奴隷。
人でありながら所有の客体……すなわち所有物とされるものを示す。
人としての権利が認められておらず、契約内容にその権利を更に縛られる。
Lvリセット。
レベルとはその者が今まで積み上げてきた人生の結果である。
レベルは魔物と戦うことであげられるが、命をかけて得てきた結晶でもある。
クラスアップ効果も消え、完全に生まれたばかりの状態に戻る。
奴隷ですら保持できる今まで生きた証を奪う恐るべき行為である。
「それをうばうなんてえええ」
「だから、強くなるためだって」
「あの、ユウ様、無理強いは良くないんじゃ……」
「強くなるためなの。勇者の加護がもらえるんだから喜んで奴隷になるべきなの」
「喜んで奴隷になんてなれませええん!」
龍刻の砂時計の効果で手に入るテレポートで一足先に王都に戻り、国と教会に許可をとったのにこれである。
奴隷になってもらうだけで契約で縛ったりしない、と言っても拒否感が強いようだ。
そもそも奴隷もレベルダウンも罪人が受けるものという意識が強いらしい。
どうにも日本人であった自分にはゲーム的な要素として軽く感じてしまう。
まあ、日本で無職の人に前科つくけど正社員にしてあげるよと言われたらまず別の会社を探すのと同じだろうか。
「でも、勇者の加護を一番受けられるのはその存在を勇者の”モノ”にする奴隷か従魔か。向いていない方向にクラスアップしてしまった以上、このままどれだけレベルを上げたところで勇者どころか、その仲間の後を追うことすらできない。俺は必ず君を強くする。でもそれはリーシアに強くなれるなら何でもすると言うならだ。弱いまま樹と一緒にいたいと言うなら、家に帰って勇者に縁談でも申し込めばいい」
「それは……嫌です。私は……一緒にいたいんじゃなくて樹様のお役に立ちたいんです。ーー一緒には、いたいですけど……」
ならばこれ以上言うことはない。
どう考えても実力不足で捨てられた人間が、落ちぶれた人間が返り咲こうとするなら今の自分を変えなくてはいけない。
今のリーシアには過去のリーシアを捨てる覚悟がいる。
そしてその覚悟は自分の意志で示さないといけない。
誰も口を開かない静かな時間がすぎる。
リーシアは顔を上げる。
ーーその瞳には強い光が宿っていた。
「覚悟ができました。……何でもしますっ! 私を! 強くしてください!」
「その言葉が聞きたかった!」
2回目だが、今度こそ本当の何でもするだ。
とはいえ、あくまでしたいのはシステム上のステータスとしての奴隷なので、随時奴隷としての模様が浮かぶ安い奴隷契約ではなく、貴族などが訳合って契約で縛るための普段は奴隷紋が浮かばないタイプの契約を行う。
これで教えなければリーシアが奴隷であるとは気づかれないだろう。
ステータスを確認し、リーシアが俺の奴隷になっていることを確認する。
そのまま龍刻の砂時計の元へ行き、教会の協力でリーシアのレベルをゼロへと戻した。
「ふええ。体に全く力が入りません……」
人差し指をさしだして握ってもらうが、赤ん坊かというぐらいに力がない。
乱暴に振り払ったら折れてしまいそうな気持ちになる。
一見すべてをなくしたリーシアだが、その胸に燃える心が残っている。
これさえあれば今度こそ羽ばたく力を得ることができるだろう。
「じゃ、レベル上げを開始しようか」
「はいっ!」
**
再びカルミラ島に戻りあと僅かな活性化の期間を駆け抜けたが、活性化が終了してしまった。
カルミラ島で体験した他国で起こっている波に興味が出たというのもあるが、女王の手引で各国の波情報を得た。
毎日各地の波を駆け回り、魔物を倒しては倒しては倒した。
波から次の波への移動中の魔物を狩り尽くしては走る。
数日間戦いっぱなしだが、レベルは上がった。
「ふええ、前の5倍以上は強いです!!」
レベルが40になり、クラスアップで後衛職をとった。
前衛職を取ってHPや腕力にプラス、魔力やMPなどにマイナス補正がかかっていた頃からすれば2倍程度に。
そのまま70程度上まで上げ、今度は勇者の力でレベルを1に戻した。
初期値に加算がつき、クラスアップ後のクラスの成長率でステータスが向上。
(その分腕力などは強くなった今でも幼女だったラフタリアとさほど変わらないレベルのままだ)
結果、レベル自体は75とレベルダウン前とそこまで変わらないにも関わらず、元の5倍以上となった。
だが、それでも……それでも魔法剣士型で攻撃・魔力と両方に秀でる特化型でないラフタリアに全体的にステータスが落ちるあたりがとても悲しい。
唯一の救いは彼女が大器晩成だということがわかったことだ。
70くらいから一つ上がるごとにクソのような成長率だった頃に比べて大きくステータスが上がるようになったのだ。
このまま行けば、LV100(人類上限値)になる頃にはラフタリアに迫るどころか超える……ステータスもあるかもしれないレベルである。
最大値でようやく追いつくような追いつかないようなレベルの資質がもの悲しい。
だが、ガエリオンに竜帝のかけらを与え、竜族の秘術で上限を突破できれば……。
LV100からはボーナスモードである。
であるが、彼女は俺のパーティーではない。そこまでするかは未定である。
とはいえ、現時点でもステータスについては非奴隷の勇者パーティーの仲間を超えていることは確実だ。
「こ、これでイツキ様もっ!」
「いやいや。能力上げただけじゃん」
ステータスが上がり、全属性の魔法が生きることになる。
だが、ゲームをやったことがある人間ならわかるだろうが、例えば、前衛が怪我をした瞬間に完全回復魔法を連打するやつやどう思われるだろうか。
魔力はあっという間に底付き、なのに魔物に注目され、真っ先に狙われる。
そのクセ、体力も低くて魔力も空だから逃げることもできない。
回復させるお前こそが回復が必要じゃないか。そうなった果てには不要の烙印が押されることだろう。
そして、ステータスがあるのに役立たずとなれば二度目はもうない。
魔法には面白い物も多い。
属性のエンチャントや、属性耐性の低下、毒や麻痺などの異常状態付与や、足止め、障害物の創造。
ぶっ放すだけの魔法の効果以上の結果を出す補助魔法の存在。
だがそれもどんな相手に何が強くて、何が弱くて、いつ何をすればいいのかという自分の中の手札の整理が必要だ。
言ってしまえば戦闘経験値が必要である。
ここから本当の
**
「ふええ、すみませ~んっ」
自分が急に得た力への全能感に、やや半信半疑だったリーシア。
ラフタリアとガエリオンと模擬戦をやらせればステータスは同等、と言わないまでもある程度追いついたはずなのに全く怪我を負わせることなく沈んでいく。
これは当然の結果だ。何をするにも判断が遅いのである。攻撃を避けてから何をしよう、魔法を唱えようと足が止まるのだ。
無限のように増えた選択肢に何をすればいいかの手が止まってしまっている。
ゲームで言うなら魔法メニューを選んだあと大量の魔法名に下ボタンを何回も押しまくってようやく目当ての魔法を使おうとするが魔物にポカポカ殴られる感じだろうか。ゲームだったらメニュー選択時は戦闘を止められるかもしれないが、現実は無慈悲に攻撃してくる。
「まあ、一旦戻ろうか」
レベルは経験値さえ稼げば上がるが戦闘経験は良質な戦いを経験しないとたまらない。
自分と二人であれば苦戦することがない。一生強くはならないだろう。
後衛の補助戦闘スタイルである以上、他人の戦いも知らないといけない。
どうされると戦いやすくて、どうされると助かって、そんなコミュニケーションを行えるようにしなければいけない。
そこも鍛える必要がある。
何年もかけた成果が消えるんだから勇者から見た奴隷化、レベルダウンと現地の人の間隔は大きく違いそうですね。
新卒から十年以上かけて努めてきた会社をクビになった上に貯金がゼロになるみたいな?
読者視点だとどうしても軽くなりますけど、尚文が信頼できるならと奴隷のままだったラフタリアの気持ちは結構重いものですよね。
リーシアさんの方向性を参考に教えて下さい
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樹様大好き一途。勇様ありがとうございます
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樹様大好き一途。勇様はエロテク教師です
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樹様大好き、でもエロは勇様と♥
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樹様は尊敬、でもパートナーは勇様です♥
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樹様も勇様も純粋に尊敬してます!!