※この作品はR-18です。

性勇者様のやり直し   作:もこもこ@

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066 過去の痛み。そして

 

ぞわりと全身を不快感が舐める。

その一言で過去自分が受けてきた拷問の日々を思い出してしまい、足が震えだした。

ラフタリアの目はぎょっと大きく見開かれ、いつの間にか現れた男を凝視していた。

 

「久しいなあ、家畜。私は今までの人生で後悔というものをとんとしてこなかったが、お前達を生かしてしまい、勇者様を穢してしまったことが唯一の後悔だ」

 

青筋をたて、怒りに顔を赤らめるあの男が立っていた。

でっぷりとしたお腹を揺らし、一歩近づき、それに合わせてラフタリアはじりりと下がる。

ユウ様といっしょにいてこんなに強くなったはずなのに。

自分は今でも牢に囚われていた小さくて弱い奴隷じゃないのに。

 

「ガエリオン、この人を連れて逃げて!」

「ええ!? 大して強くなさそうなお肉さんなの。倒してから逃げればいいんじゃないの?」

「戦闘になってあの人に何かあったら困るし、少しでも早くこの戦いを終わらせなきゃ!」

「うー、ん? まあ、わかったなの。ほら、そこの。早く背中に乗るなの」

 

ろくに体力がないのだろう。メイドの彼女はよたりと立ち上がろうとしては小さくカクついており、ガエリオンに近づくのすらゆっくりすぎる。

『むっ、むっ』といらつくように強く息を吐くガエリオン。

少女姿のまま、メイドさんの股をくぐりーードラゴンへと変じた。

 

「じゃ、お先になの。ほーれ、さっさと強く体を掴むの。おちてもしらないなの」

「えっ、ど、どらごーーきゃああっ!」

「行かせるかっ!」

 

空気を引き裂きながら伸びてくる鞭。

彼女にあたってしまえばどうなるかわかったものではありません。ラフタリアは自分の体を盾としてかばう。

額にぶつかり、でもダメージらしいものはない。

なのに、怖い。

 

目の前の男が両親を食い殺した狼の魔物のように思えてくる。

村を滅ぼしたのはこいつではないのに、村を失った後のそれでも再建しようと皆で絞った希望をめちゃくちゃに打ち壊されたせいだろうか。こわい。こわい。にげたい。

私はここに人を助けに来たのに、どうしてだれも助けに来てくれないのだろうなんて思ってしまっている。

 

「は、早く行って!」

「待てっ! ーーくっ」

 

二度三度と鞭が振るわれるが、そのすべてを受け止める。

怖い。とても怖い。動き出せない。

でも、痛くはない。

ユウ様が私の力になってくれている。

 

「こ、これであなたはもう終わりです!」

「まだだ! 刀の勇者が死んでいればあの女も私に頼るしかない。死人に口なしだっ!!」

「死ぬ? これはユウ様の国外退去をかけた戦いだって……」

「我が領の兵には隙あらば刀の勇者を殺せと言っている! 四聖に負けた死にかけなら兵士であっても簡単だ! そうなったら、お前をまた奴隷としてやろう。今度こそ死ぬまで痛めつけてやるっ」

 

そうやって何度も何度も私を叩く。

次第に生きが荒くなり滝のように汗を流しながらはあはあと荒く息を吐く。

なのに、私は全く痛くない。

 

こわい、……怖かった。

でも、言っていることが馬鹿らしくて、

 

「ふっ」

「何がおかしい、獣風情がっ!」

 

笑ってしまった。

ユウ様を勇者であってもどうにかできるはずがない。

一緒に旅をしてきたから、四聖勇者とも行動をともにしていたから。彼らじゃユウ様を倒せっこない。

兵士でなんて殺せっこない。

こんなやつじゃ私に危害を加えられっこない。

 

だって、ユウ様の魔法が私を守ってくれているから。

何回も何回も、あの地獄の日々で勇者様に助けを求めていた。

勇者様は私を助けてくれなかった。

 

でも、そう、私の助けを求めた勇者は盾の勇者様だったから。

ユウ様は私を買ってくれた。助けてくれた。今も助けてくれている。

 

私はそのユウ様の仲間になると誓ったんだ。

だったら、助けを待つだけなんてできない。助けられるだけじゃいられない。

ユウ様を陥れようとする、こいつは紛れもなくユウ様の敵なのだから。強くならなきゃ。

 

そう思うと恐怖は薄れていく。震えは止まり、体に力がみなぎっていく。

あんなに大きく見えていたあの男が小さく見えてきた。

 

「お、おまえ、成長をーーやはり、獣は、亜人は魔物だっ!」

 

なんとでも言えばいい。

 

「世界の希望たる勇者様を、私のユウ様を陥れようとする、世界の敵が何を言うんですかっ!」

 

本気を出せば殺してしまう。

それが今はわかる。

だから、恨みは込めて、でも力は込めずに。

 

「これは、私やリファナちゃんやーーあなたに苦しめられた人々の分ですっ!」

 

こちらの速さに全くついていけないあの男の顔に、一発ぶちかましてやる。

バルーンみたいに吹き飛びながら、静かな地下で大きく音が響く。吹き飛んだ白い石のようななにかが遅れてカツンカツンと地面に落ちた。

 

「……やりました!」

 

あの男は生きて入るようだったが、気を失ったのか微動だにしなかった。

 

 




勇者は助けてくれなかった。何度助けを呼んでもこなかった。

でも、助けを求めたのは亜人達の勇者、盾の勇者様。

ラフタリアの勇者は、刀の勇者はちゃんと助けてくれて、今も助けてくれる。


本当はメルさん脱出、誤解を解く、ラフタリアが残ってる!? →来てくれたんだ、勇者様→ラブラブ石破天驚拳!イドル「ぐわー!」かなとか思ってたんですが、長くなるし、メルさんあんななのにすぐラフタリア助けに行くの? とか色々あったし、ユウの魔法でダメージくらわない事に気づいて守られている、って感じいいかなって思って!

アンケートは僅差でしたが大人ラフが勝ったので、助けられるだけじゃない! ということで力を求めた結果大人になりました。
皆さんアンケート回答ありがとうございます。211票(大人)対206票(子供)って僅差すぎっ!
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