※この作品はR-18です。

指揮官と少女達の絆   作:氷野心雫

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続きです。どうぞ


触れて良いのは

『指揮官養成校』校長室

 

 

 

 

校長に突然呼ばれた猛海。部屋に入ると、校長と猛海をこの学校に転入させた総理がそこにいた。

「やぁ、久しぶりだね。見ない間に立派に育ったな」

にこやかに笑い言う総理。その横で校長が猛海に座るよう促す。軽く頭を下げ、猛海は椅子に座った。その後ろには、ベルファスト達が控えている。ただし、表情は暗い。総理はベルファスト達を見た。

「一人増えているね」

「……キュラソーです」

猛海の言葉に、キュラソーが総理を見る。その視線に目を細める総理。

「猛海君に今後の話をするつもりだったが、その前に別の話をさせてもらっても良いかな?」

部屋の空気が一瞬で暗くなる。これから話す内容を、猛海は何となく分かっていた。

「……昨日、君の部屋で爆発があったと聞いている。爆発の原因は、彼女達だとも報告を受けた。本当かね?」

総理の問いに、黙って頷く猛海。話は、日付が代わる深夜に遡る。猛海はいつもの様に、小野と新たな武具作りに勤しんでいた。

「…水瀬、お前そろそろ話した方が良いんじゃないか?」

作業の手を止めずに小野は猛海にそう言った。

「何が?」

「お前のパートナー達に、お前が何をしているのかって話だよ」

その言葉で猛海の手が止まる。小野は視線を猛海に向けた。

「……いゃ、まだ駄目だ」

「そうか、でも。俺はそろそろヤバイと思うんだよな」

「……?」

猛海が首を傾げる。

「お前、自分のパートナーが周りの指揮官候補の奴等からどう見られているのか考えた事あるか?」

小野に向き直る猛海。

「毎日、夜お前が出掛けて、遅くまでいないって意外と知られてんだよ。だからさ」

小野の言葉を遮り、静かな夜に響き渡る爆発音。猛海は寮の方を見た。

「……あぁ、予想的中」

小野が頭を抱えてしゃがみ込んだ。猛海の表情は無だ。青ざめている。そして、寮の方に走り出したのだった。

 

 

 

 

一方、ベルファスト達はいつも悩んでいた。いつからか、猛海が夜遅くに出掛け、帰りが遅い事に。彼女達にとって猛海は心の拠り所であり、愛する人でもある。それは猛海が産まれた時から今現在、そして、これからもずっと変わらない。彼女達が猛海に惹かれたのは、魂の輝き。その輝きは、彼女が今まで出逢ってきた指揮官達よりも大きく、温かかった。

『……あぁ、何て眩しく、温かい輝きなんでしょう』

『とても落ち着くよぅ』

『この人の側にいたい』

沢山のキューブが引き寄せられる。キューブ同士は互いを干渉しない。同じ空間に浮遊するだけだった。それから、数ヶ月が経ち、猛海産まれる。猛海の魂の輝きは、赤ん坊であるにも関わらず強く、その強さに遠く離れていたキューブも引き寄せられた。ある日、知らない男が家を訪ねてくる。それは、あの時の総理。総理はキューブの一つに触れる。言葉を話せない彼女達は激昂した。それから、数年が経過し、猛海はすくすくと成長。魂の輝きはより強くなる。その強さに、彼女達も変化が芽生えた。干渉しなかったキューブ同士は、協力し合い猛海を見守る。そしてあの日が来た。猛海が虐められ、胸ぐらを掴まれた瞬間。ベルファストが一番に動いた。

 

(ご主人様に触れるのは許せません!)

 

沸き上がる怒りから、自ら召喚したのだ。そして、それは天城も同じだった。彼女も内なる怒りにより自ら召喚。その他のキューブもあの日を境に、猛海の側を離れなくなる。日々、成長していく猛海。彼女達は魂の輝きだけではなく、猛海の心にも恋に堕ちていく。猛海は、戦艦である自分達を、兵器ではなく女性として見ていてくれたから。まだあどけない少年が、時折見せる男の色気に彼女達は虜になった。そして今は、大人の男に成長した猛海に、沸き上がる欲情を抑えられない彼女達。

「……あぁ、猛海様」

すやすやと寝ている猛海の横顔を見つめながら、天城が声を上げる。猛海を挟んで、反対側で横になっているベルファストも同じように見つめていた。

「……猛海様」

猛海の首筋に唇を寄せ、息を吸い込む二人。

「…はぁ……キスしたい」

うっとりと見つめ、二人は言う。

「……んん」

眉間にシワを寄せながら身動ぎする猛海。咄嗟に二人は身体を退ける。一瞬、目蓋を開けた猛海だったが、再び眠りにつく。彼女は見合わせるとゆっくりと横になり、眠りについた。

 

 

 

 

キュラソーが召喚された日。実はキュラソー自身が召喚したのだ。猛海の魂の輝きは、猛海本人の意思など関係なく、彼女達の強い想いが召喚をさせていた。そして、キュラソーもベルファスト達と同じように猛海に恋をしている。他のキューブ達も。

「……猛海様は、いつも何をしているのでしょうか」

「分かりません。聞いても答えてくれませんし、絶対について来るなと言われますから」

「まだ、キューブのままの子達にも釘を刺すくらいですしね」

『指揮官には、指揮官の考えがあるのだろう』

「エンタープライズは心配じゃないのですか?」

『私は指揮官を信じるのみだ』

キューブがクルクル回る。

『……それより、最近怪しい気配がする』

『ビスマルク、本当か?』

『あぁ、何か嫌な予感がする。ベルファスト、天城、キュラソー。気を付けて』

ビスマルクの言葉に、三人は頷く。その日の夜、猛海がいつもの様に出掛けた。三人はベッドに入り悶々としている。

「…猛海様に触れたい」

キュラソーがポツリと溢す。ベルファストと天城も切な気に溜め息をつき、ゆっくりと目蓋を閉じた。

 

 

 

 

寝静まった深夜。三人が寝ている部屋の扉がゆっくりと開く。三人はまだ気付かない。人影が一人、二人、三人と入ってくる。荒い息遣いで三人に近付く人影達。そろそろと掛け布団を剥ぎ、人影から一番近い天城の胸に手を伸ばし、触れた。

「……んん」

天城は身動ぎする。身体が思うように動かない。

「…いや!」

次の瞬間、目を見開き何かを突き飛ばす。よろける人影。天城の浴衣が少しはだけている。

「…誰ですか!」

「……天城さん、どうしましたか?」

天城の大声に目を覚ますベルファスト。部屋の中にいる人影達を見た。その瞬間、ベルファスト達の身体が光り、次に光りが消える代わりにベルファスト達は武装していた。身長よりも少し大きい砲台が人影に向けられる。慌てる人影達。

「……猛海様以外に触れられました。猛海様以外には触れられたくないのに」

天城の目は据わり、ハイライトが消えている。ベルファスト達も共鳴し、同じようにハイライトが消えていた。

「……死になさい」

氷の様に冷たい天城の声。耳の鼓膜が破れる程の轟音と共に、砲台から爆炎が轟いた。一瞬にして部屋が吹き飛ぶ。崩れ落ちる天井や壁。人影達は床に倒れているが、かろうじて生きていた。それでも天城の砲台が人影達に向けられている。

「…まだ生きていましたか。ゴキブリみたいにしぶといですね、でもこれで最後ですわ」

血を吐きながら、人影達は命乞いをする。不適に笑う天城。そこに走り近づいてくる音。

「天城、やめろ!」

走り近付いていたのは猛海だった。猛海は天城の腕を取る。そして、抱き締めキスをした。長い長いキス。硬直していた天城の身体に力が抜ける。

「……落ち着いたか?」

「…猛海様、私」

「うん、分かってる。もう大丈夫だから」

天城の頭を撫で、優しく微笑む猛海。天城の手を引きながら、ベルファスト達に近付く。そして、同じように頭を撫でた。

「……水瀬、とりあえず救護は俺がしとくから、お前は彼女達の側を離れるなよ」

いつの間にか駆け付けていた小野が言う。猛海は小さく頷き、崩れ落ちた部屋を出た。そして、話の最初に戻る。

 

 

 

 

話の全体を聞いて、総理は大きく溜め息をついた。

「話は分かりました。幸い、怪我をした指揮官候補生達に命の危険はないと報告も受けています。が」

言葉を切り、ベルファスト達に視線を向けると。

「……君達には別の場所で寮生活をしてもらわないといけません」

「私達から猛海様を取るおつもりですか?」

ベルファストが素早く砲台を出現させ、総理に向ける。

「…ち、違います」

「ベルファスト!」

慌てふためく総理。猛海も声を荒げた。ベルファストが砲台を消す。総理は冷や汗を掻きながら。

「心配しないで下さい。勿論、猛海君と別の場所で、です」

「…分かりました。それなら宜しいです」

三人は頷く。猛海はから笑い。

「新しい寮は、校内の整備場の上ですが、猛海君、宜しいかな?」

「…っえ!?」

驚く猛海に、総理が手招き、耳打ちする。

「小野君から話を聞かせてもらったんでね」

小さく笑い、ウィンクする総理。猛海は降参するしかなかったのだった。

 

 

 

 

急遽、整備場の上で寮生活をする事になり、猛海は荷物を運ぶ。ベルファスト達三人も手伝ってもらいその日の内にようやく済んだ。家具はかろうじてベッドだけが残り、猛海はベルファスト達三人をそこに寝てもらう予定にしていたが。今日の三人は頑なに拒んだ。しかも、猛海と一緒にベッドで寝て欲しいと言う事を聞かない。猛海は諦め、ベッドに入る。そして、後悔した。ふわりと香る三人のフェロモン。天城が猛海の唇を指でなぞる。ベルファストが猛海の首筋に唇を寄せ、キュラソーは猛海の上に覆い被さった。ゾクゾクとした刺激が猛海の身体を駆け巡る。

「……猛海様、好きです」

「やっと触れられました」

「…キスして下さい」

三人の想いが告げられる。無意識に猛海の身体が反応した。下半身に熱が帯び、雄としての欲情が身体を支配する。猛海の上に覆い被さっていたキュラソーが一番に反応。

「…あぁ、猛海様」

頬を染め、甘い声を出す。キュラソーのフェロモンが一層強くなり、天城とベルファストが気付く。これから長い夜の始まりだった。




次回、エロ全開で突っ走る!
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