※この作品はR-18です。

性勇者様のやり直し   作:もこもこ@

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057 神のさばきを与えよ

 

私の名前はイドル=レイビア。

 

メルロマルクの領主にして、三勇教の敬虔なる信者です。

私が三勇教を崇めているのは家の教えということもあるでしょうが、一番は隣の領主であるセーアエットのせいでしょう。

あそこは亜人保護を謳っている売国奴の領主が代々務めており、亜人共もまた、あの領主を慕っていると聞きます。

 

亜人、知っていますか? ヒトモドキのことです。

人に犬や狼、虎などの動物の体を埋め込んだ神の作った失敗作のことです。そのくせ、人を超える身体能力や、魔物のように子供時代を経由せずにいきなり大人になったりする存在です。

あんな存在を人のように扱う意味がわかりません。

 

第一、亜人国家である、シルトヴェルトとの戦争を忘れたのでしょうか。彼らに負ければ私達こそが亜人に支配され、奴隷とされるのがわからないのでしょうか。

私には貴族として国を守る義務があるのです。

貴族の一人である私にできることなど大したことはありません。財の余裕が出たときに亜人奴隷を買い、拷問を行っていじめ殺すくらいです。息絶えろ、絶滅しろと思いを込めて。

 

――ああ、私のなんと無力なことか。

 

第一の波の際に被害にあったセーアエットに被害が出たことをしり、即座に三勇教につなぎをつけ、亜人排除の一助となれたときはとても誇らしい気持ちになりました。

彼らに保護など必要ない。ソレが私の考えです。

むしろ排除こそがこの国に必要なこと。この国に彼らの生きる場所なんてないのですから。

 

けれど、忌々しいことに表立っての排除は難しい。ああ、自分の力のなさが悲しい。

 

なにせ、下手なことをして、シルトヴェルトとの戦争になっては困ります。

確かに勇者はいますが、現状四聖すべてをこの国が所有していると言う事実は重く、私有化からの戦争の道具として行使などすればすぐに他国からの介入が入ってしまうでしょう。

 

そう、勇者。

剣の勇者、弓の勇者、槍の勇者。

皆、素晴らしい存在です。

国中の厄介な魔物を倒し、悪をなす貴族を排除し、人々を救っている。

 

けれど、盾と刀の勇者。

彼らはどうでしょうか。

なんと勇者の神聖な仲間に獣を選びました。

明らかに彼らは亜人寄りの勇者でした。

 

その上、人気稼ぎに駆け回っては自分のほうが勇者らしいと三勇者を貶めようとしている。

刀の勇者など、波の犯人なのではないかと噂も出ています。

 

排除しなければいけない。

 

教会の伝手も使い、彼の周囲の情報をしっかりと集めることができました。あのにくき勇者達の仲間の亜人二匹がかつて私の所有していた奴隷だったというのは本当に驚きました。

 

病になり、あとは死を待つだけとわかっていたので売り払いましたが、しっかり殺処分すべきだったと本当に落ち込みました。

神よ、申し訳ございません。

でも、世界のため、国のために落ち込んではいられません。

 

それに、いい情報を手に入れることができました。

勇者が一番に手を出していた女が――していたのです。

 

そして、あの女の家は私の家と強い繋がりがあり――頼み事を断れないのです。

ちょっと打診して強く当たれば簡単でした。

彼女が――の事実を家に報告していなかったこともまた強いでしょう。勇者とのつながりはうちとの今後を考えてでもつなぎたいと考えたかもしれないでしょうから。

 

使うのは前か後か。

どう転んでも価値があります。

 

ああ、神よ、ありがとうございます。

今度こそ、私は間違いませんとも。ええ。

神に誓って。

 

**

 

ガタゴトと大きく音を立てながら揺れる馬車。

城に訪れた父の言葉。

 

「イドル=レイビア殿のところに嫁ぎなさい」

 

我が家に比べれば遥かに有力なレイビア家。

特に彼は妻を亜人に襲われて亡くしており、いま妻がいないとのことだった。

 

けれど

 

私は自分のお腹を擦る。ここにもう一つの命が宿っているという事実に不思議な気持ちを何度も抱く。

 

ここにはゆう様の子供が。

 

女性の処女性を妻の必須事項とする国もあるが、ここはメルロマルク。

浮気を良しとする文化こそないものの、婚前の恋愛に対してどうこういう文化もなく、また、血の繋がりを確認する方法もある。

父が持ってきたイドル=レイビアさまからの手紙にも、勇者の子供がいても問題ない、その子も含めて大切にすると書いてあった。

 

「お前は勇者様の邪魔をするつもりか?」

 

父は言う。勇者様はマルティ様とも仲がよいのだと、お前のようなメイド相手に本気にはなるまいと。

真に幸せになりたければ貴族の本妻こそがその道だと。

 

知っている。城で会うたびマルティ様も抱いていることを。

決して自分だけが特別ではないことも。

 

父の娘の幸せを願う気持ちに嘘は感じなかった。

家の未来も一緒に考えていただけ。その範囲で娘の幸せを願っただけ。貴族なら当たり前のこと。

 

「それに、イドル=レイビア殿は刀の勇者様子飼いの商人を支援してらっしゃるとのことだ。お前が反対して支援が止まれば勇者様に迷惑をかけることになるだろう」

 

だから、私には選べる道などないのだ。

 

「はい、わかりました」

 

せめてとゆう様の未来を神に願った。

 




全読者に知ってた知ってたと言われそうな事実。
な、なんとメルさんは妊娠していたのだったっ!!(な、なんだってー!)

そんなメルさんとイドルさん、一体どちらの神への願いが届くのか!? ビッチ神には悪徳貴族の願いが届きそう感。

マインが三勇教に勇者抹殺のきっかけを与えなかったのと、三勇者がそれなりに勇者できている現状もあり、教皇は真正面対決ではなく、暗躍からの追い落としを企んでる模様。
イドルさんにもごにょごにょしているとかいないとか。
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