「ぶえええええん、ごしゅじんさまあああ」
最後までガエリオンと戦っていたらしいフィーロは尚文との結果を聞くと大泣きに泣いた。
「むふーん。ガエリオンが鳥畜生に負けるはずないの!」
泣きじゃくる相手と逆にガエリオンはドヤっていた。
ひたすら泣き続けていたが、泣き止んだフィトリアについてくるか訪ねたところ、御主人様の街に帰るといって帰ってしまった。
尚文が戻ってこないことは理解しているだろう。
だからその選択を受入、彼女を見送った。
たまには彼女の様子を見に行くことにしよう。
俺は彼女から大切な人を奪った人間ではあるが、サクラの母でもある。
サクラはこちらについてくるようだった。
最後まで尚文と戦ったフィトリアはいつの間にか姿を消していた。
またどこかでフィロリアルクイーンをしているのだろう。
メルティは女王を継ぎ、マインは彼女を助けつつ公爵を狙っているようだ。
二人にはそろそろ子どもがほしいとねだられることになった。
そして……
「旦那さま、子どもが生まれました!」
メイドだったメルさんが産気づいたのである。
お腹が大きくなっていざとなると不安で仕方がなかった。
オーラ系で強化しようとしたら子どもが出てこれなくなるからやめろと産婆には殴られて、何もするな外で待ってろと部屋から追い出されて。
勇者だろうが、できることなんてなにもない。
何となく何もできない時間が不安でウロウロし続けていたが、ついに子どもが生まれたらしい。
荒く息をするメルさん。
「お疲れ様」
「は……い……」
疲れに疲れたみたいだ。
へその緒の処理が残っているらしく、回復魔法を使うなと言われているため何もできないが、そんな俺に布にくるまれた子どもが差し出される。
「元気な男の子ですよ」
子どもを抱きしめた。
ああ……愛おしい。
今までも子どもはたくさん作ってきた。
でも、種を巻いただけだった。
子どもの親にはなっていても、父親にはなれなかった。
赤ん坊はこちらを見て泣き声を止めて……笑った気がした。
それだけで、ユウの中に残っていた苦しい汚れが消えていくのを感じた。
この子を守っていきたい。
この子の生きるための、世界も含めて。
「うわー、小さいですね」
「うん、ホントだ……小さくて、こんなに柔らかいのに、いのちの輝きはこんなに強い」
「……私もほしいな~」
直球の催促がラフタリアからくるが、メルさんのいる場所ですることではないだろう。
「後でな」
好意を抱いてくれる女の子はたくさんいて、おそらくまたたくさんの子供を得ることになるだろう。
けど、昔と違って種馬としてではなく、父親として。
子供が輝いて見えた。
愛しさが溢れてくるようだ。
尚文のお陰で守れた世界。
この世界で幸せになると決めた。
自分を慕ってくれるみんなを守るのだと。
ユウは一人覚悟を決めた。
そして伝説へ