ユウ様が落ち込んでいる。
まだまだ拙いながらもなれてきた食事を作る作業を行いながら、焚き火を挟んで向かい側に座りぼうっとしているユウ様を見る。
今までユウ様は何をするにも自信たっぷりであり、強くて頼りになる勇者らしい勇者だった。
リファナちゃんと会うたびに盾の勇者様のお話をたっぷりとされるが、ユウ様だってそれに負けない……ううん、それ以上の勇者様である。
そんな勇者様なのに、ここのところずっと落ち込んだままである。その原因がユウ様に乱暴されたという女性だ。
正直、城の人間はユウ様に優しい。
嫌われがちな亜人である私もユウ様の仲間だからと許されている感じである。現にリファナちゃんは盾の連れている亜人と呼ばれて不親切にされることがあると言っていたが、最近は刀の勇者様を助けてあげるんだよとあれこれお菓子をもらったり親切にされることが多い。
城の女の子たちの噂話でも、槍の勇者様に次いで人気らしく、声をかけてみようかなーなんてキャイキャイ言っている話を聞いたしあの子みたいに可愛がられたいわーなんて聞いたことがある。
どう脅して口を塞いでも、嫌われるようなことしていたら噂になるはずなのに、そんなことなかった。
だからきっと何か誤解があったんだろうな、と思っている。
まあ、その人に結婚の約束をしていた人がいたのにエッチなことしちゃったなら、ユウ様が悪いのかもしれないけど。
けど、国中に言いふらす必要はないのでは。
会ったことのないメルさんと夫というイドル=レイビアと言う人を恨んだ。
「……? なんだろ、聞き覚えのある名前……」
頭がズキンと痛む。聞きたくない、関わりたくない名前。
ユウ様に意地悪な人たちだから、聞きたくないと思うのだろうか。今は考えないようにしよう。
「ユウ様、ご飯できましたよ?」
沸騰してぷくぷくと空気が弾けるたびに匂いが広がる。
締めたばかりの鳥モンスターのお肉をつみれにしたお汁は食べごたえも味もいい出来だ。
お腹いっぱいにして暖かくすればきっと気持ちも変わるはず。
なのに、声をかけても反応せず、近づいて肩を揺すると緩慢とした動きでこちらを見上げ……
「おなかすいてないから、寝るね」
そう言ってテントに入っていってしまった。
その声に力はなかった。
――重症だ。
私は今までしてもらったことを考え――ユウ様に絶対に元気になってもらうんだと意気込んだ。
**
テントの布越しに寝息を感じ、音を立てずにそろりと中に入った。夜の静かな時間のため、虫の鳴き声くらいしか聞こえてこない。
敷布の上にごろりと横たわっているユウ様はどこにでもいそうな普段と違い幼い少年に見えていた。
うんんっと唸る声が聞こえ、どこか表情が苦しそうなものに感じる。夢でも苦しんでいるのだろうか。
そっと近づき、横に寝転び抱きしめる。
以前昔の苦しくて苦しくて辛かった過去。村を家族を失い、友達を目の前で苦しめられ続ける光景。起きても寝ていても辛かったあの時を変えてくれたのは目の前にいるユウ様だった。
(キールくんみたいだと思ったのに、すごいがっしりしてる)
見た目は少年だったのに、村の人間とは全然違った。
食事を取らなかったからか、落ち込んでいたからか、その体はとても冷えている。亜人の平均体温は人より高い。
ギュッと抱きしめていると次第に暖かさが移っていく。
こわばった表情がだんだんと柔らかく穏やかなものに戻ってゆく。それがなんだかとても嬉しかった。
このまま一緒にいよう。そう思って……思って…
(あれ?)
自分がユウさまを抱きしめたまま、小刻みに体を擦り付けていた。自分が何をしているかが数秒遅れて頭に浮かぶ。
マーキングである。
カッっと頬が熱くなる。
自分のものだという主張は自分のものにしたいと言う主張でもあり、同時に盗賊退治の際に見てしまったユウ様と女性との情事に近い状態に今自分がいるということだった。
体と腰をユウ様にこすりつけるだけで、ピクピクと体が震えるのがわかる。とても心地よく満たされる行為だった。
そして同時に彼を元気づけるための行為をしていたつもりなのにこんなことをするなんてと罪悪感をいだき――
ぎゅむっ
両手の内側に通すようにユウさまを抱きしめていたせいで、私の体の裏側に回っていたユウ様の手が私のおしりを掴んでいた。
ギュッと掴まれただけで、ビクビクッとあのときのようにしびれるように気持ちいいが体を駆け抜け、んんっと声が漏れた。
何度かムニュムニュともみ続けているうちにいい位置を見つけたとばかりに擦るように動き出す。
一方的な行為ではなく、ユウ様にも求められているのを感じる。ずっともやもやしたものが小さく胸の奥にあった。
ユウ様は一人になってどこかに行って、戻ってくるといつも誰かの匂いをさせて帰ってきた。
今まではそれがわからなかったけど、情事を覗き見て、リファナちゃんに教えてもらって、今はすこし知っている。
ユウ様の手はするりと肌着と下着の超えて入ってくる。
指先が動くたびにぬちゅぬちゅと音を立てる。
自分一人で触ったときなど比較にならない快感に体が震える。
はあ、はあ♥と息が荒くなり、どこか熱を帯びている。
指はそのままそおっとにゅぷっと奥に入ってくる。指だけがクニュクニュと動き回る。中の壁をこりこりとかかれるとそれだけで頭が破裂しそうだった。
「あー、うー、あぁっ♥」
ぬちゅぬちゅぐちゅぐちゅと静かなはずのテント内でうるさく音を立てる。漏れる声が大きくなっていくのがわかって必死に我慢しようとする。起こしちゃ駄目だって、我慢しなくちゃって。だから、ああ、ユウ様ごめんなさい。
カプリと牙を立てないように首筋に甘噛すると、それだけで興奮して真っ白になってしまった。
「ゆう、様あ、ゆうさま、ゆう、ユウ……」
ユウ。そう呼ぶだけで心が満ちるだけではすまなくて溢れそうだ。人の気持ちも知らずに責め立てる指からの快楽に震えながらもぎゅっと抱きしめる手は離さなかった。
**
「ふああ、よく寝た」
だいぶ久しぶりにぐっすりと眠った気がする。
食事も取らずにまっすぐに寝たからだろうか? 妙な満足感を感じる。はてと体を動かしてみると、がっしりと子猫が親猫に張り付くようにラフタリアが体にへばりついていた。
気まぐれに乱れた髪を治すように撫でると「ゆうしゃま」とむにゃむにゃ寝言を喋っている。
「仲間はいたか……」
自分を見てくれない、愛してくれないと嘆いていた。
また裏切られたと、自分には愛してくれる人なんていないんだと。
かつての世界では仲間はいなかった。ついてきた女がいただけだった。はらませるための体で、彼女たちにとっては女神の祝福を授ける道具でしかなかった。
でも、彼女は仲間だった。
最後まで一緒に来ると誓ってくれた子だった。
「ありがとう、ラフタリア」
ラフタリアさん、最高の仲間扱いされる。
頑張らないとそのままいい人だぞ、ラフ!
ラフタリアの初めては?
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小さいまま。勇気をください
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大きくなる。あなたのおかげです!