「俺を呼んたか?相棒」
「帰ってきてくれたのか?」
「ああ。俺をお前が呼んでいるのが聞こえてな」
「認める気になれたか?」
「お前には俺が必要であることを。俺はお前が必要なんだ。魂だけになってしまったら逝く所か見つからなくて俺は困っていたんだぜ。俺にはお前という魂が必要だ。お前はどうなんだ?」
「俺もお前が必要なんだ。俺の…かけがえのない『もう1人の俺』だから…!!お願いだ!この人を…大事な人を護る力が欲しい!だから…戻ってきてくれ!薄紅のレム!」
「OK!これで俺達はまた一緒だな!」
薄紫色のレンブラントの前にいるのは、漆黒の4枚羽根の羽根飾りに、漆黒の戦鎧。腰にはまるで薄い絹のような漆黒の布地を巻いた薄紅色の瞳を持つ男性がいた。剣は漆黒の艷やかな細身の剣だ。
そう。かつてウィンバリアシオンの教皇が教えてくれた、あの伝説の存在がそこにいた。
本物の、真実のラーズグリーズがそこにいた。
薄紫色のレンブラントは想う。
そうだ。『薄紅のレム』は俺に宿っていたあの『戦乙女』と同一の存在『ラーズグリーズ』だったんだ。ラーズグリーズは自らの内側に眠っていたのだ。そして、この時を待っていた。俺自身が大事な人を守り抜く覚悟を決めて『ラーズグリーズ』は戻ってきてくれたんだ。もう逃げない。この現実からも、真実からも。
その時だった。
リリアとアドニスが駆けつけたのは。彼らは目の前の死界にいるカオスベヒーモスとその前でうずくまるレムと翔子の姿を見てすぐに加勢する。
だがその死界に飛び込んで彼らは驚く。レムの姿が、いつもの姿ではないことに。
そこにいたのは、まるで鴉のように真っ黒な姿をした、まるで戦乙女が男性になったような、漆黒の戦鎧が印象深い男性がいたのだ。印象的な4 枚の羽根飾りが誇り高く頭に飾られている。
「援軍か!心強い!君達も戦いに来たのだろう?共に戦おう!」
「レム様?」
「いいえ。あれは……『薄紅のレム』様です!」
「帰ってきてくれたのですか?」
「その辺はおいおい話してあげるよ!今は戦いに集中だ!」
「そうですね!リリア」
「ええ!アドニス!」
「翔子ちゃん!?ひどい傷…!」
「治療出来るなら彼女を治してあげてくれ。頼む」
「はい」
リリアは身体の傷を治療する魔法を唱えて、腹部の傷を治療する。翔子が痛そうに呻きながらも、気丈に立ち上がる。
翔子は目眩を模様しながら見たのは、全身を漆黒で統率させたまるで戦乙女みたいな男性。頭に飾られた4枚羽根の羽根飾りが誇らしく輝きを放つ。
(誰?)
彼女はそこで思い出す。
歴史が大きく変わる時、ラーズグリーズがその姿を現す。はじめには漆黒の悪魔として。悪魔は大地に死を降り注ぎやがて死ぬ。しばしの眠りの後、ラーズグリーズは英雄として姿を現す。
英雄として。
その時が来たの?
翔子は思わず質問しかける。
「あなたはラーズグリーズ?」
「その質問には、時間があったら答えさせて貰うよ。今は目の前の敵を叩く!」
だがその後、彼は優しく微笑んで顔を向けて答えてくれた。
「大丈夫!君達は勝てる!何せ、ここに本物のラーズグリーズの加護があるからね」
「さあ、行くぞ!!」
「翔子ちゃん。立てる?」
「何とか。ありがとう。リリアさん」
「残りはここだけよ!頑張ろう?」
「さっきはよくもやってくれたわね…!100億倍にして返してあげるわ!」
「わぁ……。凄い利子…。翔子さんは悪徳金融より怖いな」
「気を付けようね。アドニス?迂闊に体を求めると私の利子も高いわよ〜?」
「脅迫しないで下さい」
「不浄なる者よ!!覚悟するがいい!!」
そして、戦いが再び始まる。
だが、この戦いは既に結果は見えている。あの『ラーズグリーズ』が戦場にいるのだ。負ける訳がない戦いだ。
鴉のように禍々しくも、美しい男性の姿を借りた『ラーズグリーズ』は艷やかに輝きを放つ剣を鞘から抜き放つと、必殺技を持って撃滅させた。
「その身に刻め!!神技!ニーベルンゲンヴァレスティ!!」
手にした細身の剣で一撃…ニ撃と斬ると、目にも止まらぬ瞬速の速さで斬り刻みトドメに槍を出現させてカオスベヒーモスに撃ち込んだ!
確かな手応えがあったのだろう。彼は高らかに言った。
「必殺の一撃だ!これは慈悲と知れ!」
その瞬間。
死界は無くなり、綺麗な青空が見えた。豪雨が止んて、清々しい青空が広がっている……。
そしてその青空の下には、黒い4枚羽根の羽根飾りに漆黒の戦鎧、そして絹のような薄い黒い薄絹の布地を腰に巻いて、右手には艷やかに輝く漆黒の剣を持つ、あの『ラーズグリーズ』が微笑んで立っていた。
恐ろしく綺麗な薄紅色の瞳が彼らを見つめている。
そして限りない優しさで微笑んでくれた……。
「勝った…」
「よし…これで大丈夫だろう…」
『彼』は振り向くとこう自己紹介をしてくれた。
「君達に直接逢うのは『初めまして』かな。『薄紅のレム』だ…。薄紫色の『彼』の『もう1人の俺』だ。宜しく。これからも」