エロは2話から。
重さのない水の中に飛び込んだみたいだった。
体にまとわりつかない水の中で、驚くように手足を動かして……真っ暗悩みの中から眩しいところへと移った。
「おお、勇者様方! どうかこの世界をお救いください!」
「「「「「はい?」」」」」
突然の返事は俺の他にも4つほど重なっていた。
──まさか。
周りを見渡せば石造りの壁。床を見れば淡く光る幾何学模様。
いかにもなファンタジーに出てくる魔法陣と儀式を行うための祭壇。
まただ。また、俺はこの状況にいる。
──そう、また。
学生服の右手にはかばんじゃなくて、鞘に入った刃物を握っている。
しっかりと巻かれた柄がサラリと肌を撫でる。
「それはどういう意味ですか?」
「簡単にお伝えしますと、勇者様達を儀式で召喚させていただきました」
「この世界はいま、滅亡の危機に立たされているのです。勇者様方、どうかお力をお貸しください」
ローブを着た男たちが次々に告げる言葉に、俺はニンマリと嬉しくなった。
なにせ、俺は召喚されなければ近い将来破滅していたからだ。
待っていましたと言いたいくらいだった。
あの日の続きをこの世界で行おう。
「ぜひとも」
「まあ……話だけなら──」
「嫌だな」
「そうですね」
「元の世界に帰れるんだよな? 話はそれからだ」
どうやら喚ばれた勇者は俺だけではなく、他にも4人いるらしい。
一人あたりの価値が下がるから好ましくないが、どうやら3人はなかなか反発心が強そうだ。
肝っ玉もそうらしく、一番年上そうな男以外は涼しい顔をしている。
もしかしたら彼らも経験者なのだろうか?
だとしたら、少しは慎重になるべきだろうか。
けれど、ワクワクする心は止まらなかった。
ここにはどんな奴らがいるだろうかと。
「人の同意なしでいきなり呼んだ事に対する罪悪感をお前らは持ってんのか?」
剣を持った兄さん。パッと見だと高校生くらいのむっつりしてそうな男が言う。
「仮に、世界が平和になったらっポイっと元の世界に戻されてはタダ働きですしね」
それは同意したい。弓を持った美少年が同意してローブの男達を睨みつける。
「こっちの意思をどれだけ汲み取ってくれるんだ? 話に寄っちゃ俺達が世界の敵に回るかもしれないから覚悟して置けよ」
ナンパそうな男がそういった。
「それで、話のできる責任者はどこかな」
負けじと告げると、地味な大学生くらいの男がため息をついた。
**
「ほう、こやつ等が古の勇者達か」
謁見の間の玉座に腰掛ける王様は俺達を値踏みして呟いた。
ああ、良くないほうか。
彼からはそこまでの切羽詰まった感じを受けない。
選り好みができる余裕を感じた。
大きくはたかれないか。
まあ、どうやら仲間たちは神経が図太そうなので、彼らに任せよう。
「ワシがこの国の王、オルトクレイ=メルロマルク32世だ。勇者共よ顔を上げい。
さて、まずは事情を説明せねばなるまい。この国、更にはこの世界は滅びへと向いつつある」
そこから始まる話はスキップボタンが押せればスキップ間違い無しのよくある話で、現在、この世界には終末の予言と言うものが存在する。いずれ世界を破滅へ導く幾重にも重なる波が訪れる。その波が振りまく災害を撥ね退けなければ世界は滅ぶというのだ。
月に一度世界を襲う災厄と勇者は戦わなければいけない。
そういうことである。
「もちろん、勇者様方には存分な報酬は与える予定です。援助金も用意できております。ぜひ勇者様には世界を守ることに専念していただきたく──」
「へー……まあ、約束してくれるのなら良いけどさ」
「俺達を飼いならせると思うなよ。敵にならない限り協力はしておいてやる」
「……そうだな」
「そうこなくっちゃ」
「ですね」
俺たちは王様の前で自己紹介をすることに。
「俺の名前は天木錬だ。年齢は16歳、高校生だ」
「じゃあ、次は俺だな。俺の名前は北村元康、年齢は21歳、大学生だ」
「次は僕ですね。僕の名前は川澄樹。年齢は17歳、高校生です」
「俺は海道勇。14歳で中学2年生」
「んで最後は俺だな、俺の名前は岩谷尚文。年齢は20歳、大学生だ」
クールが錬、チャラ男が元康、美少年が樹、地味めな兄ちゃんが尚文。覚えた。
「ふむ。レンにモトヤスにユウ、そしてイツキか」
「王様、俺を忘れてる」
「おおすまんな。ナオフミ殿」
いかんいかんと微笑んでいるが、目が笑っていない。
もしかしてわざとだろうか。彼にだけなにかがあるのだろうか。
「では皆の者、己がステータスを確認し、自らを客観視して貰いたい」
説明を受けてステータスを見てみる。
まさか、ゲームゲームした異世界だとは……。
海道 勇
職業 刀の勇者 Lv1
装備 小太刀(伝説武器)
異世界の服
スキル 無し
魔法 無し
下によくある身体能力の数値が続くが、スキル、魔法なし?
だが、いつものように力を込めるとバイクに火を入れたようにギュンギュンと回路が回るのを感じる。
力が使えるのを感じた。
「俺達五人でパーティーを結成するのか?」
「いえ、勇者様方は別々に仲間を募り冒険に出る事になります」
「それは何故ですか?」
「はい。伝承によると、伝説の武器はそれぞれ反発する性質を持っておりまして、勇者様たちだけで行動すると成長を阻害すると記載されております」
「本当かどうかは分からないが、俺達が一緒に行動すると成長しないのか?」
「注意、伝説の武器同士を所持した者同士で共闘する場合。反作用が発生します。なるべく別々に行動しましょう。……と出てますね」
同じようにヘルプを見てみるが、見つけられない。
「うーん、見つけられない。どこに書いてある?」
「え、ヘルプ欄の──」
「いえ、刀の勇者様は他の四聖勇者様とは違い七星勇者です。四聖勇者に協力する勇者ですから、制限に引っかからないのでしょう」
「ワシが仲間を用意しておくとしよう。なにぶん、今日は日も傾いておる。勇者殿、今日はゆっくりと休み、明日旅立つのが良いであろう。明日までに仲間になりそうな逸材を集めておく」
「ふうん。じゃあ、仲間の少ない人のところについていこうかな」
個人的には盾が良さそうだ。うるさいことは言わない割に色々面倒を見てくれそうな兄気質を感じる。
元康とは取り合いになって揉めそうだし、錬はうるさそうだし、樹は道を踏み外しそうだ。
うん。盾が狙い目か。
その日は王様が用意した来客部屋で俺達は休むこととなった。
メインはオーバーロードの方のままなので、エロい気持ちが高ぶったときに
不定期で更新していきます。