「……本当に方位マッフ使えるな……」
ケイゴは方位マッフを見ながら言う。
「……これもらってなかったら俺……帰ってこれねーぞ、ライトセルに……」
ケイゴはパンパンに膨らんだ袋を右肩から左肩に移し言う。
「…………門番ちゃん……俺の職業知ってるよなぁ……だからあんな事言ってきたと思うんだけど……あそこまでしてくれるのって……俺のこと好きだったりするのかな……
彼氏いるのに……そんな事無いとは分かっているんだけどさ……そう思うよ? これもらったし」
ケイゴはローブと方位マッフに意識を向ける。
「……でも……惚れられる要素なくね? ダメ人間が良いとか? なんだろう母性本能? そう言う人いるって聞くし……」
曖昧な知識で都合の良い解釈をする、ケイゴ。
「…………一途だろうし……レンさんに……門番ちゃんは……」
えへへ♪ すまねーお前はオレのもんだから
……うん♪ 貴方にしか心の門は開かないわ……
「……門番さん……いや……レンさんは……こんなやつじゃ無いと思うよ? でも……はぁ〜……
実際、そんな感じだしな……仲良いし……」
ケイゴは、前に見た二人の会話の風景を曖昧に思い出す。
「…………」
方位マッフを見る……誰にでも優しそうだよな……門番ちゃんは……身内とか特に……
「…………」
……別のこと考えよう! そうしよう! うーんとねー……
「……泥人形はアッパーする頻度高い感じ……てか攻撃に二、三発くらってやられちゃうからわかんないけど……一発じゃねーし! 今日は俺、結構いけたし! あと少しだったんだって……」
一人でもう一人居るように話す……独り言が多い……
「……俺ならいけたって? 無理だね! あのロッパーは避けられる気がしねーよ? マジで……だって変な歩法で近づいてきたし……片足上げたままこっちきたんだぞ?! なにあれ!! 怖すぎだし!」
「……それに! あのボディーブロー? みぞ殴られて顔を下に向けちゃったんだよ……そしたらもう脚が見えたんだぜ? そして、蹴り上げた脚を綺麗に伸ばしてた……綺麗な脚してたよ……くそ! モンスターのくせに……あの蹴りなんかのゲームでも見たような気がしたけど……よく待ってる人が使う気がした……」
ケイゴは周りに人がいないのをいいことに独り言を言う。
「……ああいうの、コンボが決まったって言うんだろうな……ロッパーでいいや泥人形は言い辛いし……
ロッパーって、倒したやつに水をかけるもんなの? あの瓶って回復薬の瓶だよな……」
「……俺が瓶を弾き飛ばした時……凄く慌ててたように見えた……そんなに大切なもんかねー……
瓶に傷入ってたし剣先の跡……一太刀は浴びせられたのか?……瓶だけど」
「……おっ! ライトセルが見えてきた……門前に二人がいる……
……生きて帰ってこれた……」
ケイゴはそう呟き、早歩きで会いたい人の元に向かう。
ケイゴが近づいていくとこちらに気づいたようだ。
「……お疲れ様です」
「お疲れ様。……その袋……パンパンね……」
門番ちゃんは、ケイゴの持つ、草でパンパンになった袋を見ていう。
「……薬草があれば、タプになるかなぁと思って……」
「そうなの……薬草をそんなに見つけられるなんて……凄いわね」
門番ちゃんは、凄く驚いた顔で言う。
「……あ、いや……薬草の見た目わからないから適当に取ってきました……」
「……そ、そう……ギルドの人なら見分けられると思うから、きっと大丈夫よ」
「……ですよね」
まぁ、それがわかった上でこうしてるんだけど……俺が見分けられるわけないじゃん……
…….だって俺だぜ?
ケイゴと門番ちゃんが話していると……
「……おつかれ〜……最強さん♪」
来たよ……門番さん……そう、レンさんが……
「……お疲れ様です」
ケイゴはさっきよりテンション低めのお疲れ様を言う。
「ぷっ……オメーの顔おもしれー……あはは」
はぁ? いきなり顔おもしれーって……馬鹿にしすぎだろ! お、オメーだってな!
……モテそうな顔しやがって! 馬鹿にさせろし!
「……レン君……酷いこと言わないの……」
門番ちゃんがレンやろーに優しく言う。
「わかった、わかったって……ごめんな♪」
レンヤローはテヘペロして言う。
「……いいですよ? 全然……」
「ごめんなさいね? レン君には後で厳しく言っとくから……」
「……ありがとうございます」
ふっ! ふはははは♪ 後で厳しくされとくがいい! 馬鹿め!
……でも、門番ちゃんに構ってもらえるのは……いいなぁ……その後……なんやかんやいいながら……仲良く笑いあったりするんだろ?
「…………」
「……ケイゴ? 大丈夫? 下向いて……何か落としたの?」
「……いえ……なんでもありません」
ケイゴは作り笑いを浮かべ、顔を上げる。
「……あっ!」
門番ちゃんは、いきなり何かに気づいた風に言うと……モジモジし始める
「お、おいどうしたんだよ……急に、びっくりした〜」
レンやろーは、ビクッとした後そう言う。
「……っ!……どうかしたんですか?」
ケイゴも、ビクッとした後にそう言った。
「……い、いいえ? 何でもないわよ? 」
門番ちゃんは、少し声が高くなって言う。
「……そ、そうか……ならいいんだけど……」
明らかにモジモジしている門番ちゃんを、怪訝に見ながら言う、レンやろー。
「…………」
な、なんだろう……門番ちゃんが俺をチラチラ見てくる……どうしたんだ?
……マジモジモジなんだけど……
「それでよ〜お前さ? 泥人形倒せたんだろ? 昨日言ってたよな?♪」
「…………」
うっ……聞かれたくないことを……バレたくないなぁ……こいつには絶対に!
「……み、見つからなかった……」
レンヤローはこっちを見て……ピクピクと肩が揺れ始め……口角が上がる。
「あははは♪ マジかよ! ぷっ! あははは♪ アハハハ♪」
「…………」
……チクショ〜! 笑うんじゃねーよ! しょうがねーじゃん……ロッパーは誰でも倒せるモンスターなんだぞ……恥ずかしくて言えねーよ!
「……ふふっ♪ あっ……ご、ごめんなさい……ケイゴ……レン君につられちゃって……」
「……い、いいですよ別に……気にしてませんし……」
……門番ちゃんにも笑われちゃったじゃん! このヤロー! つられて笑っちゃう時とかあるから門番ちゃんは許すけど……お前はユルサン!
「あははは♪ 息が……苦しい♪ ふーふー……ぷふっ♪ こ、こっち見んな♪ ……こっちを見んなし♪」
ケイゴはじっとレンを見る。
レンヤローは更に笑う……笑い苦しめ!
「……ふふっ♪ 仲良いわね? 二人共……羨ましいわ♪ 」
門番ちゃんが、優しく笑う……仲良くないし……
でも……その笑顔が見れて嬉しい……
「……いや? 仲良くねーよ?」
レンやろーは今まで何もなかったかのように無表情でそう言った……少し頬がピクピクしてる……
「そうは見えなかったわよ?♪」
「こいつと仲良いわけねーじゃん! こんな……ぷふっ♪ 見んじゃねーて言っただろーが♪」
ケイゴはレンヤローを無表情で見ていた。
……ふっ! 雑魚め……
ちょっと待って? 俺の顔ってそんな……オモロイン?
「……ケイゴ? 今日も見つからなかったのね? 泥人形」
「……そうです……狩場変えたんですけどね……先に人が来ていて……」
パラ魔ちゃん来てたし……やべ! あの時思い出してめっちゃ耳暑いんだけど……恥ず!
「……そう……明日も頑張ってね?」
門番ちゃんは優しくそう言う。
「はい」
門番ちゃんはレンヤローに向き……
「レン君……持ち場に戻ってて? 後は私がしとくから」
「……わかった……じゃあ任せた……
最強さん? 明日こそ頑張れよ? 泥人形は余裕だからさ? 俺、ちょちょっとやれば倒せるし♪ じゃあな!」
そう言うとレンヤローは持ち場に戻っていった。
「…………」
「…………」
門番ちゃんは、レンが持ち場に戻ったのを見てからこちらを向き話し出す。
「……これで、大丈夫よ……か、カードを見るから出してちょうだい」
門番ちゃんはモジモジしながら手をこちらに出す……なんだろうか、この気持ち……
「……はい……お、お願いします!
……スタスオン」
なんか今から……門番ちゃんにいけないことをしてしまうような……この気持ち……
……ドキュドキュする♪
ケイゴは、なんとも言えない気持ちを押さえ込みながらもカードを門番ちゃんに渡す。
「……見させてもらうわね?……」
門番ちゃんは、顔を少し赤らめながら……モジモジする
「……どうぞ」
……めっちゃ門番ちゃんがかわええんだけど! 鎧着てるからモジモジする時、カチャカチャ音する
名前 ケイゴ
職業 脚フェチ ( < 魔導士 > )
レベル 7 ( 99 )
ステータス
体力 3502 ( 999 )
魔力 2637 ( 999 )
攻撃力 3654 ( 999 )
魔攻撃力 2023 ( 999 )
物理防御 4370 ( 999 )
魔力防御 2239 ( 999 )
速さ 1309 ( 999 )
運 1060 ( 999 )
「……レベル上がってるわね……確か…6じゃなかったかしら?」
「……え? 6ですか?」
「……私よりあなたの方がわかるでしょ?」
門番ちゃんは、モジモジしながら呆れてる。
「…………もしかして……前見た、カッコって見えないのか?」
「………え? カッコって何かしら?」
「あっ、いえ……なんでもないです……」
「……そ、そうなの……」
……門番ちゃんには……俺がレベル7って言っていた……カッコの前に、7と書いてあるってことは……
……カッコの中は見えないようになってるってことだ……
「……やっぱり……速さと運が…….低すぎるわ……」
「そうですかね……」
「……レベル上がって行けば大丈夫よ……きっと……
……ねぇ? ケイゴ……」
「……はい?」
門番ちゃんは、真剣な顔をして話し始める……
「……無理はしないでね? その……私、最初は戦闘をする時、怖かったわ……ケイゴは……まだしてないのだろうけど……
……門番をしてるとね?……色々な冒険者と顔見知りになれるの、私はそれが嬉しいのよ……」
門番ちゃんは、嬉しそうに微笑み言う……
「…………」
門番ちゃん……
「……でも……ね?……それが辛くもあるの……顔見知りになればなるほどに……ケイゴ……だから……無理はしないで? ね? 」
門番ちゃんは、辛そうに言う。
「………………はい! 毛が抜ける思いで頑張りますから!!」
ケイゴは、出来る限りの笑顔で答える。
「ふふっ♪ 毛が抜ける思いって、よくわからないわよ♪」
門番ちゃんは、辛そうな顔から笑顔になる……
……やっぱり笑顔が一番いいな♪ 女性ってさ!
「……ライトセルに必ず戻ってきますよ……だって……俺は……
……恩を返したい人がいるんですから♪」
「……恩を返したい人?」
「はい! とても優しい人なんです!」
「そ、そうなの……恩を返せたらいいわね? その人に」
「……はい……だから……大丈夫です」
「……ごめんなさいね……引き止めちゃって……もう帰りたいでしょ? はい……これ……」
「……ありがとうございます」
門番ちゃんは、カードを俺に渡す。
「……じゃあまたね?」
「……はい、ではさようなら」
ケイゴは、そう言うと門の中に入って行った。
「…………」
門番ちゃんはケイゴの後ろ姿を目で追う。
「……どうしたんだよ」
レンが、門番ちゃんに近づき聞いた。
「……ケイゴ……大丈夫かしら……」
「……アイツに、気をかけすぎじゃないか? まぁ……気持ちはわかるけど……だって……
バカだもんな……あれで隠せたつもりかよ♪ 顎に泥付いてたもん……嘘ついてんのバレバレだし♪」
レンは頭で手を組み、笑う
「…………」
門番ちゃんは、ケイゴが去って行った方を見る。
「…………優しすぎなんだよ……そのせいで……分からないかもしれないけど……太ったああ言う奴は、みんな危険なんだよ……あの時分かっただろ?」
「…………でも……」
「……なぜ門番をするようになったのか……忘れたのかよ……もう……辛い思いをして欲しくないんだ……」
レンは辛そうに門番ちゃんに訴えるように言う。
「……ごめんなさい……気をつけるわ」
「……もし何かあったら……俺が守るよ」
「……あの時も……助けてくれたわ……」
門番ちゃんは、レンの手を取り握る……優しく。
レンもその手を握り返す。
夕日が二人の影を作る……影が重なる
「…………お幸せに……」
町の中から、草でパンパンになった袋を左肩に持つローブのデブがその瞬間を見ていた。