「いったいどこに!?」
部屋に戻るとそこにはリーシアはいなかった。
どこを探してもいない。
部屋を出てドアを見ても、部屋を間違ってはいない。
自室に戻ったのだろうか? リーシアの部屋を見ても、そこには荷物一つない。
「うーん」
生命感知は引っかかる数が膨大になるので、街だと役に立たない。
勇者のようにマークしていれば見つけることも可能だが……。
強さで絞ろうにもここはカルミラ島。
経験を積むための冒険者達が山程集まっている。
リーシアはレベルの割にはステータスが低いこともあり、検索条件が指定しにくい。
聞き込みをしながら歩いていると……。
「あ、尚文。それって……」
濡れ濡れのリーシアをフィロリアル姿のフィーロが背中に乗せている。
彼女の手や髪からはポタポタと滴っていた。
彼女からする磯の香り、死んだような暗い瞳を見てまさかと思い当たってしまう。
「え、身投げ?」
それに対して尚文はめんどくさそうに「ああ」とだけ答えた。
「で、お前こいつどうする気なんだ?」
「尚文はどう思う?」
聞いてるの俺だろ……と頭をかきながら尚文はリーシアに同情半分の視線を向ける。
「話は軽く聞いた。けど、仕方ないだろ。実力が足りてないっていうのはパーティーから外すまっとうな理由だ。危険だってある。それに俺と違って樹は幾らでも募集すれば入りたいってやつはいるだろ。なのに、今のレベルになるまで面倒見た上で使えないならまあ、しょうがないだろ」
赤裸々に語られる言葉にリーシアがポロポロと涙を流す。
「その上で、強くなりたいならそこの親切な女好き勇者に頼むんだな。フィーロ、渡してやれ」
「はーい!」
ぐったりとした彼女の体は柔らかく力が入っていないせいでぐにゃりとしていて支えにくいので抱き上げる。
「ふええ」
「まあ、お礼を言っておくね。ありがとう。樹から仲間にする許可をもらってきたのに部屋にいなくてあせったよ」
「ふえ……」
「まあ、お前が育てると言うならなんとかなるんだろ。じゃあな」
「刀の人ばいばーい」
面倒事はゴメンだとばかりに大きくため息を付いて去っていく尚文とフィーロ。
もうひとりはラフタリアのところ辺りだろうか。
抱き上げながら歩く。
「それで、どうする? 故郷に帰る? それともーー強くなって樹を見返す?」
「それはーー」
「強くなりさえすれば、役に立つようになれば、扱いはさておきパーティーに入れてもらってたんでしょ?」
「ーーはい、私、強くなりたいです!!」
「何でもする?」
「はい! 強くなるためなら、なんでもします!」
ーーその言葉が聞きたかった!
**
「うわあ、これはひどい……」
パーティーに入ってもらってステータスを見たがこれはひどい。
はっきりいってザコザコのザコである。
しかも、近接職向きのクラスアップしたせいか、全ステータスが平均的だ。
平均的にザコのため、救いようがないタイプのザコである。これは弱い。
全属性の魔法が使えるが、その魔法がステータスのせいで全く有効に働いていない感が強い。
これはひどい。
「ふえええっ!? やっぱり私ダメですかー?」
「まあ、とりあえず色々試すか……」
**
あなたは自分に向かってくる野球ボールに対してどう反応するだろうか。
打ち返す? 避ける? 防ぐ? それとも、何もできずに棒立ちになるだろうか。
危険に対する瞬間的な反応は、やはり適正と言っていい。
鍛えることで変更もできるが、根本的な反応ではあるのだ。
リーシアは立ち尽くした。
軽く投げた玉で痛みはないが、それでもやはり前衛向きの正確ではないというのがよく分かる。
逆にーー
「あ、また負けた」
「私の勝ちですね!」
最初は負けに負けたポーカー。
しかし、勝ち方を教えてみると一気に勝率が変わる。
捨てられていく山札と、残りのカード。それを元にした確率計算。
「次はこの砂時計。30秒で落ちきるから、その前にストップと言ってね」
9割野確率で30秒ピッタリ当て続け、残りの1割も29秒といったところだ。
手前であり、オーバーしていない点も好ましい。
「バフ、デバフ役がいいかもね」
「バフ、デバフですか?」
そもそも、フィロリアルに騎乗の上、弓を撃つスタイルの樹に役に立つことを考えると枠は少ない。
敵を阻む盾、傷つく仲間を治すヒーラー、弓の効かない敵へのマジックユーザー、弓自体を強くするバッファー、敵を弱くするデフバッファー辺りだろう。
判断はできるものの、運動神経が死んでいるリーシアに盾は難しい。
ヒーラーはそもそも怪我がなければ活躍の場がなく、樹のパーティーは前衛が防御に徹するため大きな怪我が少ない。
そもそも、彼女の唯一の利点である全属性が行使できる点を見逃す手段はない。
俺や尚文のように、全ステータスを向上させるオーラ系は楽ちんだが、上昇率が低く、各属性にある攻撃力や防御力だけを上げる魔法はその分強化率が高い。
誰に何をかけるかという判断力と、必要なバフ、デバフを継続してかけ続けるための時間間隔は十分にある。
「じゃあいくか」
「行くってどこですか?」
「王都で奴隷契約してからLVを1に戻そう」
「ふえええ!?」
言葉が頭に届いた瞬間にリーシアは駆け出して……瞬間捕まえた。
「イツキ様たすけてええ」
「強くなるためだから! 強くなるためだからっ!」
「お、おかあさあああんん!、おとおさああん!! いつきさまあああ!!」
先程までとは別種の鳴き声が上がった。
逃げられないよう体を押さえつけると観念したのか、目から光が消えていた。
ん? 今なんでもするって?
でも正直、仲間になってすぐのラフタリアレベルのステータスって相当ですよね。
大器晩成で70から追い上げるみたいですけど、通常のLV限界が100だと考えると……むしろよく頑張って育てたなレベル。
樹もなんだかんだで純粋に慕われて気に入っていたんだろうなーと感じます。
その代わり、限界突破と気を操る技術を得た途端トップクラスに躍り出るバランス崩れたキャラ…。
ゲームなら隠しダンジョンで初めて評価が好転するキャラって感じですよね。ヒドイ。
リーシアさんの方向性を参考に教えて下さい
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樹様大好き一途。勇様ありがとうございます
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樹様大好き一途。勇様はエロテク教師です
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樹様大好き、でもエロは勇様と♥
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樹様は尊敬、でもパートナーは勇様です♥
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樹様も勇様も純粋に尊敬してます!!