盾の勇者である岩谷尚文は勇者としてこの世界にやってきた――そのすぐ嵌められて、勇者の責務だけ押し付けられたことに怒りと恨みを抱いていたが、それも最近は段々と収まっているのを感じる。
きっかけはやはり自分を心から信じてくれる仲間のリファナの存在だろうか。
正直、元の世界に戻ったところで、自分を助けるためなら命をかけてくれるような相手など得られるとは思えない。
こんな世界嫌いだ、早くもとの世界に戻りたい。
そんな思いも最愛の少女と契ってしまった以上男としての責任を果たさなければという思いが押し留めている。
愛する人を得て、尚文には夢ができていた。
引きこもって、自堕落に生きていた自分にできた輝くもの。
リファナの故郷を再建する夢が。
だから影を通し女王と交渉を行い、領主不在となってしまっているセーアエットを貰い受けることとなった。
おかげさまで女王に味方する勇者となってしまったし、改善していくことを条件に今までの行いを水に流すことになってしまったが、それでも十分な対価だと思っている。
このままリファナの故郷を自分の故郷にできれば幸せに生きていけるのでは。
だが、謎の勇者グラスの言葉がそれを阻んでいた。
最愛の人や、ペットのような妹のような大切なものを得たからこそ、盾の勇者として、未来に思いを馳せるようになった。――波とはなにか、なぜ盾の勇者は虐げられるのか。
国王からのイチャモンこそ弾ける力を得たものの、世界の真相には一切近づけていないことに気づいた。
本当に漠然と強くなることだけを目指していいのだろうか。
だからこそ、今まで目を向けていなかった三勇教に向き合うことにしたのだ。
尚文は盾の勇者としての名声はゼロどころかマイナスだったが、神鳥の聖人としては結構な人気を持っていた。
いろいろな商人とも仲がよく、噂話は十分に手に入る環境だったが、どうしても人の記憶はどう頑張っても祖父から聞いたと言うレベルで途絶える。
過去の勇者や波の記録、そして外部に漏れてこない三勇教の内情となると話が別だった。
このままでは埒が明かない。
そう思った尚文はある人物を利用することにした。
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「で、どうだった?」
「ええ、いくつかわかったことがあります。やはり彼は異世界の勇者であると言っていいでしょう」
相手は弓の勇者の樹だった。
場所は城下の一室。人知れず集まった人家にて紅茶のカップが3つ湯気を立てている。
正直悩んだ。大いに悩んだ。
しかし、元康は仲間を疑うなと楽観的に笑い、錬は勇との敵対の可能性を拒んでいる。
精神的に幼くいまいち芯のない樹は不安だったが、尚文にとって都合のいい勇を疑っている人間だ。
『崇めているのに勇者について全く教えない三勇教にこそ真実があるのではないか。他の勇者は皆疑うことを放棄している。
真実を見つけられるのはお前だけなんだ、頼む』と頭を下げた。
正直樹に頭を下げるなど業腹だったが、まあ、頭など下げても一円も損しないと自分を納得させた。
「……確かに僕だけでしょうね!」
こうして弓と盾は手を組んだ。
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「根拠は?」
「四聖勇者と七星勇者。これが元々の勇者でしたが、本当はもうひとりいるそうです。フィロリアルの勇者。馬車の眷属器だとか」
「伝説のフィロリアルクイーンのことでごじゃるな。三勇教のいう七星勇者は増えたり減ったりすることがある、と言う話の根拠はそこでごじゃるか」
女王の影武者らしいごじゃる女を加えての三名の密会だった。
「ええ。元々四聖一人に付き二人の眷属、と言う形だったそうです。盾の勇者の獣魔であったフィロリアルが馬車の勇者となり、フィロリアルクイーンになったと。しかし飼い主の盾の勇者没後、でしょうか。その後姿を消し、歴史の中、七に勇者の数が減ったようです」
樹は今にも朽ち果ててしまいそうな本をそっと開くとここですとページを開く。
お前、もうこの世界の言葉を覚えたのかよ……無駄に優秀だな。
リファナから授業を受け、ようやく簡単な文章なら読めるようになった程度なので、古書など読めようはずがない。
だが、覗き込んだごじゃる女がなるほどとうなずいたので真実なのだろう。
「単純に姿を見せなかったから減ったように見えただけで、勇者の数が変わっていなかったのなら、刀の勇者は異物ってことになる。どこからか今回始めて現れたと考えるのが自然となるか」
「敵であることが確定しましたね!」
「しかし、刀の勇者様自身そのことを知らなかったようでごじゃる。勇者様を操るような手段などあるはずもなし。敵対の可能性は十分あれども必ずしも敵とは限らぬのでは?」
「それは、そうですけど」
「勝てないのに敵対するのは愚かなことだ。だが、敵対するかは俺たちだけが決めるわけじゃない。あいつだって選べるんだ。敵対される可能性は考えるべきだ。力が必要だな」
「……正直、認めたくありませんが、彼は強いですよ。僕ら全員でも勝てるとは思いません」
「それは俺もだ。だからこそ、――知識を共有したい。俺の見つけた2つの力、EP(エネルギーブースト)と勇者武器の裏モード、憤怒の盾について」
ゲームにないらしいその2つの力はけれど実施してみせることで樹も信じ、勇者武器の強化法を共有することができた。
今までとは遥かに違う効率にあいつらめと唸っていると、樹が何かを決心するようにうなずく。
「尚文さん、僕はこのまま三勇教を探ります。勇者として教皇に接触してみるつもりです。――僕は勇さんが敵であると確信しました。そもそも、本人が言っていたじゃないですか。別の世界で勇者をやっていたと。その世界から助けてくれと言われれば助けるために敵になるに違いありません」
「……ああ」
尚文としては信じたくなかったが、信じる信じないと対策しないは別のことだ。100%じゃないなら対策すべきで、対策するために鍛えることは勇が裏切っていなくても有効なことだ。
樹と別れ、各地の勇者の残した足跡をめぐることで勇者専用の魔法、リベレイション・オーラを習得した。
さらなる力を求め旅をしていると
――刀の勇者は罪人であるという噂が広がっていた。
盾の勇者、リファナちゃんとのラブパワーでいち早くこの世界に残ることを誓うの巻。
襲われて襲い返した模様。
彼女のためならプライドだってなんのその……ということで女王と協力したり樹と組んだりしているようです。
おかげさまで勇者としての強化法も共有。
四聖勇者で尚文と樹が頭一つ強くなることに。
そんな中、しかけられた罠とは!?