世界を支える大樹ユグドラシルを登り出すパーティ。翔子は単純に木登りと聞くと木を登ることだと思っていたが、ユグドラシルを登ることは、普通の非常に景色の良い山登りすることだった。しかし、行く手には様々なからくりが遮るが。
すべての生命の母とも言われる世界樹。世界の中心に位置して、世界創世から存在する大きな樹。この世界を支える大樹を登る道すがら、翔子はここでレムに人類創世の話を聞いて見ることした。
「ねえ?レム」
「なんだい?」
「この世界での人類創世の歴史をあなたは知っているの?」
「まあな。一応、常識として知る範疇は覚えているが?」
「折角だから、ここで教えてくれない?人類創世の話を」
「折角だし、話してあげるか」
この世界では、人類が誕生した歴史はそれでも3000年前までさかのぼる。神話でははじまりの男女がいたという。はじまりの男がアダム。はじまりの女がイブ。だが、このイブという女には別の呼び名がある。それはリリスという最初の悪魔だ。それが真実かどうかはわからない。今更、それを追求しようとも思わないけどね。
そして、アダムとイブが住んでいた所が今の俺達の住む世界と聞く。
そして、イブが蛇にそそのかされて『知恵の木の実』を食したことで、彼らは善悪を知る存在となった。そして、増え始めた人間に『悪』の心が蔓延し始めると、神は彼らを楽園から追い出し、そして人間同士での戦争が始まる。
そして、神の世界では、来たるべき
それが神界アスガルドの主神オーディンだ。だが、オーディンは最初から力を持つ神では無かった。
「オーディンは最初から力を持つ神では無かったんですか?」
「ああ。彼はそれこそ下級神に値する神だ。だが……彼にはある『力』があった」
「それは?」
「成長する力だ」
「え?たったそれだけですか?」
「元来、『神』とはその存在自体が完璧。成長するという概念は無いんだよ」
「なら、どうやって、オーディンは様々なルーンや失伝魔法を扱えるようになったのですか?」
「オーディンはエルフと人間のハーフ。人間の血を半分引いている」
「バカな……!エルフと人間は普通なら触れ合う筈の無い一族ですよ」
「そうだが、実際、報告事例は少ないがエルフとの間に子供が出来ることは歴史で証明されている」
「オーディンはその最もたる『良い例』だよ」
オーディンは人間との混血故に人間が持つ『成長する』という概念を持つ神。だから、彼は神の王になれた。そしてオーディンは
オーディンはこのユグドラシルで様々な知識を集めた。様々な苦行の末にルーン文字を体得したり、実に様々な知識を得たというくだりがある。そこはいつしか『知識の泉』という名前が付いた。
「だいぶ上まで来たような気かしますけど。まだまだですね」
「今日の所はここまでにしてキャンプを張るか。丁度いい泉も湧いているし」
「家事当番は私に任せて下さい」
「リリアさん。手伝おうか?」
「ありがとう!そうしてくれると助かるわ。既に野菜は切ってあるんだけど。解凍するのがキツイのよね」
「任せて。炎の威力を低くすれば魔法でも解凍出来るよ」
女性陣は仲良く炊事を始める頃、アドニスは周辺の偵察をしに向かった。レムは一息付く為に、ここでとある本を取り出して、ペンを片手に読み始める。
赤い表紙の本。随分と読み込んでいるのか少し傷んている。彼はとあるページに行くと何かを考えるように、いや…何かを思い出そうとしているかのような表情を浮かべている。一体……何を思い出そうとしているのか。ペンを片手に少し悩む彼に声をかける翔子。
「どうしたの?」
「どうも、思い出すことが出来なくてね……。あの頃から本当に随分と遠くに来てしまった気かする……。あんなに大好きな本だったのにな」
そこには「破かれたページ」の前に悩むレムの姿がある。
赤い表紙の本に書かれた題名はこう書かれている。
『姫君の青い鳥』と。
それは昔から伝わるある御伽話の本だった。