跳ね橋が降りて行くのを見て、私達はロビンの元へ行けると喜ぶ。ロビン……もう少しだけ、耐えてね。
そう思ったのに、跳ね橋は半分程降りた所で動きを止めてしまう。それに対してルフィが怒りの声を上げるのと同時に、スパンコールがロビンの事を掴み動き出した。
「来い!!ニコ・ロビン!!」
「あうっ」
痛そうな、苦しそうな声がロビンからもれる。……もう1発電撃と思うけど、2人が近過ぎてロビンを巻き込むリスクがあってできない。
「誰か、カティ・フラムを連行しろ!!」
私達はそれを見ても、ロビンの名を呼ぶしか出来ない。そんな私達に、スパンコールは来られもしないと嘲笑う。
「ロビン……!……っ!ルフィ!」
「それは、駄目だ。揃って行くぞ」
「でもっ!」
「ナミ!」
私はロビンが無理に連れ去られるのを見て居られなくて、助けに行っていいかと言葉にはしなかったけど、ルフィに問い掛けた。それに対してルフィは、絶対に1人で行く事は許さないと言葉にせずに言う。
それでも言葉を続けようとした私に、ルフィは船長の顔で名を呼ぶから私は何も言えなくなる。そんな時、フランキーがロビンを呼ぶ声が聞こえた。
ルッチ達が潜入していた理由である、プルトンの設計図を手にフランキーはニンマリと悪人面で笑う。ロビンはそんなフランキーに、不思議そうな顔をしている。
……本当に、フランキーってロビンの事好きよね。ロビンのピンチは、だいたい何時もフランキーが助けてるもの。
フランキーがスパンコールをスパンダと呼んだ事で、私はどうやら名前を間違えて認識していたらしいと知る。そして、1世1代の大勝負の賭けに出たフランキーは、ロビンとロビンを守る仲間である私達に全てを賭けて、設計図を燃やした。
スパンダは動揺し大騒ぎする。CP9の面々も、5年かけて漸く見付けた探し求めていた設計図を目の前で燃やされては、言葉を失う他ない。
……なんだろう。少し、気分がいいわ。
その時下からフランキー1家が顔を出して、フランキーに声をかけた。それにより泣き出したフランキーと、共に帰ろうと呼び掛けるフランキー1家のやり取りをルフィはうるせェと言って黙らせる。
それにはゾロが鬼かと言うけど、ルフィの気持ちは分かるから何とも言えない。だってよ、そもそもウソップが出て行ったのはフランキーのせいだもの。
その後いくらフランキーがウソップに良くしてくれたのだとしても、私はフランキーを許す気にはなれない。先に手を出したのはフランキー1家で、それに反撃したら仕返しに襲って来るとか、人としてどうなのよ。
……サイボーグだから人じゃないとか無しでお願いします。ベースは人なんだから。
でも、ロビンとルフィにかけてくれたフランキーの行為に対しては、認めるしかないのかなっても思うからどうしたらいいだろうと思う。複雑だわと思った時、フランキーの1言が私の逆鱗に触れた。
「俺は、まだウソップの事、根に持ってんだからな!!」
「……いや、横にいるだろ」
「巫山戯るな!!横にいたら何なのよ!大怪我させて、喧嘩させて、ウソップを独りにして!生きていればそれだけで良いと言えるのは、加害者であるアンタじゃないでしょ!」
悪戯した子供の親が、怒る被害者に向かって〝子供のした事ですから〟と言うのと同じ。それは、被害者が加害者を許す時にのみ使っていい言葉なのよ!
加害者や加害者の身内が使っていい言葉では無い。いい大人が、そんな事も分からないとは言わせないわ。
「フランキー!アンタの妹分が犯されて、でも、生きてるんだから、孕んだとしても問題ねェだろと……命が増えるんだから良かったなと強姦魔に言われたら、アンタはどう思うのよ!?その通りですね命が増えるなんて素晴らしい事だから祝杯をあげましょうって、そう言って笑って許せるの!?」
「それ、は……」
「アンタの今の発言は、それと同じよ!!謝罪と撤回を求めるわ!!」
私の言葉にフランキーが動揺していたその時、スパンダがフランキーを崖下に突き飛ばした。え?と思う間もなくフランキーは谷底へ向かい落ちて行く。
今のやり取りの直後に助けに行くのはどうなのかと1瞬躊躇った時、ココロさんが4秒でつくから飛び込めと言う。それに動揺してると、ルフィが1人で理解して私達全員を連れて谷底へと飛び降りた。
それに伴い皆の悲鳴が聞こえる。ロケットマンに無事に着地して見せたのは唯一、サンジ君だけだった。
そんな状態でロケットマンは飛ぶ。文字通り空を、ポッポー!と可愛い音をたてながら。
見ればフランキーも含めて全員無事だと分かり、私は着地の衝撃を考えて受身を取るか覇気を纏うか考える。……怪我もあるし、覇気を纏う事にしときますか。
壁に向かい、ロケットマンは飛ぶ。激突の衝撃で歪む列車に、けれども瓦礫に埋もれようとも私達は突き進むしかない。
だってロビンが私達を信じて待っていてくれるのだから。そんな状況の中で、瓦礫の下に埋もれている私達の元にルフィの声が聞こえて来たけど、それは明らかなる暴言だった。
「おいお前ェらさっさと立ち上がれ!こんなもん平気だろうが!!」
それに対してサンジ君が怒りに震えた声で、ウソップが恐怖に震えた声で、他もそれぞれ何かの感情に声を震わせながら言う。私はそれを聞きながら、瓦礫の中で体制を整える。
「ゴムのお前と1緒にすんじゃねェ。生身の人間がこんな突入させられて、無事でいられる訳……」
その直後メンバーの声が揃い、同時に立ち上がる。瓦礫は勿論例外なく全員が吹き飛ばしながら。
「「「「「あるかァー!!」」」」」
「ほらな、全員無事だ」
「お前らも大概可笑しいからなっ!1応言っとくけども」
フランキーの言い分は、まぁ、間違っては居ないと思う。元々のナミちゃんよりは、多分私の方が少しだけ強いとも思うし。
それにしても、私は随分強くなってたらしい。覇気を纏っていたとは言えども、かすり傷ひとつ無いわ。
私も自分が強くなってるらしいと分かれば、少し嬉しくなる。女の子としてどうなんだと言われるかも知れないけど、ベルメールさんにも女の子だって強くなくちゃダメだと言われてるから、これが正しいと確信を持って言える。
その時ルフィが階段を見付けて駆け出そうとしたのをチャパパが止めた。丁寧に説明してくれるチャパパに、海楼石を知らないチョッパーがなんだろうと首を傾げる。
私はそれに説明して、でも最悪の場合私が海楼石の鍵開ければいいと思うなんて内心で思う。でも、そうもいかない事は、ロビンを助けるのにどうしたってコイツらが邪魔だからと言うのもある。
ルフィは我慢しきれずにチャパパに飛び掛り、けれども簡単に躱されてしまう。素早いその動きにルフィがコイツも剃を使えるのかと言うから、1応伝えておく。
「CP9は全員、私の得意とするのと同じ移動法を使えるわ。そして、私より体力多いから体力切れになって動けないとかも無い。指銃や嵐脚といった攻撃手段も全員持ってるから、全身が武器よ」
「……動き、鈍そうな姿してるのにな。てか、そう考えるとナミって、本当に昔から強かったんだな」
「逃げ足だけ鍛えてたのよ。何故か攻撃苦手だったから」
過去形で話したけど、現在進行形で苦手なのはちゃんと理解してます。はい。
それから私達は短い打ち合わせをして、ルフィだけロビンを助ける為に別行動となった。その時私が捕まるんじゃないかと心配するゾロに、私が微笑みを向けた瞬間私が口を開くより早くチョッパーが首を横に振った。
「守る為、助ける為のナミはある意味無敵だから、大丈夫だと俺は思う」
「……そうだな。よし、行くぞ!負けは時間のロス!全員、死んでも勝て!」
「「「「「おぅ!!」」」」」
別れての行動が吉と出るか、凶と出るか。どちらにしても、負けられない事と時間が無い事には変わりがない。
階段を駆け下りた私は、地下牢のような雰囲気のそれに眉を寄せる。隠し通路でもない限り、この先にはロビンは居ないだろうと分かるから。
……でも待って、上手くしたら宝物庫あるかも。あったら少し貰っていこう。
こんな時はいつも思うけど、四次元ポケットが欲しいわ。でも今はまだ無いから、とりあえず風呂敷で包めるだけ包もう。
まだ見てもいない宝物庫に心踊らせながらかけて行くと、目の前に五月蝿い奴が現れた。確か、名前は……クマドリ。
自在に動く髪の毛に、とりあえず鍵だけスって逃げようと決めた私は、捕まらないようにだけ気を付けつつ攻撃するフリをしてその懐から鍵を奪うと胸元に隠した。……その時ナミがいた場所は、0階独房通路であるがナミはその認識をしてはいない。
自在に動く髪と、その見掛けとは違い素早い動きを見せられた事により追い詰められていき、私は髪の毛に囚われてしまう。けれども、上着を犠牲に何とかすり抜ける事が出来た。
……私の力では勝てない。速度もほぼ互角となれば、どうしたらいいのか。
とりあえず今は、逃げるしか無いわね。そう思って駆け出したけど、そう簡単に逃がしては貰えず逃げるのにもそれなりに苦労する。
双方剃も月歩も使えるから、速度的な意味では互角。力と体力が圧倒的に負けている私には、勝ち目が見えない。
……何か、少しでいいから落ち着いて考える時間が欲しい。叶うなら誰かと共闘したいところね。
逃げ回った私が到着したのは1階の迎賓フロア。乱れる呼吸を落ち着けつつ、廊下を確認する。
追ってきてない……。撒けたのかな?
良かったわ……今度捕まったら脱げる物もないから、命が無いか、命を捨てたくなるかのどちらかになる事は……あれ?でも、私は殺されないんだっけ?だとしたら、ロビンの所に連れて行って貰うのも1つの手?
……いや、ダメだわ。私が敵の立場なら、私とロビンは会わせない。
だってそうする事で双方を人質にして、いくらでも言う事を聞かせられるもの。私もロビンも双方が弱点になり得る事は、先程のあの邂逅で明らかになっている。
なら、やっぱり自力でロビンの所へ行くしかないわね。そう思ったその時、四肢と首に髪の毛が絡まり呼吸が上手く出来なくなる。
しまったと思っても、遅い。苦しい……!!息が……。
その時、殺すなと言われたがなんて声が聞こえて、でも殺した方が後腐れがないと1突きにされようとしているのが分かり、背中に覇気を纏おうとした。それでも、酸素不足で意識が朦朧としていては、上手くいくかどうか……。
そんな中で突然開放された私は、床に落ちて転がる。咳き込みながら視線を上げればチョッパーが助けてくれたのだと分かり、最近本当にチョッパーに助けられてばかりだなと思う。
「ナミ!大丈夫か!?」
「ゲホッ……ありがとう、チョッパー。助かったわ。私は……大丈夫、よ」
「分かった。駄目なんだな!それよりあれ、本当に能力者じゃねェのか!?」
「えぇ、あれはCP9の覚えてる技を利用して髪の毛まで自在に操れるだけなの。……とりあえず、ここから逃げましょう」
私の提案にチョッパーは驚きを隠さないから、鍵を見せてとりあえず先に進もうと言えば、流石はナミとか言われたけど、どういう意味?
そうして駆け出した先で、上から降ってきた何かに驚き足を止める事となる。その降ってきたものを確認した瞬間、私は何も考えずにその体に触れて脈などを確認していた。
だって、降ってきたのはウチの三強の1人。負ける姿が想像しにくい彼らの内の1人であるサンジ君が、無残な姿に変えられていたのだから……。
後書き、必要な時を除いてもう書かない方向でいこうかなと思います。
作品の空気破壊してる気がして……。