で、モナークはそう言った。そして、視線を面々に向ける。
「…私はモナーク。先の大戦前の者だから、知らない者もいるだろう。私の指揮官も君達と同じ、猛海だ」
新たな登場者に、面々は目を見開いたのだった。
大変、お待たせ致しております。日々、全速力で駆け抜け、行き急いでいる自分であります。そして、コロナの影響で、暇なのに!死ぬほど忙しい毎日です。
さて、新たな仲間が増えました!嫁が多過ぎて、書ききれない!ちなみに、明石は未だにお迎え出来ず仕舞い、誰か、明石のお迎え方法教えて下さい!(切実)
又、もう暫くは、いつアップしますと、報告出来ませんが、新年度を過ぎた位には、アップ頻度を上げれる、かも?期待せず、寛大なお心でお待ち頂ければ、幸いです。