レインベースの惨劇を目にした彼らは、まだ生まれたばかりの世界樹へと向かった。
そこは枯れた樹が立つ生まれたばかりの世界があった。まだそこには何も無い。いや、もしかしたら、シャルロットは何も望んでなんかいないのかも知れない。彼女の望んでいた世界は創られた。予定通りに。その、彼女が後でやるべきことは、この新たな世界に意を唱える邪魔者である彼らの抹殺だろう。そして、彼らが握る四宝を後はゆっくりと奪えば良い。
だが、ラーズグリーズのパーティはもはや時間の猶予が無い。このまま新たな世界が形創られれば、この世界は略奪と暴力と殺戮の世界になる。それでは、新たな世界も地獄以下の世界だろう。それを防ぐ為にも、彼らラーズグリーズのパーティは新しい世界樹へと足を踏み入れる。
「ここが新たな世界の中心部なのね」
「まだ何も無いわ。生まれたばかりの世界なのね」
「だからこそ、まだ間に合う。そう言える筈だ」
パーティを先導するラーズグリーズはここである力を感じた。自分と同じ力を持つ者。力の波動を感じるラーズグリーズは、オーディンから独立したある存在を思い出す。
あのプラチナ色の髪の毛を持つ女神、
今の世界にはその混沌は静かに見守っている。或いは混沌は見定めようとしているのかも知れない。この新たな世界を創る存在はシャルロットだけではない。このパーティも新たな世界を創る存在だ。全てを創り直すことは出来ない。だが少なくとも、破壊や殺戮が横行する世界にはしない。
人間が人間らしく生活することが出来る世界を創る。そして出来れば争いの無い世界にしたいものだ。彼らは一丸となって想う事は1つだった。
その為にはまずは最後の四宝である神の槍グングニルを取り戻す。あのシャルロットを倒す。そして、神の槍グングニルを取り戻して、四宝の力で世界を創る。彼らに残された手はこれしか無い。
生まれたばかりの閑散とした世界を歩く彼ら。その前にある存在が彼らの目の前に現れた。美しいプラチナ色の髪の毛の女神。紺碧の鎧。白鳥の羽根飾り。慈悲深い碧色の瞳を持つ女神がそこにいた。
「誰かの力を感じるとは思っていたが、やはりお前だったか。
「やはり貴方も向かっていたのですね。ラーズグリーズ」
「ああ。このままでは本当に取り返しが付かない事になるからな。ここはラーズグリーズとして新たな世界の女神に挨拶に行くべきかと思ってな」
「シャルロットを止めに行くのですね。貴方と共に行動している人間達は貴方に従属しているのですか?」
「違うよ。ヴァルキリー。彼らは俺に『協力』しているんだ。自分達から俺に協力を申し出て来てくれた。それに俺も誰かを『従属』させる気は無いよ」
「協力ね。なら、私も仲間になれそうね。共に行動して良いかしら?あなた達と共に」
「ああ。歓迎するよ。ヴァルキリー。皆も良いだろう?」
「これ程、強力な援軍はありませんね」
「短い間かも知れませんが宜しくお願いします。ヴァルキリー様」
「様付けはいいわ。ヴァルキリーと呼んで頂ければ」
生まれたばかりの世界に、ここで
だが、一体、何を……?
彼らは疑問を胸に新たな世界を進む。欲深い彼女が次に欲するのは一体何か?この世の覇権も新たな世界も手に入れてなお、欲しいものがあるとすればそれは何か?
そうして彼らは新たなる女神の玉座へと辿り着く。そこには傲慢不遜に佇む新たなる女神シャルロットが、神の槍グングニルを手に、待ち構えていた。
明日という言葉を知らない世界にもう一度、明日という言葉の意味を持たせる世界を取り戻す為に彼らは新たなる女神に戦いを挑んだ。