抵抗しようと試みても、純粋な筋力勝負になったらドフィに対して私の勝ち目なんて、どう考えてもある筈も無い。僅かな刺激で胸が大きく跳ね上がる、敏感すぎる自分の身体が恨めしい。
右を唇で吸われ、左を指で摘まれ、両方いっぺんに与えられる刺激に我を忘れたように首を振れば、頬から顎から……頭皮から髪に伝い滴り落ちる汗が枕を濡らしていく。ゆるゆると、埋め込まれている長い指が深い場所を悪戯に攪拌するから、喉が嗄れる程に高い声をあげてしまう。
「ひっ……ぁ……そんっ……やぁ……!!ひやぁあぁぁあ!!」
「いいな、その声。もっと……聞かせろ」
あちこち撫でられ、舐められ、軽く歯を立てられ、痛いくらいになっていく。体温が上がり、肌が粟立つ。
抵抗なのか、甘いおねだりなのかさえ声からだけではもう誰にも分からないだろう。抵抗と言うには甘すぎる声が、喉を揺らす。
「慌てるな。もっと、虐めてやるから」
「やっ……んっ……もぅ、やめ……」
「今回は、求めなくても挿れてやるから……安心しろ」
その言葉と同時に引き抜かれた指に、ビクリと身体が反応する。濡れて熱くなっているその場所に、堅い先端が押し当てられる。
目眩がするような熱さに、ひゅっと物欲しげに喉が鳴り、胸が嫌だと軋んだ音をたてる。執拗い程の舌と指での攻勢を受け充実しきったそこは、私の意志を無視して快楽を求めていた。
呼吸でもするようにその場所が、男芯を求めて開閉を繰り返しているのが分かる。うねる幹のような逞しい雄芯を、自ら呑み込もうとヒクヒクと蠕動しているのだ。
貪欲な身体の反応を、今は見てもいないのにドフィにも伝わっているらしい。低く響く笑い声に、涙だけは零すまいと誓い睨み付ける。
それに対してドフィは嬉しそうに笑うと、好戦的な眼差しを返す。どうして、そんなに喜んでるのか理解出来ない。
「……それでこそ、ナミだな。簡単に堕ちては来ない、か」
「ドフィの馬鹿!ヤダって、言ってるのに……!!」
「たっぷりと味わえ……!!」
堅く怒張した欲望が入口を容赦無く広げて、肉を裂く勢いで最奥を目指して打ち込まれる。焦らされた事で、飢えて、疼いて、悶えていたその場所に。
心は拒み続け、身体は早くと欲していたそれ。甘美な刺激が、脳髄までをも支配しようとするかのように与えられる。
「ひっ……ぃ……やぁぁ……っ!!」
ずんっと、息さえ止まる程に強く内臓を突き上げられる。その衝撃は脳髄まで貫き、瞼の裏が真っ白に明滅して意識さえ飛びそうになる。
だけど、それも1瞬の事。すぐに身を穿つ圧倒的な質感と共に、凄まじい官能が強制的に目覚めさせられていく。
ギリッと窄まった粘膜が、悦びを与えてくれる剛直を逃がすまいと嬉々として絡まっていく。私の意志を完全に無視して、もっともっとと貪欲に。
性行為自体が私としては、これが約1年ぶりのものになる。それなのに、この体格差では快楽より本来ならば痛みが勝る筈なのに……どうして、この身体は、私は快楽だけを拾ってしまうのか。
「くっ……!」
僅かに眉根を寄せたドフィの顎から零れ落ちた汗が、ポタリと私の頬に落ちる。身勝手に蠢く内部の、余りに淫らな反応に恥じ入る余裕も無く、覆いかぶさっているドフィが、苦しそうに見えてしまう。
私はその顔に幼い時のドフィが見えてしまい、無意識でその背をあやす様に撫でてしまう。苦しむ姿を見たくないと、本能的に動いてしまうのだ。
どう考えても、明らかに望まない行為を強要されてるのは間違いないのに……どうして、見捨てられ無いのかな。必死なその顔が、嘘偽りなく私を求めていると分かるからなのか、それとも……やはりあの頃のドフィが見え隠れするからなのか。
柔軟な筋肉が緊張と弛緩を繰り返しながら、体全てを使い私を翻弄する。中から抉られているような感覚に、嗚咽に近い声が落ちてしまう。
男のそこは、他とは別物だと言うけど……それは違うなと妙に冷静に思う。ドフィは両腕で私が逃げられないように捕え、背をしならせ、腰を搾る。
緊張しきった太腿と、それに続く逞しい足で全身を支えて、それで初めて前後の激しい動きを可能にしているのだろうと思う。いくら性感帯だとはいえ、肉の摩擦だけでこんなにも凄まじい愉悦が生み出せる訳はないと思うから。
厚い胸を荒っぽく波立たせ、強靭な腰を縦横無尽に振り回し、高みを目指す為の抽挿が始まる。激しい律動に翻弄され、あられもなく喘ぎながら湧き上がる甘さの中に溶けそうになる身体。
舌先に軽く歯を立てられ、ピリッと走った痺れにより知らずに腰が痙攣する。それにより、深く埋め込まれたモノを不規則な収縮で持って咀嚼していた。
重ねられていた唇の隙間から、低い呻きが漏れたのを聞いてやっと終わると内心で息を吐く。でも、ドフィは零れる唾液の流れを追うように熱い舌を下ろして行く。
顎から首筋へ。そして膨らんだ乳首へと。
まるで飢餓に襲われた野獣の如く食らいついて来たドフィの髪を掴んだのは、抵抗の為か縋る為なのか、それさえ今は分からない。夢中で短いその髪に指を這わせながら、抑える事も出来ない艷めくばかりの嬌声を放っていた。
それでもドフィはそこで1度動きを緩めると、自らの指先から糸を出して自身の根元を縛るから、嫌な予感がした。ドフィは、最低5回とか……そんな阿呆な事を言ってなかっただろうか?
……まさか、冗談だったに決まってるわよね。人として、そんなの普通は出来ないわよ。
「ナミ、コレで俺はいきにくくなったから……思う存分可愛がってやれる」
「冗談、辞めて……!」
「俺が5回出すまで、抜くつもりはねェ。ナミの中を俺のでいっぱいに満たす為にも、1回ずつを濃厚にしてやろうな?」
「やっ……もう、いっぱいだから……!!これ以上されたら、死んじゃう……」
「ナミ、お前本当に煽るの上手いな……」
煽ってない!と言うより早く再開されてしまう動き。獰猛なまでの突き上げに翻弄され、嬌声に紛れた言葉は既に意味をなさない。
私の心はもう、限界だった。幼く可愛かったドフィが、襲いかかって来てる現実に打ちのめされているのだ。
だと言うのにまだ足りないとドフィは私の両足を引きちぎる勢いで開くから、体格差もあり否応無しに浮き上がる腰。私の身体を二つ折りにでもしようとしてるとしか思えない勢いで、ドフィは1際深く穿って来る。
まるで癇癪を起こした子供のように、ずんずんと腰を振るわれる。ただ、身体は子供じゃないから、寧ろ巨大すぎるから、打ち込まれる衝撃は半端じゃない。
逃げる余裕なんて欠片も無い。痛みと紙一重の快楽をこれでもかと送り込まれ、私は汗に濡れた髪で枕やシーツを叩くしか出来ないでいる。
そうして全身を震わせながら意識を失った私は、ドフィから与えられる刺激で意識を戻し、また意識を失うのを幾度となく繰り返す。声が出なくなり、ヒューヒューと言う呼吸音しか出なくなった私に漸く満足したのか、それとも飛び飛びの意識の向こうで本当に5回出したのかな。
ドフィが私を解放してくれたのは、最初に挿れられた瞬間から数えて3日後の事だった。勿論その途中で糸人形でもって脅迫してきた事で、ドフィのソレを奉仕させられたり、後ろも散々使われていたので満足したのが本当の所なのだろうけれど。
全身がベタベタするし、動けないし、なんか臭いしと出ない声で抗議した私にドフィは笑うばかりだ。身体を清められているだけで耐え難い快楽に襲われる程敏感になった私に、ドフィは酷く満足そうにしていた。
ただ、そうして清めてる筈のドフィがその場で襲って来た為に、私は湯あたりで意識を失う事になったようだけど。意識が無かった私をベッドに運び寝かせて、甲斐甲斐しく看病してくれてたドフィに感謝する気には流石になれない。
ドフィは意識が戻っても指一本動かせなくなっていた私にホッとした様子を見せて、挨拶のように乳首を弄りながら言葉を向けて来る。恐らく本気だろう言葉を。
「ナミを傷付けるのは趣味じゃねェが、他の男に二度と姿を見せられないようにここに、リングでもつけるか。そこに俺のシンボルマークの鈴でもつけて……」
「ゃ……ぁ……!」
「下にも、同じのをつけてやるよ。そうしたら、俺のだと分かって誰でも返して寄越す。俺を敵に回すのは、相手が誰であれ得策じゃねェからな」
乳首をこね回しつつそんな事を言って、金属の種類を考えて来てやると立ち上がるドフィにヤダと必死で声を出す。けど、ドフィは私を1人残して部屋を出て行く。
このままここにいたら、本気でやられる。そう判断した私は、力が入らずに震える身体を根性で強制的に動かして、手荷物の袋に武器を全て押込み、服を着る余裕も無いままに窓から外へ身を踊らせた。
それがまさか、天竜人の住むその場所へと続く途中にある超高層な位置のホテルだったと気付いた時には、海に向けて落下して行く所だった。けど、落下して行くその途中で誰かの温もりを感じた気がした私は、走馬灯だろうかと考えてしまう。
だって着地の為に剃や月歩を使う余力は無かったもの。それどころか、受身さえ取れるか怪しかった程なのだから、当然だろう。
そんな私はその後に聞こえて来たいくつかの声で、どうやら走馬灯では無かったと気付く。そして、私を抱いてる腕の持ち主が特徴的なその髪を風に揺らしながら、優しく笑っているのを漸く確認したのだ。
確認の為に唇を動かして名を呼んでみても、声が出なかった。そんな私に即座に反応したベックに私は移動させられ、そのまま医務室に運び込まれる。
そうして治療と点滴に身を委ねつつ、私はどうしてここに居たのかとか色々聞きたかったのに、何も聞けないままに意識を手放した。漸く意識が浮上して動けるようになると、ベックとシャンクスのどちらかが常に側にいて守ってくれている事に気付く。
小さく声を出してみれば案外普通に出たので、治療されたのを理解する。そしてそれにより、私の意識が回復したと気付いた2人が近くに来てくれた。
「2人とも、忙しいでしょ。助けて貰って有難いけど、申し訳無いから……本当に気にしないで何処か適当な島で降ろして貰っても大丈夫よ」
「……天夜叉が、探してる。ナミが1人でいて、次に捕まれば……どうなるか位分かるだろう」
シャンクスの言葉にビクリと身体が震えれば、ベックが痛々しそうに私を見る。そして、問い掛けてきた。
「いつ、空島から帰った?帰ってすぐに囚われたのか」
「数日前よ。地上に降りる前に雲の上で会って、そのまま……。ダメね、全然強くなんか、なれてない……」
落ち込んで顔を俯ける私の頭を、シャンクスが優しく撫でてくれる。そうなって私は、己の浅ましさを思い知るのだ。
シャンクスやベックなら、必ずそんな事無いと言って甘やかしてくれる事を知っていたのだ。許して欲しいと願い、甘えたのだと気付いてしまったから。
「数日天夜叉に犯されて、そこから逃げ出して来た時点で相当だろう。……それよりベック、何でナミはベックの服を着てるんだよ!?」
「ナミは俺の服なら着られると知ってたからな。……なァ、ナミ?」
揶揄うようにそう言って笑うベックに、何を言われたのか即座に理解してあの時服を全部奪ったの根に持ってるの!?と内心で悲鳴を上げる。そんな私にベックは可笑しそうに笑い、優しく頭を撫でて来た。
そんな状態でも、私に煙草の煙をかけないように気を付けてくれるのだから、相当甘やかされてると思う。……ううん、違うわよね。
私はベックから〝大切に愛されてる〟のだ。だって、こんなにも甘やかな眼差しで私を見詰めてるのだから。
「覚えていたなら、良い。……他にちょうど良さそうなサイズの服で、ナミが着られそうなのが無いんだよ。お頭のは胸元が開いてるし、ヤソップのはピッタリとしたデザインだから、下着のない今着せられねェ」
「ごめんなさい」
「構わねェさ。シャボンディ諸島に行くんだろ。ついたら衣服と下着を揃えるまでは1緒に居てやるから、今は素直に甘えとけ」
「でも……」
甘える権利なんて、私にあるのだろうか。いや、ない。
どう考えてもない。甘える資格も権利も何も無いわ。
「……ナミ」
「なに?」
「俺がナミと1緒にいたい。ナミと私事の買物をした記憶がないから、たまにはゆっくりと共に過ごす時間を俺にくれないか?」
「ベック……うん、ありがとう」
ベックは私の不安を消すようにそんな事を言ってくれる。それも質問形式にする事で、私に選択肢を残してくれると言う気遣いつきだ。
だから私は、その言葉に従うようにベックに抱き着く。するとベックは、いい子だと言いながら頭を撫でてくれた。
それが妙に心地好くて、スリスリとしていたらシャンクスが背後から私をベリッと引き剥がす。それにベックが低く告げる。
「お頭、まだダメだぞ」
「いつまでダメなんだよ!?」
「明らかに弱ってんだろ。次にまた壊すようなら、鉛玉お見舞するから覚悟しておけよ」
威圧的な様子を見せるベックに、シャンクスは呆れともいじけともつかない声を出す。その2人の様子をシャンクスに捕まった状態で、オロオロと視線を動かしつつ見ているしか出来ない。
するとシャンクスがクスッと笑ってから頭を撫でて来るから、気恥ずかしくて俯いてしまう。そんな私を置き去りに2人は会話を続ける。
「……明らかに保護者だな」
「なんだ、恋人になって欲しいのか?……ナミ」
ベックに呼ばれたので顔を上げたら、男らしい色香を漂わせながらベックが笑った。それに顔が赤くなる私に、優しい色を乗せた瞳が細められる。
「俺に、しておくか?大切にするぞ」
「なっ!?わたっ!ルフィの!」
「……悪かった。落ち着け、大丈夫だから」
「シャンクス、ベックが私を弄ぶよー……」
シャンクスにそう言って抱き着くと、シャンクスが納得した様子で頷いた。確かに今はまだダメそうだと。
何が何だか分からないけど、とりあえず無事に過ごせるらしいと分かり、私は赤髪海賊団の皆に守られながらシャボンディ諸島を目指す事になった。その期間にドフィがどんな暴れ方をしているのかを知らないままに、ひと時の平穏を満喫していたのだ。