※この作品はR-18です。

性勇者様のやり直し   作:もこもこ@

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146 決着

 

 どこか喜びきれない中、勝利を宣言するマインに歓声があがった。

 

 フィトリアは強敵で、サポートに入る尚文はその力を何倍にも膨らます。

 こちらの攻撃は防ぎ、隙を生み出し、フィトリアはそこに大きく割り込む。

 

 熟練の勇者と底辺から成り上がった勇者のコンビは実力以上の力だった。

 四聖勇者とその眷属である勇者の力は半端ではなかった。

 増援に来ていたはずなのにリーシアもラフタリアも守衛に回るしかなかったのだから。

 

 だがバランスは崩れる。

 

『リベレーションオーラ』

 

 PTを全身強化の力が覆う。

 ユウが立ち上がったのだ。

 

 魔王の魂はユウの魂と癒着していたが、別々のものだった。

 それをユウの魂で取り込んだのだ。

 世界の汚れに満ちた魂だったが、それでも強大な魂が一つになることで力となった。

 神の力を対象とした盾の力も、一つになることで半分以下となり、ようやく絶えきることができたのである。

 

 そこからは反撃が開始された。

 ラフタリアが前へ前へと攻め続けることで尚文に切迫する。

 手札を知りきったラフタリアは接近に持っていくことでサポートをする暇がなくなる。

 

 リーシアの補助がユウを助け、ユウの力がそのままフィトリアへと向かった。

 大きくても、力強くても。

 神の領域にいたったその力は別格だった。

 

 一撃一撃を交わすたびに怪我が増え、ダメージはその攻撃から精彩さを奪ってゆく。

 

 今ではなくてもいずれ積ませることができる。

 そこまで追いこむことができていた。

 

「クソっ! ここまでかっ!!」

 

 尚文の泣き言が最後の分岐点だった。

 このまま押し込む。

 

 だがその気持以上に状況を変えるものがやってきた。

 

「ユウ!!」

 

 援軍である。

 ラフタリアとリーシアがやってきた以上、王と王妃が倒れたのは必然。

 そうしたらあとは状況が落ち着いてしまえば兵士たちと戦っていたメンバーもやってくるのは当然だ。

 メルティとマイン。

 術を合わせることでより強い結果を出す彼女たちが加わる。

 

 決定的な変化だった。

 

 だが、加わったのは二人だけではなかった。

 そこには、ユウ側ではないことがわかりきった相手がいたからだ。

 

「尚文様!」

「リファナ!? なぜここに来た!!」

 

 尚文は自分の作った亜人の村もリファナもこの戦争に参加させなかった。

 自分の行いに巻き込まないためのはずだ。

 でも、彼女は来た。

 

「私は! 尚文様と最後までお供するために来ました。命令に反するのもわかっています! でも、1秒でも長くこの子と三人で一緒にいたい!」

 

 この子とお腹を撫でるリファナの動きにその場にいる全員がどういうことかを察した。

 そして、尚文の命令に反したことをしているというのなら、リファナはもう奴隷ではない可能性が高い。

 ……人を信じられなくなった尚文が、最も身近な相手を心から信じた結果なのだろう。

 でもそれが彼女を戦場に連れてきてしまった。

 

「ばかやろう……」

 

 もう戦いの空気ではなかった。

 続いたとしても敗北しかなかっただろうが、身重のリファナを最大限に守るだろう尚文はその分自分自身は防御が薄くなる。

 そうなれば崩れるのは一瞬だ。

 リファナの強さがラフタリアを超えないのであれば結果を変えることはできないだろう。

 

「思いを無駄にしてしまってごめんなさい。でも、……でも」

「生きてほしかったのに……」

「私は尚文様の剣だから……死後の世界だって一緒です」

 

 抱きしめ合う二人の姿は神々しいくらいに美しいが、やる気が削がれるものだった。

 尚文のPYといえばフィーロがいないが、もしかしたら彼女はリファナを進ませるためにここに来ていないガエリオンあたりとやり合っているのかもしれない。

 増援がないなら勝敗はついたということだ。

 

「尚文」

「……リファナは助けてくれ、と言ったら助けてくれるか?」

「そうしてほしいなら離れなよ」

 

 がっしりと抱きしめ合っていて、どう尚文だけを倒せばいいというのか。

 

「……はあ。まあ、ただの大学生だった俺が勇者に選ばれたとはいえ、愛する人と子供を持てたのは奇跡だな。……無駄にはするなよ」

 

 ぎゅっと抱きしめ合いながら目を閉じる二人。

 覚悟はこちらより早くしっかりと固めてしまったようだ。

 どのみち、尚文をどうにかしないといけないという状況自体は何も変わっていない。

 

 犠牲がひとり増えることは悲しくも、彼女が尚文の死後も共にするというのなら、それも生きる方に立つものとして受け入れるしかなかった。

 

 

「さよなら、尚文。必ずこの犠牲は無駄にはしない。紅蓮一閃!」

 

 

 無駄に彼らを傷つけない赤の一撃が尚文をその愛する女性と生まれなかった子どもごと燃やし尽くした。

 

 

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