※この作品はR-18です。

淫欲は今宵も盟主に抱かれる   作:翔田美琴

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7-3 姫君の青い鳥

「あの頃から随分と遠くに来てしまった気がする……。あんなに大好きな本だったのに思い出せない事が沢山ある」

「古い本だね」 

「何せ俺が子供の時から読んでいる絵本だからね……。でも、絵本だけどこの年齢でも楽しめるとても良い本なんだ」

「読んでいい……?」

「読めるかな?君に」 

「多分、読めると思う」

 

 翔子はレムから『姫君の青い鳥』を借りて読んでみた。 

 それはこういう物語……。 

 

 

『姫君の青い鳥』

昔、あるところに美しい姫君がいました。姫君は病気がちでベッドに横になっている時間がほとんどでした。しかし、お城の人達はそんな姫君を責めることはせず、姫君の面倒を心よく診てくれました。

ある日のこと。 

とある春先の晴れた日のこと。  

その日も体調がよくなく、彼女はベッドで春先の風に吹かれて、外の景色を羨ましそうに見つめていました。 

「私も外で思い切り遊んでみたい」

でも、体は重く自由に動かす事ができません。すると白い窓際にある客が来ました。翼を傷めた青い鳥です。青い鳥は翼を痛めて白い窓際に、姫君の近くに止まったのです。

「可哀想。あなたも自由に飛べないの?」

姫君は重い体を起こしてその青い鳥を怖がらせないようにそっと手のひらに載せて、しばらくの間、面倒を診てあげることにしました。翼を傷めた青い鳥はそっと目を閉じて姫君の手のひらで休んだと聞きます。

時が経ち姫君と青い鳥はいつしか親友のように過ごしていました。姫君が12歳を迎える頃には、青い鳥も大人の鳥になり、翼の傷もすっかり良くなったのです。でも、青い鳥は姫君からけして離れようとは思いませんでした。いつしか、姫君はこの青い鳥を生涯の友のように触れ合い、そして元気をもらってたくましく成長しました。

ある日のことでした。

姫君はすっかり忘れていた病に倒れてしまいました。その日は姫君の青い鳥はエサを与えて貰わなくて困っていました。姫君が病気で倒れてしまったのはラーズグリーズの悪魔の仕業でした。姫君の病気はひどく重症で何日も何日もベッドに横になる日が続いてしまいました。青い鳥は衰弱していくばかりです。エサを与えて元気を取り戻して貰おうと他の人間達は姫君の青い鳥にエサを与えようとしました。しかし、青い鳥はけして食べようとはしなかったそうです。そうした日々が続き、そしてとうとう、姫君の青い鳥はその生命を落としてしまいました。ラーズグリーズの悪魔は、そこで姫君の病を治してあげました。姫君は鳥かごで命を落としてしまった青い鳥を見てひどく悲しみました。その悲しみは城の人達を心配させてしまうものでした。

ラーズグリーズの悪魔はその光景を黙って見つめて、青い鳥の魂を神の世界へと連れて行ったと聞きます。

「何でラーズグリーズがいるの?悪魔なんて居なくなればいいのに」

「それでは姫様が永久に成長することができないからです。姫様はこれからの世界を支えていかなければならない混沌の女神です。ラーズグリーズはそのためにあなたに試練を与えたのです」

「この試練に打ち勝つか、負けてしまうかはあなた次第です。どうか、青い鳥を助けたように、この世界の民を助け導いて下さい」

姫君の深い悲しみは長く、涙を流した日は何日も何十日にも及びました。しかし、ある日のこと。

姫君はしっかりとした口調で、こう城の人間に答えたようです。

「私はあの青い鳥が来てくれなかったらこうしていることもできなかった。だから、あの青い鳥のために私はこれからの世界を生きていく。それが、青い鳥の願いだったから」

姫君は18歳になると、この世界の為に混沌の女神となり、世界の調和のために身を捧げたといいます。

 

「これが『姫君の青い鳥』なんですね」

「ただの絵本じゃあないだろう」

「何か考えさせられる本だね。でもどの部分を破いてしまったの?」

「……それが思い出せない。そう……。抜け落ちているんだ。あんなに大好きな本だったのにな」

 

レムは遠い目をして、ペンを片手に『何か』を思い出そうとしていた。それを一言一句、その本に書き出そうとしている。

その内、美味な香りがしてくる。これは今日は出先では食べるのが難しいハンバーグだ。彼らが見つめる先では、リリアが楽しんで調理をしている。笑顔で楽しんでいた。しばらくするとアドニスも戻ってくる。

 

「この近くには今の所は怪しい敵はいませんでしたよ。食事するなら今の内かもです」

「とりあえず、食事でもしよう。今は一刻も早く神界アスガルドを目指すのが先決だ」

「思い出せるといいね。あなたの大事な『想い出』を……」

「……ありがとう。そう言ってくれるのは君だけだ」

 

 世界樹ではいつどこで襲われてもおかしくない。彼らが食事を済ませ、テントを張り、体を休めようとした矢先、彼らはアスガルドの兵士達に見つかってしまうのある。

 

「見かけない奴等がいるぞ」

「奴らはシャルロット様が注意を促していた四宝を持つ敵だ」 

「この場で殺すか?」

「そうしよう。奴らをここで処刑する」

 

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