※この作品はR-18です。

性勇者様のやり直し   作:もこもこ@

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前話を少し修正したので見ていない方は読んでいただけると助かります。


032 決闘

 

 決闘が始まる。

 

 盾の勇者と槍の勇者の一対一。

 

「茶番だなあ」

 

 攻撃できない盾と、優秀なアタッカーの槍の勇者。

 尚文もリファナやラフタリアに釣られる形でレベルを大きく上げているが、最初から高レベルの冒険者と一緒にレベルを上げている元康は格が違う。

 

 竜素材で底上げられたことも多少は影響があるかもしれないが、元康は実践なれしだしている。

 

 堂々と歩くその態度には才能豊かな人間にありがちな苦戦を経験していない様子が見て取れる。慢心に不意を突かれる危険を知らない無謀な勇気を感じるが、それでも勢いがついている人間なのがわかる。

 

「勝ち目ないな」

 

 そもそも、攻撃力のない盾に1対1の戦いはできない。

 無論、一人で戦える勇者に仕上げることは不可能ではない。盾を鉄壁に仕上げた上で、毒や麻痺、やけどといったダメージを受けるものを中心に仕上げれば盾だって敵を倒せるはずだ。

 

 けれど、尚文には仲間がいる。

 だから、本人もそれを支える力を磨いた。

 薬も毒薬や麻痺薬ではなく、傷や病を治す薬を優先的に学んでいる。

 

 いいやつなのだ。正直まっとうな勇者の心根を感じる。

 だからこそ力の差を覆すことはできないだろう。

 

「では、これより槍の勇者と盾の勇者の決闘を開始する! 勝敗の有無はトドメを刺す寸前まで追い詰めるか、敗北を認めること」

 

 緊張があたりを包む。

 

「勝負!」

「うおおおおおおおおおおおおお!」

「でりゃあああああああああああ!」

 

 元康の雷のような一閃は盾に命中する。

 ぎいんと鈍い音を立てて、二人は弾かれる。

 元康は一歩分、ずりりと押し返され、尚文は盾を持つ腕がやや上に浮き上がりながら大きく後退する。

 

 腕をかばうように盾の逆の腕を支えるように掴む尚文。

 

「乱れ突き!」

 

 五月雨に繰り出される突きの波は尚文の盾以外の部分に大きな傷を作っていく。

 

「圧倒的ですね」

「そもそも、盾に負けるわけ無いだろ」

 

 マントに隠したバルーンは元康に食いつき、一瞬痛みを感じたように顔をしかめさせるが、槍を振るうとその場で仕留めてしまった。

 

(痛みを克服してる)

 

 新兵にありがちな痛みですくんでしまったり状況を見失ったりする部分が小さい。

 きっと、防御を超える攻撃をしてくるような敵と渡り合った経験があるのだ。

 強い自信を感じる。

 

「オラオラオラ!」

「くっ! このおおおお!」

 

 盾より伸びる双頭の狼も不意を撃てなかったことでよけら──

 

「エアストシールド!」

「グッ……!」

 

 双頭の狼を影に放たれたエアストシールド。

 腹に直撃を喰らい、よたりと態勢を崩すが、致命傷ではない。攻撃ができれば今は絶好の隙きだ。

 仲間がいてもそうだろう。必殺の一撃が放たれただろう一瞬。

 

 尚文はバルーンをいくつも投げつけ──

 

「シールドプリズン!」

 

 元康を閉じ込めた。うまい。

 エアストシールドがダメージではなく、物理的に相手を吹き飛ばす威力があるのがわかった。

 

 前の異世界でも起こった不思議だ。

 ぷにぷにと柔らかい肌で鉄の鎧を貫通できたり、木の棒で殴り飛ばすと吹き飛ぶくせにレベル差があれば怪我をしなかったり。

 

(強さとは別にはめられる可能性)

 

 アニメや創作で強力すぎるボスを宇宙だの火口だのに突き落としたりして倒す攻略が高レベルキャラに通用する可能性。

 

 多分だが、あのシールドプリズンの中身が水だったりすれば元康は溺死するだろう。

 けど、そうはならない。

 

「おおおおおおおっ!!」

 

 響く大声。

 撒き散らすような力の波動。

 そして、元康を覆っていた盾の牢獄は砕け散った。

 レベル差が大きく捕らえ続けられなかったのだ。

 

「はあっ、はあ、やるじゃないか、尚文。けどこれで終わりだ! ドラゴンランス!」

 

 竜のアギトのように、虚空から現れた炎の牙が尚文を噛みちぎり……尚文は倒れた。

 

「んむううう!!」

 

 戦いの景品として取り押さえられていたリファナは尚文のもとへゆこうとして、強く兵士に取り押さえられていた。

 

「予定調和ですね。これで、え、エッチな……ゴホン。尚文さんの毒牙にかかる女性が助かるんですね」

「……勇のラフタリアのように仲間なんじゃないか? あれは」

 

 奴隷から開放するだけだからいいのか? そうつぶやいて錬は黙る。

 

 毒牙にかかることになるのは尚文の方だと思う。

 特に立場の上下がある状態で相手に強要なんてできないだろう。襲われて初めて相手に性欲を向けていいのだと理解するタイプに見える。

 

 でも、リファナ、ちょっと色気あるものね。

 樹には毒かもしれない。

 

「思ったより真面目に強くなっている。これも勇のおかげか?」

「どうだろう? 尚文が頑張ったからじゃないかな」

「そうか。まあ、俺のときもよろしく頼む」

 

 ……錬は、ストイックだ。それだけに強さへの理解がある。

 尚文は大丈夫だろうか。

 視線を向ける。

 

 そうして、商品たるリファナの奴隷紋が消され……

 

 尚文は膝から崩れ落ちた。

 




間隔空いてすみません。リアル忙しいかつ、うまく前話の修正が思いつかずうじうじしてました。

当初は勇の援助で槍の勇者なんて! と思ったものの、割とまっとうな安全重視のレベル上げ展開だったので、最初から高レベルの装備スタートだった元康のほうが現時点では強化されている感じに。

第二の波のあとの見たい勇者は?

  • 尚文
  • 元康(固定)
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