意味が分からずに居たら、とりあえず楽しみなさいなんて言葉と共に内股に唇をつけて跡を残して来る。それにヤダと思って腕の力で這いずって逃げようとしたけど、全く動けない。
力の差と、技量の差、そして経験の差があり過ぎる。どれを見ても勝ち目が無い。
「やっ……!」
「嫌がって逃げてばかりでは、欲を注がれるばかりだと思うが……?」
「基礎体力が違いすぎるのだから、そんな事……!」
「だから、上手くあしらえるように教えてあげようと言うんだろう」
呆れた様子で言いながらも、何処か楽しそうなその顔。酷いと詰寄る事さえ出来ない正論で、私の為だと言う大義名分を振りかざして逃げ道を塞ぐ。
だけどそれはつまり……夜の花々が行うように私もそんな技術を身に付けろと、そう言われているのだと分かる。逃げられないのならば、1度受け入れてからなんでもない様子で立ち去れと。
……理屈は分かる。でも、私にできるとは思えない。
本当に、私はルフィ以外に触れられたくないんだもの。嘘でも望んでるように見せ掛けて受け入れるなんて、出来る気がしない。
「……ナミちゃんがそれを出来れば、生き抜きやすくなると思うが……。それよりも先に、こう言おうか」
言葉を向けながら当然のように私の弱い所を指で刺激してくるから、声を出さないように耐えながら震える身体を持て余すしか出来ずにいる。そんな私の耳元に唇を寄せて紡がれたのは……。
「君が、欲しい」
「なっ……!?」
揶揄うのも大概にしろと叫びそうになり、その眼差しに射竦められる。声が……出ない。
その間も行われていた秘部への愛撫により、身体は私の意志を無視して準備を整えてしまう。それが悔しくて、情けなくて……ルフィに申し訳なくて、泣きそうになる自分を自覚する。
身を売る事を蔑むつもりは無い。身を売る人達が、特定の誰かを愛する事も自由だと思う。
それでも、私はそれを自分に置き換えられない。本当の意味で、私は割り切って身を売る事は出来そうにないのよ。
「ナミちゃんは、気高いな」
そんな言葉が聞こえたと思った直後に、宛てがわれた熱。それによりビクリと身体が揺れるけど、逃げるには実力も筋力も足りない。
脳裏に太陽のような笑顔が浮かぶ。そして、真剣な顔で私を背に戦おうとする姿が、見えた気がした。
「……ふぃ……」
思わず口にした愛しい人の名は、掠れて不明瞭。それでもレイリーさんには通じたみたいで、低く言葉を向けられた。
「……男を煽るのが、本当に上手い。上手くあしらえるようになる迄、付き合ってあげよう」
「や……!そ……なの!」
上手く紡げない言葉を遮るように重ねられた唇。声を出す為に開かれていたそこから侵入する舌をせめて噛んでやろうとしたら喉まで1気に刺し貫かれて、それすらもままならない。
嫌だと、そんな事は望んでいないと言おうとしただけなのに。それさえ許されないままに、口内を蹂躙され呼吸もままならない。
その隙に熱塊が私の中に押し込まれて、心は悲鳴を上げるのに塞がれている唇は微かな声をもらすのみ。首を横に振って抵抗を見せれば、漸く唇が離れたけどそのまま首筋に、そして胸にとそれが這わせられ時折痛みと共に跡を遺されては、唇が離れた意味等皆無に等しい。
「や……ぁ、だ。レイリー……さ……」
言葉では嫌がってる。心も泣いてるのに、身体は与えられる快楽という刺激に悦んでいるのが自分でわかってしまう。
その証拠に抵抗してる筈の自分の声が、明らかに媚びてるもの。くちゅくちゅと粘着質な音が、接続部から聞こえて来るのを私は何処か遠くで聞いていた。
「プラトニックな恋愛等嘘臭いものは無い。我々は海賊だよナミちゃん」
「……くっ……ぁ……!」
「知らない事を知りたい。欲しいものを手にしたい。手にしたなら手離したくない。……気に入った相手は、抱くのが当然だ」
「あい、ての、いしは……どうなっ……んんっ!」
抗議するように口にした言葉に、レイリーさんは楽しげに笑うと身体の中に埋め込んだモノで言葉を紡げなくしてくる。だけどそれよりも、蠢き回るものの感触を鋭敏に捉えている自分が、今は何よりも憎い。
「あ……ふっ……!」
なんて情けないのか。こんな、無様な……。
こんな時に、助けを求めて泣くしか出来ない自分が恨めしい。なのに、身体は悦びを示すあさましさ……!
「海賊やってる男なんて、皆結局子供なのだよ。つまり、好きな相手程抱きたいし、それが相手を喜ばせると信じている」
「そっ……な……!」
「そして君は、海賊をやるような男には恐ろしく魅力的だ。まぁ、海賊以外にも……愛らしい女性に映るだろうが」
言葉を降らせながらも私を攻めるその行為は、休む事無く続けられている。その動きは乱暴でも強引でもない。
だからと言って優しくも無いし、容赦も無い。時折弱い所に強く入る刺激に声を押し殺していたら、声を消すその場所をあえてレイリーさんは刺激して来て、ポタリと私の頬から水滴が零れる。
それが汗ではなく涙なのだと、ボヤけた視界が教えてくれる。そしてボヤけてしまった為に、混乱をきたした私の脳は、その
「ベック……」
「男を見る目の確かさと、男を煽る技術は天性のもののようだ。ならば、後は篭絡する方法だけだね」
「ししょ……う……」
「……クルな。師匠と言う響きは。……安心しなさい。君は賢い、すぐに覚えて実践出来るようになるだろう」
ベックとは似ても似つかない声と口調が耳朶を掠める。その直後、中に埋め込まれている熱源が内側から膨張しているのを感じ取ってしまう。
「はっ……あ!……苦し……!」
「……嬉しい事を言ってくれる。……まずは楽しむといい、授業はそれからだ」
その声と共に、ぐんと身体を2つ折りにするようにしてレイリーさんの身体が押しかかってきて、鋭く奥まで穿たれる。結合部分がぐちゅっと隠微な音を立て、突き立てられた肉塊に絡まり、周囲の柔肌ごと窄まりの中に落ち込んでいく。
悲鳴をあげる事さえ叶わぬその圧力に、私は思わず目の前にあったその髪を掴み、身体を丸めるようにして耐える。そんな状態からハッハッと短い呼吸を繰り返せるようになった途端、今度は纏まった粘膜ごと引き抜かれ、突き上げられた時以上の衝撃が爪先から脳天まで駆け抜けていく。
「やっ……いやぁぁぁ!!」
自分の声だと思いたくない程に甘ったるい嬌声が飛び出し、全身がぶるぶると痙攣する。蕩けきった内部は勝手に蠢いて、レイリーさんのものに絡み、巻き付く。
その目的は明らかだ。より強い快楽を得る為、貪欲に咀嚼しているのだから。
「これは……油断したら、こちらが堕とされるな」
そんな言葉が聞こえたような気がした直後、私の心情や状態等お構い無しに、レイリーさんは触れる程度のキスをして来た。何をと思って、同時に少し身体が弛緩するのを感じる。
どうやら私は、キスに弱いらしい。そんな事を冷静に考えていたら、レイリーさんは自分が楽しむ為に、押しかかったその体重で私を拘束したまま激しく腰を前後させる。
肉を打ち付ける音が響く度、埋め込まれたものの動きに合わせて下腹部が艶かしく波立つ。抱えあげられた足が、汗を弾きながら、当てどなく宙を掻く。
そんな状態で逃げようと身体を捻れば、レイリーさんは愉しそうにその唇に弧を描いた。そしてまるで、逃げられるなら逃げてみろとでも言わんばかりに、突然手を離される。
それにより私が、、これ幸いと動こうとした時、レイリーさんのクビレがいい所を擦る感触が私の身体に想定外の衝撃を与えた。ひゅっと声のない叫びを上げれば、レイリーさんが愉しそうに言葉を口にする。
「ナミちゃんは、少しばかりじゃじゃ馬過ぎるが……女海賊として見れば、それくらいが良いだろう」
その後も逃げようとしたり、攻撃をしようとする度にやってみろとばかりに受け入れ、その後その分以上の快楽で私の事を翻弄するレイリーさんの余裕に、私も次第に正気を取り戻して行く。ただ快楽で蕩けきって堕ちる私よりも、どうやら足掻く私をレイリーさんは御所望らしい。
すぐ近くにベッドがあるのに、そこに行く事もなく床で私は何をしているのか。いや、ベッドならベッドでそれも嫌なんだろうけど。
「……1度イクかい?ナミちゃん」
「やっ……!」
イキたくない。ルフィじゃないなら、そんなもの無くていい。
そう思ってレイリーさんを睨めば、嬉しそうに笑う顔がある。気の強い女が好みなら、従順なフリでもすれば開放されるのだろうか?
「強情だな。私は、遠慮無く出させて貰うぞ」
その言葉に嫌だと思ったのに、私の体はレイリーさんを強く締め付けてどうぞとでも言わんばかりに絡み付く。それに小さく呻いたレイリーさんが、無意識なんだとしたら末恐ろしいと言って笑った。
そのまま1際大きくなったレイリーさんを感じて、悲鳴をあげる私の腰を強く掴むと小刻みな振動を加えながら、ゆるりと腰を引いて行く。それを私は望んでいた筈なのに、それ以上の後退を許すまいと、入口がきゅうっと締まるのが分かる。
「おや……?どうしたんだい?」
「も……わかんな……い……」
涙が零れ落ちるのを拭う事も、隠す事も出来ずにレイリーさんに縋るように視線を向けると、全くなんて言いながらそっと頭を撫でてくれる。この人は……何故私を抱こうなんて考えたんだろう。
レイリーさんなら、それこそ女が放って置かないだろう。私もルフィと言う心に決めた相手がいなければ、1晩だけでもと、喜んで身を捧げそうだと思うもの。
それくらいの色気と、野性味を隠しもせずに居るのだ。この歳でこれから、若い頃はどうだったのかと思えば恐ろしい。
「心は潔癖で気高いと言うのに、身体は従順で淫乱。その上名器だ。……身体と心の反応にこれだけの差異があるならば、通常なら壊れてもおかしくは無い」
「レイリーさん?」
「その矛盾が、このアンバランスさを誇張し、余計に欲しいと思わせるのか」
「へ?」
「肉体の美しさと、そぐわない程に顔は可愛い。身体は敏感で淫乱なのに、心は潔癖で気高い。何故こうも矛盾だらけなのか、不思議でならないな」
私も褒められてるのか、貶されるのか、慰められてるのか、馬鹿にされてるのかわからないです。なんて、言える訳もないのだけど。
「矛盾ゆえの美しさと儚さ、そして脆さと強さか。……壊れるのか、化けるのか、このまま生き抜くのか……どう転んでも楽しそうだ」
「レイリー、さん……?」
「本気で、ファンになりそうだよ。ナミちゃん」
「ファン……ですか」
ファンとは〝熱狂的〟な支持者や愛好家を意味する。元々が熱狂的と言う意味の英語が元になっている言葉なので、熱狂的なファン等と言うと、熱狂的で熱狂的な愛好家と言う意味のわからない重ね言葉になるのだ。
とは言え、例えば『日本橋』も英名だと『日本橋ブリッジ』となっており、それをまた日本語に直した場合『日本バシバシ』と言ういかにも痛そうな響きになるのだから、そこはあえて突っ込んで考えてはいけないのだろうが。何故こうも、意味のわからない思考に陥っているのか?
それは簡単だよ。なんで男に組み敷かれながらこんな会話してるんだと妙に冷静になってしまったから、余計に混乱してるのだ。
「さて……」
「レイリーさん?」
「呼吸も落ち着いただろうから、授業開始と行こうか」
「へ?」
「任せなさい。ナミちゃんを〝イイオンナ〟に育ててあげるよ」
結構です。遠慮します。
その心からの私の声は、レイリーさんに届かないまま、恐ろしく官能的でありながらスパルタな望まぬ授業が開始された。もう無理だと涙ながらに、訴えても合格点に私が達するまで許しては貰えなかったそれは、けれども恐らく私を色々な意味で成長させてくれたと思う。
「本当に賢いな。全て1度で覚えるとは。……なら、次は……」
望んでない事ではある。けれども、感謝する他無いだろう。
確かにこれを元に演じれば、体力を残して身綺麗にしてその場を後にする事が可能になる。それでも、やはり心は嫌だと悲鳴を上げているのも間違いない。
なら、他に何か手段があるのか。そう考えたら、ある意味でこれは救いになると分かってしまい、悔しさともどかしさから零れそうになる涙を飲み込んだ。
そして、余裕そうな顔でレイリーさんに言葉を向ける。合格を貰えなければ、この行為を止めては貰えないのだから、ここで気は抜けない。
「んっ……ぁ……。レイ、もう……いい加減にして。これ以上と言うなら、追加の条件を加えるわよ」
「……どんな?聞いてあげられそうなら、このまま続けたい」
本当に教育だけの為に出してるのかと問い詰めたくなる程に、甘やかで慈愛にとんだ声を向けられる。その眼差しは、恐ろしく優しいけど、それも演技なのだろう。
これなら確かに何処に居ても女は切れないだろう。若干ではない呆れが、思わず表面化してしまったのでそれを利用して言葉を紡ぐ。
「馬鹿ね、ここで引いておくくらいの余裕持ちなさいよ。私は、疲れたって言ってるの」
そう言って荒い呼吸を整えていたら、スっと身体を離したレイリーさんがそっと私から自身を引き抜く。それから当然のように、風呂場まで運ぶよと言う。
漸く終わったかと息を吐き出しそうになるのを耐えて、1人で入るから邪魔しないでよと強気に言って悠然と微笑む。それを確認して、風呂場で私を降ろしたレイリーさんが、優しく頭を撫でながら合格だと囁いて背を向けた。
それを見送り、漸く解放されたのだと言う思いと、砕けそうな程に弱っている自分に気付かされる。心と身体が全く違う生き物のように思えて、頭からシャワーを浴びながら勝手に溢れる涙を抑える事が出来なかった。