※この作品はR-18です。

性勇者様のやり直し   作:もこもこ@

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064 四聖勇者VS刀の勇者

 世界はこんなはずじゃなかったでいっぱいだ。

 

 仲間の勇者を利用してやろうと思ったのが悪かったのだろうか。いや、そもそも、これは刀の勇者を追い詰めるための攻撃だったのだ。あいつを信じて真っ先に動ければ……。

 

 いや、どのみち異世界の勇者の事があった以上はどうしようもないか。

 

 尚文はこれ以上悩むまいと深くため息をつく。

 ここは刀の勇者に襲われたらしいメイドの夫であるイドル=レイビアの屋敷前だ。

 前回の波ほどではないが兵士と聖職者が混在して整列しており異様なただ住まいである。

 

「リファナ、頼んだぞ」

「はい! 必ず」

 

 尚文の言葉にフィーロに乗ったリファナがかけていく。

 現在の状況の共有と、勝利、敗北の際の扱いだ。

 正直、成長を確信している今ですらあいつに勝てるとは思えない。憤怒の盾を見込んですらだ。

 

 女王との契約でリファナ達を連れて逃げる選択肢はもうない。

 ならば敗北の場合も考えておかねばならない。

 

 勝てた場合の要求は国外追放と戦争禁止だ。

 負けた場合は罪のチャラ……としているが、合わせて事実確認と事実ではなかった場合国家権力をもってイドル=レイビアは責任を取らされることになる。

 

 ただ、刀の勇者一人に四聖勇者全員が負けるのは色々とまずい。異世界の勇者の話がない状態ならともかく、恐怖からの排除へと繋がる可能性がある。

 

 故に尚文は起死回生の一手をリファナにお願いしたのだ。

 件のメイドを勇と会わせる、という手だ。

 

 ユウが無理やりしたのではないかという点に関しては今でも否定はできないが、イドル=レイビアの本人を出させない態度から真実ではないことがほぼ確信できた。集めた情報からも少なくても彼女は直前までメイドとして働いており、勇へと別れらしき言葉を告げたということも判明している。

 

 その態度も脅された人間のものとは思えないと聞いている。

 王城の人間が噂に懐疑的なのは二人の間にある空気を知っているからだろう。

 

 であれば隠れているのではなく、隠されているのだ。

 男爵令嬢の立場ならともかく、イドル=レイビアという頼りになる夫ができた現状でならむしろ前に出てアピールすべきだ。それをしない以上、表に出せないという意味であり、イドル=レイビアの方こそ怪しい。

 

 女王の隠密部隊である影の総力もあり、メイドが連れ込まれてから屋敷を出ていないことはわかっている。であれば後はこの軍勢を避け、救出できれば勝ちだと言えるだろう。

 

 軍と勇者がぶつかっているその間にリファナとフィーロ、ラフタリアとガエリオンの四人での救出作戦を実施するのだ。

 

 **

 

 そうして、軍の前に勇が現れる。

 

 おちゃらけていた元康でさえ本気の表情に変わる。

 堂々と、真っすぐ歩いてくる勇はそれだけで強い威圧感を放っている。殺し合いをしないことを前提とした戦いで出会っても敵対するだけでこんなに恐ろしい。

 

 レベルは上げた。勇者の強化法も樹と共有して鍛え上げた。

 なのに、体が震えてくる。

 

 これほどなのか。

 これが魔王を打倒した成し遂げた勇者なのか。

 

 だが、怯んだままではいられない。

 自分もまた守るものを持った勇者なのだから。

 

「防御は俺が担当する。だから、お前たちは攻撃し続けろ! 四方を責められて防げる人間はいないっ!」

「ええ、尚文さんに言われるまでもありませんよ」

「勇者初のチームバトルの相手が仲間っていうのはしまらないけどな」

「挑んでみたいとは前々から思っていた」

 

 勇者たちは獲物を構える。

 

「まずは強化だ! 力の根源たる盾の勇者が命ずる。伝承を今一度読み解き、彼の者の全てを支えよ! 《ツヴァイト・オーラ》!」

 

 協力者として登録した兵たちと勇者たちに全強化魔法がかかる。続くように他の勇者たちや僧兵からの支援魔法がかけられる。体にかかっていた威圧もどこか小さくなったように感じた。

 

 ──これならいける。

 

 笛がなり、怒号が広がる。軍勢が一歩進み、勇者たちが駆け出した。

 

「まずは小手調べ。《トルネード》」

 

 これだ。詠唱のまもなく放たれる勇が勇者をしていた世界の魔法。呪文らしき言葉もなしに突然強力な風が吹く。

 勇者ですらその場に立っていられなくなりそうな強力な風が洗浄に吹き荒れる。

 

 人間が空き缶か小石のように巻き上げられ、吹き飛んでゆく。天変地異を操る超常的なその力。

 だがこのくらいで引くわけにはいかない。

 

「させるかよっ! 流星槍!」

「チャンスに変えます! 流星弓!」

「突破しろっ、流星剣!」

 

 土埃を含む風に視界が怪しくなっている中、勇者たちは範囲が広くて攻撃力の高い流星シリーズをまっすぐ放つ。

 絶対命中のその連撃に勇は余裕をまったく隠さず変わらぬ速度でまっすぐに向かってきた。

 

 勇に降り注ぐ流星はそれこそ小雨でも受けたように傷一つ与えていない。

 例のバリアの力のおかげなのだろうか。

 だが、敵のレベルが上っていくと使うだけ無駄になったと語っていた。ならば力ずくで打ち破るしかない! 

 

「視界は開けた! 一撃の威力を重視して攻撃だ!」

「おおおっ! ライトニングスピア!」

「ブリザードシュート!」

「紅蓮剣っ!」

 

 三種の属性攻撃が触れ合わずにぶち当たって、何かの割れる音がした。よし、やはりやぶれ──

 

 ぱちりと瞬きのその瞬間、いきなり目の前に拳を振りかぶった勇がいた。

 はっ? なんで、うそだろ、よけなければ──

 

「え、エアス──がっ!」

 

 盾ごと打ち上げられる。

 空高く吹き飛ぶ。盾越しなのに野球のボールを打ったように軽く飛び上がっている。

 今まで感じたこともない全身がばらばらになるような痛みとごちゃまぜになる視界。

 体が浮き上がる感覚……そして、頂点に達し停止する瞬間。

 そして体は重力に従って落ちてゆき──

 

「えあ、エアストシールド!」

 

 ガツンとぶつかり、しかし落下速度はかなり落ちる。

 階段から落としたゴムボールのように、ぽんと跳ね上がってから地面に転げた。

 

 殴っただけでこれか? 

 手加減するんじゃなかったのかと。

 

 そう考えて──ゾッとする。

 

 これこそ、手加減なのだと。

 

 向ける視線の先には三方を勇者に襲われ、全面から雨あられと魔法にさらされながらも傷一つなくさばきながらゆっくり歩き続ける勇がいた。

 俺がバルーンの攻撃を喰らい、噛みつかれ続けても一切怪我をしないように、ダメージすら負わないレベルなのだ。

 

 ──これが、真の勇者。

 

 あらゆる困難を一人で逆転させる存在。

 世界を脅かした魔王を打ち破る世界の希望。

 




ドラクエ3ならロマリアに行けてカンダタ倒したと思ったらゾーマ戦みたいなもの?
ひかりのたまが取れないのにやみのころもとか負けイベントじゃないか!

盾の勇者による刀の勇者アゲアゲ。

ラフタリアの初めては?

  • 小さいまま。勇気をください
  • 大きくなる。あなたのおかげです!
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