「おい、いつまで寝てるんだ。起きろ、勇」
どうやらぐっすりと眠れたようで、寝ぼけ眼でドアを開けるとそこには盾の勇者の尚文が立っていた。
「朝ごはん?」
「バカ。昨日はみんなで話す時間もなかっただろ? 朝食後にパーティーを紹介してくれるらしいからな。その前で勇者同士で話しておこうと思ってみんなに声をかけてるんだよ」
「んあー、尚文えらいね……」
「お前はゆるいなぁ。いきなり連れてこられたんだし、もうちょっと緊張感持てよ」
「はあい」
さすが年上。一味違う、と思った瞬間。
**
「くそー、ただでさえ知識がないのに、盾は負け組かよ!」
「尚文、散々だねー」
「お前だって知識なしじゃねーか!」
「けど刀は人気職だぞ」
「剣よりソロ向けだけどな」
「ですね」
この世界をゲームとして知っているらしい三人の知識を聞く。
どうやら色々強化方法があるようだ。
ヘルプによると刀は倒した魔物の種類と数で強くなるブラッドアブソリュートらしく、止めを刺すことが条件とのこと。そりゃ、ソロ向きになるね。
しかし、ゲームによってシステムが違うのは当然だろうが、現実となったこの世界ではどうなのだろうか。
後で試してみるべきか。
話はゲームからお互いが召喚された時の話に移り、剣の勇者は幼馴染を庇って、槍の勇者は恋人に刺されて、弓の勇者はトラック転移だったらしい。
「俺は図書館で不意に見覚えの無い本を読んでいて気が付いたらって感じだ」
「へー。俺は自室でのんびりしてたらいつの間にか」
「じゃあ驚いたんじゃないか? いきなりで」
「いきなりだったけど、まあ、そんなでもなかったかな? 二度目だし」
「二度目?」
怪訝そうにする4人。
ああそうだ。ステータスにも現れていなかったから特に王様の前でも言っていなかったんだった。
「異世界にこうやって召喚されるの二度目なんだ。前もこんな感じで呼び出されて魔王を退治せよって」
「ええ、まじかよ」
「それなのにLV1なのか?」
「別ステータスって感じかな? どのくらい強いかはわからないけど」
「魔王を倒したのでは?」
「そうだけど、ん~どういえばいいかな」
そう、俺は異世界経験者だ。
装備こそないものの、前回魔王を倒した力がある。
けれどそれがこの世界でも強者である証拠にはならない。
「例えば、LV99までの世界の魔王を倒せたからと言って、LV999の世界の魔王が倒せるってわけじゃないでしょ?」
「なるほどな」
だから安心はできない。
とはいえ、今の所、城の兵士を見る感じでは十分な力になりそうだ。
「まあ、みんなの知識からするに、基本的にはネットゲーなんだよね? じゃあ、レイド、というか複数パーティーの総合力は高いほどいいはずだから、もしそれなりにやれそうなら素材集めとかLV上げは手伝うよ」
「そうか。知識はなくても経験者なら心強いな」
「ですね」
「それより! 勇者やってたってことはやっぱモテたのか!?」
まあ、異世界の話なんて珍しいもんね。
興奮してぐいと顔を寄せる元康。
「そりゃモテたよ。気の強い聖騎士、王女の僧侶、ムチムチの魔法使いと3人と旅をしていたし、戦いをすると命の危険に男も女もムラムラするから、すぐにそういう関係になったし」
「うはー! やっぱりそういうのあるんだな」
「うん。やっぱり自然とそうなるよね。それに、あの世界は魔王にほとんど征服されていて、人類最後の王国から魔王城に向かって国や街を取り返して行くって感じで、開放するたびに宴と子供を増やすためって名目で勇者の血を引く強い子を求めて何人も宿に訪ねてきてたから」
「種馬じゃないですか……」
わんこそばレベルでハイ次ハイ次と危険日の女が訪ねてきていた。
仲間も、孕む度に交換だった。
あの世界には一体何人自分の子供が生まれていただろう。
けれど、一人として愛し合った相手はいなかった。
騎士も王女も婚約者がいたし、魔法使いは夫がいた。
勇者との関係はそれはそれ、これはこれ。
あくまで女神からの贈り物であり、勇者とは女神の代行者で、神の子を宿すことは浮気にならないそうだ。
それをいいことに、戦っていないときはひたすら性行為をしていた。
不安を、恐怖を、絶望を女体でごまかして生きてきたのだ。
「……やらしいな」
「可愛い顔してすげーなー」
「ですね。驚きです」
「くそ、リア充め」
「リア充ではなかったかなー。愛があったわけじゃないし。できれば恋して青春したかったし」
変わってしまったことをなかったことにはできないのだ。
だから、魔王を倒して、元の世界に戻されたとき、俺はだめになってしまったままだったのだ。
女を抱かずにいられなかった俺は戻った世界でクラスメイトに手を出した。
昔はコンプレックスだった女顔も生かして口説いた。
戻っても使えた魔法で相手の気持ちを緩めて、興奮させて、警戒心を緩ませて。
処女でもイかせることができると噂が流れるようになると、興味が強くなるようで、あとはちょっと背中を押せば落ちるようになった。
友達の友達、姉妹、その友達と女を求めて手当り次第抱いた。
クラスメイトに抱いたことがない相手はいなかったし、下手すると学校内にセックスしたことがない相手がいたかどうかという感じで……。
そして俺は忘れていたんだ。
信仰心で許されていた世界とことなり、日本でそんな生き方は許されていないって。
妊娠したクラスメイトの家族に責められ、教師や手を出した女の婚約者だの夫だのから訴えられて。
そのたびに魔法でごまかしていたが、だんだん追い詰められて、そのくせ女を抱くことをやめられなかった。
行使する魔法の頻度が加速度的に上がっていき、限界が破滅のときだった。
だから、他の四人はしんみりしているが、この世界に呼ばれてよかった。
めちゃくちゃ助かった。
そして、荒唐無稽なので今まで誰にも話せなかった異世界話なので、いい機会だと思ってきれいめに脚色して話をする。
盛り上がった。その裏で俺は考える。
この世界では反省しなければ。
何が悪かったか。きっと女に手を出さなければこうならなかっただろう。
けどそれは無理だ。だとしたら。
答えは一つだ。
そう、俺は反省して──避妊しなければならない。
あれ、昨日のメイドさん、避妊したっけ?
次の波あたりで気づくことになるんですかねw
魔法でその気にさせたから和姦というクズ主人公。
最初っからやってしまっているがうまくやれるのでしょうか……?