「よし! よくやった!」
わしゃわしゃとリファナの頭を撫でる尚文。
戦闘訓練はだいぶ仕上がってきた感じがある。
バルーンからウサピルと生物感のある獲物に移り、当初は血に怯えることもあったが、リファナが率先して戦い、それを後追いするようにラフタリアも戦うようになった。
何が変わったのだろうか、だいぶ戦闘に積極的になった。
ニコニコと笑顔のまま撫でられっぱなしのリファナと違い、ラフタリアは素直には要求せず、戦闘が終わるとちょこちょこと近づいてきながらチラチラと視線を向けてきたり、服の端を握ってきたりする。
撫でればいいのだろうか、とそっと頭に手を乗せれば目を閉じじっとしている。
けれどもその様子をじいっと見ていると視線に気づいてぱっと離れていくのだ。
どうしろというのだ。
「しっかし、レベルがガンガン上がるのはいいが、食料が心もとないな……」
「リファナはよく食べるよね」
そう、一時間も戦い続けるとそれだけでお腹が空くらしい。
だから尚文は朝昼晩の食事の他に2食作っている上に、干し肉などの保存食を大量に作っては戦いの合間に食べさせている。
ラフタリアといえば、増えた食事こそ取っているものの、一食一食は俺達と同程度で、リファナのような異常な食欲は感じさせない。
「というか、リファナ大きくなってるよね」
「ああ、まあな」
幼女という表現がぴったりだったはずの二人だったが、リファナはぐんと背が伸び、大人びている。
まだ幼さは感じられるが、高校一年生、と言う感じだろうか。
食事の改善から体の肉付きも良くなっており、運動量と合わせてきれいに引き締まっている。
胸もふっくらとし始めており、戦闘中はよく揺れている。
尚文はチラリ見派らしく、視線をちょこちょこ向けていた。
どうもリファナはそれに気づいているようだが、何も言わずにむしろ戦闘後に腕に抱きついたりしているので、意識されていることを理解しているフシがある。
「尚文様、ナイフが……」
リファナが差し出すナイフは刃こぼれがひどく、もうボロボロだった。
これではいずれ切れずに引っ掛けてしまい折れることになるだろう。
「うーん、手持ちはもうないしな―」
魔物を倒し勇者武器に入れることでドロップアイテムが手に入るが、この辺の魔物からはいい武器が出ないようで、木の棒、棍棒、ハンマーなどと使用に適さないものばかりだ。
「仕方がない。一旦戻るぞ」
尚文が食事と薬草による薬の調合を行ってくれることもあり、継戦能力は非常に高く、遠征は何日も続いている。
正直武器さえ揃えば戻る必要すらないだろう。
いや、あるか。
「リファナ、服ぱっつんぱっつんだし、買わなきゃね」
体に合わせた革の鎧はもはや役に立たず、リファナは丈夫な布の服装だ。
あえて言うなら旅人の服と言う感じだろうか。
防御力はどこに? という装備である。
「そ、そうだな」
胸は服を盛り上げているし、おへそが見えそうだし、スカートはミニになってしまっている。
まあ、しょうがないよね。
「むう」
コツンとラフタリアに蹴られる。
友達をジロジロ見るなということだろうか。
**
「おう、アンちゃん。ずっと顔見ないから心配したぜ。……だいぶレベルをあげたみたいだな」
「まあな」
レベル=筋力ではないせいか、レベルほど見た目は強そうではない。
そのへんの冒険者の方がずっと強そうだが、実際はラフタリアたちのほうが強いだろう。
そんな武器屋の親父さんが見ているのはリファナだ。
「なにかあるのか?」
「亜人はレベルアップに合わせてガンガン成長するからな。特に大人になりたいとか思ってるとすごいらしいぜ」
何でも成長したいと心から思っているとレベルアップに合わせて急速に成長するらしい。
心もそれに合わせて成長するものの、知識や経験が増えるわけではないので、扱いづらい脳筋奴隷になりやすいとか。
そのため、わざわざ獣人をレベルアップさせてまで成長させる奴隷商はいないらしい。
「食欲もすごかったけどな。寝るか戦うとき以外は料理を作っていた気がするぞ」
「確かに」
俺と尚文は正直3食で十分なので、お腹が空いていないのに料理を作り、美味しそうに食べる二人を見るだけだった。
「まあ、異常な食欲はある程度強くなると止まるらしいぜ」
「それは助かるな」
買っておいた調味料がきれるほどだぞと大きくため息をついた。
まあ確かに。
正直亜人で冒険者パーティーを組んでいたら食料が確保できずに餓死するんだろうかと考えてしまうくらいである。
男の子の亜人奴隷は集団レベリングからの強制成長させられそうですけど、
本人の気持ちが大切ならそうはならない……かなー?
でも、戦争の場合はコワイですよね。
レベルを上げればすぐ兵士になれるとか……。