「ユウ様、ご機嫌はいかが?」
王女であるはずのナナ王女は城で働く貴族でもない少年相手に様をつけ、そして何より城で名乗っているイサムではなく、ユウと声をかけた。
「わかってるんだ」
「調べさせましたわ。レールディアにまさる相手で、変装の可能性を視野に入れて調べればわからないものではありません」
「ふうん」
見られたのはレールディアをわからせてやったときだろうか。
いや、そうでなくとも関係があるとしれば「タクトを裏切るはずがない」「裏切るならレールディアより強いはずだ」と考えることは可能だろうか。
そう思ってしまえば勇者の国であるフォーブレイの中でも最強格であるレールディアを打ち破れるだろう相手はそう多くない。
情報の多く伝わってくるであろうメルロマルクの四聖勇者やその四聖とともに行動をしている四聖より強いかもしれない勇者となればチェック対象の上位に上がるだろうし、カラーリングこそ違えど、見比べさえできるのであれば同一人物であるとわからないほど遠い見た目でもない。
「それで、なんのよーー」
こちらの正体を知ったのである。
メルロマルク所属の勇者が正体を知らせずにフォーブレイにいる。
明らかにスパイ目的である。あるいはタクト狙いである。
いずれであっても仲のいい兄を狙っているのだから敵対して当然のはず。
だが、連れ出し方こそ問題を感じるものの、目の前の彼女から敵意を一切感じなかった。
「おしたいしております」
「は?」
「お慕いしております。ユウ様♥」
ズタ袋から這い出る芋虫のように出てきた中身にナナはずいと近づき、目の奥にとろりと情欲を混ぜ込んでこちらを見ている。少女らしい淡い恋心のような好意は、なぜか僅かな間でドロリと艶めかしい色にかわってしまったようである。
「……覗いた?」
それしか考えられなかった。
熟した果実を青いバナナの隣に置くことで一気に食べごろに変えるような行為である。
そのつもりはなかったが、国家とのぶつかり合いではなく、タクトPTとの争いでクーデターからの各国への宣戦を未然に止めたいユウとしては好都合である。
だが、彼女は他の女とは違う。
彼女たちは勇者としてのタクトを好いているのだから、格の違いを見せつけるだけでころんだが、彼女にとってタクトとは最愛の兄である。
短い付き合いではあったが、彼女がタクトを家族として愛していることは感じ取れていた。
「ええ。素晴らしかった。ここがキュンキュンしてうるさいくらい」
自分より少し小柄の少女がお腹に手を当てその小さな手のひらでゆっくりと撫でる動作は幼さと反比例するように艶めかしい動作であった。
「フォーブレイの血が私にかたりかけてくるの。お兄様の言うことは正しかった。私の相手は兄じゃなかった。愛しのユウ様。なんの権限もない王女だけど、フォーブレイの王族としてあなたを支持するわ」
恋に悩む思春期のお嬢様が一気に小悪魔めいた開花をしてしまったようである。
「タクト王子が何をしようとしているか知っているの?」
「世界を正すとか、そんなことを言っていて、いつかきっとこの国の王になるのだと思っていた、というくらいだわ。でも、国の流通の流れを見れば戦いに疎い王女にはわからなくても、周りに聞けばわかるのよ」
そしてちらりと黒子を見る。
彼女もまた、タクトによるクーデターかその後の侵略戦争を止めたい立場にあるようだった。
「出自の怪しい少年ではなく、王女が認めたなら、同じ勇者としてお兄様と力を比べあえるはず」
変化する刀を見せれば勇者の証明は可能だろうと考えていたので、それを伝えると、変化する武器自体は数多くはないがあるらしく、ペテンを疑う層は一定数でるだろうとのことで、勇者の国であるフォーブレイの王族が勇者と認める宣言の意味合いは大きいとのことである。
「けど、タクト王子とは兄弟だろ?」
「ええ、でもだからこそ証拠になるでしょう?」
裏切らないと誓うわ。その証拠を捧げる。
そういってナナ王女はゆっくりとベッドへと乗り上がってきた。
「処女を捧げるわ」
そう言ってめくりあげたスカートの奥には純白の下着と、湿り気を帯びた愛液のせいで薄っすらと主張する幼い女性器が浮かび上がっていた。
メルロマルク女子「処女ってダサくない?」
フォーブレイ女子「ぐぬぬっ」