※この作品はR-18です。

指揮官と少女達の絆   作:氷野心雫

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立て続けに頑張ってます。


若い指揮官の苦悩の日々

『指揮官養成校』

 

 

 

 

猛海は校門の前に立つ。無言でその学校名が書かれた文字を見つめた。総理との話し合いから数週間。猛海の周囲は慌ただしかった。転校の手続きや寮に入る為の手続き。仲の良かった友人達との別れ。猛海の心情は複雑に絡まる。猛海の後ろでベルファストと天城は無言のまま猛海の後ろ姿を見つめた。その様子を、上級生達が横目で見ながら通り過ぎる。

「おい、あれだろ?特例の転校生って」

「何だよ。ガキじゃん、あんなのが俺らと一緒かよ」

口々に言う。中には。

「おい、あの二人美人じゃん。俺の戦艦と交換出来ねぇかな」

「エロい身体してんな。俺、ヤりたくなったぜ」

ベルファスト達に対しての卑猥な言葉も聞こえてくる。それは猛海の耳にも入ってきた。何とも言えない怒りが猛海を支配する。

「ご主人様。さぁ、行きましょう」

ベルファストが猛海の手を取る。反対の手は天城が握っていた。猛海達が向かったのは、上級生達が入っていった校舎とは違う別館である。それはまだ小学生の猛海の為に、総理が配慮しての事。ただ、別の理由もあるのだが、今の猛海には知る由もない。特例の転校生は、猛海一人。必然的に同級生はいないが、猛海はそれでも良かった。ベルファスト達の事や他に知らなければいけない事があったから。他に、猛海の中で人知れず決心している事も、猛海を強くさせた。その事は、ベルファスト達は知らない。

 

それから三年が経過

 

猛海は中等部に上がる。色々な知識が増える側面、別の問題が猛海を悩ませた。それは、ベルファストと天城の事だ。小学生の時は、性に対して全くの無知だった彼は、思春期を迎え、今置かれている自分の状況に焦りを感じている。特に寮にいる時は気を休めてなどいられない。初めて二人に出逢った時は、嬉しさが強かった。二人は、時に母親の様に。時には姉の様に猛海を見守り、側にいた。しかし、猛海が大人の男性へと成長するにつれ、好意を示し始めていたからだ。

「猛海様」

ベルファストが猛海の側に寄る。頬はほのかに染まり、瞳は潤んでいた。後退る猛海。

「……ベルファスト、近い」

「ベルファストさん、あまり猛海様を困らせてはいけませんよ」

そう言う天城も猛海の側に立つ。左右二人に挟まれ、猛海は悶えた。

「どうしたんだよ。二人共」

「何がですか?」

「何がでしょうか?」

同時に問われる猛海。顔を強張らせ、二人の間を脱兎の如く逃げ出し、事務室へ駆け込む。事務室には、一人の男性職員が座っていた。

「おう!水瀬、どうした?そんなに慌てて」

「小野先生、お願いです。部屋を別々に出来ませんか!?」

「…あの二人と別々にか?それは無理だ。指揮官とそのパートナーは『何時如何なる時も共に行動』がここの決まりだからな」

豪快に笑いながら言う小野。事務職員の小野は見た目30代の男性。体格も良く、男ばかりの寮に、管理人として常駐している。

「なら、せめて広い部屋に移動させてくれ!」

「何だ?身の危険でも感じるのか?」

「……限界なんだよ」

げんなりと表情をさせる猛海。小野は一瞬、目を見開いたが。

「良いじゃねえか、二人共美人なんだし」

「そう言う問題じゃないよ……」

「しっかりしろよ。試されてんだよ、お前。ここの連中は、すぐに欲に溺れたが。お前はまだ平気なんだろ?」

小野が言いたい事に、猛海は理解していた。この学校は、欲に埋もれている。思春期の男の側に、常に綺麗な。若しくは可愛らしい女性がいるのだ。しかも、自分に好意を寄せ、言えば何でも言う事をきく『据え膳喰わぬわ、男の恥』状態だ。その状況が、今猛海にも訪れていた。しかし、猛海はそれを受け入れられない。

「……二人は好きだけど、簡単な気持ちじゃない。でも、身体が言う事を利かないんだ。油断してたら二人を傷付ける」

「俺は二人を受け入れても良いと思うけどな。だって水瀬、二人と関係持っても戦闘に支障無さそうだし」

「……それは」

猛海は、それ以上何も言えなかった。

 

その日の夜

 

猛海は眠れない夜を過ごす。何故なら、セミダブルのベッドに、浴衣姿の天城とパジャマ姿のベルファストが猛海を挟んで寝ていたからだ。部屋自体が狭い為に、セミダブルのベッドと小さなテーブル。ソファー、テレビくらいしか置けない。小学生の時は、三人一緒に寝ていた。しかし、今はソファーで寝るようにしていた猛海だったが、今日の二人はそれを拒み、無理やり猛海をベッドに引き入れる。二人の体温が、薄い生地から猛海に伝わり、猛海の心臓は早鐘を打つ。時折、二人から放たれる甘い香りに目眩を覚えた。無意識に身体が疼く。両腕に触れる柔らかな乳房。猛海は心の中で発狂した。

「……猛海…様」

「…好き…」

二人の寝言。頭の中で何が弾ける音。猛海はそろそろとベッドから這い出ると部屋から出た。そのまま泥だらけになりながら、朝まで走り続けたのだった。

 

 

 

 

それからさらに月日は流れ、猛海は高校生になった。ますます男らしく成長する猛海に、相変わらず、いやそれ以上に好意を示す二人。最初の頃に比べ、猛海も動揺する様子はない。勿論、三人一緒にベッドで寝ているが、猛海は何もしない。

「ベルファスト、天城。出掛けてくるから、先に寝てろよ……それから」

「絶対について来るな。ですね」

「ああ、……お前達も分かっているな?」

猛海は浮遊しているキューブ達に視線を送る。

「…分かった」

「分かったよ」

残念そうにキューブ達がクルクル回る。それを確認し、猛海は部屋を出た。暗い夜道を猛海は歩く。向かっている場所は、校舎の一角、整備場。そこに小さな灯り。猛海は無言で入る。中には整備服を着た一人の男性。その男が振り返った。

「おう!猛海、遅かったな。さてはパートナー達と愛を深めてたか?」

「……小野先生、毎度毎度よく飽きないな」

ため息混じりに言う猛海。小野の手伝いを始める。今、二人は夜な夜なある道具を作っていた。それは、人の足サイズの武具。猛海はその武具を足に装着した。

「どうだ?」

「ああ、ぴったりだ。重さもそんなに感じない」

「……あとは実際に使えるか試すだけだな」

小さく頷く。猛海は一度その武具を外す。

「今から試しても良いか?」

「っは?今からか?」

「試すなら早い方が良い。改善点も見つかるしな」

「…分かった。まぁ、俺は物さえ作れたら言う事ないからな。行ってこい」

猛海は無言で頷き、海岸へ向かった。月の明かりに照らされ、水面がキラキラと光る。風は弱く波も穏やかだ。猛海は武具を装着し、浜から海へ入って行った。

「……発動」

猛海の言葉に武具が反応。猛海を水面の上に立たせた。そのままバランスを保ち、猛海は沖へと走り出る。水面を滑る様に走る猛海。大きく円を描き、力強く水面を蹴った。そして着水。

「…良い感じだ。あとは、どのくらいの持続性があるかだな」

浜辺に戻りながら猛海はようやく笑う。整備場に戻ると小野がいた。

「どうだった?」

「ああ、ちゃんと起動したよ。速度もあるし、水面での着水も出来た。あとは持続性の確認だな」

「そうか、水瀬。俺に感謝しろよ」

「ああ、ありがとう。流石、小野先生だ」

「……やけに素直だな。気持ち悪い」

二人は吹き出す様に笑い、その日は解散した。興奮冷めやらぬ状態で部屋に戻る猛海。ベッドでは気持ち良さそうに寝息をたてる二人。猛海はベッドに入らずソファーに腰掛けた。

「…あらあら、こんな夜更けに、ご主人様はいけない人ですね」

猛海の背後でベルファスト達とは違う女性の声。猛海は咄嗟に振り向き身構えた。フワリと覆い被さる何か。そして、口に触れる温かな感触。猛海の思考は停止した。口からゆっくりと感触が離れ、暗がりの中、目に映るのはメイド姿。

「……君…は」

「初めまして、ご主人様。キュラソーと申します。メイド長のベルファストの様な働きは出来ませんが、精一杯頑張りますね」

そう言うキュラソーと名乗る女性は、妖艶に微笑むのだった。




自分の中で、キュラソーは小悪魔なイメージなんですよ。新たな戦艦少女召喚に、ベルファストと天城はどうする?
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