※この作品はR-18です。

性勇者様のやり直し   作:もこもこ@

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100 突入

 

「はーっはっはっは!!! 罪人カザヤマキズナ! そして刀の眷属器を不正に盗み出した罪人よ! この天才魔術師が裁きの鉄槌をくだしてやる!!」

「オレは勇者だ! 罪人なんかじゃない!」

「それを決めるのはこの俺だ!」

「そーよ、そーよ! 小娘なんかが天才の彼に逆らっていいと思ってるの!?」

「だそうだ!!」

 

道中は非常に順調だった。その場、その街で異国情緒あふれる景色や美味しそうな食事を口にしながら、この国の首都を目指して旅をして、首都では情報を収集しながら準備を進めた。

そこで出てきた噂話が、帰路の龍脈と同じ機能を利用する発明をした天才魔術師がおり、この国にやってくるという話で、だからこそ鉢合わせにならないようにとその日の夜に龍刻の砂時計のある神殿へと突入したのだがーー

 

その場にはすでにこの国の兵隊たちと、女性3人のパーティを引き連れたこの男が待ち構えていたのだった。

ただ、だいぶ待たせたようで、彼らのそばの簡易テーブルには中身のからになった大きなポットと皿の大きさの割には少ししか残っていない茶菓子があった。

 

……デートで旅行してるみたいだね、という絆を連れ込み宿に連れて行かなければきっと彼らを待たせることはなかったに違いない。申し訳ない。

待たせたせいか彼らもテンションが高い。瞬時にそれに合わせられる絆はいい子だと思う。

相手は天才らしい。開発をしていて他国にまで噂が広がるほどなのだから相当だと思うが……あまり強くはなさそうである。

 

「そもそも刀を盗んだって? 召喚されたときから持ってたんだけど」

「刀の勇者は八星勇者! そこの四聖と違って現地の人間が選ばれるものだろうが! 俺は今度刀を引き抜き選ばれる予定だったんだ!! それを盗み小娘と一緒にいるなど自ら罪人であると証明しているようなものだ!」

 

なんでも物語の聖剣よろしく刀も使い手を選ぶらしく、その選定の場が開かれる予定のところ、いつの間にかなくなっており、盗まれたのではないかと噂になっていたらしい。

そして彼はそんな刀の選考に選ばれる気満々だったらしい。

 

お前、あれが良かったの? ガハハと笑う男を見て刀に語りかけるように独り言をすると、刀身が否定するようにブルリと揺れた。

 

「さあ、咎人たちよ! 燃えるがいい!」

「クッ!」

 

くっ、ではないが。

勇者らしく構える絆の前に出る。

人を傷つけられない狩猟具であるが、魔物への能力は特攻。そして、人がおらず魔物しかいない無限迷宮ではそれこそ無双だったらしい。実際、道中でも見る機会があったが魔物相手はそれこそ元康たち四聖勇者レベルだった。

そして、人に対しても盾と同じく切り札があるらしい。

 

だが、わざわざ苦手な対人戦をさせる気はない。

かばうように前に出て、こちらに飛んでくる巨大な火の玉を一閃する。

切り裂かれた巨大な炎は散り落ちる花のように儚く空中に消える。

 

「き、切っただと!? おのれ、おのれ! 俺の刀を勝手に使いやがって!」

「勇!」

「お前の相手は俺だ!」

「くっ、いいだろう! この俺の本当の力! 受けるがいい!」

 

絆はキラキラと目を輝かせてこちらを見ているし、天才魔術師さんはギラギラした目でこちらを見てくる。

なんとなくだが、ヒーローショーのようである。

 

うおおおと力をためている天才魔術師。

なんというか、ための間に攻撃するのはだめですよね、という空気がとてもショーっぽい。

天才魔術師の仲間たちも応援だけで手を出さないし、絆もいつでも避けれるように身構えつつも、様子見である。

こちらを信じているからかもしれないが、しっかりとお約束を守っているような空気を感じる。

絆を見る。その目にはどこか何かを期待するキレイな色に輝いている。

 

……返しの技を期待されるやつだろうか?

考える。手持ちの技に派手さはあまりなかった。そもそも刀からして切り裂くことこそその極意というか、切った! 切れた! 死んだ! という面がある。覚える技も対単体が多く、さらに言えば実用的なものが多い。

おいお前なにか芸やってみろよ! というレベルでドキドキしだした。

……派手さとは? かっこよさとは? そもそも魅せるべき相手の前で戦ったことがなかったのでそういう考えが殆どなかった。脳がフル活動して熱を持つ。考えろ。考える。できるはずだ、勇!

 

「くらうがいい! 《アル・ヘルファイヤ!》」

 

迫りくる鉄をも溶かす灼熱に、熱とは別に汗を流しながら迎え撃つ。

 

「極光剣!!」

 

刀の周りをキラキラと黄金の光が輝き、きらめきが炎を一閃する。

その軌道を後追いするように虹が輝いた……!

 

「すごい!」

「お、おの……レ……」

 

そうして、天才魔術師はその場に崩れ落ちた。

一瞬の静寂。

そして、あたりのギャラリーとかした天才魔術師の仲間たちと、わらわらと集まりつつあった兵士や見物客たちがワッと声を上げる。

なんとなく剣を輝かせ光をまとわせつつ、大量に魔力をばらまくことで光を乱反射させ、そしてまいた魔力を使って刀を振った場所の光を屈折させて虹を作り出しただけである。

 

ーー効果はない。そして、天才魔術師はただ刀で魔法を切ったときに生まれた風圧で倒れただけである。

倒れ伏した彼には大きなたんこぶができているだろう。

 

ちらりと彼を見ると天才魔術師は気を失ったがそこには”悔しいが認めてやろう”というような満足気に口角が引き上げられていた。

たたかう1コマンドで倒してしまった感じである。茶番である。

 

「すごいよ! 勇!!」

 

絆は飛びつくようにこちらに抱きついてくる。柔らかな彼女の肢体にムラついた。

喜んでいるようであるし、ヒーローのようでまあ、良いのではないだろうか。

 

「まさか……いやいや!? お前達何している! 見ていないで罪人をつかまえろっ!」

 

我に返った俺達はうなずきあうと一直線に砂時計へと走り出した。

 

 

 





天才魔術師はなんだかよくわからないが絶対名前が認識できない呪いが原作でかかっている。お色気アニメで裸に謎の光が入るレベルで風とか音とかで聞こえない模様。

絆脱走、刀の勇者がともにいることを嗅ぎつけ、きっと首都から龍刻の砂時計で逃げるに違いないというところまで突き止めたのは有能だったが、勇と絆で普段と違う衣装でのコスプレエッチで休憩していたせいで待たされることに。

ようやく来た出番にテンションが上った模様。
でももう出番はないかもしれない。すまぬ。

絆パーティで好きなのは?

  • 風山絆
  • グラス
  • テリス
  • ラルク
  • 全員さほど好きではない
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