※この作品はR-18です。

波間の向こうを目指して(新・本編)   作:夢枕 七変化

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筆※

 二人きりに戻った室内で、身を隠してくれていた毛布が取り除かれてしまう。それにより身を竦ませる私を見て、ミホークは薄く笑うと棒と紐を取り出して……。

 

 「なに、それ?」

 「見てわからぬか。棒と紐だ」

 「いや、それは分かるけど……」

 「この棒を……」

 

 そう言って人の足を掴むから嫌な予感が全身を貫く。膝裏に棒を挟むようにされて棒と膝を紐で縛られれば、何をされようとしてるのかは嫌でも分かる。

 何に使うつもりなのかなんてもう、聞くまでもない。嫌だと暴れようにも力の差は歴然で足が微動だにしないのだから泣きたくもなる。

 

 「やだ!何考えてんのよ!?」

 「足を閉じられなくしようとしているだけだ。安心しろ。棒をナミの方に押せば問題なく繋がれる」

 「そんな事不安に思ってないわよ!!馬鹿じゃないの!?」

 「ナミに関しては愚かしい程に焦がれている」

 「ミホークが馬鹿で愚かなのは分かったから辞めてー!!」

 

 言いながら、まだ自由な右足に覇気を纏い蹴りを入れるとミホークが好戦的な笑みを浮かべる。それに負けるものかと強く睨み返せば、ミホークが肩を震わせた。

 何がこの男の琴線に触れるのか、全くもって理解できない。意味が、わかんないよ……。

 

 「相変わらず、楽しませてくれる。この二年でどう変わったかと思ったが……前より活きがよくなったな」

 

 私は生鮮食品かと怒鳴ろうとしたけど、簡単に掴まれた右足も同じように棒に固定されてしまえば、首を横にふりながら必死で身をよじろうというもの。大きく開かされた状態で固定されて、足を伸ばす事さえ出来ない。

 その状態でミホークが取り出したのは筆で……。恐らく新品だろうそれに、嫌な予感しかしない。

 

 「い、や……」

 「ナミが挿れてくれと頼むまで、俺は挿れぬ。そして、俺が挿れて満足する迄は辞めてやるつもりは無い。好きなだけ身悶えるがいい」

 「いやぁぁぁ!!」

 

 足をばたつかせようとしても、それは足首だけがバタつく形になる。はたまた足を自ら持ち上げてしまう形になり、逃げる事も攻撃する事さえも叶わない。

 そんな私の弱い所に、硬い筆先で刺激を与えられれば身体がビクリと震える。それを確認して、ミホークは本当に楽しそうに笑うのだ。

 

 「先程少し胸を弄ってやっただけだと言うのに、もうしとどに濡れておるな」

 「や……いわ、ないで……」

 「良い眺めだ。さてナミ、欲しくなったら言え。そうしたら楔を打ち込んでやろう」

 

 その言葉と同時に敏感なその芽を筆で刺激し続けられ、次第に柔らかくなるそれに与えられる刺激により、身体は熱を持つ。断続的に続く自らの声が耳障りで、鼻にかかったようなその声が情けない。

 だと言うのに、身体は刺激が足りないと、熱を放出したいと泣きわめくのだ。そんな浅ましい己が憎くて、なのに、縋るように刺激を与えてくる男に視線を向ける。

 

 「や……嫌……!!も、辞め……」

 「嫌だ等と偽りを申すな。ナミの身体は、悦んでいるではないか」

 「やだっ!もう、やぁ!!」

 「嫌ならば……なんと言えば良いのか……もう知っているだろう」

 

 その言葉が意味するのは、自らミホークを求めろという事。でも、そんなの……。

 

 「ルフィ……」

 「……ナミは、時に愚かしいな。それは、煽るだけだ。そして、その言葉は、不正解だぞ」

 

 筆で弄る事を辞めずに、胸の飾りに舌を這わせられれば、同時に与えられる刺激により身体は勝手に登り詰めようとする。心から嫌だと思うのに、身体はそれを悦び甘い吐息を漏らしてしまう。

 身体が小刻みに震え、絶頂が近いと知ってしまう。そんな時、胸への刺激が消えてもどかしいばかりの下への刺激のみが残されてはビクビクと痙攣するだけであ登り詰める事は出来なくなる。

 ホッとしたような、脱力したような不可思議な状態に陥る私に、ミホークは言葉を落とす。それは、残酷な現実を突き付けるもので、その妖艶な気配が本気であると伝えて来る。

 

 「ナミから望まれる迄、イカせるつもりもない。残念ながら俺は、ルフィでは無いからな」

 「やぁ!!も、やだぁ!!」

 「俺を求めろ、ナミ。それ迄はただ、ナミがシーツに描き出すその絵を楽しむ事にしよう」

 

 その言葉の意味が分からないとは言えなくて、羞恥で頭が沸騰しそうになる。生理的な理由だけでない涙が滲んだ時、それを見たミホークが息を呑んだのが分かった。

 欲望にギラつくその眼差しに、辞めては貰えないと漸く悟り、私はそっと目を伏せる。それにより流れ落ちた涙をミホークが唇で拭うから、私は言葉を口にした。

 

 「ミホーク、挿れて……」

 「良かろう」

 

 そう言って雄を待ちわびるその場所にぐちゅりと音をたてながら挿入されたのは、熱を持たない無機質な、つい今しがた迄私の芽をいたぶり続けていたその筆で……。内壁を撫でるように侵入する部分と、硬い部分とが異なる刺激を与えて来るから、経験のないその刺激に悲鳴が迸る。

 

 「や……いやぁぁぁ!ミホーク、それ、やぁ!!」

 「望み通り挿れてやっただろう。しっかり楽しめ」

 「あっ……あぁ!!」

 「愛らしいな、ナミは」

 「いやぁぁぁ!!」

 

 筆を使い中を縦横無尽に掻き回され、悲鳴に近かった声が次第に断続的なそれに変わる。自ら筆を締め付け、いやいやと首を振っても終わらないそれに涙がポロポロとこぼれ落ちていく。

 そんな私を見て困ったような笑みを浮かべたミホークは、幼い子供にするように優しく頭を撫でながら、子供にはしないだろう隠微な空気を纏った状態で問い掛けてくる。淫らに、自ら求め、善がり狂えとその眼差しで伝えながら。

 

 「何が、欲しい?」

 

 言わなければ恐らくずっと続くだろうとわかる。だから私は、そっと息を吐き出してミホークを視た。

 多分、馬鹿だとか愚かだとか言った事を根に持ってる。責め方がいつもと違いすぎるもの。

 でも、好きにされ続けるつもりはない。こうなったら、やってやろうじゃないの。

 

 「逃げないし、抵抗しないから解いて。これじゃぁ、ミホークを可愛がれないわ」

 「……良い、眼をするようになったな。前からそう思ってはいたが、前にも増して……いい女になった」

 「ふふ……。ねぇミホーク、私、遊ばれるなんて嫌よ。ミホークを……抱きたいわ」

 「良いだろう。今度こそ違えるな」

 

 その言葉と同時に解かれて、本当に使えるわと内心で思うけど……ここで下手に抵抗したら次は何をされるかわかったものじゃない。何故か抜いてくれなかった筆に手を伸ばして、自ら抜こうと動かせばその刺激に身体が反応する。

 奥で丸まっていた筆先が蠢き、奥に入っていた棒の部分が先に出てくる事で予想外の刺激が来てしまう。ただ、墨がついてるそれとは違う動きに、明らかに動きの鈍い筆先が私を追い上げる。

 棒により与えられる内部の刺激をなぞるように、淡い刺激が、けれども余す事無く刺激を与え続けてくる。荒くなる呼吸を抑えようと努力する私は筆を抜く事しか今は考える余裕が無い。

 勝手に出そうになる声を抑える為に息を詰めていたからか、抜き去る事に集中していたからなのか、ミホークがそれをずっと見ていた事に私は気付けなかった。それを漸く抜き切ると、ホッと身体から力が抜ける。

 けど、その瞬間に身体がベッドに転がされて熱く脈打つものが宛てがわれたと思った瞬間には押し込まれていた。何度も寸止めされていた身体はそれに歓喜し、抵抗なく受け入れた上で簡単に上り詰めてしまう。

 望まぬ快楽に身体を震わせながら、約束していたからとミホークを抱き締めるように腕を回せば何故か動きが激しくなり、獣のように激しく……けれども乱暴でも粗野でもない扱いで……私を翻弄する。でも、先程の解いてもらった時の会話の流れがあるから辞めてとは言えない。

 もっとなんて言う気は無い。だから、名を呼び続ける。

 

 「ミホーク……ミホークッ!」

 「約束を違えぬばかりか……煽る事が天才的に上手くなったな」

 「んっぅ……!」

 「あのような痴態に興奮させられるとはな。見てみたいとは思ったが、想像していたより……ずっと……愛らしいものだった」

 「はっ……!ああぁ!!」

 「これ以上俺を堕として……どうするつもりなのか。ナミは……美し過ぎる……」

 

 明滅する視界の向こうで、轟音のような耳鳴りの向こうで、ミホークは確かにそう言ったと思う。元々うねり、軽いところなんて既に蛇がとぐろを巻いてるかの勢いで巻いてる髪が、動きに合わせて動く事さえ無くなる。

 ベッタリと汗で肌に張り付いてしまったその髪は、もう強制的に動かさなければ動きはしない。その事実に小さく笑ってから、そっとミホークに視線を向ける。

 

 「ミホーク、落ち着いた?」

 「ナミは、その、誰でも甘やかす癖を直した方が身の為だぞ」

 「……いくらなんでも、誰にでもって訳じゃないと思ってるわ。私、ミホークの事嫌いじゃないし、良い友人でありたいと思ってるもの」

 「これだけ惚れてると言ってる相手に〝友人〟とはな」

 

 その言葉にそうだったと思うけど、どうやらミホークはそれ程不愉快に思ってはいないみたい。纏う空気が変わってる。

 まだ繋がったままのそれに終わってくれないかなと思いながら、少し考える。そうだわ、レイリーに辞めてもらう時は確か……。

 その時当然のように私の頬に触れてキスしてこようとしたミホークに、流されたら終われないとその手をそっと掴む。こんな時、振り払ってはいけないとレイリーから教えられたもの。

 

 「ナミ……」

 「だぁめ、ミホーク。そんなにがっつかないで。……私の体力考えてよ」

 「ナミ?」

 「……また、今度……ね?」

 

 視線と指先の動き、声の出し方、意識すればそれは武器になる。この程度なら演技なんてレベルじゃなくて、この程度なら心に負担も無い。

 私のそれによりミホークはそっとまだまだ臨戦態勢だろうそれを引き抜くから、小さく笑ってありがとうと言いつつその頬にキスを贈る。そのままシャワー浴びて来るわねと立ち去り……バスルームで崩れ落ちた。

 ……散々煽られたからか、体力の消耗が激しい。それでも何とかシャワーからお湯を出して、頭から被る事で何とか不快な汗を流す事に成功した。

 ミホークが満足する迄貪られたら、持つ筈ないもの。……ルフィに、逢いたい。

 ルフィに、全て、塗り替えて欲しい。ルフィになら、どんな抱かれ方されても構わないのに……どうして、他の人だとどう抱かれても嫌なんだろう。

 何が違うんだろう。分かるのは、私は本気でルフィにだけ触れられたいと願ってるって事だけ。

 軽くお湯を浴びてから、気持ちを切り替えてバスルームのドアを少し開ける。そうしてミホークに声を掛ければ、手荷物を返してくれたのでそこから蜜柑の洗剤類を取り出してバスルームへと戻った。

 そうして折角だからと磨き上げて、蜜柑の香りに包まれた事で1人満足した私はホクホクとした気持ちでお風呂から出た。ミホークはそんな私を1瞥だけして、交代するようにバスルームへと入って行った。

 それを見送り身支度を整えた私は、けど、ここで姿を消したら不味いわよねと未開封の酒瓶に手を伸ばした。とりあえず、水分が欲しかったのだ。

 ワインに手を出すと騒がれる気がしたから日本酒系のそれに手を出したけど……これ、少し甘い。うーん、今は辛口の気分だったのに。

 暫くして出て来たミホークは、酒瓶を数本空にしていた私を見て小さく笑うと未使用のタオルを手にして近付いて来て、髪を拭いてくれる。それをありがとうと言って受け入れれば、ミホークの指先が冷たい事に気付く。

 

 「まさか、水でも浴びて来た?」

 「誰かさんが、最後まで相手をしてくれなかったからな」

 「何言ってんのよ。ミホークだってちゃんと出したでしょ。何度もなんて嫌よ。体力馬鹿なアンタ達に付き合ってたら私腹上死しちゃうわ」

 「……いい女になったものだな」

 

 言葉と同時に髪にそっと口付けると、そのまま流れるような動作で顎にその手を移動させ、当然のように重ねられた唇。無駄に官能的なその口付けに、けれども溺れる事はない。

 変なところで成長したものよねと内心で笑いながら、ミホークを真っ直ぐに見詰める。初対面の時に見捨てるなんて選択肢は無かったけど、そう言えばミホークが私の〝初めての男〟ってのになるんだったわねと思う。

 

 「どうした?」

 「私の初めての男だったのよね……と、思って」

 「強姦だったがな。後悔は無いぞ。俺はナミを常に欲している」

 

 無駄に振りまかれる色気に少し疲れてしまう。そういうのは、色気振りまかれて喜ぶ相手にしてやんなさいよ。

 もしくは、それに呑まれて幸せに浸れる相手に。私だつて、それがルフィの出してるものなら真っ赤になって呑まれると思うけど……。

 何時からだろう。ミホークが私の中で〝兄〟に近い守護者の立ち位置に居座るようになったのは。

 明らかにミホークは敵で、そうでなくても強姦魔だと言うのに。やっぱりあの戦争の時〝私〟を真っ直ぐに見て、呼び戻してくれた事が大きいのかな。

 

 「……小娘に手を出さなくても、相手はいくらでもいるでしょ」

 「それは、ナミもだろう」

 「え?」

 「小僧を相手としなくとも、他に相手はいくらでもいる。それでもナミは麦藁が良いのだろう。……同じ事だ。俺にとってのナミが、ナミにとっての麦藁だと知れ」

 

 その言葉に目を見開き、それからごめんなさいと謝れば構わぬと言いながら妙に優しく抱き締めてくれた。それに甘えるように頭を預けて、私はそのままゆっくりと眠りに入ってしまう。

 そんな私にミホークは妙に優しくしてくれたような、そんな気がする。優しくしてくれる理由までは、分からないけど。

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