SAO題材にするとどうしても真面目に書きたくなってしまう。
シグルドは家に帰り、翌日もいつもと変わらずALOにログインをした。
ログイン履歴を見ると、まだリーファは昨日からログインしていないようだった。
(そういえば連絡先教えてねぇし、面倒だからもうリーファとフレンド切っておくか)
そうフレンドリストから削除しようと思ったが、直前でシグルドはある考えが思いつき、フレンドリストを閉じた。
(いや、やっぱ3Pしてぇな。美少女JK二人のケツを並べて連続種付け。全男の夢だからな。フハハ!)
それからシグルドは昨日のセックスのことを思い出しては、その余韻に浸っていた。
男の使命である己の遺伝子を植えつけたのだ。
それも直葉という間違いなくA級美少女に、懇願されてだ。
その快楽を知ってしまうとVRのセックスでは全然物足りなくなってくる。
そういえば、とシグルドは昨日のタクシーの運転手からもらった一枚のメモ書きを思い出した。
「ネット探偵か……」
どう考えても胡散臭い話だったが、タクシーの運転手が語った一言で、シグルドは一気にこの件について興味が出てきたのだった。
『It's show time』
その言葉はかつてシグルドにALOに種族間転生システムが実装されることを教え、そしてマンドラゴラの種を譲ってくれた黒フードの男が呟いていた言葉だった。
つまりかなりの信頼のできる情報の筋であることは間違いがない。
そう思いシグルドは、メモに書いてあったアカウント名にメッセージを送った。
『求:人探し依頼。報酬は要相談で』
そう送信すると、シグルドは後ろ肩を何者かに叩かれた。
振り返るとそこには黒フードの男がいた。
その男のアカウント名は『PoH』。
「お前が欲しいのはAsunaの情報だろう?」
「っ!? 何故それを……」
「ククク……詮索はなしだ。Asuna、本名、結城明日奈。大手電子機器メーカー、レクトの元社長の令嬢。東京都世田谷区宮坂在住。写真は本名で調べれば幾つでも出る」
そうPoHという男は言葉を並べるようにして口を動かす。
「ま、待った! 報酬についてまだ何も相談してないだろう!」
「ククク……報酬は不要だ」
「なんだと」
「強いて言うならばだな、お前の目的がオレの目的の手段になるってことだ」
「何が言いたい?」
「お喋りはここまでだ。せいぜいお前はお前で楽しむがいい。イッツ・ショー・タイム」
「おい待て!」
シグルドの問いに答える前に、PoHと名乗る男はログアウトしていった。
それからシグルドはともかくアスナの情報を忘れまいと、すぐにログアウトして自室のパソコンへと向かった。
「ユウキアスナ、ユウキアスナ、ユウキアスナ」
レクトのホームページにアクセスし、社長の苗字を確認する。
代表挨拶。
そこには八代和毅という名前が記載されている。違う。
次に沿革を確認する。
するとつい最近の出来事で、レクトグループの子会社、レクト・プログレスによる不祥事の為、レクトグループの社長が引責辞任をしたというニュースを見つけた。
「結城彰三……これだ! 結城……あとは下の名前は明日菜か明日奈、どっちだ!?」
そして調べていくと、エテルナ女学院のスピーチコンテスト入賞者に『結城明日奈』がヒットした。そこには賞を持った笑顔の栗色の髪をした美少女が映っている。
「コイツは……とんだ上物だぜ。下手すると芸能人すら霞むような美少女じゃねぇか。それに名門エテルナ女学院の女子生徒ときた。こんな美少女がいつもネットでは俺のチンポでヒイヒイでは言ってたのか……やべぇ、興奮してきた。ゼッテー犯して、そのかわいい顔を俺様用のチンポ掃除機便器にしてやっからな、待ってろよへへへ」
早速、シグルドは仕事柄よく利用する探偵事務所へと電話をかけた。
全てはアスナを落とすためのピースを揃えるためである。
一週間後。
いよいよシグルドは全ての材料を手に入れて、アスナと交尾をすべく、宮坂へと愛車の黒のベンツへ乗り込み向かった。
明日奈の行動パターンは全て把握済みである。
狙い目は毎週日曜にはダイシー・カフェというところに通っており、その帰り道だということだ。
筋書きはこうだ。
雇った探偵がアスナを襲おうとする→シグルド参上→二人でどこかに出かける→セックス。
要は肝心なのは、自然を装って仲良くなってたまたま出会って、たまたまセックスする寸法である。
彼氏持ちの女は、建前としてはガードは固い。
だが実は逆に一夜きりの関係であれば意外とヤレるのだった。
女とて所詮は動物。基本は優秀な雄の遺伝子を求め、交尾をするものである。
ただそれはリスクとの折り合いが加味される。
つまり優秀な遺伝子を求めつつも、現時点での自分の価値を下げたくないのだ。
その為、身近の人間には身体を許しはしないが、一夜限りであればその人間とは関わりがなくなる。なので見知らぬ魅力的な雄との交尾は性欲の解消には最適なのだ。
そのことを数多くの女を喰ってきたシグルドはよく知っていた。
それからアスナに精子を注ぎ込む想像をする度にシグルドは自慰をしたくなったが、性欲を抑えつけて、アスナが予定の場所にやってくるのを待ち続けた。
全ては一週間溜め込んだ精子を全部アスナの膣内にぶちまけるためである。
そして時は来た。
長くてサラサラとした女神のような栗色の髪。
白く汚れひとつない瑞瑞しい肌。
閃光のように凛とした目つき。
だがそれを和らげ可愛げな印象を受ける顔立ち。
アスナがやってきた。
が、予定外の存在がそこにはいた。
(アイツは……間違いない……あの黒髪、忘れもしない。黒のスプリガン、キリトだ)
キリトに対する憎悪が浮かび上がってくる。
一度とはならず、またしてもキリトに己の野望を妨害されたのだ。
しかしこのままでは分が悪い。
そう考えたシグルドは探偵に今回は中止するように伝えようとしたが、その探偵はアスナとキリトの前へと出ていった。
(お、おい!)
「あのぉ〜、駅はどっちの方ですか?」
「えーっと……」
探偵がそう二人に尋ねると、アスナは親切にも応えようとした。
だが途中でキリトに遮られた。
「キリトくん……?」
「お前、ダイシー・カフェの傍にいたな」
(やべぇ、バレてんじゃねぇか!)
「ハァー……やっぱ不意打ちは無理か……」
呆れたように探偵はそういう。
「誰だ」
「ヘイヘーイ、そりゃないよ、キリトさーん……って、あっちじゃいつもマスク被ってたっけなぁ?」
探偵は声色を変えて不気味にほくそ笑んだ。
(な、なんの話をしているんだ?)
「ザザの奴が捕まっちまっタカラァ、オレが根性見せないとジャァン? ラフコフ最後の一人としてサァ!?」
「ジョニーブラック!?」
その瞬間、キリトの目の色が変わり、キリトは背中に手を伸ばした。
シグルドの目に映るその少年の仕草は間違いなく、あのサラマンダー族のユージーンと決闘を繰り広げ、勝利したという黒のスプリガン、キリトそのものだった。
しかしキリトの手には剣はなかった。
「ムッフフッ!フハハ!ハハハハハ!」
ジョニーブラックと呼ばれた探偵は高笑いをあげる。
「なーいよっ!! 剣なぁいよ! フハハ!!」
「お前……まだ逃げていたのか……」
「オフコース♪ しっかしキリトさんよぉー。剣がないと単なるひ弱なガキですナァ! 俺を散々ぶちのめした剣士様と同一人物とは思えねぇナァ?」
「お前だって……得意な毒武器はないんだろ?」
「アルョ?」
ジョニーブラックはポケットから注射器を取り出した。
「毒武器アルョォォォ!! ファハハハハハ!!」
そういってキリトの方へと駆け寄る。
「アスナ! 逃げろ!」
(お、おいおいおい! これはやべぇ、ここまでやれとは言ってないはずだ! くそったれが!)
シグルドはその場に駆け出して、ジョニーブラックの注射器を蹴飛ばした。
「ナ、なんだぁい! キミは! ジャマだよ!」
「うるせぇ!」
それから顔面に一発拳を打ち込むと、ジョニーブラックは気絶するように倒れた。
「ふぅ……」
「あ……あ、の! 助かりました。ありがとうございます」
そう言ってキリトとアスナが駆け寄ってきた。
「チッ……怪我はないか?」
「ええ、本当にありがとうございます。申し遅れました。俺の名前は桐ヶ谷和人、で」
「結城明日奈です」
(桐ヶ谷……? 珍しい苗字だな……ってキリト、こいつ直葉のリア友とかじゃなくてそもそもアニキってことなのか)
「あ、あの、今度お礼にお伺いさせていただきたいのですが、よろしければご連絡先を頂けないでしょうか」
(いやー。キリト、お前の連絡先よりアスナの連絡先が欲しいんだが……まぁいい。取り敢えずキリト経由でアスナに近づく方針でいくか)
シグルドは名刺を取り出してキリトに手渡そうとした。
するとグザっと何かが刺さる音がした。
「ヒヒヒっ! ヒヒヒ!!」
キリトの脇腹から鮮血が滴る。
ジョニーブラックがキリトの脇腹をナイフで貫いていた。
「キリトくんっ!!」
「テメェ!!」
シグルドは再度顔面に殴りを入れ、首を締めて完全に落とした。
キリトは血を流しながらその場で倒れていた。
「キリトくんっ! キリトくんっ!」
「ア……スナ……」
「おい! アスナ! 何やってんだ! 早く警察呼べ! あと救急車もだ!」
シグルドは動揺するアスナに的確な指示を出し、自身は着ていた衣服を脱ぎ、その服でキリトの脇腹に止血処置を施していた。