エロゲーの世界へようこそ! 作:へんたい
机→テーブルに変更
「………ハッ!?」
ガバッ!と勢いよく目覚める。どうやらさっきまで机に突っ伏して寝ていたようだ。椅子に座っていた。
ぐぐっ…と身体を伸ばすと、背骨がポキポキいっていた。ふぅ…。
(ん…?)
なんだか調子がおかしい。普段ならもっと身体がミシミシ言う。それに、周りを見渡すと違和感に気付いた。
(明るい…?それに、物も少ない…)
俺は立派なキモオタヒキニートの嗜みとして、基本カーテンは閉めっぱなしだし、プラモやフィギュア、ポスターや抱き枕といったグッズで部屋は溢れていたはずだ。
それが今や、カーテンは開けられていて部屋の我がコレクションは跡形もなくきれいさっぱり消えていた。
それだけなら親にぶちギレ案件なのだが、俺の身体もおかしい。
常日頃からいざという時のために蓄えておいた立派な脂肪たちが、すっきりなくなっているのだ。
たるみにたるんだ腹はすきっと引き締まり、あごと首の境目を消していた皮下脂肪は、もはや見る影もない。
そして極めつけは、俺が腕を組んで寝ていた下にあった、黒いノート。
「ちっぷす」とだけ表紙に書かれていたノートは、めくって見ても何も書かれていなかった。
(…どうなってる?)
そんな思いもつかの間、下の階から聞き慣れた、しかし俺にとっては初めて聞く声が響きわたった。
「おいこらー、ご飯だって言ってんだろー!」
(とりあえず、下に降りるか)
どうなってるんだ一体。
そう思いながら、俺は部屋を出た。
「いつまで寝てるのあんた。おはよう」
「おはよう…」
下にはヤンママがいた。顔のそばに浮かぶハートマークと共に。
金髪に染めてるだけで実際は礼儀には五月蝿い母親なんだが、見た目はまるっきりヤンママである。
本条美紀。二児の母親で、うちはいわゆる母子家庭だ。姉の緋奈、そして俺こと鷹の産みの親である。父親はゲームの設定上、最初からいない。
しかし一軒家である。お金に困窮した様子もない。金持ちというほどではないが、不自由なく過ごせている。まあ母の美紀がバリバリのキャリアウーマン(バリキャリ、という紹介だった)なので、その面もあるんだろう。
もう既に38歳のアラフォーだというのに、大人の女性、という感じである。背は低いが。
「ご飯はテーブルの上にあるから、あんたもさっさと学校行きなさいよ。今日始業式でしょ」
「分かってるよ」
いちいちうるさい。が、母親なんてそんなもんである。少なくとも、俺みたいなただのうんこ製造機ではなく、社会で役に立っているうんこ製造機なので、口答えはしない。や、今の俺は高校生なので、まだまだこれから変わるかもしれないか。
俺はテーブルの上にあった、ベーコンエッグにご飯という、和なんだか洋なんだかわからない朝飯をかっこみ、学校へ向かった。