「いいか。俺はお前を信頼したわけでじゃないからな」
ハイ。宿で正座をさせられながら、盾の勇者の説教を受けること一時間。
武器屋の親父と城門での伝言はうまく行った。
ナンパしたパン屋の少女を膨らむのはパンかな? お腹かな? とか馬鹿なことをいいながら、泣き叫ぶくらいにいかせ続けて楽しんだ。
メルロマルクは女性優位なのでナンパはいれぐいなのだった。
意外な話だが、女性優位の社会のほうがナンパは成功しやすい。
というのも、女性優位とは要するに女性に自分の未来を選ぶ権利があるということだからだ。
日本で色々味わった結果、わかったのは、本人の気持ちが向いているにも関わらず、ナンパが成功しない相手がいるということだ。
それは例えば、デビューしたてで、スキャンダルを恐れるアイドルや、厳しい家に育っている女子だとかだ。
特に後者は自分の貞操を将来の夫のものと思っており、家が権利を決めるもので自分が決められるのもではないと信じている。
だからイキ狂うほどに追い詰めても、貞操だけは許してくださいと守ったりするのだ。
だが、自分で決めれる彼女たちは、彼女たちの決めた基準さえクリアしてしまえばたやすく判断してしまう。
恋に、快楽に、酒に酔わせば簡単にコロンと転がる。
だから、ナンパさえ成功すればたやすく、ナンパだって、ちょっと心を揺さぶってしまえば簡単にはめ狂わせるところまで行けるのだ。
今回は商店街を歩く彼女にわざとぶつかって謝罪という名目でお茶をごちそうして、彼女をごちそうになった。
とはいえ、気の強そうで、胸が小ぶりだけどツンとハリがよかったくらいしか覚えてないので、二度目はなさそうだが。
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……で、あ、あへえとなるまで、ついついやりすぎて、安宿に場所を移したにもかかわらず、俺の部屋のまえ待ってくれていた盾の勇者の尚文を散々待たせてイラッとさせてしまったのだ。
女の子と遊んでてと言い訳を言ってしまったのも悪かった。
そのせいで、さんざんと、お前は子供のくせに性に奔放すぎるとか、将来のことを考えろとか、低年齢でのセックスはバカになるとか、お母さんかよと思わんばかりにさんざん説教した上に、今は実家の弟みたいだとか、いつの間にか彼女を作りやがってとか、そのくせ俺のことを都合よく飯炊きみたいに使いやがるとかあれ? 何の話で怒られてるんだっけと首をかしげながらも正座を続けていた。
「くっ、まだ言い足りないが!」
いいえ。三十分以上言っているので、そろそろ満足してほしいです。そこそこの宿の一室。絨毯の上であっても、足は痛い。
「で、お前はまだ俺とパーティーを組む気か」
「まあ、もともとその予定だし。俺は別に尚文が襲えたとは思ってないし」
「初日の、これから一緒にやってく相手を襲えるわけないだろ。くそっ。勇者をはめる話はないわけじゃないけど、まさか俺が被害に合うだなんてな……」
いいえ。マインは初日に俺がハメてました。
ただ、伝えるとじゃあ俺が襲ったってなんでだよ! という話になるので、存在しない刺客Xが変身してマインを襲ったままでいきたいと思う。
「まあ、初日からなんて思わないよねえ」
「ああ。楽しい異世界生活が台無しだ。お前はなんで俺を信じたんだ?」
「えー、だって、尚文がマインに手を出せる気がしないしさー。好きですって言われて3日くらい悩んだあとか、押し倒されたならわかるけどさー」
「くそっ、腹が立つがそうかも知れないと思った俺にも腹が立つ」
「第一、一緒に飲める機会を疲れているからとか言って宿に戻っちゃう草食系には無理だよー」
茶化すように言うと、頭を掴まれてぐりぐりと梅干しされるが、ここでも盾の攻撃力が響いているのか、刀の防御力か、大して痛くない。
「……街は噂で散々だ。寄って来るのは金、装備目当てのクズばかり。攻撃力がないから魔物を倒せない。倒せないからレベルが上がらない。嫌なループだ」
「俺がいるでしょ?」
「……確かにお前は俺を信じた。でも、勇者みんなの味方で、俺だけの味方じゃないだろ」
まあ、たしかに。
正直盾の勇者である尚文に味方するのは、4勇者揃っていないといけないかもしれない事態に備えるためという面が大きい。
惰性もあるが、絶対の味方というほどではない。
尚文が女の子なら違ったと思うが。
「まあ、そうだね。他の3人ともレベル上げする約束してるし。でも、尚文のパーティーに入るつもりだけど?」
「……それは、正直助かる。盾は糞だ。攻撃はろくに通らないソロでやれるクラスじゃない。けど、お前だけと組んでるわけにもいかない。お前はパーティーを抜けることもあるんだからな。けど、どんなにレベルを上げても俺には攻撃ができない。くそ、堂々巡りだ」
どうやら尚文はレベルを上げても攻撃力は上がらないようだった。
ゲームによっては盾で攻撃する職もあると思うが、完全に攻撃力が上がらない制限があるようだ。
レベルが上っても防御とかばかりが上がるタイプなのだろう。
「そんな尚文に朗報です!」
というわけで、奴隷商を紹介することにしたのだ。
ぷんぷん尚文のまき。
怒りつつもちゃんと待っててくれたのにこの態度である。
こねて膨らましたパンがこちらでございます!
焼き立て、おいしいですよぉ(なお、もう登場しない模様)