「期限が切られたな……」
視力を魔力で強化し、数キロ先に陣を引く軍勢を見る。
王都の兵士はおらず、練度自体もそこまでではないが、勇者として相対する場合はむしろ弱さこそが厄介だ。
確かに勇気を持って立ち向かうと誓ったが、これはハードじゃないだろうか。
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「ラフタリア、ガエリオン。俺は、メルさんに会いに行こうと思う」
「会ってどうするなの? こんなことしたんだし、そもそも敵なの」
スッキリした目覚めのおかげだろうか、胸の内が軽くなり、答えを出せた。
「会って、あって」
かけるべき言葉はなんだろうか。
ごめんなさい? どうして?
「その答えはまだ出てない。でも、会ってーー」
メルさんはこの世界で最初に出会った優しくしてくれる人だった。勇者たちではなく個人を見てくれているように感じた。
どこか姉のようにも感じた。
金だけ渡して任せるようなところのあった王とは別に、個人で周りに協力を頼んで素材を集めてきた。
勇者のためと言う理由があっても、職務にないことをやるのは大変だったろう。彼女は俺を見ていたと思う。
だからこそ、会いたいのだ。
本当に、嫌われているかもしれない。
だったら謝らなければいけない。
本当は、嫌われていないかもしれない。
だったら助けなければいけない。
『あ、あの、またこの世界を守ってくれてありがとうございます。私も、微力ながら勇者様のお力になりたいと思いますので! ――さよなら』
別れだけを受け取って今までされてきたことを信じなかった。
きっと彼女も他の女と同じなのだろうと決めつけた。
今思えばーーもしかしたら、勇者として抱き捨ててきた女性たちの中にも愛していない子供を宿すことに嫌悪していたり、逆に、街や大切な人を救ってくれたと感謝して喜んで抱かれた人もいたのではないかと思う。
目にも映らなかっただけで、見ようとしなかっただけで。
中には勇者としてではなく一人の男として見て、良し悪しをともかくとして、子供を宿した人もいたのではないだろうか。
少なくても、日本では、勇者の肩書をなくしていたのだから、あそこではそういった人たちもたくさんいたのではないだろうか。
だからこそ、彼女がしてくれた、かけてくれた気持ちは偽物じゃないと信じたかった。
「会って、ありがとうって言いに行く」
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こうして決意を決め、シスターのアッテノと商人のラビに情報をもらい、メルさんがイドル=レイビアの屋敷にいることがわかった。そして、ある人物の接触と提案。行動は決まった。
屋敷前には兵士たちが多く並んでいる。
彼らの名目は女性にひどいことをする勇者を国外追放を要請することであり、国家側は本人の証言を求めると要求していた。
だが、これをイドル=レイビアが愛する妻は悲しみの余り外に出られる状態ではなく、勇者に弄ばれたせい傷ついている、好機の視線に晒すことはできないと拒否。
そうして、本人が現れ、謝罪をして国を出てゆかないのであれば王都へ攻め入ると軍と勇者一同で圧力をかけ始めたのである。
同時に勇者たちに俺は力ずくで隠そうとしていた、私は愛する妻が笑って暮らせるようにこの国から出ていってもらいたいだけだと涙ながらに語りかけ、取り込みを完了したらしい。
「まずは防御力を上げる。殺さずまっすぐ走る。勇者の相手は俺がするから、二人は作戦とおりに行動してほしい」
メルティとマルティからも兵を殺さないのであれば後始末はなんとかすると言われている。
権力者のなんとかする、は心強い言葉だった。
「わかりました! 必ず助けてみせます」
「ガエリオンにどーんと任せるなの!」
二人はそう強く返事を返す。
魔物相手ではない、人間の軍勢を戦い。
勇者対勇者の戦いが始まろうとしていた。
少数の勇者と軍勢で戦うためには相手から攻めてもらわなきゃいけないわけで、イドルさんは勤勉に根回しをしたようです。
イドル「我が軍勢に教会の協力者。なにより四聖勇者が加わった以上負けはない!!」
ラフタリアの初めては?
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小さいまま。勇気をください
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大きくなる。あなたのおかげです!