エースの部屋に運び込まれて、ソファに降ろされた私はタオルから腕を出してタオルを身体に巻き付け直す。そして何かを言いかけては辞めるエースを見て、首を傾げた。
「どうして、私の部屋じゃなくて、エースの部屋?こっちだと着替えが無いでしょ」
「この状況で、それを問えるナミって凄ェよな……」
意味が分からなくて呆然とエースを見上げたら、エースが舌打ちしつつベッドに腰を降ろした。それから私を見て、真剣な顔をすると手招いてくる。
どうしたのかと首を傾げつつ近寄ると、強く抱き締められて……そのまま身体を持ち上げられたと思ったらベッドに沈められる。その衝撃に驚いてる間にタオルを奪われてしまえば、流石に何をしたいのかは分かるけど……。
「エース、私はそれを受け入れるつもりは無いわよ」
「なら、殺してでも止めろよ。今なら生身だから、覇気を纏わなくても攻撃できる……今までのように、クリマタクトなら
その瞬間に嫌でも理解出来てしまった。エースは、わかっててやってるのだ……と、私が、エースを傷付けられないと。
でも……それなら、攻撃しないと言う選択肢もある。レイリーさんから伝授されたんだから!!
瞳を閉じて、細く息を吐き出して、ゆっくりと開く。するとエースがその瞳を眇めていて、内心でどうしたんだろうと思うけど、演技を続ける事にした。
「エース……私ね「俺にナミの演技が通じると思うなよ。ずっと見てきたんだ。演じる時や嘘つく時の癖位知ってる」」
「エース……」
「ナミは俺を殺せないし、傷付けられない。つまりは、逃げ道はねェんだよ」
その言葉と同時に震ってくる唇。それを嫌だと顔を背けると首筋に噛み付かれて、その痛みにビクリと身体が揺れる。
エースはその場で歯を立てたまま、抵抗する私を容赦無く抑え込んで、妙な事を口走る。それにより私は、反応が出来なくなった。
「いったい何人の男がナミの肌に触れたんだろうな?出来るなら、ルフィも含めて、その跡を全て消しちまいたいよ」
甘やかな睦言とも取れるその言葉が、私の胸を……心を……容赦無く切り裂く。何人の人間を、この身体で受け入れたんだろう。
今更……こんな私がルフィを好きだとか、愛してるとか、そんな事を言う権利は無いんじゃないかな。ルフィに、手紙……残さなければ良かった……。
そう思った時、涙が出そうになってると気付いて感情を霧散させる為に深呼吸を細く繰り返すと、エースが気に入らないと呟いた。何がと思った時、重ねられた唇。
前も思ったけど、エースとは多分肌の相性が良すぎるのよ……!
啄む程度のそれだけで、痺れるような感覚が肌を撫でさすっていく。泣きそうになる弱い自分を押し殺す為に、それならば翻弄してやるとその歯列を割って舌を滑り込ませ、強く吸い上げる。
そうする事で隙を作り、逃げ出せはしないかと考えたのが理由ではある。けれども最初は驚いてる様子でされるがままだったエースが、次第にその反応を変え始めれば逃げられないかも知れないと悟るのも早かったと思う。
ねっとりと絡まる舌の感触に刺激されたのか、それとも元々そうしたかったからなのか、より深く食み合う角度をエースは探し始める。背中に滑り込まされた手が、1方は項を擽り、もう1方は尻を撫で始めた。
ここに至っても未だ、私が隙を見て逃げようとしているのに気付いたのか、エースは唇を離すとその柳眉をひそめる。私の事を知り尽くしてるとでも言わんばかりのそれが、無性に悲しい。
もしも本当にわかってるなら……触れる筈がない。表面的なところや、身体の反応だけを知ってるのだと、そう言われてる気がして……。
「ナミ、泣いてもいい。嫌なんだろ」
「そう、思うなら止め「る訳ねェだろ。俺はナミが欲しい。でもナミは心をくれないって言うじゃねェか!」」
エースの言葉は哀しみに彩られている。でも、私だって生きていて、感情もあれば意思もあるのよ……!
これ以上どうしたらいいのか分からないくらいに、エースの事を想ってる。愛してるわ……!
「心は充分あげてるわ!家族として、弟として愛してる。エースが生きてくれるなら、私なんか死んだって本望だと思うから、あの戦場まで助けに行ったのよ!!」
「……だから、諦め切れねェんだろうが!!」
意味が分からなくて、慟哭するようなそれに首を傾げる。するとエースは酷く傷付けられたような顔で私を見て、侵入を拒むように小さくなっている入口に指を宛てがう。
そうして感じやすい柔肌を直接弄りながら、私の反応を確認している。でもお陰で、いきなりの挿入が無理だと分かったのだろう。
「俺は、ナミに女として愛されたい」
「やっ!無理よ!!」
「俺のでここをいっぱいにして、心も俺で充たして、俺だけに笑いかけるようになって欲しい。でも、ナミは無理だっていうだろ」
「当然でしょ!?私はルフィの……「だから、身体だけでも、俺でいっぱいにする」」
その言葉に思わず頬を叩けば、エースの瞳が怒りに揺れた。私は叩いてしまった事に動揺して、動けなくなる。
でもエースは、私がもう叩いたりできないように手を押さえて、叩いた事へのお仕置きとばかりに胸を甘噛みされる。空いているもう片方は、ゆっくりと指の腹で揉むようにして刺激し始めた。
「……っ……んっ……!」
「本当に、敏感だな。それに、随分大きくなってる。弄られるとデカくなるらしいから、それか?」
「……なっ……!?」
「なんだ、気付いてないのか。前に抱いた時より、少し大きくなってるぞ」
何処か暗い笑みを浮かべて言うエースに、黙れと思って睨み付ける。そもそも前回のも今回のも、合意じゃないわ!
「エース、いい加減にしなさい!私の身体にどんな変化があろうと、エースには関係無いわ!」
「この状況で、それ……言うか?」
私の抵抗を単純な腕力では余裕だと言わんばかりに押さえ込んで、エースは指を押し込んで来た。肉の隘路を押し広げ、望まぬ滑りを利用して奥へと差し込まれて行く。
抵抗しようと足をばたつかせるも、エースから縛られたいのかよと問われた事で動きが止まる。そんな趣味は、無い。
そんな時快楽の在処をあっという間に探り当て、指の腹で擦り始める。途端に、身の内で燻っていた官能の火種が1気に燃え上がった。
「……ッ……んんっ!!」
思わず漏れそうになる吐息を、喘ぎを、殆ど意地で抑え込む。そんな私にエースは首を傾げて見せる。
「痛むのか?」
本当につらそうに見えたのか、それとも痩せ我慢を知っていて態と言っているのか。首筋に吹き掛けてくる問いかけ交じりの吐息にさえ、反応する自分が疎ましい。
「あァ、恥ずかしがってんのか?大丈夫だ。……ここには誰も近付かねェよ」
「誰が、恥ずかしがってるって……!?嫌がってんのよ!!」
「でもよ、ナミのここは……悦んでる」
いつの間にか二本に増やされた指に、嫌という程執拗に内部を掻き回され、いい所を擦られ、強制的に濡らされた粘膜が勝手に蠢動する様がわかる。あられもない身体の反応に、羞恥と屈辱が身を灼く。
「俺はナミに本気だ」
「わた、しは……!弟に、しか……!」
「いいぜ?ナミはその〝弟〟に犯されて、腰振って、イキまくるだけだ。弟にイカされまくって、それでも姉だと言うなら……勝手に言えばいい。俺は、女としてのみ、ナミを見てる」
前回よりは熱の低くなった唇を、胸に、肩に、首筋に、音を立てながら押し当ててくる。上気して薄く色付いた肌に、色鮮やかな花びらのような痕が散らばっていく。
「んっ……ぁ……やぁ!エース、や……ぁ……!!」
息が上がり、ひっきりなしに漏れる声が抑えられなくなる。強制的に煽られる自分の身体が、酷く忌々しい。
「どこもかしこも敏感で、香りで男を誘いながら……俺を弟としてしか見てないって……?ならナミは、そんなに欲しかったのか?〝男〟が」
ぬぷりと音を立てて指を引き抜かれ、1瞬の空隙も許せないとあさましく迫っていこうとする粘膜が蠢く。その微細な動きさえ感じて、抵抗出来ない自分が呪わしくて、屈辱感は強くなりこのまま身を焼き尽くしてしまいそうに思える。
寂しくなったと蠢く入口にあてがわれたモノの堅さと、質量と、脈動を感じ取り、ゾッと肌が総毛立った。ルフィのようにどこまでも自在に伸ばしてくるのとは明らかに違うけど、エースのそれはその筋肉量に合わせたように世のお嬢さん達なら喜ぶだろう位には立派だ。
勿論元々の体格差があるのでドフィとかとは比べるつもりは無いし、デカけりゃいいと思うなよと言いたくもなる。それでも、この世界ではこの程度の体格の人が多いからか、案外問題なく受け入れられてしまうのだけどね。
つまり私は、絶賛現実逃避中である。だって、嫌なのに、逃げる方法も解決法も思い浮かばないんだもん……!
「うー……!」
思わず唸りつつエースを睨み見上げると、エースが1瞬動きを止めて……何故か赤面した。どうしたのかな、まさか、熱が出たの?
それにより、良くないとわかっていて私は喜色のそれを隠せずに笑う。そして、エースを説得しようと口を開いた。
だってほら、熱があるならこんな事してる場合じゃないし!あ、そっか弱ってるから発散したくなってこんな事してるのね、ならやっぱり止めて安静にするべきよ!
「エース、熱があるならもう辞め「熱じゃねェし、止めねェから大人しくしてろ」」
それに酷いと呟くと、酷くねェよと言われて行為が再開される。逼迫感に追い上げられているかのように、エースは気の早い挿入を試みて来た。
何がエースの余裕を奪ったのかは分からないけど、熱い切っ先が入口を押し開いた瞬間、脳裏にルフィが浮かぶと身体が突然私の意思に反映して硬くなる。それにより想像を超える苦痛が襲ってくれば、身がどうしたって引き締まってしまう。
それに気付いたエースが胸元に唇を寄せると、跡を遺しつつ弱い所を探し、舌で、吐息で、刺激を与え続けて来る。それにより身体が弛緩すると、エースはそのタイミングを逃さず、グイッと入り込んで来た。
「……ッ……!あ、あっ……!」
嫌でも1気に現実を突き付けられる。逃げる事が出来なかったのだと思い知らされて、ルフィ……と、私は思わず救いを求めて声を出していた。
瞬間中にいるエースが膨張し、熱を高める。それにより内側から引き裂かれるような恐怖を覚えて、再び堅くなった内壁が怯えて縮こまるように動き出す。
包み込んでるモノごと反射的に伸縮する私の反応に、エースの唸りが耳殻を擽る。そして、つらそうな声で私の名を呼ばれた時、意識が幼い頃のエースを思い出させて受け入れ態勢に入ってしまう。
「……ナミ……ナミ……!」
卑怯だと思う。そんな、泣きそうな声で呼ばれたら……責められない……!
泣かないでと、その頭を撫でたくなる。今、そんな事をしていいはずも無いのに……!
「ナミ……!」
弛緩した身体は、エースが入りたいと言う好きな所まで入れてやろうとでも言うように、絡み付きながら受け入れて行く。そうして根元までエースは己を挿入すると、私の顔を泣きそうな顔で見て、そっと唇を重ねて来たのだった。
それを嫌だと伝える為に頭を振る。けれどもそれをエースが許す筈も無く、噛み合わせを変えて、角度を変えて、飢えたように蜜を吸い上げたかと思うと、時に啄むように、時に濃厚に、重ね続けられる唇。
そうしながらエースは、私を支配しようと腰を進めてくる。全身を凄まじい違和感が襲い、私は口を開けて空気を押し出した。
エースとの相性の良さを理解していて、これ迄にあった多くの経験から理性を保てる自信が失われていく。その恐怖から、自分を犯してる男に必死に縋りついてしまう。
「……ナミ、お前……!!」
「エース、こわ、ぃ……。も、やだ……」
「もう、止めてやれねェ。全部、貰う!!」
エースは宣言通り、まだ完全にほぐれていない内壁を巻き上げながら、ゆっくりと進めてくる。その欲情の塊に遠慮は無い。
身体の中も、頭の芯も、ぐしゃぐしゃにされてしまう。私はただ、必死に頭を振る。
そんな仕草1つで、エースは私の快感のツボを見つけ出した。そして甘い声音で訊いてくる。
「ここだな」
「……んっ……!!や!、そこ、やぁ……!!」
私の答えを聞いたエースは、壊れたようにガクガクと同じ場所を激しく擦り始める。それにより閃光のような快感が走れば、腰骨の奥の方から込み上げてくる感覚に理性が吹き飛びそうになり涙が零れ落ちた。
「よく、締まる……!!」
「やぁ……!!きつ、ぃ……くるし……ょ……!」
「ここでっ……煽るか!?」
傷付けたくねェのにと耳朶を甘く噛みながらエースは言う。そして、私の髪を手櫛で梳くように撫で付ける。
指に絡まった数数本を丁寧に解く仕草が意外な程優しい。まるで、髪の毛の1本さえ愛しいとでも言わんばかりのそれに、顔が勝手に熱を持つ。
そうして私の意識を他に向けさせておいて、エースは徐々に律動を深めて行く。身体を揺すられる度に、うねるような快感が背筋を駆け上がってきて思い通りにならない身体に涙が止まらなくなる。
「……ナミ、安心しろよ。1回じゃなくて、何度でも……ここに命が宿るまで続けてやるから」
「やっ!いやぁあ!!」
「嫌がっても止めねェ。俺の子を宿して、ルフィの所に帰るか……俺の傍に居るかしか、選択肢は残さねェ。他に、ナミを得られる手段がねェからな」
そんな残酷な言葉を当然のように言い放つエースに、最後の力を振り絞ってその胸を叩きながら抵抗すれば、手首に跡が残るだろう強さで押さえられてしまう。痛むのは、手首か、胸か、心か、それとも接続部だろうか。
窓から見える月は、まだ傾いてさえ居ない。けれども私の心を反映してか、月が滲みまるで、月まで泣いているように感じられる。
夜はまだ始まったばかり。嘆く私を無視して、早められたそれにより私の中にエースの熱いものが注がれるのを感じながら、私は抵抗の悲鳴を上げ続けた。