※この作品はR-18です。

波間の向こうを目指して(新・本編)   作:夢枕 七変化

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本日より、エニエス・ロビー編となります。全48話です。
プロフィールで紹介している本編恋愛候補者は最低でもキスシーン、場合によってはそれ以上の行為が入ります。ルフィ以外とのシーンは全てヒロインの合意無しです。
ご理解の程、宜しくお願い致します。


エニエス・ロビー編
電撃


 約束した通り……ただしルフィを除く……麦藁の1味がパッシングトムの中で待機する。ガレーラから来た3人の船大工と、フランキー1家が戦ってくれている筈。

 ゾロは表に出ていて、敵が残っていたら鉄柵共々に切り裂いて道を作ってくれる予定になってるけど、さっきから頭痛がするのよね。これ、今来てくれて本当に良かったわ。

 

 「ナミ……大丈夫か?」

 「えぇ、いつものやつよ。大丈夫」

 

 声も出せるし、軽いわと思った直後、ここでパッシングトムが空を飛ぶ事を思い出して、溜息が出る。……そうよね、麦藁の1味が作戦通りに話を進めるなんて出来る筈がないのよ。

 列車は時間になり動き始める。その直後入った連絡は、正門が閉められたので船内にしがみつけと言うもので、私は咄嗟にチョッパーを抱き締めた。

 海列車が空を飛ぶ。着地については運に任せろとゾロが言うから、イザとなったらチョッパーだけは抱いて脱出すると心に誓い、腕に力を込めるとチョッパーが身じろいだ。

 

 「ナミ、俺はルフィじゃねェからクッションになれないぞ?」

 「チョッパーの事は守るから、そのままでいて」

 「俺を守る為!?なら離せよ!俺がナミを守るんだ!」

 

 怒るチョッパーに私は言う。離すもんかと思ってるのはこの場合秘密だ。

 

 「陸に降りられたら、あの丸くなる技で私を守って!陸がなかったら、私が連れて逃げるわ」

 「……それならよし!」

 

 チョッパーのそれを聞いて私は最悪の時は、その後で1人ずつ助けに行かなきゃと心に誓い落下の衝撃を待つ。けれども明らかに落下ではない衝撃を受けて私はチョッパーを庇う為に抱き締めて受身を取ると、それに気付いたチョッパーがナミの嘘吐きと叫んでるのを聞く。

 知らないもんね。チョッパーは船医なんだから、守って当然なのよ!

 振動が落ち着いた後、ゾロとサンジ君が表で喧嘩を始めたのを聞きながら、私はチョッパーを離して2人の喧嘩を止めるべく列車から降りる。ココロさんとチムニーのおかげで攻撃が止み、先に降りた2人は未だ喧嘩を続けているのを確認してクリマタクトを回す。

 チョッパーとウソップは仲良く1緒にいて、これなら位置的にちょうどいい感じねとクリマタクトで雷雲を生み出す。喧嘩してる2人を囲むように多くの雑魚がいるから、1掃しようとルフィと2人の時に使う威力でサンダーボルトテンポを放てば、喧嘩をしてる2人ごと見事に黒焦げになった。

 

 「うん、完璧ね!」

 「何処がだよ!仲間にも被害出てるだろうがよ!」

 

 ウソップが騒ぐけど、喧嘩してたら戦いにならないんだから1緒じゃない。それに……。

 

 「てめェ!おいコラナミ!何しやがる!」

 「ナミすァーん!君に初めて出逢った時の衝撃を思い出したよォーん!」

 「……ね、大丈夫でしょ」

 

 私の言葉にウソップとチョッパーは確かにと頷いた。サポートメンバーは落雷に巻き込まれなかったみたいだし、良かったわ。

 

 「あの姉ちゃん、実は最強とかねェよな?」

 「「「止めろ、ありそうで怖ェから」」」

 

 そんな会話が聞こえてきたと思ったら、2人は平然と歩み寄ってくる。そして、麦藁の1味が集まった所で話題に上るのはどうしてたってルフィの事。

 

 「所で、先に突っ走ってった〝あのアホ〟は何処にいるんだ」

 「そんなの決まってるじゃない。ここ以外で騒ぎが起きてる所よ」

 

 思わず答えた瞬間、建物が爆発した。うん、ルフィはあそこね。

 

 「それじゃ……追い掛けるか」

 

 ゾロの言葉に全員が頷く。雷で倒れなかった敵が此方にいきり立ち、私はクリマタクトを構えてウソップの前に立つ。

 狙撃手である事、そして怪我の度合いを考えたらこれが正しいと思う。でも、接近戦を得意とする3人が前に出てしまえば私の広範囲攻撃は無差別だから使えないし、危険過ぎる。

 どうしたら良いかしら。今のうちに雷を落とせばいいのかしらね?

 そう思ってクリマタクトを回そうとした瞬間、背後からパウリーの声が響いた。全員を相手しながら進むとルフィに追いつく頃には日が暮れてロビンを失うかもと思っていたから、本当に救いの神に思えた程。

 

 「ここへ来た本分を忘れるな!お前らの暴れる場所はここじゃねェ!!」

 

 伸ばされたロープに掴まりキングブルに飛び乗った私達は、追いかけて来る犬使い達をどうするかと武器を構える。その時、パウリーが手綱をサンジ君に預けて後方に移動して行く。

 

 「〝あいつら〟に会ったら言っといてくれよ。……てめェら〝クビ〟だと」

 

 それにゾロが笑って受ければパウリー達は降りて行く。その背に私は慌てて声をかける。

 

 「……ありがとう!任せるわね!」

 「あァ……ここは、請け負った!」

 

 降りたガレーラの強さを知らないチョッパーは戦う姿を見て、強いと驚く。それに対して私は、本当にねと呟いてから雷をクリマタクトから放ち続ける。

 可能な限り近付かせない方向に持っていかなきゃ、私、接近戦だと役立てないもの。……どうしたって、気を緩める事は許されない。

 だってあんなにも強いガレーラの船大工達が、CP9には幼子のように扱われたのよ。弱者でしかない私が、気を抜くなんて許される筈もない。

 ある程度近く迄登ってきた敵には、爆発を起こす。海が近い、小さな島では空気中に含まれる水分が多いから爆発は案外起こしやすいのよね。

 ある程度の距離があれば電撃で纏めて撃退して、近くなったら爆発。そうして対応していく中で、ゾロがサンジ君の傍で手綱を握るのに専念できるよう立っている。

 砲弾が打ち込まれる度に、ゾロがそれを打ち返し相手が自滅する。それは既に刀ではなくバットを持つべきだと思うなんて言ったら、怒られるかなと思って言葉にしなかった私は偉いと思う。

 フランキー1家も負けては居ない。弾切れとかになんでならないんだろうと思う勢いで、砲弾やら銃弾やらを放ち続ける事で必死に戦っている。

 やはりそれだけフランキーの事が大切なのだろう。そんな中でサンジ君も手綱を握るだけでなく、飛んで来たそれを蹴り返して居て凄いなと思う。

 そう言えばと思ってチョッパーに視線を向けると、いつの間にかキングブルと会話をしている。そうして言葉が通じる事が嬉しいらしいキングブルからフランキーへの愛を語られ、チョッパーは嬉しそうに楽しそうに会話をしている姿は少し微笑ましい。

 チョッパーにしか出来ない通訳の仕事だからと、それを微笑ましく見てからまた私は攻撃に戻る。その時私に砲弾が迫ると、ゾロが迷わず間に入りそれを弾き返してくれた。

 

 「……ありがとう、助かったわ」

 「ナミは電撃と爆発で敵を片付けてる。俺は飛んで来た砲弾を弾く。何も問題ねェ。……構わずに雷落としてろ。……色んな意味で得意だろ」

 「それ、どういう意味よ!?」

 「ほら、得意じゃねェか」

 

 そう言って笑うと、ゾロはまた飛んで来た砲弾から今度はチョッパーを守る。そうして守り、守られているから今のところ全員無傷だ。

 本当に19歳の男の子とは思えない程に、ゾロもサンジ君も大人だわ。そりゃ初恋は本気でゾロ!なんて言う読者が居たのも頷けるわね。

 ゾロの男気溢れる感じと、サンジ君のレディーファースト、対比としては素晴らしいし、どちらも甲乙つけ難い、いい男だと思う。でも、私は読者だった頃からルフィへの憧れが、強かったのは確かなのよね。

 生まれ直してからは可愛くてしょうが無かったけど、多分根本的に私はルフィが好きなんだろうなと、今ならばわかる。勿論、魅力的ないい男が沢山居るとは思うけど、それでもルフィが修行終えてすぐにパシフィスタの攻撃を避けて〝遅ェ〟と言ったのがもう……本気でトキメイタのでやけに鮮明に覚えてたりするのよね。

 とまぁそんな余計な事を考えながらも、体はもう無意識に近い勢いで雷や電撃を放っていた。そんな時にチョッパーが通訳の中で、ウソップが乗らなかった事を指摘して……1瞬その場が騒然となる。

 そう言えば居なかったわ。居たら、もっと攻撃が楽だったし、私雷だけで対応良かった筈だもの。

 ウソップ、大丈夫かな。怪我もしてるし、周り中敵だらけで……。

 2年後の再会シーンに居たんだから、大丈夫、よね?死なないとは、思うけど……細かい事は思い出せない。

 それに、私というイレギュラーがいる事で、何かが変わってしまう可能性だって考えられるもの。アニメや原作では、確かにウソップはロビン救出のキーマンだった。

 旗を撃ち抜いたシーンしか、覚えてないけど……。そして、あのシーンのルフィがカッコよかったなとか、その位しか覚えてないけど……。

 だって、ロビンの泣き顔で全て意識そっちに持っていかれたのよ。美人が泣くのは威力高いんだから!

 雷を敵に放ちながら、思わず呟く。不安が、津波のように押し寄せて来る。

 

 「……大丈夫、かな。でも、戻る訳にはいかないし……」

 

 動揺する私にゾロは大丈夫だと言い切る。島を1つ超える事に強くなってるのだから、問題は無いと。

 それにより納得は出来ないけど、不安も残るけど、頷く事で答えた直後その言葉にチョッパーが首を傾げるから、私は慌てて笑いかけた。

 

 「そげキングはヒーローなんでしょ。大丈夫よ」

 「……ナミが甘やかしてるから、チョッパーは成長が遅いんじゃねェか?」

 

 ゾロの言葉に私は1瞬呼吸を忘れる。私が、何か良くない影響を出してるの?

 ナミちゃんの人生奪うだけじゃ飽き足らず、他にも迷惑掛けているの?

 言われてみれば、私はチョッパーが戦う姿を見た事が無い。いつもチョッパーが戦う時は別行動で、私は船医のチョッパーしか知らない。

 私、何か間違えた?

 不安のあまりに、私の体は微かに震える。でも、今は震えてる場合じゃないわ。

 深呼吸してから、私はクリマタクトを握り直して電撃を放った。今は、後悔してる場合じゃ無いもの。

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