やりにくいなと舌打ち混じりに言いながら、果物ナイフとセットでドフィから差し出されたのは果物の大量に入った籠で、無言で突き出されたそれを手にする。膝に乗せた籠の中から、とりあえず蜜柑を取り出して皮を剥けば、心が少し落ち着いた気がしたのは、その香りの為だろうか。
蜜柑を素直に口にして、自分で淹れた紅茶以外の水分は口にも出来ずにいたらドフィが突然頭を抱えた。どうしたのかと籠を横に置いて慌てて立ち上がると、手首を掴まれて引き寄せられる。
手首がミシミシと音をたてていて、砕けるんじゃないかという地味な恐怖を抱かせられるには十分過ぎる。それなのにどうして、私はこの手を振り払えないのだろう。
「ナミ……ナミ……っ!」
「……ドフィ?」
苦しそうに私を呼ぶ声。それが、私の判断力を明らかに鈍らせている。
「また、俺を、捨てるのか……?」
「なに、言って……?」
思わず言葉を返した瞬間、四肢に絡み付く糸により動きを封じられてしまう。何をするのかと睨み付けたけど、ドフィは頭を僅かに振って静かな声を出すばかりで私にはなんの反応も返さない。
「……なんだ、今の記憶……。1瞬何かを思い出し掛けた気がするんだが……消えちまいやがった」
「ドフィ……!離しなさい!」
「まァ……そんなのより、今目の前にある果実を食う方が、大切だよな?」
お腹が空いてたのかと思って身体から力を抜いた直後、ドフィが妙な事を聞いて来る。……後ろの経験はあるのか、と。
何を問われたのか分からず首を傾げた時、ドフィが笑い出した。そして、荷物を返して欲しければこれを飲めと液体の入った硝子瓶を目の前で揺らされてしまえば、私に拒否権は存在しない。
「……その、中身はなに?」
「飲めば分かる。いや、すぐには分からねェだろうが、大丈夫だ。飲んだ方がお前の為だぜ?」
嫌な予感しかしないけど、媚薬も毒も私には殆ど効かないのだから、無闇に抵抗するだけ無意味ね。拒否権が無い事に変わりは無いのだから、抵抗して喜ばせる方が面倒かも知れないわ。
でも、意味のわからない急展開に翻弄されるばかりではいたくない。拒否権は無いとはいえ、ただ素直にこれを飲むには、リスクも大き過ぎる。
「なら、先に荷物を見せて。そうしたら、飲むわ」
「……そんなに物に固執するとは正直思わなかったがな?何か曰くでもあんのか?」
「どうしても失いたくない物って、あるもんじゃない?」
ベルメールさんから貰った武器達と、ベックから貰った短剣。ミホークがベガパンクに恐らくは相当無理言って、強制的に作らせる事で用意してくれて、それをシャンクスが自分の手柄のように言いつつ贈ってくれたクリマタクトは、今やウソップやフランキーが改良を加えてくれた物。
とは言え、そのクリマタクトだけは今手元に無いのだけど。それが妙に寂しい。
ドクターがくれた避妊薬に、チョッパーが私に合わせて作ってくれた薬達。クーちゃんとの連絡手段である笛に、ロビンとお揃いのピアス。
ミホークがくれた使い勝手のいいペンと、シャンクスがくれたお守り代わりのチャーム。ルフィを筆頭にした
換えの効かない大切アイテム達は、私にとって必要不可欠な心の拠所でもあるの。でも、それを教えるつもりは無いわ。
そう思って無言でドフィを見た時、細く息を吐き出すのがわかった。その些細な事が何だか、感情を霧散させる時の自分の癖と重なった気がして不思議に思う。
「……良いだろう」
長い沈黙の果てに、ドフィは頷いてくれた。それに思わず笑えばドフィが息を飲み、動きを止める。
それでも優秀なドフィの部下は即座に荷物を持って来てくれて、それを確認した私に、ドフィはさっさと飲めと命じてくる。それに頷けば手渡される瓶。
香りを嗅いでみた所で、恐らく媚薬系だろうと分かれば、その後に何をされるのかは分かろうというもの。でも、飲んでから荷物を手にしてしまえば、逃げられない事も無さそう。
今のドフィは、私の知るドフィよりは大分弱い。逃げるのだって不可能じゃないわ。
そう思って1気に呷る私を見てるけど、ドフィは文字通り静観しているだけ。その様子が気になり、どうしたのかと見詰める私を操り、そっとソファに……ドフィの隣に座らせるとドフィは果物を食べ始めた。
それに従うように私も果物を食べていくけど、無言の食事と言うのは本当に居心地が悪い。皆の騒がしくも楽しい食事が、何だか懐かしくて涙腺が緩みそうになる程。
「……そろそろか」
「何が?」
そう言って顔を上げた瞬間、ドクリ……と、心臓が大きく脈打った。不整脈を疑いたくなるような心臓の動きに、まさか私に効く物があったのかと内心で焦る。
そんな私の様子に、ドフィは嗤う。それが、妙に癪に障るのはどうしてなのか。
「常人の10倍飲ませてその程度か。成程、それなら怯えもせずに飲む訳だな。……自分には効かないと過信していただろう」
「五月蝿……い」
心臓が痛い。肺が上手く機能してないのが分かる。
脂汗が滲むのは、心臓に来ている痛みのせいだろうか。呼吸法で何とか乗り切ろうとして行く私に、ドフィは何故薬が効くのかを語りだした。
意識の無い私から血を抜き、それを調べさせておいたのだと笑う。それにより効かない成分を除外して、使える薬を選別し、その中で使った時楽しそうな物を10倍の濃度で用意しておいたと。
途中で飲むのを止めようかと思ったが……と言って、けれども飲ませた方が楽しそうだから飲み切らせたと笑うドフィは、恐らく初めからこうした事をする予定だったのだろう。それにしてもどうして、ドフィは私に執着するのかな。
ロシーは何も覚えていないと言っていたし、ドフィもキスする迄忘れていたと言っていたのに。私には、特記すべき特徴なんてないと思うんだけど……。
人の苦しむ姿を見たくて、こんな事してるのかしらね。確かに描かれていたドフィには、そういう傾向があった気がするけど、私の知るドフィにはそんな要素あまり無かったと思うのに……!
心臓が恐ろしく脈打ち、全身が嫌な汗をかいているのがわかる。それにより丸まっていた私を背後から触れて来る手があり、身体がそれに反応してしまう。
「やっ……!!」
その瞬間、気付く。現在私の背後にいるのは、もう1人のドフィだと。
何をするつもりなのかと思いながら睨めば、ドフィはつい先程出たばかりの風呂場に私を連行して、想定外の場所へと指を這わせて来る。何をするのかと背後位にいて私を触っている糸人形ではなく、目の前にいるその本体を睨めば楽しそうに口元を歪められてしまう。
「経験が無いと言うから、後ろだけでもイけるように薬を使ってやったんだ。中はもう何も無いから安心して挿れられる」
「は?」
後ろには便がどうしたってある筈で、人としてそれが無くなる事は、それ用の処置をしなければ宿便等が存在する為にありえない筈で……。そこまで思った直後、はたと気付く。
「まさか……」
思わず声が出てしまう私に、ドフィは抑揚に頷くと、そのまさかだと言う。つまり先程の媚薬は、薬で腸の中を綺麗にする効果があるものだと言う事か。
でもだとしたら、そこに……体内にあったものは何処へ消えたのか。そう思った私の疑問にドフィは親切にも答えてくれる。
薬を飲んで24時間後に数センチのカプセルに凝縮されたそれが排出される形になると。それまでは大腸の中に留まり、綺麗にしつつ媚薬効果を腸の中から放出し続けるのだという。
巫山戯るなと怒鳴りそうになったけど、それより先に押し込まれた指に身体が反応してしまえば、羞恥と屈辱に身悶えるしかない。嫌だと抵抗しようとした時には、四肢に巻きついたままになっていた糸で操られ自ら四つ這いになり尻を差し出す事になる。
「なんだ、自分から尻を突き出すなんてなァ?そんなに新しい刺激が嬉しかったか?とりあえず、入れられるように解してやるから、それまでは上の口で奉仕してろ」
操ってる癖にそう言って、無理矢理咥えさせられたドフィのそれに、苦しさと情けなさと表現しきれない怒りで目の前が赤く染まる。その怒りのままに噛みちぎってやろうかと思った時、後ろを弄るその指が増やされて恐らくローションだろうものを練り込まれてしまう。
「んぅー!!」
「なんだ、思ったより上手いな。……俺のをいい子に飲めたら、後ろの行為を辞めてやるよ」
その言葉に縋るように、口淫と呼ばれる行為を自らに教えこんだ男の、若い頃のそれを満足させようと努力していく。けれども後ろの指もまた、いつの間にか本数を増やされて、生々しい行為の音を強調するように音が響く。
お風呂場であるが故にエコーがかかり、その発生源が下半身なのか、それとも奉仕させられている所なのかが分からない。肉体的な苦しさと、精神的な屈辱に眉を寄せた時ドフィのそれが口内で膨張する。
けれどもそれも、ドフィのそれを飲めば……開放される。そう信じて口内に放たれたそれを必死になって飲み込んだ時、糸人形が言葉通りに私から離れてくれた。
それにホッと息を吐き出したのも束の間、ドフィに操られて立たされたと思ったら、タイルの壁に両手をつかされる。そして、腰を自ら後ろに突き出させられれば、約束が反故にされたのは嫌でも分かってしまう。
「嘘つき!!」
「糸人形がナミの肛門を指で可愛がるのは辞めただろう。嘘はついてねェぞ?……俺はナミを抱くと宣言しておいた筈だ」
「嫌だと、そんなのはお断りだと言った筈よ!」
「諦めるんだな。俺は……ナミが気に入った。自ら可愛がってと強請り、辞めないでと哀願するようになるまで……穴に何も入ってない時間は与えねェ」
「いやぁぁぁ!!」
抵抗したくても操られた身体はドフィがやりやすいように自ら体制を整え、迎え入れてしまう。初めて使われるその場所に嫌悪感があるのは間違いないのに、同時に恐ろしい程の快楽が身体を駆け巡り頭の芯が朦朧とする。
強制的に達せさせられた身体が痙攣すると、素質があるなとドフィは笑うけど……薬使ったのは知っているのだから得意になる権利などない筈だと背後を振り向き睨む。その瞬間、ドフィがサングラスを投げ捨てて、何故か質量を増したそれで最奥まで1気に貫いて来た。
「やっ……あぁぁ!!」
「潤んだ瞳で、誘って来たナミの要望に、応えただけだ!!」
私が望んでないといくら言葉にしても、ドフィのそれが止む事は無い。イヤイヤと首を横に振ると、腰を前後に振るう速度が1気に増した。
もう少しでまた達せさせられてしまうと怯えに似たものを感じた時、動きが突然止まり胸の突起をベビードール越しに弄られ始める。その刺激に甘えたような声が1瞬もれると、ドフィが楽しそうに背後で笑った。
「胸が弱いのか。……それとも、イケそうでイケないのがつらいのか?」
「……んっ……くっ……!!」
「さっきのような可愛い声を聞かせろよ。その声で、可愛くイかせてと強請ったら、イかせてやるぜ?」
根元までいっぱいに押し込んだものを僅かに揺らす事で、内部を刺激して来る。左右の飾りを抓ったり引っ張ったりして弄び、耳元で囁くように言葉を紡ぐ。
強請らなければ、出してやらないし、イかせてもやらないと。中に放つまで、抜くつもりは無いと残酷に紡がれては強請らない事がやめないで欲しいと言ってるのと同じ事にされてしまう。
「ひど……ぃ……」
「……初めてで、こんな反応して、その上で煽るとは……相当だな。俺が、嵌りそうだ」
望まぬ嬌艶の宴は、始まったばかり。自ら強請り中に放ってと叫ぶまで、後ろだけで散々に楽しむドフィにより心と身体が疲弊して行く。
それも、それだけで終わる筈も無く、ベビードールを脱がされないままに四肢を操るドフィにより、糸人形とドフィにより前と後ろを同時に貫かれたりしながらも、逃げる事が出来ずにいる。抑え切れない嗚咽が喉を震わせ、望まぬ快楽が身体を駆け巡る。
「ゃ……ぁ……!ルフィ……!!るふぃ……」
意識が薄れると自制心も失われる。それにより気付かないうちに呼ぶのは、愛しい人の名前。
その度に気に入らねェ鳴き声だなと言うドフィの声が、右から左へと抜けて行く。声が掠れて、次第に出なくなり、それでも続けられる行為にイヤイヤと首を振る私は……それが精一杯の抵抗になるくらいには、貪られ続けてしまう。
「可愛く鳴いて、お強請りが上手に出来るなら……糸人形なんか片付けて、優しく可愛がってやるぜ?」
「やぁ……んっ!!も、くるし……!!」
「嫌じゃ、ねェだろ?あァ、辞められるのが嫌なのか」
「……ルフィ……たすけ……て……」
「……覚えの悪い猫だな。それとも、お仕置きされたくて、やってるのか?」
嘆きも、悲鳴も、望まぬ嬌声に変えられる。与えられる刺激に、滲む涙に、視界はとうに何も映してはいない。
意識を失っても快楽で強制的に目覚めさせられ、ドフィが仕事の時は糸人形のそれを受け入れさせられ続ける。そうする事で、私はひとときも休ませて貰えないままに時を過ごす。
それにより時の経過が解らなくなり、何度目か分からない程に放たれたそれをきっかけに意識を飛ばした後、私の意識は深く沈み戻らなくなった。その時、妙に焦った様子のドフィの声が聞こえた気がしたけど、恐らくは気のせいだろう。
クリマタクトが存在してたので、修正しました。