体から力の抜けた私の頭を軽く撫でて、額にそっとキスをして来たルフィは清々しい笑顔を向けて来る。それを見て、何故か嫌な予感がした私がルフィから離れようとしたら、その途中で体をクルリと反転させられてしまう。
「ちょっ……ルフィ!?」
「後ろからの方が、深く入るからな」
「だって今、出したでしょ!?」
焦って叫ぶように言った私に、ルフィは微かに不機嫌そうな声を響かせた。顔が見えないから、その声だけで判断するしかないんだけど。
「……足りるか。どんだけナミに飢えてたと思ってんだよ。もう少し付き合え」
「や……無理だか……あぁぁ!」
獣のようなポーズで、先程よりも確かに深く繋がれる体位でルフィが襲いかかって来る。その上で背中にもルフィは刺激を与えて来るから、体はそれに悦びを示す。
見えなくても、感じられる。いいえ、見えない分余計に強くルフィを感じてしまう。
ルフィはどうして、この図書室で抱くんだろう?
そんな疑問がふと浮かんで、ルフィから意識を外したらそれに気付いたらしくてルフィの動きが激しくなる。速度の上がったピストン運動に、本気で壊れるかと思ってしまう。
腕も足も震えて力が入らない。荒い呼吸を繰り返す私の体に、ルフィはそっと唇を寄せると当然のように、けれども愛しげに華を散らして行く。
「も、無理……」
「ん。だから、跡だけつけてる」
「ルフィの、馬鹿……ぁ……」
「ナミよりは、マシだと思うぞ?まだ繋がってんのに、そんな事言うとか……実は止めて欲しくねェんだろ」
そう言ってルフィは無理だと叫ぶように繰り返す私を今度はまた正面から抱き締めて、腰を動かして来る。強過ぎる快楽は既に苦痛にも近くて、もう許してと哀願するに至ったのも不可抗力だろうと思う。
動けなくなった私をルフィは楽しそうに洗うけど、本当に風呂場では必要以上の事をしないからルフィって凄いなと思う。このままもう1度とか言われたら多分じゃなくて、確実に寝込むから、助かる事ではあるんだけど。
「ねぇ、ルフィ」
「ん?」
「なんでそんなに、元気なの?」
「今ナミを充電できたからな」
そうか、ルフィは私の体力吸ってたのか。こういう行為は両方が消耗すると思ってたけど、ルフィの場合違ったのか。
もうアレだ、インキュバスとかその辺なんじゃないかなとか、妙な事を考えてしまうくらいには、私も弱っていた。本当に手馴れた様子で私を清めたルフィにお礼を伝えたら、ルフィが少し困ったみたいな顔をする。
「無理させたのにお礼言われると、俺も流石に堪える。……ナミに飢えてたんだ。ゴメンな」
「ルフィになら、いいから……」
「ナミ……」
「ルフィに触れられるのは、恥ずかしいけど、体力も不安だけど、嫌じゃない。ううん、嬉しいから……」
「ナミ、お前……俺をどうしたんだよ」
突然頭を抱えて崩れ落ちたルフィに首を傾げたら、天然って怖いななんて言うけど、天然じゃない物なんてこの世界あんまりないわよね。ルフィは何が言いたいんだろう?
「ヤリ殺しそうになるから、あんまり煽るなよ」
「煽ってないけど!?」
ルフィの頭はどうなってるのか。そう思って睨み付けたら、ルフィの手が私の頬に伸ばされた。
その温もりに、私は自然と瞼が落ちそうになってしまう。そんな私にルフィは心配そうな様子を見せる。
「……抱いたばっかなのに、体温低いな。……早くチョッパーと合流しよう」
「そうね、早く皆と合流しないと」
「その為にも、残りの蠍食わねェとな!」
そう言って笑うルフィに、手頃な肉があれば何か適当に作ってあげようかと提案して、サニー号ではもしかしたら初めてキッチンに立つ事になった。ルフィが倒して来た、多分生きてた時は凶暴だっただろう獣を捌いて調理していく。
そうしたら、ルフィがそれをじっと見詰めていて何だろうと手を動かしつつ視線を向けた。流石に、こう……穴があきそうな勢いで見られたら気になるからね?
そんな私にルフィは器用だななんて言うけど、サンジ君の足元にも及ばないわよ。そんな事を思いながら、私は肉が大量に入ったシチューを作り、その横でその肉の残りをハンバーグにして行く。
肉を食べさせるなら、芋は必須だからと馬鈴薯でポテサラを作りそれも提供しておく。肉とスープとポテトがあれば、とりあえず良いわよね。
地球の過去では肉が衛生的な面でリスクの多かった時代に、馬鈴薯を1緒に食べる事で寄生虫を始末する効果があったと言う事で、現代でも肉料理には芋なんて形で習慣的に提供されている。……と言う説を昔本で読んだ気がするのよねー。
「はい、お待たせ。……パンとかの主食も食べたい?」
「いんや。こんなに肉あるしいらねェ!」
「そ?なら、お肉と野菜は好きなだけ食べて」
良かったわ、シチューに野菜も入れといて。とりあえず肉が食べられればルフィは満足だろうからと思えば、食べてる姿に少しホッとする。
そんなルフィを見ながら、蜜柑でゼリーを作って食後のデザートに用意していたら、ルフィからの突き刺さるような視線を感じた。……ゼリー、嫌なのかな?
「ナミも少しは食えよ」
「うん、蜜柑食べてる」
「飯を!食え!」
蜜柑って食事よね。普通に蜜柑食べてれば、人は生きられるわよね?
そう思ってルフィを見詰める。美味しいのよ、蜜柑。
「蜜柑……」
「蜜柑だけで生きられるか!馬鹿ナミ!」
……おかしいな。ベルメールさんも蜜柑食べてるじゃないって言って、たまに蜜柑しか食べない時期あったのに。
そう言えばあの時はノジコが怒り狂ってたっけ?
「ルフィ……」
「なんだよ」
「ノジコもベルメールさんにそうやって怒ってたわ。ルフィとノジコは気が合うかもね」
「……ベルメールさんの悪い所真似すんなよな」
「ベルメールさんに悪い所なんて無いわよ!!」
「……厄介だな、このマザコン」
ルフィは肩を落としてそんな事を言ってから、私を手招くのでゼリーを手に近付くと隣に座るように示される。それに素直に従ったらルフィがスプーンを差し出して来た。
「ほら、口開けろよ」
「うっ……」
「ナミ?」
仕方なく口を開くと口にシチューを入れられて、その恥ずかしさに顔を俯けたらルフィが嬉しそうに美味いだろなんて言い出す。……私が作ったから、不味くはないと思うけど、こんな状態じゃ味も分からないわ。
そんな私に気を良くしたのか、その行為を気に入ったのかは知らないけど、ルフィは自分も普通に食べながら私が口の中の物を飲み込む度に、何かを食べさせて来る。そんな事を幾度と無く繰返された私は、羞恥で死ねるかと思った。
そうして鍋の中身が無くなり、蜜柑ゼリー迄綺麗に食べ尽くしたルフィは満足そうにしている。なので、使った食器や調理器具を洗いながら、私は恥ずかしさを誤魔化す為に言葉を向ける。
「……ルフィが無事で良かったわ。食事も終わった事だし、皆の事を探しに行く?それとも此処で待つ?」
「探すー!!」
それからルフィは仲良くなったビリーに言って、空から皆を探す事になった。なんと言っても皆麦藁の1味である以上、どこかで騒動を起こしている可能性が高いので、空から探すのが1番見つけやすいだろうと言うのが、私の言い分。
正直ビリーがルフィに懐くのは分かる気がした。私はたまたまビリーを庇ったから、その恩を感じてるのかな?なんて思うけど、ルフィはビリーがその力を使っても問題のない相手だというのが大きいだろうなと思う。
ビリーとルフィは仲良く戯れていて、私はそんな姿に少しほのぼのした気持ちになる。そんな私に、ルフィとビリーはそっくりな笑顔を見せて私を誘う。
「ナミ、行こう!」
「……私がビリーに乗ったら、感電するでしょ?だから私此処で待ってるからルフィが空から「ナミは俺の上に居たらいいじゃねェか」」
当たり前のように言われたそれに、私は甘えるように頷いた。……傍に居させてね、ルフィ。
陽だまりのようなルフィの傍にいれば、きっと私はずっと笑っていられる。ルフィが私の傍に居てくれるだけで、何でも出来るような、そんな気がした。
ビリーの上で胡座をかいて座るルフィに肩車して貰う体勢をとり、ルフィの足に私の足を乗せる事になった。確かにこれならば、電気は問題にならなくなるわね。
安定感って意味では不安だったりする。だってルフィの首を締める事になりそうで……。
そうして私は戸惑うけど、ルフィはしっかり頭に掴まれって言うからそれに従っておく。でもやっぱり、不安定なそれに少し不安になる。
「ルフィ、私落ちないかな」
「俺がナミを離す訳ねェだろ」
「……重くない?」
「何が?」
「私が、上に乗ってるの、重くない?」
「ナミは軽いぞ。それより、頬にふとももが当たるのが……だな……」
「なっ……に、言ってんのよ!」
「本音」
そんな会話をしながら空から皆を探すけど、煙が上がってる所とか、爆発が起きてる所とか、変な形で森が削れてる所なんてのが見当たらない。それっぽい所を見ると、ルフィが暴れた跡だったりで、本当に捜索は難航している。
「そう言えばね、ルフィ」
「ん?」
「ビリーがシキを攻撃したのよ。それでいじめられてしまったんだけどね」
「へェ!ビリーお前凄ェな!」
「クァー!」
ビリーが嬉しそうにそれに応えるのを聞きながら、ルフィがご機嫌に笑うのを眺める。ビリーは可愛いし、最初に会えたのはルフィだし、幸運を使いすぎてる気がしなくもないけど、今というこの時が幸せで、細かい事は何も気にならなくなってきた。
ルフィは大喜びでビリーを褒めるから、上空とはいえ随分と騒がしくなったのは間違いない。そんな中で、ふと思い付いた事を聞いてみる。
「ルフィ、私がルフィの背中から抱きつくのはどう?それなら足が頬に触れるとか無くなるでしょ?」
「却下だ」
「なんで!?」
「胸が押し付けられたら、変わんねェよ。それにビリーの電気対策取れなくなるだろ」
ルフィの返事に私は声を失って、ただ顔を赤くしていた。そんな私とルフィに、ビリーは何故か溜息を落としていたけれど。