とりあえず、無作為に時を消費したくないと思ったのは間違いない。つまりは、いつ会えるのかも分からないゾロの捜索に無意味な時間は過ごしたくなくて、本や文房具の買出しに向かう事にしたのだ。
2年前に育てていた野菜や花はどうなったかな。そう考えると、植物は1度サニーの様子を見てから何を買うのか決めたい所よね。
洋服は買ったし、実際それはシャッキーの所に届いてたから私の分は大丈夫。そうなると買い足しておいた方が良い物としては、食材や船の修理に使えそうな素材、医療品等になる。
勿論リネン系の物は欲しいけど、2年の時の経過で劣化してたとかでも無ければ洗えば十分使えると思うのよね。あ……それなら洗濯する為に、やっぱり1度サニーに行かなきゃ。
とりあえず先に買物して、私の服とセットで持って行こう。ただ、食材や調理器具に関しては、点検するのも新たに選ぶのも本職のサンジ君に任せるべきだと思うのよね。
つまりは船の修理に使えそうな素材や道具、金物系はフランキーとウソップの管轄で、医療品や医薬品に関してはチョッパーの管轄。素人が適当に揃えるなんて事は、本職がいる以上やるべきじゃないわ。
誰も本職と呼べる人が居ない時は私が采配をとって来たけど、今は右に出る者の居ないような人達が集まっているのだから任せるべきだわ。そんな事を考えつつ、クーちゃんに後でサニーへと私が預けていた書籍は運んで貰おうと決める。
折角あるのに、自分の本をわざわざ買い直す趣味は無い。売上になるとしても、なんかそれってさもしいもの。
知らない間に出版された多くの書籍に、瞳が輝くのがわかる。これも楽しそう、あれは使えそう。
知らない分野の本も含めて衝動的に買い漁り、本屋さんも私もホクホク笑顔だ。ついでにインク等の取扱が多い良質な店を聞いてみたら、すんなりと教えてくれた。
それに笑ってお礼を告げた私は、買った物をシャボンに押込み教えられた店へと向かう。その途中で向けられる視線に、確かに視線ひとつで分かる事が多くあるのだと気付かされる。
ただ、確かに唆られる様なモノは皆無に均しい事まで。そう考えると、私に手を出した人達って視線だけで多くの事を伝えてたわよね。
こうなると、まだまだ私はお嬢ちゃんだったのだと痛感させられる。2度目の人生だなんて言ったって、過去だって人並みの恋愛しか経験して無いんだもの。
そっち方面ではこの世界の……それも海賊として生きる人達や娼婦として、生きる覚悟を決めた女性達に敵うべくもない。彼女達の強さと覚悟の前では、私はまだまだ甘くヒヨコですら無いだろう。
文房具屋が見えて来た辺りで、私は建物の影から伸びてきた手に突然右腕を掴まれて物陰へと引きずり込まれた。咄嗟にクリマタクトを使おうとしたけど、左手では動きが鈍かったのかそれを簡単に抑え込まれてしまう。
そのまま勝手にされる訳にはいかないと身を捩って回し蹴りを入れようとした所で、相手がゾロであると気付いて動きを止める。懐かしさで笑顔になると、掴んでいた手が開放された。
「ゾロ!久しぶり!」
喜びのままに飛び付けば、ゾロもまた懐かしそうにその瞳を細めて、あァと返しながら抱き締めてくる。そのゾロに少しの違和感を感じて首を傾げると、その答えはすぐに分かった。
「そうか、背が伸びたんだわ。男の子だもんね。あ!服も前と変えたのね。……なら、後で服とか買いに行きましょ。それとももう、揃えちゃった?」
採寸するのに、抱きついたままでその身体に手を這わせる。筋肉も前よりついてがっしりしたしと思えば、何故かゾロに溜息と共に苦笑された。
「ナミは、変わらねェな」
言われて考えるけど、確かに服装は殆ど変わってないし、身長も差程伸びなかったわねと気付く。成長したのは見た目では胸と髪の長さくらいかな?
「そうね、でも中身は色々増えてるわよ!ずっと執筆もしてたからお金もそれなりにあるから、ルフィの食欲でも中々食べ尽くすって事は無いと思」
笑顔で言葉を告げていたのに、気が付いた瞬間にはゾロに唇を奪われていた。そう気が付いた時には言葉は当然途切れていたし、既に歯列を割って滑り込んで来ていた舌に口内を蹂躙されている。
「んっ……ゾ……ロ……!」
絡んで来た舌に、じわりと溢れてくる蜜まで舐め取られた段になって、慌てて目の前の胸を押し返そうとした。けど、いくら私が抵抗してみても、ゾロとの実力……いいえそうじゃないわね、筋肉差が前より広がっていて、簡単に抑え込まれてしまう。
戒めを深めたゾロの腕で易々と抵抗は封じられて、ついでに力強い掌に後頭部を押さえられてしまえば、顔を背ける事は許されない。そのまま更にキツく唇を吸われる。
それでもゾロは優しいからキスで辞めてくれると、私は何処かでゾロを甘く見ていた。甘く見ていたと言うより、もしかしたらゾロなりの再会の挨拶なんじゃないかって思っていたのだ。
何せシャンクスもエースもキスが挨拶だから。ゾロもそうなのかなって……。
結果的にその甘えが、私の判断力を鈍らせたのは間違いない。当然レイリーさんからの指導なんて、この時は発揮する事が全く出来ていなかっただろう。
なんと言っても仲間だし、ゾロだし。私にとって大切な、疑う必要もなく素を出せる愛しい存在なのだから。
でも、身体はぶるりと悪寒のように身震いしている。それが快楽ゆえだと分からない程経験が浅い訳では無い。
「も、辞め……ゾロ!」
呼吸の為に離れたのだろう隙間で抵抗の声をあげても、ゾロの行為はやまない。噛み合うように重なった唇から、甘ったるい痺れが広がっていく。
いつ果てるともない濃厚な刺激に、そう言えばゾロは1味の中ではそっちの経験も多い希少種だったと思い出させられる。この身体も、快楽だけは嫌という程に知っているから、抗う事が難しい。
奪い尽くされるような感覚。何が、ゾロにこんな事をさせてるのか分からない。
逞しくて、巧みで、強引。支配欲に満ち溢れた、傲慢な口付け。
歯列をなぞられ、舌の裏から上顎の粘膜までねぶられる。口内を、犯されていると言って過言では無いだろう。
痛い程に舌を吸われ、抗う力さえ抜けていく。息継ぎさえままならない為か、それとも官能の為か、目眩にでも襲われたかのように足元がおぼつかなくなってくる。
「あふっ……んっ……」
咄嗟に目の前の着物のようなそれに縋ると、腰をすくわれるように抱き止められた。身長差のせいで腹部に当たるそれが、モノ欲しげにに脈動してるのがわかる。
島に長い事閉じこもっていたから、女の身体に反応してしまったのかな。そんな事を考えていたからか、ガッシリと抱き締められた状態で、長い事貪られた私は呼吸を整えるのに必死で、ゾロに何処へ運ばれているのか気付くのが遅くなった。
運ばれたのは近くの宿で、ドアを早々に閉めたゾロは器用にも部屋の鍵を即座に閉めてしまう。内側からも外側かも鍵を使わないと開けられないタイプのようで、鍵を持っているゾロが居なければ部屋を出る事も出来ない。
まぁ、いざとなればゾロからスれば良いけど、ゾロの目的が分からなくて首を傾げてしまう。ここは島なのだから、盛ってるだけなら何処かで女を買うとか出来る筈なので、話でもあるのかと疑問に思う。
後は最悪、針金に変わる物があれば開けられるものね。でも、どうしたんだろ、ゾロの様子がなんかおかしい気がするわ。
「ゾロ、どうし」
最後までたずねる事も出来ないままに、私はゾロにベッドへと押し倒された。それに恐怖を感じて身をよじって逃げようとしたけど、背後からのしかかられる形になっただけで何も解決していない。
「2年離れて、考えた」
ゾロが突然そんな事を言うから、私はゾロの言葉に耳を傾ける。何かあったのかも知れないと思ったから。
だって、首を動かして見た時に見えたゾロの瞳が妙に暗い。ゾロの気配が、傷付き過ぎて自分ではどうにも出来ないのだと、悲痛な叫びをたたえている。
その気配が泣く事さえ出来ないと叫んでいるのは、男の子特有の弱さを見せられないそのプライドが故だろうか。どうして、身体ではなく心がそんなにも傷付いているの?
「我慢している間に喪うかも知れないなら、我慢なんかするもんじゃねェって……。だから、遠慮はもうしねェ。ルフィには俺から話すから、ナミは気にせず溺れてろ」
「何言ってんの!?私の意思はどうなるのよ!」
ゾロは私の叫びを無視して背中に唇を落として行く。見えない為にどうしても敏感な背中への刺激に、私の身体は大きく反応する。
「ぁ……ゃ……」
必死で反応してるのを誤魔化すように声を抑えても、身体はビクリと揺れるのを止められなくて、荒い呼吸を繰り返す。次に何処に刺激が来るか分からないから、身体が警戒していつもより敏感に反応する。
このままでは良くないと思っても、ゾロはやめる気が無さそうだとわかる。首にゾロの舌が触れた時、辞めてと涙声で頼むのが精一杯というありさま。
そんな私に1瞬動きを止めたゾロは深い溜息と共に、簡単にカーディガンを剥ぎ取ると首の後で結んであるビキニの紐を唇で解いてしまう。指ではなく、唇であった為にその刺激に抑えきれない声が出てしまえば、ゾロの声が嬉しそうに揺れた。
「馬鹿、逆効果だ」
言いながらゾロは、私の身体を楽々と反転させる。そうして私と向かい合う。
目的を知りたくて、思いとどまって欲しくて瞳を合わせるとゾロは優しげに笑った。けれども紡がれたのは、残酷な言葉。
「その瞳を閉じるなよ。誰に抱かれてるか、しっかり見てろ」
ゾロはそう言うと私のビキニを簡単に取り払い、両足の膝をベッドに押し付けるように広げてくる。大きく開かされた事で身動きも取れず、羞恥に顔を赤くするけど、ゾロは愉しそうにその瞳を獰猛に歪めた。
やだ、なんで突然。でもダメ、ゾロは止まらない!
そう感じさせる獣そのもののようなゾロに、私は簡単に弱い所を責められる。嫌がって頭を振ってみても、ゾロは辞めない。
「先に軽くイっとけ。傷付けたい訳じゃねェんだ」
そう言ってゾロは感部に吸い付く。悲鳴のような声が自分からもれても、ゾロは辞める事は無い。
身体が小刻みに震えると、舌先で転がしたりして更に刺激を与えて来るからそれに耐えられなくて、ゾロの頭を引き剥がそうと必死の抵抗をしてみた。それでも効果は無いのか、ゾロは私の目の前が白くなっても辞める事無く刺激を与え続ける。
ゾロが秘部から口を離した時には、私は浅い呼吸を繰り返すしか出来なくて、既に抵抗できる体力はあまり残されていない。そんな私にゾロは指を押し込んで来るから、ヤダと言って身を捻る。
それを見たゾロが、耳元で囁く。甘い色気を含んだ声で、何処か楽しそうに。
「ここは、喜んでるみたいだから、安心しろ」
太い指が中で動き回り弱い所を刺激するから、私の身体は勝手に反応を示す。嫌だとゾロに何度も繰り返し伝えるけど、ゾロの手は止まらない。
次第に指を増やされて、その圧迫感に生理的な涙がこぼれるとゾロはその涙を唇で拭ってきた。それが妙に優しくて、ゾロが何をしたいのか本気で理解出来なくて、探るようにゾロを見つめる。
「慣らさないと、辛いのはナミだぞ」
「……そもそも、こんな事、しなければいい、じゃないのよっ!ゾロは知ってる筈よ、私はルフィのモノだって!」
「だがナミは、鷹の目に何度も犯されているだろ。コックにもやられてる。それに俺が加わって、何の問題があるんだ」
「問題だらけよ!私、望んでない!ルフィ以外の誰とも、こんなの望んでないの……!」
「なら、ルフィにはもう再会したのか?」
その言葉にビクリと反応してしまうのは、意味に気付いたから。身体には、情事の跡が残っている。
それは当然だろう。つい最近ドフィ、シャンクス、レイリーさんにこの身体を暴かれたから。
身体に、その時の跡が残っているのだろう。それを、なぞるように指が素肌に触れるのだから、分かろうというもの。
答えを言えずにいる私に、ゾロはふっと笑う。それに対して、甘い声を出さないように必死で言い募ればゾロは指を動かしながら言い切る。
「俺は我慢を辞めたと言っただろ。ルフィには、俺が無理矢理したんだって言ってやるから、もう何も考えるな」
「や……!そんなの、ルフィが知ったら傷付くから、辞めて……!」
「そんなの、ナミが誰かにってのは今更の「仲間に!信頼してる、頼ってる仲間にこんな形で裏切られて……傷付かない筈がないでしょ!?ルフィは、そんなに鈍感じゃないし、強くもない……!ルフィを、傷付けないで……」」
私の言葉にゾロはそうかと1言呟くと、勢いよく指を抜き去った。辞めてくれるつもりになったのかとゾロを見たけど、その瞳には明らかなる欲情の色があって、身体が勝手にビクリと震える。
ゾロはそんな私を気にしてないのか、無駄に立派なそれを私にあてがう。それを見た私は悲鳴のような声を出して、拒否を示す。
「……ヤダ!仲間とそういう事したくない!お願い、辞めて……!」
「なら、今は見知らぬ1海賊だ。良い女だと思って〝泥棒猫〟を捕らえた、他の船の海賊だ」
「そんな事、思える筈無いでしょ!?私は、ゾロをゾロとしてしか見られない。私はゾロの事も、大切なんだから!」
部屋が明るいから、細部まで見えてしまって……私は本気で怯えて逃げようとした。けど、嬉しそうに笑うゾロは容赦無く私の中にそれを埋めて来る。
逃げようにも上手くいかなくて、繋がる身体。その身体が快楽を拾い、勝手に悦び出す。
力の差は歴然でゾロから開放される道が見えない。だから私はゾロに何度も呼び掛ける、名前を呼んで……辞めてと、ただ繰り返す。
その度にゾロが苦しそうな顔をするけど、その理由が私には全く分からなかった。ただ、そんな顔する位なら……誰も幸せになんかなれないのだから辞めて欲しいと祈るように願いつつ、助けを求めルフィの名を呼んでしまう。
「ゾロ、やめ……助け、て……ルフィ」
「この状態で、他の男の名を呼ぶのは……どうかと思うぞ」
「やっ……ルフィッ!」
その結果、何故かゾロの行為が激しくなり、意識が飛ぶまで容赦無く責め立てられる事となった。レイリーさんから教わった事なんて、身内には何も対応出来ないのだと痛感させられるだけ。
長い哀しみの時は、始まったばかりだ。誰もが傷付くしかない、救いの無い時間が。