どこにあるかもしれない盗賊のアジト。
それもお金を持っている盗賊団のアジトをどうやれば見つけることができるか。
そこでピンときたのは、人数が多いということは、食事も大変ということだ。
レンジがないこの世界で、食事は火がなければ作れないだろう。ということは飯時に火があるところを探せばよいのでは?
森を探索して火を炊いたところを探すのは至難だろうが、空高く飛び、航空図のような状態で探す。
煙が立つに違いないから一発である。
賢い!
いつが飯時かを考えなかったため、空に浮かび上がって二時間ほど必要だった。
空は寒く、何より暇だった。
つらい、二時間だった。
「ここが、盗賊のアジト」
廃墟をうまく利用しているようで、要所要所に修復のあとや、意外としっかりした補修が行われている。
廃棄されて長いのか、周辺の森が廃墟に侵入しようとしていた。けれど、誰も住んでいないはずのそこから確かに煙が上がっていたのだ。
外から見れば誰もいなかっただろうが、分かりづらいように影待った場所に作られた小屋からは馬が何頭も繋がれているようだった。
「さて、せっかくだから人を相手にすることにもなれてもらおうか」
個々にいる盗賊はレベルは20相当。ボスだけ厄介だが、ラフタリアの相手にならないだろう。
とはいえ、いくらか罠があるし、隠れて逃げる裏口もあるようだった。不意をつかれる可能性がないとは言えない。
「《プロテクション》《レジストポイズン》」
二種類の光がラフタリアを覆っていく。
これでダメージも毒もくらわないだろう。
「ラフタリアは正面から侵入してもらう。俺は騒ぎに便乗して裏から入るから」
この程度の規模なら魔法で簡単に内部の把握が可能だ。
人数は20人程度とそれなりの規模である。
小規模なら暴力で村を脅せるレベルだろう。
そんな相手を討伐する。
人の命を奪う訓練をするためだ。
人間は団結できない生き物である。
魔王討伐の際だって、盗賊は現れたし、人類が優勢になると国家規模はなくても小競り合いは起こったのだ。
それを考えれば、勇者が波だけを相手にできるかといえばやや怪しい。
正直盾の勇者の扱いを考えれば勇者がメルロマルクを嫌ったり、邪魔になった場合に暗殺の手が伸びる可能性もあるのではと思ってしまう。
貴族も勇者への信仰はあるようだが、だからといって助ける気があるかといえば疑問だ。
勇者の仲間に志願したのも貴族の次男以下ではなく、冒険者が多いのも気になるところである。
単純に貴族に戦えるものが少ないということかもしれないが。
正直に言えば、魔物を殺すのと、盗賊を殺すのには大きな違いがある。
人を殺すことは悪いことだという意識、罪を犯すという罪悪感。己自身が自分を苛むのである。
あれだけ気にならなくなったはずの魔物の血肉も、人の死体というだけで怖気が走り、体が震えて心が軋むのである。
魔物相手だって、人に似た姿をしていればそれだけで怯んでしまう。もっとも、二度三度と繰り返すことでなれたが。
「ハイ! がんばります!!」
燃えていた。
瞳から炎が出るほどである。
フンフンとその場で剣を振りながら準備体操まで始めている。
「え、大丈夫? 盗賊だよ? モンスターじゃなくて」
「はい、昔村でも捕まえた盗賊に村のみんなで石をなげたことあります! 大丈夫です、やれます」
「道徳観が違ったかー」
悪いことをしていると思うから罪悪感を覚えるのである。
害虫をスリッパで叩き潰して虫さんごめんなさいと心から思える人間はごく少数だろう。
村に害する盗賊を村人皆で殺すのは専門の戦える人間が戦えばいい都会とは違い村全体で守るための手段の一つなのかもしれない。
「……まあいいか。気は抜かないように。ダメージは受けなくても、戦闘不能にできないわけじゃないから」
落とし穴や手足を拘束、毒や麻痺など動けなくする方法は多い。
「いってきます!」
おりゃーとかわいらしく声を上げながら、入り口へと入っていく。
「じゃ、俺もやりますか」
天より魔法の檻が落ち、逃げ道を塞いだ。
誰一人、逃れることはできなくなった。
「害虫退治の仕事を始めようか」
幼女でも犯罪者には石を投げるスタイル。おお怖い。
でも、モンスターや盗賊がウロウロしていた場合、領主に助けを呼んでる間に被害が出てそうですよね。村人の中にもそれなりに強い人とかいそう。
次回は久しぶりのR18?