「はじめまして。メルティ=メルロマルク。お噂はかねがね。勇者様には会ってみたかったのです」
「はじめまして。海道勇。ユウって呼んでね、メルティちゃん」
ムッとしてしまったのを気付かれないようにする。
対して年の差もないのに、ちゃんと呼ばれると癇に障る。
ニコリと微笑む少年は、一見華奢に見えるが、しっかり見れば鍛えられているのがわかる。
強さは見た目ではわからないが、それでも体つきでわかることも多いのだ。報告にあるように、たしかに強いのだろう。
「メルティちゃんは色んな国を回っているんでしょ? 俺、この国しか知らないから、ちょっと話をしてみたいと思ったんだ」
「奇遇ですね! 私も、勇者様の話が聞きたくて」
「ユウでいいよ。勇者っていっぱいいるし」
「――私も、メルティでいいですよ」
「ああ、わかった、メルティちゃん」
わかってないじゃないか。
年が近いからとなめられているんだろうか。私は王女なのに!
負けず嫌いがメラメラと燃え始めるのを感じた。
そっちがその気なら絞れるだけ絞ってやる!
**
「だきゃらですねえぇ。ふぃろりあるさんわあ、ふかふかでえ、すんごくかわいいんですよー」
話し合いはヒートアップし続け、態度の変わらないユウに段々と口調が強くなっていった。
正直、彼の経験には驚いた。
私は色んな国を渡っており、知識も豊富だと思っていたのに、彼は村のあり方や、実際の問題点をよく理解していた。
知識でしか現実をしれていないと少し落ち込んだ。
ならばと女王になったら手を付けてみたいと思った問題についても聞いてみればなかなかの回答が返ってくる。
なんでそんなに分かるのかと問えば故郷がたどってきた歴史と実際に色々見ての現実に学んだと言われて、少し見直した。
語り合いはより一層深まり、政治の話に飽き始めた姉がつまめるものもってくるわ、といったあたりからなんだか感じが変わって……。
「これ、だいぶ酔ってるなぁ」
「よってないれしゅ」
てしてしとユウの胸を叩くが全く応えていない。正直手のほうが痛いくらいである。
テーブルを挟んで向かい合って座っていたはずだが、手が届かないからといつの間にか彼の方へ移動していて、隣り合っている。
異性とここまで近づいたことは父以外ない。どきりとした。
あ、やばい。意識するとかあっと顔に熱がこもる。
思うと妙にいい匂いがする。心臓が高鳴り、痛い。
「ゆうしゃさまはー、あ、姉上がしゅきなんですかぁー?」
独り占めなんてずるいと思うのだ。
姉上はやることやらずに遊び呆けているのだから、ちょっとくらい私が得してもいいはずだ。
いいや、姉は人を陥れることを良しとしている悪い人だ! なら勇者様を守らなきゃいけない! 守るのだ!
「好きだよー。でも、メルティちゃんも好きになっちゃうかも」
ぎゅっと抱き寄せられるハグだ! あわわ。
視界がぐるりと回りそうになる。体温が温かい。いや、私の体のほうがきっと温かい。何を張り合っるんだろう。
耳元に囁かれる声にゾクリと震える。何がなんだかよくわからないが、ユウも自分を気に入ったということか!
耳たぶをはむっと咥えられ、からだに雷が走り、くてりと体から力が抜ける。
「はひ」
「感じやすいのかな? メルティちゃんは俺のことすき?」
「しゅ、しゅきです」
自分が何を言っているかよくわからないが私は気持ちに嘘をつかない。間違ってない!
「ありがと」
感謝の気持と一緒に唇と唇が触れ合う。ちゅーだ! これはけっこん! 夫婦成立である。
父は勇者。ユウは勇者。問題ない。
母上もお前の相手にはお前のことを理解してくれる良い相手を探したいと思っていますよと言っていた。
うん、問題ない。
ちゅっちゅと繰り返すたびに頭がしびれる。幸福感に真っ白になりそうだ。
世の中の人々はこんな思いをしているのだろうか。母が父を愛するはずである。
いつの間にか子供みたいにぎゅっと彼の体に抱きついており、彼もまた抱きしめるものだからもう1つの体になったみたいである。
にゅるりと口内にはいってきた彼の舌が私の中をかき乱す。
ああ、不思議と甘みを感じる気がする。口裏をなめられるとそれだけで気持ちいい。おずおずと私も舌を伸ばすと、彼のに絡みつかれる。にゅるにゅる。
「あっ、あ。きもち、いい……かも?」
うまく息ができなくて、唇が離れていくと荒く息をした。
しまった鼻ですればよかったんだ。そうすればもっと続けられたのに。
「こっちもびしょ濡れだ」
「はひっ!?」
ユウがお股に触れるとビクンと体が震える。雷の魔法に打たれたような感覚に左右に顔を回してあたりを伺う。
「これこれ」
目の前に差し出されたユウの右手。人差し指と中指にねっとりとした透明の液体がついており、ユウがちょきに形を変えると指の間をねとっと糸をひいた。
ああ、恥ずかしい。けれど、彼の指を自分の愛液が汚している様子がとてもいやらしい。
「愛液。いっぱい出てるみたい。下着越しでもこんなんだもんね」
ああ! どうにかなってしまいそうだ! 感心したのに、ユウは悪い勇者だった。
これ以上喋らせてはいけない。その口をふさがねばならないとキスで口を塞ぐ。開こうとする唇に今度は私から舌を入り込ませる。
口は防げても動きは止められない。ぬちゅぬちゅと彼の指が下着越しに上下と擦るように動く。
快感は嵐となって、体を何度も打ち付ける。そのたびにビクンビクンと体が自動的に跳ね上がる。
「準備はもういいよね」
抱きしめていた腕はとかれ、唇が離れる。まだしていたいのに。
何のために唇を塞いでいたかはすでに頭にない。
「準備ですか?」
コテリと首をかしげる。
キスに夢中になっているうちにお互いの下着は降ろされていた。特に自分のものは床にべチョリと置いてある。
たくさん濡れたんだな、おねしょみたいだなあと他人事のように思う。
何のだろうかと問えばもっと気持ちよくて仲良くなれることだという。するかと聞かれる。
性教育は受けている。
セックスのことだとわかったので、うなずいた。
痛いらしい。そう聞いていた。
幼いうちに嫁いだ貴族の娘の中にはもうしたくないというものもいた。
意外といいよというものもいた。
期待と不安。
ソファに横たわる。覆いかぶさる彼に何をされているかは感覚でしかわからない。
大きい棒状のものに、想像のアレだけが動く。
愛液をこすりつけるようにぬるぬる動く。これだけでも気持ちが良くてずっとそうしていたいくらいなのに。
そして、衝撃。
体験してわかった。
よくこれを意外とで収められたものだと。
「大丈夫」
「ら、らいじょうぶです」
目の前のユウの姿が一瞬前とつながらない。気を失ってしまったようだ。
意識すべてを塗りつぶされていた。
「あんまり痛みを感じないタイプみたいだね。ヒールも不要だったかも」
魂を抜かれたんじゃないかと思うほどの快感だった。
今まで、避妊していて孕ませられない相手に体を売る商売がなぜ成り立つか意味がわからなかった。
性行為は子供を作るためのものなのだと思っていたが、今理解した。
これは金を払う。
貴族の中に性で身を持ち崩す者がいるのも理解した。
彼は夫だからいいが、私は姉上のように他の男には手を出さないほうが良さそうだ。
「キス、してぇ」
動かしもしていないのに、入っているだけで小刻みに絶頂しているのがわかる。
気を失うほどではないが、口を塞いでいないと魂が抜けそうだった。
口が近づいてくる。
早く、はやく♥
触れ合う唇に願いはかなったが、彼の言葉に愕然とする。
「じゃ、動くね」
ユウ、無理です。それ、むりです。
入れてすぐ絶頂することを三擦り半と言ったりするそうだが、三擦りすら持たなかった。
人生最大の快感を体の奥に刻み込まれてしまった。
**
「ああああ、あねうえええ、盛りましたね!? 妹にく、薬を盛りましたね!?」
母上に言いつけますからね!!
ユウはあのあとも数が数えられないくらい私をいかせてから帰っていった。
初めてだしこのくらいにしておくねと言う言葉にこれは加減されていたのかと性の世界の奥深さに少し恐怖しそうになった。
さり際にキスをされて全てはどうでも良くなった。
けっこん、しなきゃ……!
酔は冷めていたが、また酔ったような面持ちになった。
――冷静になるとおかしい。姉上の部屋だし、いつの間にか酔ってたし、え、えええエッチしてたし。
王族としてそう簡単に体を許さない教育くらいは受けていたし、そういうつもりではあった。
つまり、はめられた! 何が何だか分からないがきっとそう!
いつの間にかいなくなっていた姉上を探すと私の部屋でゴロンゴロンしていた。あまりにのんきで怒りが湧いた。
ギャンギャン怒鳴ったが我関せずである。
「いいワインは出したけど、別にもってないわよ」
「うそですよね!?」
「ほんとほんと」
ていうか、媚薬いらなくない? とあっけらかんと言われる。
そんなバカな。知識と違いすぎる。
「や、やっぱりあれ普通じゃないんですね」
「そりゃね。あれが普通だったらメルロマルクは女性上位になんてならないわ」
あれだけの快楽を初めての相手にも与えられてしまうなら確かに女は男の言いなりになる以外ない。
わからせられてしまうだろう。ユウだけで良かった。
思い知ったみたいねとぷぷーと笑う姉上の姿にすぐ手紙を書こうと思った。
母上。私婚約者ができました――。
さて、私のものにするにはどうすればいいか。
危機一髪の意味が違う的な。
マインはハーレム容認派でむしろ満足してもらうことに喜びを得ているのでどんどん増やそうとするしするりと自分も相手してもらってるけどメルティは独占したいのでガードを頑張ってるうちにあんまり抱いてもらってない気がするみたいな。
もーー! なんでそうなの!! みたいな。
キスしたら結婚しなきゃ! とかいいよね、とかとか。
もうちょっとはめられた的なやつも好きなんですけどー。
嫌がられるのもアレかな―みたいな。
そっちは母上にお願いしたいと思います!
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