怒りを感じ、けれどそれは吹き出さずに沈下してしまう。燃え残ったそれはドロドロと溶けて心の奥底に潜み続ける。
いつまでも無くならない痛みに無力感を覚える。
諦めたはずなのに、諦めきれない。
もどかしさが、悔しさがあって──ごまかすように悪癖が働いた。
「ほ、ほほほんとに、こんなことすれば男の人になれることができるんですかぁ──!?」
「ほんとほんと。それにみんなやってるし。樹だってやってると思うよ。勇者に未経験のやつがいるはずないでしょ?」
「それは、そうですけど……、そうですけど、はずかしすぎますぅ──ふぇええ」
弓の勇者の手伝いを申し出たものの、樹は「それでは仲間をお願いします。僕は調べることがありますので」とフィロリアルに乗ってどこかに行ってしまった。今も刀の勇者への疑いは変わっていないようだった。
仕方がないと仲間を鍛えているうちに──リーシアから相談されたのだ。もっと、勇者様に信頼されたい、役に立ちたいと。
言動の幼い子だなと思っていたが、その胸のうちには熱い思いがあり、自分を悪い貴族から救ってくれた樹にヒーローのような憧れをいだいているとのことだった。
そして、恋慕も。
真っ直ぐに思いを向けられている様子が羨ましく、今の自分の心をざわめかせる。
だからまあ、樹より先に手を出してしまえ。
──そう思ったのだ。
**
最近、樹様はフィロリアルさんばかりに信頼している、よくやったといってるんです。高級な白いフィロリアルのスノーと名前のつけられたフィロリアルは育ちの良いお嬢さん気質らしく、また良き妻であるべしと甲斐甲斐しいらしい。
フィロリアルと競い合っているのかと思うが、役に立ててないというショックは本物のようで、慰めついでに男にならすためを名目にベッドに連れ込んだのである。
後ろからギュッと抱きしめればそれだけで全身の肌が真っ赤に染まるのがわかる。
彼女の自信とは真逆の大きな胸をやわやわともみ出すとそれだけで深い快感を抱いているようで、スイッチが入ったのがわかった。
ここまで来てもぎゅっと抱きしめる程度で抵抗ができなくなってしまう押しの弱さにまあ、食われるのは時間の問題だったかと思う。
押しの弱い女はわりかし男の欲望まみれの性行為を押し付けられやすいので以外に経験豊富だったりするケースが多い。
ほわわんとした聖職者の女がさほど淫乱の気質もないのに腕が挿入できるまで仕込まれていたのにびっくりしたことがある。
まあ、樹は自分本意な抱き方をしそうなので、彼のためにも慣らしてあげておこう。
胸をいじって上げるだけでカクカクと無意識に腰が動き出したので、もう逃げないかと向き合えばわっと恥ずかしそうに手で顔を追い出した。
「リーシアは可愛いんだから顔隠さなくていいのに」
「は、恥ずかしいんですうっ」
まあ、両手がふさがっていると邪魔がなくてよろしい。
どぷんと大きな胸が山を作っているが、その頂には凹んだくぼみである。陥没乳首か。
慎み深いだねとなぶってあげればぴくんぴくんと震えるのがわかる。いじめられたいタイプか。
自分のサガにあった体で実にハッピーなことである。
奥にいる乳首を舌を差し込んでねぶるとむくむくと大きくなってくる。指でしこしこと擦ってあげると簡単に上り詰めようとして──
「え?」
「なに?」
落ち着くのを見計らって再び擦り上げ──イク手前で止めた。
「あっ、あう……」
何かを言いたげな、けど言えないままで目と顔はわかりやすく主張している。
何も言わずに性の暴力で殴りつけてイカセ続けてもいいが、気弱で性に臆病な子に自分から言わせてこそではないだろうか。
何度も何度も繰り返すと、快感に翻弄されるだけの彼女も何をしなければいけないのかがわかったようだった。
あと一歩だけ勇気が足りない。そんな感じ。
だから、手を差し出してあげればいい。
「何がしてほしいかお願いしたらやってあげるよ」
ニコリと微笑んでいったものの、悪魔の笑みのように写ったかもしれない。ほんとにいいのか、言ってしまおうかと頭の中をぐるぐるしながらも彼女は自分で言ったのだ。
「い、いかせてくださいぃ」
「わかった」
唇を奪いながらぷっくりと膨れ上がった乳首をギュッと握ればそれだけで彼女はイッてしまった。
ああ、これで彼女は自分の意志で今を受け入れたのだ。
樹に恋慕の情を抱きつつも、騙されてではなく望んで俺に抱かれるのだ。
**
「どうだった」
もはや自分の快楽に染めきっただろうリーシアは満足そうに笑った。
「自信がつきました! これなら樹様ともちゃんと接することができそうですっ!」
ムッとする。その表情は胸のつかえが取れたとばかりにスッキリとしており、どこか幼さが消えて大人びたようにも見える。
それがなんとも腹立たしく、頬を強くつねった。
「ふえええぇ!?」
「リーシアのくせに生意気だ。一回だけじゃ、大して変わんないさ。もっといっぱい経験しないと」
「は、はい、ユウ様!」
何度も出してどろどろになった性器を擦ると、もどかしそうにひゃあんと鳴いた。
押しが弱いけど──気持ちまで弱いわけではないらしい。
彼女にとってあくまで最初から最後までトレーニングだったのだ。心は奪えなかった。樹が少し羨ましくなった。
どうして自分じゃないんだろう。
よくわからないくせににぱっと笑うリーシアが可愛く思えた。
いいな。羨ましいな。
勇者であってもまっすぐ気持ちを向けられている樹や尚文。
だったら俺だって。
けれどその考えはメルさんのことを思い出して消えていく。
きっと、彼らと俺は違うんだ。
──いいなぁ。
不思議そうに首をかしげる彼女にため息を付いた。
最初から最後まで訓練のままのリーシア。
でも樹と将来そういう関係になったときは気にしそう。
樹「とてもよかったですよ、リーシア」
リーシア「訓練したかいがありましたっ!」
樹「はっ!? え、誰と!?」
みたいな。
仲間が愛してくれる人を得ていて少し励まされつつも、やっぱり自分はだめなんだろうかとなる。メルさんの気持ちを知ることはできるんだろうか。