震える腕で、震える声で、エースは間に合わなくてごめんなんて言う。けど……そうじゃない。
助かったのは助かったし、有難いけど……待って。どうしてエースがここに居るの?
マルコさんが探してたわ。そうだ、エースは飛び出して来ちゃって、でも、マルコさんと帰ったんじゃないの?
エースがここにいたら、エースは捕まって……あの悲劇しか待たない戦争が始まってしまうかも知れないのに。なのにどうして……?
「エース」
「ナミ」
自然な様子で重なろうとしてくるエースの唇を、私は咄嗟に避けた。けれどもその避けた動きを利用されて、そのまま首筋に吸いつかれる。
青雉に高められていた体は、その刺激に甘い声を出してしまう。それに気を良くしたのかエースは私を包んでいた、恐らくはシーツだろうそれを剥がしてそのまま床に私を押し倒す。
「エース!やめなさい!」
「ナミ……忘れさせてやるから」
「もう忘れたから!止めて!」
「……ナミは嘘つきだな。体はまだまだ、覚えてるみたいだぜ?」
言いながらエースは私の首にその舌を這わせるから、それによりどうしたって甘い声が出てしまう。だけど私には、青雉にやったみたいな攻撃をエースには出来ない。
「や……!エース、止めっ……!」
熱を持ったままの体は、エースから与えられる僅かな刺激にも反応してしまう。そもそも、なんでエースに襲われなきゃなんないのよ!?
「エース!いい加減にしなさい!」
「……ナミ、まさか、ここまで来てまだ分かってねェのかよ?」
「何が?」
エースは動きを止めて、私はそんなエースを素直に見上げる。……性格は父親に似たけど、顔は間違いなくお母さんに似たわね。
髪の色はお父さんで、髪の質はお母さんか……。確かにこれならイコールで、父親の姿は見えて来ないだろうなと思う。
そんな事を考えていたら、エースが真剣な顔と声で私に言葉を放つ。でも、それは余りにも想定外の言葉で……。
「……俺は、ナミを女として好きだ。だから、このまま抱かせろ」
「は?……何言って、その冗談笑えな「冗談だ?昔から何度も伝えたのに、ナミが鈍すぎて伝わってなかっただけだ!!」」
怒鳴るエースに、私は声を出せなくなる。でも、私は、ルフィの……。
エースはそれを知ってる筈で、それに……何度も伝えたって言われても本当に覚えが無い。でも、今はそれより、やめてもらう為にも、素直な気持ちを伝えておこうと決めて口を開く。
「エース、ゴメンね。私、エースの想いに応えられないわ。私は、ルフィの……ルフィだけのものでいたいの。私の全ては、もうルフィのものだと、決めてるのよ」
「ルフィがナミを求めてるんじゃなくてか?」
「私が、ルフィの元にいたいの。私の意思で、ルフィのもので居続けたいって願ってるのよ」
求められるから、拒めないから、そんなんじゃない。私がルフィを求めてるの。
でも、ルフィを私のものには出来ないと分かってるから、私がルフィのものでいたい。そう……願っているの。
そう思ったら自然と笑みが零れて、それを見たエースの顔が泣きそうに歪んだ。それにゴメンねと思いながら武器を1纏めにして、剥ぎ取られたシーツを体に巻つけようとした所で腕を掴まれる。
「ここまで来て止まれるかよ。俺は、ガキの頃からずっと……!」
「エース?」
「俺の方が良いって、言わせてやるよ」
普段がオレンジ色の明るい炎だとするのならば、今のエースは黒みがかった仄暗い炎のようだと思った直後、唇が重なっていた。抵抗する間も無く準備の整っている私の体にエースが進入して来て、でも抵抗の声は重なる唇が音にしてくれない。
抵抗しようと体を動かそうとしても、力の差が歴然で少しも思い通りに動かす事が出来ない。嫌だと細胞が拒絶する。
エースを傷付ける可能性があるのを分かっていて、その舌を噛めば、口内が焼けそうになった。それでも、それによって唇が離れたのでとりあえずは良い。
「っ……!?あ、ぶね!ナミ、火傷してないか」
「……ぬ、いて……!」
「……大丈夫みたいだな。ナミ、余り無駄な抵抗するなよ。傷付けたく、ねェからさ」
切なそうな声でそう言われて、私はそれに対して睨む事で答える。だって、私は嫌だって言ってるのに……!
私がルフィのものだと知っている癖に、どうして!?
「エース、いい「子じゃねェから、俺は。ナミも知っての通り、俺は鬼の子だ」」
それは違うと言おうとしたけど、声は言葉にならなかった。エースが腰を動かし始めてしまったから。
エースが両手を腰に置いたので、私の上半身は自由になった。なのに、エースがその腰を動かないようにしてからピストン運動を繰り返して来る事で、私には体に力を入れる余裕も無い。
嫌だと悲鳴を上げても、エースのそれが早まるだけで止まる気配はない。エースが、熱い……!
「エー……ス、も……っ……やぁ!」
「ナミっ!」
中に居るエースが膨張したのが分かって、咄嗟に腰を引こうとするけどエースに押さえられていてはそれも出来ない。卑猥な水音が自分から発せられている事実と、弟に襲われている現実とで私の脳は酷く混乱している。
そんな状態にあるとエースは知っているのか、本能か、手を背中に回したと思ったらグイッと起こされてエースの上に乗っている形にさせられてしまう。その刺激に体が反応してエースを締め付けると、エースは嬉しそうに笑った。
上に乗る形になっているからか、視線が見上げなくても交わる。見上げる事に慣れてしまっていたけど、昔は確かに同じ位の身長だったのよねと、ふと懐かしく思う。
「ナミは、俺を子供扱いする癖があるよな。思いっきり、甘やかしてくるしよ……」
「私は、エースが可愛いもの。どうしたってエースが大切なのよ……ねぇ、お願い、エース。もう、止めて」
その瞬間、エースは私の背に置いていたその手を腰に戻した。何をと驚いている間に、中に穿つエースのモノの変化に気付いて、戦慄する。
明らかに、大きさを、太さを、堅さを、熱を増している。苦しくなる程に中を埋め尽くされていて、何がどうなってそうなったのか分からない。
私は、何かを間違えたの?
エースは腰を激しく突き上げると同時にそれまで触れて来なかった胸に舌を這わせて、快感の高みへと押し上げてくる。瞬間……ビクッと大きく体が跳ね返った。
両目が驚愕により見開かれ、喉を震わせながら言葉ではない声を迸らせる。
「きゃぁぁァぁ!」
妙なる悦楽の悲鳴を聴きながら、エースは微かに笑う。大切だと言われた事が嬉しかったのか、無防備な変わらぬ様子のそれが嬉しかったのか、どちらにしてもそれは抱かれている人物には伝わってはいないが。
容赦無く、何度も繰り返し腰を突き上げ、その体は俺のものだと囁く。その度に髪を振り乱しながら違うと、何故か零れる事の無い涙を湛えた瞳でエースに告げる。
「私の、全ては……ルフィだけのものよ!」
「……この状態で……いい度胸してんなァ……」
その言葉と同時に与えられたのはまさかのキスで……腰の動きが止まった事にホッとしている自分に気付いて、違う逃げなきゃと思う。なのに、焦るでもなく、何処か余裕さえ持って口内を舐め回すように動く舌から、逃げられない。
下手をすれば全てが比喩でなく焼き尽くされると知っているのもあるけど、エースは恐らく本気で私を自分のものだと信じているんだわ。優しさが無いという意味ではルッチと近いけど、そうじゃない。
自分のものだと信じているから、奪う必要も無ければ媚びる必要も無いと、ただ自分が楽しめば良いと思っているのが伝わって来る。それにより、どうしたらいいのか分からなくなってしまう。
私は自分に自信が無さすぎるから、自分に自信の有りすぎるエースのそれにどうしたらいいのか分からなくなるのだ。やんわりと舌を絡めながら、口元から自分の意志を無視して零れる喘ぎと甘い蜜を、エースは1緒に呑み込んで行く。
「あ……んんっ……」
「淫らな体だな。キスひとつで、こんなにもヒクついて俺を求めている」
「いや、違う……!」
「何が違うんだ?欲しいと言ってるのは、ナミの体だぜ」
言葉と同時にエースが中を掻き乱し、それにより体が弓形にのけぞれば胸が突き出されるようになる。それを受けてエースは笑う。
「そっか、胸を可愛がって欲しかったのか」
違うと言う事さえ出来ないままに、与えられる刺激に目の前が白くなる。首筋に、肩に、胸に、エースは艶めかしい華を散らしていく。
「や、ぁ……!やめ、エース……」
名を呼んだ瞬間、またしても中に居るエースが脈動して、刺激を与えて来る。それに首を振って見ても、エースはその行為を辞めようとはしない。
「可愛い声だな。……ずっと、欲しかった。聞きたかったんだ……」
先程までの激しさはなりを潜め、指先で乳首を摘みながら中をゆっくりと掻き回し擦り上げてくる。それにより、あられもなく身悶える自分が許せない。
「はぁっ……!ダメ……!そこは、ダメぇー!」
大きく背中が仰け反り、そのまま後ろに倒れるとエースはそれを片腕で軽々と支えながら腹部に唇で触れる。それに力の入らない体は、既に抵抗が出来なくなっている。
「エース……どうして?」
「ん?」
自分でも分かるくらいに、呼吸と心拍数が乱れている。でも、私を襲ってる以前に確認しないといけない事がある。
「どうして、ここにいるの?マルコさんが探してたわよ。だから早く白髭海賊団の所にマルコさんと帰っ「俺に抱かれてるのに、他の男の名前出すなよ……殺しそうになるからよ」」
その言葉と同時にエースは少し乱暴に動き始めて、私の足がビクビクと勝手に震えて乱れ躍る。これ以上声を出すものかと両手で口を塞ぐと、声を必死に耐える。
……恐らく、私とエースは体の相性が良いのだ。だってこれ迄、こんな反応を示した事は無かったもの。
「そうして耐える姿も綺麗だな。これ以上俺を虜にして、ナミはどうしたいんだ?」
言いながらもどかしくなる程にゆっくりと動かれて、クチュクチュと淫らな音が響く。それに泣きそうになる弱い自分が、何よりも嫌いだと心から思ったその時エースが動きを止めた。
「俺は、ナミしかいらない。他全て捨てたらナミが手に入るなら、捨ててもいい」
「えー……す?」
「俺は、ナミの全てが愛しい。姿も、声も、性格も……。俺を惹き付けて、魅了する」
「エース……」
「俺のものに、なれよ」
エースの眼差しは熱く、けれども静かに私を捕らえる。逃げるなと、その心のままに素直に答えれば良いとその瞳が語り、私は声を出せずにその瞳を見つめ返していた。