※この作品はR-18です。

波間の向こうを目指して(新・本編)   作:夢枕 七変化

148 / 462
考える時間※

 何も身に纏う事を許されず、抵抗の行動は簡単に抑え込まれ、弱い所を幾度と無く刺激される。中には指が押し込まれたまま。

 その状態にされながらも、イク事はさせぬと言われて、本当にただ身悶えさせられ続ける。私の嘆きを、ただ楽しんでいるとしか思えない残酷さに、けれども抗う術を私は持たない。

 

 「やぁ!もう、やだぁ!」

 「それは、入れてくれと言う事か?」

 「違う、もう止めてって……」

 「愚かな事を。止める筈もない。……俺が中に放つ迄イかせぬし、ナミがイク迄は止めはせぬ」

 

 それに絶望に近いものを感じたのは、おかしい事ではないと思う。嫌と唇を動かしても、そこから漏れるのは己の情けない喘ぎ声のみ。

 熱くなる自分の体が疎ましくて、情けなくて……。なのにミホークは残酷に言葉を紡ぐ事で、逃げ道を塞いでくる。

 

 「小僧でも赤髪でも、好きに呼べ。その分、ナミが俺に抱かれる時間が長くなるだけだ」

 

 そんな事を言われて、誰が愛しい人の名を呼べるというのか。もう止めてと涙を落とす私に、ミホークは小首を傾げて来た。

 

 「何故俺が主の言葉に従ってやらねばならぬ。俺は、ナミが欲しい。欲しいものが目の前にあれば、手を出して当然だろう」

 「私は、生きていて意志を持ってるのよ!女を無理矢理なんて……恥ずかしくないの!?」

 「……ナミの他は自ら足を広げてくる故に、ナミにしか適合しない案件だ。故に、恥ずかしくは無いな。……逆に問うが俺はナミが欲しい。だが、ナミは嫌だという。この条件で力づくの他どうすれば手に入る?」

 「そ、れは……」

 「俺は、ナミを待ってやるし、守ってもやるが……求める事を辞めるつもりは無い」

 

 そう言ってミホークは私から指を抜くと、その代わりに己を宛てがい、囁くように問い掛けてくる。ゆっくりともどかしいような抱き方をされるのと、激しく獣のように抱かれるのと、どちらが好みかと。

 どちらも嫌だと言いかけた瞬間、ミホークのそれが私を貫き私は意図せず悲鳴をあげる。1気に最奥まで貫かれた衝撃で目の前がチカチカする。

 

 「っ!出すぞ!」

 「やァ……!んっ」

 「ナミが〝両方〟を望んだのだ。たっぷり可愛がってやろう。船が帰り着くまでまだ1日ある。その間愛欲に沈むがいい」

 「いやぁぁぁ!」

 

 ルフィが脳裏に浮かび、思わず手を伸ばしたけれどそれを掴むのは当然ミホークで、身体中が震える。手を掴まれた瞬間から、激しさは終わりその代わりにイケないように調整されてるとしか思えない、ギリギリの動きを繰り返され身体中に甘やかな愛撫をされる。

 グズグズに甘やかすようにされて、何も考えられなくなりそうになる。そんな時に問い掛けられた言葉に対して、私はよせばいいのに素直に考えてしまう。

 

 「今、もしも主が麦藁の女で無かったならば、抵抗せずに俺に抱かれたか?」

 

 私が、ルフィと付き合って、居なかったら?

 そう考えて、ふと笑ってしまう。だって、もし付き合っていなかったとしても、きっと誰にも触れられたくはないと思うから。

 

 「抵抗、したわ」

 「何故?」

 

 静かな問い掛けの合間に胸に跡を遺される。胸へのキスは〝所有〟を意味する。

 私はミホークに所有されるつもりなんて無いのに。そうして、その唇は跡を付けるのと同じ程度の残酷さで無慈悲に問い掛け続ける。

 そんな問いかけに私は素直に答えてしまう。きっと、疲れているのもあるけど、何だかんだ言って……私は恋愛として見なければミホークの事が好きなのが理由だとは思う。

 

 「私は、付き合って居なくてもルフィを愛してるから。片想いでも、好きな人がいたら、他の人には触れられたくないわ」

 「ナミ、では……それは、麦藁の小僧以外の誰でも同じか?」

 「当然でしょ。誰であってもルフィを想ってる私は、触れられたくないと抵抗する」

 

 もし、あの日ルフィに抱かれて想いを告げられていなかったとして……きっと私はそれでも何処かでルフィに想いを寄せて勝手に愛していたと思う。同時に、私から想いを告げる事は出来ないだろうから、1生その想いが届く事も無いだろうなとも思うけど。

 あの後起きた多くの事を思えば、きっと私はルフィに想いを告げる事は出来ないでいたと思う。そんな勇気も、自信も私には無い。

 

 「それが赤髪でもか?」

 「え?」

 「赤髪ならばこう言うか。……〝ナミ、誰とも付き合ってねェんなら、試してみるだけでも良いんじゃねェのか?俺達は気心も知れてる。それに、ナミは俺の事嫌いじゃねェだろ〟」

 

 ……うわ、言いそう。でもそう言われたら、私はなんて答えるかしら……?

 そこまで考えて、拒絶できないだろう事を自覚する。寧ろ、もしルフィと付き合わないまま空島で再会していたら、着いて来いと、帰って来いと言われた時拒めたかさえ自信が無い。

 私が最初に船長として認めたのも、何があっても助けに来てくれると、信頼できた相手も、どちらも最初はシャンクスで……私は。あの頃から私は、ルフィもシャンクスも形は違うけど愛しかった。

 ……ミホークの言葉は、正しい。だから……つらかったんだわ。

 絶対に自分を傷付けないだろうと信じていた相手から、予想外に襲われたから。いつも触れられる距離にあるような気がしていた心が、突然見えなくなったから……だから、私は……。

 涙が、ボロボロと零れて行く。そんな私をミホークは静かに見据えて、それから囁いた。

 

 「そのまま、心のままに泣いていろ。……ナミの〝泣ける相手〟とやらに加われて、俺としては嬉しい限りだ」

 

 その後の事は良く覚えていない。泣き続ける私をあやす様に優しく、ルフィやシャンクスへの嫉妬を交えて激しく、そして焦がれるように淫靡に。

 ミホークは飽きる事無く私を求め続けて、私はそれに抵抗する事も、応える事も出来ない。そのまま声が枯れるまで、私は泣かされ続けたようだ。

 ようだと言うのは、目は覚めたのに声も出ず体も動かせない状態にある為だけれど。それなのに、あれだけ泣いたのに目が腫れてないとか、アレだけ出されたのに不快感が無いとか……。

 清めてくれた上に、看病するように目元を暖めたり冷やしたりを交互にしてくれたのだと分かれば、怒る事も出来ない。だからと言って感謝も出来ないけれど。

 でも、稼がなきゃなのに……何してるのよ、私。深い溜息を吐き出して、それから少し落ち着いた心と頭でもう1度シャンクスの事を、ルフィの事を考えてみる。

 ……あの幼い日の別れの時、私は確かに自分でシャンクスの事を初恋だったのかも知れないと、そう思った事を思い出した。同時に、ルフィが可愛くて愛しくてどうにもならない程だった事も。

 状況と年齢と、その他にも幾つかが重なり私はそれを認識出来ていなかっただけで、恐らく本当に2人を初めから愛してきたのね。……そりゃ、野生動物みたいなルフィだもの、シャンクスが1番怖いなんて言う筈よね。

 でも、今更船長をルフィから変えるつもりはないし、ルフィかシャンクスなら、今の私はルフィを選ぶ。きっとシャンクスを喪えば1生後悔するけど、そして1生想い続けるけど……大切なのは変えられない過去ではない。

 未来へと確実に連れて行きたいのは、誰よりも愛しいのは……今はもうルフィだから。私より大切な2人だけど、世界より、家族より大切なのは……ルフィだから。

 考える時間は充分に貰った。後はカジノに行って稼いで、明日にはルフィの元へ帰ろう。

 長過ぎるこの三日間に、私は少し苦笑してから力の入らない体を無理に動かそうとしてみる。その時呆れたような声が私に向けられた。

 

 「……ナミは、息をするように自然に無理を重ねる生き物であったのか」

 「……っ……げほっ」

 

 ミホークに起きたの?とか、おはようとか言おうとしたのに出るのは咳だけで、そんな私の頭に軽く手を置いてからミホークは1糸纏わぬその姿で布団から出て行く。それを見て、いや……せめて腰に布をって願う私がおかしいのかな!?

 その姿のままミホークはトレーに何かを乗せて運んで来て、私の体をヒョイっと起こし、そのまま支えてくれた。そして背後から支えるように私の体を抱いて、私の手に自らの手を重ねるようにしてグラスを持たせてくる。

 ……え?

 まさか、慣れてるの?

 よくやるの、こういう事。凄い体が楽な上に動作が自然なんだけど。

 そう思ってミホークに視線を向ければ、嫌そうに眉を寄せられてしまった。何故かミホークには、何も言わなくても通じてしまう。

 

 「……このような事、他にした事は無い。だが、指もまともに動かせぬようにしたのは俺だ。だからと言って、俺に全て口まで運ばれては主の場合拒絶するだろう」

 

 よ、読まれてる。私、そんなにわかりやすいのかな。

 演技力は悪くないと思うのに、どうして?

 

 「主は……慣れた相手には演技をしようとしている時の他は、素直な生き物だな。本当に、愛らしい」

 「ぁ……ぃ……!?」

 

 愛らしい!?初めて言われた言葉に動揺する私に、ミホークは呆れを隠さずに良いから飲めと言う。そしてミホークは、薬と水を私の手を使って強制的に飲ませてくる。

 それを抵抗出来ないままに受け入れた体は、どうやらミホークを信頼しているらしい。ただ気になるのは、飲まされた水が妙に美味しくて……どういうことかと思う。

 

 「……主が寝ている間に天夜叉が尋ねて来てな、ナミが体調を崩したら飲ませろと〝作り方〟の書かれた紙と材料を置いて行った」

 

 ……え?

 ドフィが?

 て事は……作ったのはミホーク!?

 

 「簡単な物だったので、作っておいた。本当に飲みやすかったようだな」

 

 そう言って見せてくれた紙には、蜂蜜檸檬に蜜柑を追加して私好みに改良された蜜柑檸檬蜂蜜を基礎にした、簡易的なスポーツドリンクの作り方が書かれていて、未来の私はドフィに本当に何をするのかと少し怖くなる。……ん、待ってよ?

 ドフィが来たって事は、私がここに居るのをドフィは何故か知ってるって事よね?

 

 「……赤髪がBARで呑み続けて居るらしくてな、その上天夜叉が〝用意した〟部屋にナミが居ないと言う事で材料等を揃えて来たらしい。……主と天夜叉はどのような繋がりだ?」

 「(よく分からないのよ。ドフィは私を……慕ってくれてるみたいなんだけど)」

 

 声が出ないからと、マルコさんにやったみたいに唇を動かしてみたらミホークは頷いて、そうかとだけ返して来た。なので、きっと理解しているのだろうなと、そう思った私は麦藁の1味でこれが通用する人っているのかなって少し思った。

 それから飲まされた薬は何か問えば、私の手荷物にあった薬だと教えられた。でも避妊薬じゃ無かったなと思ったら、メモが中に入れられていたと言われる。

 メモを見せてもらえば、発熱時とか、倦怠感が酷い時等と書かれたそのセットが入っていた。でもそれに見覚えは無くて、私の荷物にチョッパーが仕込んでくれたのだとそこに来て漸く気付く。

 離れていても守ってくれている仲間に、涙腺が壊れているらしい私の瞳は勝手に涙を落とし始める。ミホークはそんな私をベッドに寝かせると、そっと離れて行く。

 甘やかすようにして支えてくれていた温もりが離れた事に、微かな不安を感じてしまう。それは私が、ミホークに甘えている何よりの証だろう。

 

 「……あァ、言い忘れていたがな。ナミ、俺はナミの泣き顔に欲情する。無意味には泣いてくれるな」

 「……!?」

 「〝慰める為〟に抱く事も有り得る。……だが、今は襲わぬ。少し、色々な意味で無理をさせた」

 

 そう言ってからミホークは寝ていろと命じて、部屋を出て行った。その背を見送り1人になって、寝てる場合じゃないと思うのに、勝手に落ちようとする瞼に逆らえず私はそのまま深く眠ったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。