(なんだか落ち着く……。それに、きもちいい……)
ぼんやりとした感覚の中で、穏やかな波のない海の中に潜ったみたいな感覚で。
幼い昔の昔、ゆりかごに揺られていた幸せな時間みたいだった。
ぱちり。
目を開けると、私を抱きしめるあの人の姿。
体からは私の匂いが凄く漂って、かあっと体が赤くなるのを感じる。
いつのまに、この人に心を許してしまったのか、そんなはずないと離れようと体をねじって──気づいてしまう。
おねしょしてる!!
慌てて、両手で体を隠す。ごまかすようにもじっと動くと太ももが触れ合って下着がねっちょりと濡れているのがわかる。
昔したおもらしと違って、少し出ただけみたいだが、それでもおねしょはおねしょだ。
起きていた彼はすんすんと鼻をならす。
気づかれた!
叱られる! そう思ったらギュッと目を瞑って……。
「寝汗もかいているみたいだ。水でも浴びてきたらどうだ?」
そう言って離れていってしまう。
「あっ……」
私の匂いが染み付いていたその体は、どこか安心する匂いだった。
だから、ちょっと手を伸ばしそうになってしまった。
……変なの。
いつの間にか変わり始めた距離に私は戸惑いを感じていた。
**
くあっ。
大きくあくびをする。
女を抱いて眠ると気分が良い。起きたときの気持ちも少しだけ軽くなる感じがする。
どうやら亜人の少女であっても変わらないらしい。
「感じやすいのかな?」
匂いでわかったが、彼女は欲情して濡れていたようだ。
幼い少女であっても性的に興奮すれば発情するし濡れる。
だが、抱きしめられただけで濡れるとすれば結構興奮しやすいか……ああ、でも。
「奴隷で売られてたんだしそういうこともあるか」
経験は浅いかなさそうだが、それがイコール開発されていないという意味ではない。
それに開発関係なく、尻や性器に近い位置を鞭で叩かれたりすることでそういう趣味に目覚めるものも一定数いる。
純情可憐で清楚に見せかけている少女にお尻を叩かれるのが興奮するのですと告白されたこともある。
「女か……」
とはいえ、不潔なイメージがまだ残っており、どうにも抱く気が起きなかった。
美女でなくても楽しんで抱けるが、不潔なのはだめだ。
どうしても萎えてしまう。
「おい、起きたなら手伝え」
とっくに起きていたらしい尚文。どこか様子がおかしく、じっと見つめると慌てたようにぷいっと顔をそむけた。
「あ、うん……」
(あれ? ズボンが変わってる?)
野宿な今、パジャマなどに着替えたりしない。
常在戦場というほどではないが、戦えるカッコのままである。
鎧を下ろすくらいはするだろうが……寝る前と変わっている気がする。
(まあ、大したことじゃないか)
川まで歩くと、水浴びを終えて着替えているところだったラフタリアに会う。
「あ、あわっ」
慌てて体を隠す様子にため息を付くとむっとしたように頬をふくらませると、着替えた服を抱きかかえて走っていく。
「うまいといいんだけど──」
そのまま魚を取ろうとして……ここでラフタリアが水浴びしていたことを思い出す。
もう少し上流に歩き──
「《生命感知》《電撃》」
ぱちんっ。
静電気が走る音を数倍にした弾く音が聞こえてぷかあと魚が浮かんでくる。死なない程度に感電した魚をひょうひょいと拾ってミッションコンプリートだ。
魚を持って戻ると、ラフタリアが戻ってきており、目を合わせないようにそらされる。気にせず尚文に魚を渡し、焼けるのを待って朝食を済ませた。
うん、今日も美味しい。
尚文のレストラン級の味わいに舌鼓を打つとともに、これは、離れるときついかも……とやや今後について考えて顔をしかめた。
お母さん! なんか白いおしっこでた! ってやつの女の子バージョンですよね。うん