※この作品はR-18です。

性勇者様のやり直し   作:もこもこ@

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105 宝石の声

 

「若あ! キズナ様がお待ちですぞ!」

 

尚文たちの世界で、ユウの代わりの戦力として世界を守る。

ラルクとテリスは盾の勇者の尚文と行動して、グラスは刀の勇者パーティーとともに行動を共にしていた。

 

ふうとため息をつく。

尚文との行動はとても楽しいものだった。機会があれば再びパーティを組みたいと思わせるものだった。

キズナと違いスレているというかなんというか、皮肉っぽいのが難点だったが、ラルクはそうでありながらも芯は勇者らしい尚文を気に入ったようだ。

 

尚文もつっけんどんでありながらもラルクに気を許しつつあった。

テリスとしてはなんとも可愛らしい二人だとほほえましい気分で見守っていた。

 

ただ、それに比べて他の勇者はちょっとどうなのかと思う。

剣の勇者は取り付く島もないし、弓の勇者は子供らしい独善感が先行してしまって生意気で可愛くないし、槍の勇者にはナンパされた上に肩まで抱かれてしまった。あの素早さは一体どこから来るのだろうか。

刀の勇者も手が早い人間らしいので、キズナは大丈夫だろうか。

人がいいけど、悪い人間に騙されるような頭の悪い人間ではない。きっとうまくやっているに違いない。

 

そんなふうに日々を過ごしながらグラスたちと決めていた様子を見に行く日になった。

もし刀の勇者のユウがうまくやっているのならそのまま入れ替わり、うまく言っていないのならその原因の確認や連携を行った後、再びナオフミたちのいる世界に戻り次の機会を待つことになる。

 

テリスとしては女神とは言っても今まで存在すら知らなかった相手。

その存在の凄さには驚きを覚えたし、女神と呼ぶにふさわしい相手だとは思った。

しかし、何をされた覚えもない以上、まだ半信半疑な部分がある。

ただ、グラスはすでにキズナとの再会を確信しているのか、久しぶりの再会にそわそわしているという感じだ。

 

尚文と連携して波の魔物の殆どを倒してから波の力で向こうに帰る。

残った主もナオフミと刀の勇者ユウのパーティならば簡単に始末するだろう。

 

目を開ければそこは龍刻の砂時計のある神殿で、戻ってきたのだと安堵する。

向こうも悪い世界ではないがやはり見慣れた魂人や草人、晶人が一人いない世界はなんとなく違和感がある。

額の宝石を隠していたサークレットを外す。

向こうにはいないのだから仕方がないが、どんな時も帽子をかぶっていないといけないような窮屈さがあった。

額を撫でる。いつもどうりの手触りが返ってくる。

 

「みんな、ただいま戻ったぜ。それで? 無事なんだな?」

「はい、キズナ様は無事戻っております。怪我一つございません!」

「よかった……」

 

キズナはこの世界の四聖勇者の一人であるが、それ以上に大切な仲間であり、妹分である。

それが何年も囚われていたのだから、無事とわかって安心した。

目の前の知らせてくれた高官の様子からして、心の方も無事のようだ。

すぐにでも会いたい。

グラスなどは我慢の限界なのか、掴みかかるように一歩前に出ている。

 

「キズナはいまどこに?」

「え、ええ。使いはやってますからおそらくこちらに向かって来ているんじゃないかとーー」

 

その予想は正しく、砂埃を大きく立てながらこちらへと走ってくる少女が見える。

記憶の中よりも成長して……成長して、年月の割にはあまり変わらない姿だが、もしかしたら無限の迷宮は時間の流れが違うのかもしれない。

 

ぶつかるような軌道の彼女の射線にグラスが割りいる。両手を大きく広げるグラスに吸い込まれるようにしてキズナがグラスにぶつかってゆき……そのまましっかりと抱きしめる。

 

「ああ、キズナ。キズナです。本物の。よかった。キズナ。本当に、本当に、また会えて」

「うん、グラスも無事でよか……グラス? グラス? おーい、グラス?」

 

キズナキズナと名前を呼びながらもう離さないとばかりにギュッと抱きしめ、頭を優しくなでながら名前を呼び続けている。感極まったのか静かに頬を涙が伝っているが、この場にその様子をバカにするような人間はいない。

 

「これ、私達が感動の気持ちを伝える番になるのにだいぶ掛かりそうね」

「まあ、仕方がないさ。俺達は感謝の気持をあっちに伝えようぜ」

 

ラルクの視線の先にはキズナのような速度で、しかしホコリを立てることなくこちらに走ってくる一人の男の子の姿だった。

 

**

 

「なら、あなたの結論も同じってことね」

「不安がないとは言えないが、各々頑張っていくしかなさそうだな」

「そうだね」

 

女神にあった彼の感想も、得られた情報も元々の内容を強固にする話だった。

天の上の争いについては勇者であっても関与できそうにないが、であれば勇者パーティとして皆を支えてなるべく統合後の世界で争いなく生きていけるように尽力するだけだ。

場所を変え、一緒にお茶をしながら穏やかな会話が続く。

 

こうして他世界の勇者と強いつながりが事前に持てたことはとても好ましい状況だ。

 

「じゃあ、計画どうりあなたは戻って私達はこの世界で波の平定と勇者同士の連携かしら」

「そうだね。特に四聖勇者についてはなんとしても協力を取り付けて、最悪保護してほしい」

「自分勝手らしいのよね。今から憂鬱だわ」

「話してみれば坊主もいいやつだったし、いい機会と考えようぜ」

「そーね」

 

にこやかに会話が進む中、ユウの腕にはめられた腕輪に気づく。

かなりの業物である。今つけている最高のものを数段階上回るかもしれない。

 

「そ、それは?」

 

腕輪を指さす。

ナオフミが作ってくれたものは心のこもった温かみを感じる一品だったが、あれは高度な技術と凄まじい素材に恐ろしく強い魂が宿っている。それこそ、この世界で数年すれば自分のような晶人が宿ると確信するほどに。

言うなれば人気の看板娘と貴族のご令嬢。

どちらも美人さんだが、ナオフミの作ってくれたアクセサリーとしての腕輪と違い、装備としての力が込められたそれに惹かれずにはいられない。

 

「ああ、こっちの技術を教わって、作ってみたんだ。二人もどう?」

「おっ、マジか。坊主が作ってたの見て、装備として作ってくれればなあって思ってたんだよな。同じ勇者として期待してるぜ。テリスもいるだろ?」

「そうね……。せっかくだもの。これに勝るくらい愛情たっぷり込めてほしいわね」

 

こちらにちらりと腕輪を見せる。その作りや技術を見通すように目が鋭くこちらを観察してくる。

技すべてを盗み取ろうとする目だ。

この目で、彼のあの手でどんなものが生み出されるのか。

装備をつけるもののすべてを裸にするような見通す瞳、その視線に体がゾクゾクと震えるのを感じた。

 

「一体どんなものができるかしら……」

 

期待に胸がうずくのを感じた。

それの様子に不安と心配を混ぜた視線を向けられていることに全く気づくこともなかった。

 

 

 




テリスのアンケートが低いのはわかってるんです!
でも、アプリ「盾の勇者の成り上がりリライズ」の道具屋であんなコメントするから! キズナの指輪イベントはテリスへの導入だったのです。

次回はテリス。
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