※この作品はR-18です。

性勇者様のやり直し   作:もこもこ@

81 / 149
081 観光地の特別感

「り、りいくだあ……ぁ」

「は、はやく、僕をあっちへ………」

「もうにどととふねにはのらん……」

 

終始グロッキーだった三勇者に尚文は「帰りも船だけどな」をニヒルな笑みを浮かべて追い打ちをかけている。

たいして三人は絶望したように崩れ落ちた。

 

「ラフタリアちゃん、またね! ユウ様も」

「刀のヒト、じゃーねー」

 

スタスタと先を歩いてゆく尚文とそれを追う二人。

それに小さく手を振り応えるラフタリアと苦手なものを見たように目を背けるガエリオン。

 

「それで、どうしますか?」

「宿に行って部屋を確認したら準備を整えて早速行こう」

 

カルミラ島の活性化では、低レベル相手でも、普段より遥かに高い経験値がもらえるため、安全に素早く数をこなすことが基本戦術となる。

島の一部には強めの魔物が出る場所もあるようだが、そういったところは活性化前はともかく、活性化後はあまり人気がない。

故に、我々はここを狙うことになる。

巡回の経路も決めているし、距離の近い島なら飛んで移動できる分、稼ぎは捗るだろう。

 

「えー、でも観光したいなの。船のご飯飽きたなの」

「それは……そうですねえ……」

 

ラフタリアも店先に吊るされた肉を見ていた。炙りながら回して焼いている肉をそいではパンに挟んで売っている。

ドネルケバブのような料理のようだ。クジラに似た生き物の肉らしいが羊や鳥のとは一味違うよ! と声を張っている。

パチパチと滴る油の香りがクウと腹に来る。

その隣では小さく切ったタコらしきものを串に挿して焼いており、ドロっとしたタレがハケで塗られて売られている。

香りが殺しに来ていた。

 

「海の幸はそういえば最近食べてないなー」

 

海を超えないと胡椒がない、勇者よ、コショウをくれれば船と引き換えよう、なんて世界ではないので味付けは結構豊かではあるが海の幸はやはり海に近くないと質が落ちる。

燻製や干物、塩漬けと色々あったがやはりとれたては別格だろう。

パタパタと串から煽られる匂いに頭は一色になってしまった。

 

**

 

「はふはふ」

「がぶがぶ」

「あー、採れたてはうまいなあ」

 

ラフタリアは串から一口で肉二つ、もう一口でネギ一つと食べ進め、ガエリオンは山のようにもられたケバブをガブガブと口に放り込んでいる。

幼い少女の見た目には合わない様子だったが、正体がドラゴンでは仕方がないだろう。

濃厚な甘みの感じるタレの塗られたタコはプリッとしており実に美味しい。

はふはふと息が漏れる。

タコだけ食べておるとたこ焼きが食べたい気持ちになる。この世界にもあるだろうか。

ありそうだ。勇者が召喚される世界だけあるが、異世界なのに見知ったようなものと出会うことは多い。

 

食べ終わったばかりのタコを思い出しながらぺろりと唇を舐める。

 

**

 

「右っ!」

 

ガエリオンのドラゴンの気配は人になっても魔物にはわかるらしく、弱い魔物は彼女を避け、強い魔物は向かってくるものが多い。

経験値の割には弱いこの島では必然的にラフタリアにヘイトが集まる形になる。

幻影を行使する剣士であるラフタリアは一対一には強いが対多数には課題が多い。逃げるような避け方をしながら、フリーになったガエリオンの火炎が魔物を焼き尽くしてゆく。

 

「くっ、助かりました」

「全然なの。あ、また来た」

 

新しい増援にふううと大きく息を吸い込むドラゴン姿のガエリオン。

しかし現れた魔物は鋼のように輝く外殻をもったカブトムシだった。

選択を間違ったとばかりにためらいのあとに吐き出される息は見た目道理耐えられてしまう。

息の勢いにその場に釘付けられた魔物にラフタリアが襲いかかり、首をたった。

グルンとカブトムシの頭が吹き飛び、体が倒れる。

 

「……対多数は苦手です」

「まあ、剣士の宿命みたいなところはあるけど……」

 

剣士は剣の届く相手を殺す技が多い。そういう意味で刀の勇者である俺も対単体のほうが威力がある技が多い。

だが、かつて勇者を行っていた頃は一人で魔王軍を相手にしていたのだ。

むしろ無休憩で永遠と大群を相手にする戦いこそを得意としていた。

 

「ガエリオンの溜めを守る剣だと思えば……」

 

巨体に育つドラゴンは体を振り回すだけで周囲への攻撃になり、ブレスを吐けば範囲攻撃になる。

溜めの間を守るドラゴンライダーとしての立ち位置こそこのパーティでは有効そうである。

 

「でも、私はユウ様を守りたいです」

 

そもそも、俺はピンチになるんだろうか。ならないというのは油断である。

体に張る力はかつてより更に力強い。今なら死ぬかもしれなかった戦いであった魔王相手でも無傷で倒せるに違いなかった。

 

「なら頑張らないとな」

 

しかし、油断はできない。

もしも女神とやらが敵であれば、どれほどの強さかわからない。

それに勇者もだ。

ラフタリア経由でリファナから尚文の”憤怒の盾”の力は聞いている。まさか尚文だけが特別とは思えない。

憤怒の剣、弓、槍。

それらがこちらを向くことも考えられる。

 

ゲームシステムのような強化法のあるこの世界で強さは経験を積む速度を遥かに超えて強くなる。

彼らとのあいだにあった勇者として世界を救った経験の差も今この瞬間縮められていてもおかしくないのである。

 

「さあ、訓練を再開しよう」

 

強く、誰よりも。

勇者は誰よりも強い。だからこそ誰もが勇者の言葉を聞き入れるのだから。

大切なものが増えたからこそ、誰よりも強くならなければ行けなかった。

 

 

 




ファンタジー世界でトップランキング料理の串焼き。
でも、ドラゴンの肉とか食べてみたいけど、美味しいんだろうか。
トカゲの肉だと思うと、うーん。というかそもそも、噛み切れるのかなあ?
硬いのは皮だけで中のお肉は柔らかい可能性もあるかー。

エロシーンほしいサブキャラは?

  • メルティ・マルティ
  • メイドのメルさん
  • 商人のラビさん
  • ガエリオン
  • まだエッチしてない原作キャラ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。