※この作品はR-18です。

波間の向こうを目指して(新・本編)   作:夢枕 七変化

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愛してる※

 私はもう、祈りながらただ待つなんて、そんな何処かの巫女姫のような事はしたくない。我儘でも、強欲でも、無い物強請りでも構わない。

 甘やかしてくれると言うそれに縋って、何がいけないのか。私だって……この世界で生きているのに。

 どうして、我慢ばかりしなければいけないのか。私は、独りになるのも、誰かを喪うのも、もう嫌なのよ……!

 

 「ルフィ……!」

 

 求める側が私でも、ルフィでも構わない。差し出せと言うなら、ルフィになら私はなんでも差し出すから……捨てないで、傍にいて。

 独りにしないで。今、私はただ……。

 

 「ルフィが……欲しいっ!」

 「馬鹿だな、ナミは……。俺はガキの頃からずっと……ナミのものなのに」

 「ルフィとしか、繋がりたくない……!」

 「あァ、そうだな。嫌だったよな。大丈夫だ。ちゃんと守るから、もう……傷付けなェから……」

 

 押し付けがましいだけの願いも、精一杯の心と共にひけらかせば時には受け入れてくれる相手も居るのだと知る。虚勢を張り、強がって見せても結局私の中身なんてこんなもんなのだと……護りたい想いばかりが先行して、気付いたら隠す事に慣れてしまっていた。

 本当の私なんて、受け入れてくれる相手がいる筈ない。だって、本当の私はずっと……誰よりも強い理想の私や、本来いるべきだったナミちゃんの影に隠れて、泣いてただけだったんだから。

 独り膝を抱えて泣きじゃくる私に、ルフィは教えてくれる。弱くても良いのだと。

 隠しておくつもりだった情けない私を、可愛いと、愛しいと言って抱き締めてくれる。幼くて何も出来ない私を、逢いたかったと言って包んでくれるから。

 

 「ルフィで、いっぱいに……して」

 「……っ!後悔、すんなよっ!」

 

 言葉と共に再び抽送を開始したルフィに、その熱さに、激しさに、強靭さに、私の喉から声のない悲鳴が迸る。更に深く繋がる為に、普段は隠されていてなかなか気付けない鋼のような筋肉に覆われた腰で最奥を抉られ、ルフィの肩に担がれた両足がガクガクと痙攣する。

 感じ過ぎて苦しいくらいだと言うのに、更にしたい放題に暴れられて、私は嗚咽に紛らわせてみっともなく想いを口にする。ただ、ルフィが好きなんだと、独りは嫌なのだと。

 

 「ルフィ……!すきっ!ぁ……ひとり、に、しな……っ……で……」

 「するかよっ!もう、ナミを独りにはしねェ!強がりにも、程があんだろ……!」

 

 蕩けた肉壁が、1時たりともじっとしてないルフィを捕らえようと蠢く。これではもう、どちらが卑ましいのかさえ分かりはしない。

 既に私の意志を離れた身体は、強欲な本能のままに緊縮を続け、思うさま中にいるルフィを食んでいる。ルフィの形を捉えようとぴっちりと挟まって、ずっとここに居てと甘えるように絡まり逃すまいと締付けた。

 

 「ナミ……!もう、俺には隠すな!こんな……脆い姿隠して、独りで……!」

 「ルフぃ……!」

 

 1段と深まる律動に合わせて、私も必死に腰を搾る。その度に結合部から隠微な音が響いてきて、凄まじい速さで鼓動が跳ね上がっていく。

 心音と呼吸音が重なり、ごおっと言う耳鳴りなのかなんなのかさえ分からない物が聞こえてくる。そんな状態にあっても、私の中に強くあるのはルフィが愛しいと言う想いだけ。

 

 「ナミ、愛してる。……こんな脆くて儚くて、誰よりも可愛い姿隠してるとか、卑怯だろ」

 

 愛しいとその眼差しで語りながら、大好きなその声で放たれる優しい愛の言葉が嬉しい。そして、同時に少し恥ずかしくて反射的にルフィを締め付けてしまう。

 すると内部に埋め込まれているルフィが、どくりと容積を増した。それに声が勝手に言葉らしきものを紡ぐ。

 

 「ひゃっ……!ぁっ、な、にっ……ああぁあ!」

 「何って……ナミが、やっておいて……!」

 

 浅く、早く、急ぐように抜き差しするルフィの息が酷く乱れている。もう吐精が近い事を私に教えてくれていた。

 必死に想いを紡ごうと開いた唇からは、まともな言葉なんて何も紡げない。ただ、甘く喘ぐ声が響くばかりだ。

 そんな中で私はルフィに取縋る。その瞬間、耳鳴りがする程に心拍が乱れた。

 1瞬恐怖に似たそれの為にキツく瞑った瞼の裏が、真っ赤に染まる。それと同時にルフィの呻きを受け取って、忙しなくも情けない自分の呼吸音が耳障りだと思う。

 それなのに、だらしなく続けてしまう啜り泣きさえ止める事が出来ない。今はただ、身の内に穿つものに合わせて腰を振る。

 神経が焼き切れそうな程に、急激な絶頂感が私を襲う。ガクガクと壊れたように首を揺すり、私は心許なく途切れそうになる意識を夢中で掴む。

 身悶え続けた内部に熱い奔流が迸った瞬間、胸を突くような快楽と1緒に蕩けるように甘い幸せを抱き留めて、私もまた高みへと誘われる。そのまま意識を失い掛けた私に、それを許さないと言わんばかりにルフィは身体のあちこちに華を散らして行く。

 

 「あ……る、ふぃ……?」

 「もう少し、ナミを堪能させろよ」

 

 肉の狭間に満ちている体液の最後の1滴まで搾り取ろうとするかのように、緊張と弛緩を繰り返す粘膜を自分では抑える事も出来ない。同じ位にしか普段は感じないのに、実際は広いその背中にしがみつけば、それが返事になる。

 ルフィもまた、小刻みに揺れる腰をそのままに、息苦しくなるような包容で応えてくれる。必ず……護る、独りにはしない、と。

 満たされ過ぎて、怖いなんて言ったら怒られてしまうかしら。そんな事を思いながら、僅かな切なさを感じつつ、ルフィの胸に耳を押し付ける。

 響く心音には興奮の余韻がある。この幸福感をより確かなものにしたくて、深く身体に刻みたくて、ルフィを見る事無く素直な気持ちをそっと吐露した。

 

 「愛してるわ、ルフィ……」

 

 言葉がルフィに届くのと同時に、奥深い所で何かが蠢いた。再び力を取り戻したルフィの欲望が、急激に膨張したのだと敏感になり過ぎている場所が素直に感じてしまう。

 唇も、耳朶も、乳首も、中も、もうどこもかしこも痺れさえ伴う程なのに。当然のように再開された抽送に、たっぷりとルフィの欲望を受け止めた場所が卑猥な音を奏でる。

 

 「こんな……こと、してたらっ……ふぅ!ぁ……」

 「ん?」

 「馬鹿な、猿になっ……ちゃう……!やぁ、そこダメぇ……っ!」

 

 言葉と共に縋る視線を送れば、甘く睦言を囁くようにその瞳に愛しさを乗せてきた。猿になっていいと、その熱が伝えて来る。

 

 「怖くない。……たまには、理性捨てて俺だけ感じてろよ。どんなナミでも、俺は愛してる」

 「ルフィ……」

 「俺はただ、ナミを愛してるだけだ。だからナミは、それを拒まなければ良いだけだよ」

 

 甘い睦言が、おさまりかけていた情熱を容易く蘇らせてしまう。もう無理と思って、いやいやと頭を振れば、優しい仕草で額に貼り付いていた前髪を掻き上げられる。

 啄むような甘い口付けを落とされて、そのまま甘えてろと無言のままに伝えて来る。でも、これ以上は本当におかしくなってしまう。

 

 「愛してる……」

 

 自然と滲んでいた涙を舌先ですくいながら、ルフィはこの身体をまだ堪能しようと愛を囁く。その間も当然の事として、私を揺さぶっていたけど。

 

 「私も……んっ……!」

 「言えよ、ちゃんと……聞かせろ」

 「あぁっ!ルフィッ!愛してるっ!」

 

 矜恃も理性も、羞恥さえも今は霞んでさえ見えない程に遠い彼方。千々に乱れたそれら全てを心の内にしかと捉え、愛しい男の吐息と律動を感じながら、私は長い陶酔の中に堕ちて行く。

 長い夜はまだ始まったばかりだと、埋め込まれたものが私に伝える。それを拒絶するなんて事は、こうなってはもう思考の端にさえ浮かびはしない。

 いつの間にか閉ざされていた瞼を開くと、ルフィの姿が見えた。それに無意識で手を伸ばせば起きたかと言って、優しく頭を撫でてくれる。

 

 「る……ふ……けほっ」

 「あー……。少しやり過ぎたな。ごめん」

 

 そう言って身体を少しだけ持ち上げるように抱き上げて、口元にグラスを運ばれる。それの中身を何とか飲み込めば、それでも零してしまったそれを追うようにルフィの唇がそれを辿りながら拭う。

 

 「今はもう、襲わねェけど……布団濡らしたら不味いだろ。ゆっくりでいいから、グラス半分は飲めよ」

 

 言われるままに頑張ってそれを飲めば、そっと身体をまたベッドに降ろしてくれて、指先とその眼差しで愛を伝えてくれた。それが嬉しくて笑うと、何故か顔を赤くしたルフィが天井に視線を向ける。

 その直後どこからともなく生えて来た腕にルフィが拘束されて、ブリザードを振り撒きながら微笑むロビンが部屋に入って来た。その背後から怯えを隠さないチョッパーも。

 そして、ルフィをポイッと部屋から追い出したロビンが、労わるように私の頭を撫でる。そのすぐ後でチョッパーから声は出るかと確認されて、首を横に振るとロビンの笑顔が引き攣った。

 

 「私のナミに何をするのかしらね、あの猿」

 

 猿って……ロビンから見ても船長だし、命の恩人の筈なのに。どうしてか、声が出てもそれは今、言えない気がしたけど。

 そこで辺りを見て、いつの間に部屋に移動したのかなと考える。腕を見れば針の跡がいくつかあって、あれれ?と首を傾げてしまう。

 

 「ナミは、その……丸一日、意識がなかったんだよ。栄養だけはと思って1本打っといたし、水分補給の為に点滴も入れといたけど。あ!トイレ行くか?」

 

 丸一日!?あ、そう言えば目眩が治ってるわ。

 とりあえずチョッパーの言葉に頷くと、人型になったチョッパーが私を抱き上げてトイレまで移動させてくれた。その流れで、チョッパーから終わったらノックしてくれよなんて言われてしまう。

 医者だけじゃなくて他の色々な医療関係者の業務を、チョッパーは1人でやってくれてるのねと、沁々してしまう。その後怒りに震えるロビンと、それに怯えながらもちゃんと説明してくれたチョッパーによれば、抱き潰された私はルフィに清められてから部屋に運ばれたらしい。

 それから数時間で目覚めると思われていた私は、それ迄の睡眠不足に追い討ちをかけるように体力を極限迄使い果たした影響で、1度も目覚める事なく惰眠を貪っていたと知る。その間航海は当然出来ず、海の真ん中で停泊を余儀なくされて流石にルフィも叱られたらしい。

 でも、私が寝ているだけだと言うのもあって、交代で様子を見る他はそのままにさせてくれたというから、本当に申し訳ない。でもロビンは私の身体を見て悲鳴を上げて、ルフィにキツく当たり続けているらしいのだ。

 全身に華が散っていて、ルフィからチョッパーでは無くても分かるくらい蜜柑の香りがしていたと言われれば、赤くなる他何も出来ない。私のナミと言ってぎゅうぎゅうと抱き締めてくれるロビンは、大切な友人を心配してくれてるのだと分かる。

 だからなのか素直に幸せだなと思って、私もそれに応えるように腕を回した。そうしてみると細い筈のロビンが、ルフィと同じ位の胴回りだと知る。

 この先に待っている事を知らずに、私はただ……幸福の海に漂っていた。波間の向こうに待受ける運命は、逃れる事を許してはくれないという事を、この時の私はまだ分かっていなかったのだ。

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