心は凍りそうな程に冷えていくのを感じるのに、身体は熱く熱していて……まるでこの島のようだと感じる。心に反比例するように、身体は淫らにひくついて、もっと太いものを、熱いものをと強請っているのがわかってしまう。
「もう、辞めて……!!」
堪らず、荒い呼吸の中で叫ぶ。そこで漸くローちゃんは愛部の手を止めた。
でもそれは、私を解放する為では無い。自らの、張り切ったズボンの前を開く為にだった。
身体が小刻みに震えるのが自分で分かる。これまでだって何度も経験してるのに、怖いのだ。
なのにローちゃんが辞めてくれる気配は無い。それどころか余裕の無い表情で、ギラつく眼差しを向けて来る。
「辞めるかよ。ここに、覚え込ませてやる」
ローちゃんの男の証が、私の秘部に押し当てられる。散々に焦らされて、敏感になったそこは、それだけでヒクヒクと淫らに歓喜をもって引きつった。
けれど、心は悲痛な悲鳴をあげる。ルフィルフィと情けなくも泣き続けている内面の自分を、否が応でも自覚してしまう。
「やぁあ!!」
「俺を覚え込ませてやる。俺なしじゃいられない身体に作り替えてやるよ」
ローちゃんの場合、それが比喩ではなく出来る可能性がある。だからこそ余計に怖くて、震えてしまう身体を止められない。
そんな私の震えを、恐怖を無視して、ローちゃんは1気に腰を沈めた。押し入ってくる肉の熱さに、理性が弾け飛びそうになる。
「ひいぃゃぁ……!!」
擦りあげられる内壁が、悦楽の麻痺を続けながら、ローちゃんのモノに絡み付いていく。再奥まで貫かれ、掻き回される。
自分の悲鳴が耳障り。なのに、その声を抑える事さえ私には出来ない。
「あ……ああっ!!い、や……。いやぁぁぁ!!」
ゆっくりと抜き差しされると、その度に身体が勝手に跳ね上がる。人間の身体を知り尽くした男には、快楽に弱い私の身体を扱う事なんて……それこそ、余裕綽々なのだ。
余りにも悦くて、感じてないフリさえ出来そうにない。これ迄に多くの男達に開発されて来た快感のスポットは、新たな支配者により明確に刺激されている。
「悦くしてやるよ……。何も入ってない時は、身体が疼いて……他の男に挿れられても、物足りなくなるようにな!!」
激しく腰を揺さぶり、汗を弾かせながら、ローちゃんは呻く。これ程の快楽に落としておきながら、そんな事を言われて……泣きたくないとか、考える余裕さえ失いそうになる。
だけど、嫌だという事は伝えたくて、縋るように言葉を紡ぐ。もう辞めてと、哀願と呼ばれるであろう行為をしてみるけど、快楽の波に攫われながらのそれは、正しく音になっているのかも不明。
「や……も、壊れ……変になっちゃ……ぅ!」
私の言葉を聞いてローちゃんは嬉しそうに笑うと、グンと1際大きく腰を突き上げた。噛み締めた唇に血が滲み、眦から喜悦の涙が零れ落ちる。
唇から血の味がするわ……なんて、どうでもいい事を考えてしまう位、私の思考回路は壊れている。同じ黒髪なのに、ルフィとは全然違うのね。
「ひぁ……っ」
そこにローちゃんの舌先が触れて来る。唇から頬へ、そして瞼へと。
それと同時に、やはり血の味を感じたのか少しだけ心配そうに私の唇を見る。でも、それならばもう辞めてくれたらいいと思うのだけど。
「辛ければ噛み付くなり引っ掻くなりしていい。ナミにつけられる傷なら、それも愛しいだろう。だから……自分を傷付けるのは辞めてくれ」
攻める激しさとは裏腹に、やさしいキスが舞い降りてくる。卑猥な水音が室内に響く。
それに重なるように、ローちゃんの苦しげな声が聞こえて来る。それにより、私はどう表現したら良いのか分からない感情に振り回される事となった。
「俺もこれ以上、抑えが効かなそうだ。……泣いても、叫んでも、もう辞めてやれない」
「うそ、つき……!!」
「ん?」
「はじめから、辞める気なんて、無かったくせに!!」
漸く振り絞った罵声は、けれども嬉しそうに笑うローちゃんが腰を動かすだけで、愉悦の嬌声に溶けて消える。この時の私はただ、ローちゃんが満足するまで、揺さぶられ続けるしか道が残されていなかった。
それからどれ程の時が過ぎたのか、それさえも分からない。でもどうやら、しっかりと後処理も終えてくれたらしいローちゃんが、意識を失っていたらしい私を心配そうに見詰めているのが確認出来た。
だけど、私の脳裏には仲間達と残して来ている子供達の姿しか浮かばない。今あの子達が頼れるのは、私を筆頭にした麦藁の1味だけなのだ。
あぁ、早く帰らないと、皆が心配する。身体は大きくされていても、中身は変わらず子供のままなのだから、長時間離れたら不安定な精神状態になりかねない。
「ナミ、大丈夫か?」
その声が、言葉が、幼い頃のローちゃんと重なるのは、今子供達の事を考えていたからかな。そして……私はここに来て漸く思い出す。
ローちゃんが、死のうとしてた現実と、ドフィが深い闇に堕ちている現状を。だけど……今ならばまだ、変えられるかも知れない。
ローちゃんが死ななくて、ドフィが闇から開放される方法が……何処かにあるかも知れないわ。もし本当にそんな方法があるなら、私はその道を選びたい。
諦めたら、そこで全てが終わる。なら、私は最後まで足掻き続けよう。
「ローちゃん……」
「どうした?」
「……もう、死ぬ気はなくなったと思っていいわね」
私は、真っ直ぐにローちゃんを見詰めて問い掛ける。冷静になれば見えて来る答えがあるわ。
今ローちゃんの仲間が傍に誰も居ないのも、1人で行動する事で巻き込まない為。でも……侵入してみたここで手詰まりになって、想定よりも酷い現実にぶつかってしまった。
そこでローちゃんは非道になれなかったのだ。どうにも出来ない事だからと納得する事も出来ず、復讐の為に彼等を犠牲に出来ないローちゃんが悩んでた所に、私達が来たのだとしたら……全ての辻褄は合うわ。
だけど私に話せば、ここでの協力は得られてもドフィの件は分からない。私がドフィの味方をするかも知れないと……ローちゃんはそう判断した。
だからローちゃんは、私の存在を無視してルフィにしか言葉を向けなかった。……本当に、優しくてわかりやすい子。
「……ローちゃんは、私にローちゃん無しじゃいられない状態にするって言ったじゃない。つまり……死んでしまっては、本懐が叶わないわよ」
「ナミ、足りなかったとでも言いたいのか」
「私ね、これ迄に沢山の男に抱かれたわ。ローちゃんもその中の1人に過ぎない。……そして、これ迄に私を抱いた人の中で最も私を幸福にしたのも、満足させたのも、ルフィよ」
これは迷い無く断言出来る。そして、誰よりも私の心が悲鳴を上げのたのは……シャンクスだわ。
勿論それは、勝手に落ち込んで、勝手に傷付いただけだけど……。こんなにも弱いのだから、対等に扱って欲しいなんて……烏滸がましいにも程があるわよね。
「最高と最低は、きっと永遠に覆らないわ」
「……それでも、悦かっただろ」
「ふふ……ローちゃんは医者だものね。でも、技量はマルコに劣るわ」
「あ?」
「気遣いはベックが1番ね。最高に甘やかしてくれたわ。レイリーは私から見るとそっちの師匠でね、太刀打ち出来そうな人なんて居ない。快楽と痛みの狭間で、それでも恍惚とさせてきたのはイゾウさんよ」
私の言葉にローちゃんが顔色を変える。私だって、ただ揺さぶられて泣いてた訳じゃない。
その人の抱き方や言動から、性格も抱えるものも全て見えてくる。そうして読み取った事を元に考えれば、ローちゃんはまだまだ甘いわ。
だから、レイリーの指導も取り入れて……強気に対応する。私はこの子を死なせたりしないと決めたから。
「……私から望むのはルフィだけよ。私が行為を拒まないのもルフィだけ。でも、経験した男は、それなりに多いの。……ローちゃんが私に忘れられたくないなら、生きて、満足させるしか無いわよ」
人に好き勝手して、1人で満足して死ぬなんて許さない。ローちゃんがどう思っていても、私はローちゃんが可愛いのだ。
死んでなんか欲しくない。私はこれ迄に敵として出会った人でも、叶うならば幸せでいて欲しいのよ。
「それとも、私を抱いた数多の男達の1人ってだけで……満足かしら?」
挑発以外の何ものでもない言葉を紡いで、生きさせようとする。今の私には、これ以外にローちゃんが生きようとしてくれる道を示せないから。
「……ご馳走様。悪くは、無かったわ」
妖艶に微笑み、余裕の態度で小屋を後にする。残されたローちゃんが崩れ落ちた音を聞きながら、崩れ落ちたいのも頭抱えて叫びたいのも私の方だと本気で思う。
……それでも、これで簡単には死のうとしなくなる。そんな確信が、私にも抱けた。
ローちゃんに抱かれる前、上から見た時に確認した竜の遺体の元へと進み、炎渦巻くその中で疲労感が増すのを感じていた。こんな中で戦って、その肉を食べたの……?
ルフィ達の底知れない体力にゾッとしつつ、私はこれをどうやって持ち帰ろうかと思案する。風で浮かばせたまま移動させるのは無理があるし、私の筋力では半分になってるとは言え流石に持ち上げる事も無理だわ。
雲の道を作って、ウェイバーで……って、1度戻るなら誰か連れてきた方が早いわよね。うーん。
「シャボンディ諸島みたいに、シャボンで浮かばせられたら良いのに……」
あれはヤルキマンマングローブの関係だから、シャボンディ諸島と魚人島でしか起きない現象だとわかってても、つい、そう言いたくなる。でもこれ、絶対喜ぶのに。
どうにかならないかなって思った時、声がかかった。何処か呆れを含んだそれは、聞き慣れた大切な仲間の声であり、力仕事を任せるには最適な人物。
「こんな所で油打ってたのかよ。それと、ナミにソレを持ち帰るのは無理だろ」
「ゾロ!?ちょうどいい所に!!でもなんで、ここに居るの?」
「あァ、そろそろ説明とか終わるからナミを呼びに行くって皆で彷徨いてたから、俺も参加した」
皆が私を呼びに来てくれたのはよくわかったけど、何で誰もゾロを止めなかったの!?迷子の常習犯なのに!!
せめて、毒が無ければ何とかなるけど、ゾロだって1応は人間なんだから下手したら死ぬ事も可能性としてはある筈よ。何考えてんだか。
「……辞めなさいよ。私と偶然会えたから良かったけど、会えなかったら遭難よ。この毒の島で!!」
「迷子はナミだろ。っとに、困った奴だ」
イヤイヤイヤ!この場合困ったのはゾロだからね!?
そう言おうとして、でも、言えないで終わった。だって、その視線が私の身体をじっと見ているのに気付いてしまったから。
何事かと思って、身を竦めてしまう。それくらいの威圧感。
「トラ男はどうした」
「……私が測量終えたの確認して、他に人が潜んでいそうな所を確認しに行ったわ」
「そうか」
口から出任せだけど、これなら疑われない。実際ローちゃんなら、それくらいやってから帰るだろうか……そこまで考えた時、ゾロの低い声が耳朶をうった。
「で?……そのついでに喰われたか」
「なっ?」
「身体にそんだけ跡つけて、分からなかったら阿呆だろ」
上半身がビキニだけだったのが災いした。ローちゃんには強気に振舞って来たけど、実際は歩いてるのがやっとな訳で……。
ゾロに再会してから1歩も動いてなかったから、気付かれないと思ってたわ。炎の熱さと疲労で、フラついてると思われる予定だったんだけどな。
「お楽しみ、だったみたいだな」
「私が望んで抱かれたと思う「思わねェよ。ナミは、ルフィじゃないと嫌なんだろ」」
重ねられた言葉にそうなのよとの意味を込めて頷くと、ゾロはにっこりと笑った。そんな笑い方できたんだと言いたくなるくらい、にっこりと。
「だからこそ、問題だな」
「え?」
「……同盟、壊れるぞ」
その言葉に私が息を飲むと、ゾロは私との距離を1気に詰めて来た。そして、私を抱き締めて、腰に回した腕に力を込めて、首筋を舐めてくる。
それにより身体が震えれば、ゾロは首筋に跡を残しながら言う。舌を、唇を移動させ、身体に跡を追加しながら。
「俺にも抱かせろ」
「んっ……!?」
「そうしたら、同盟を壊さないでやってもいい」
「あっ……ぞ、ろ……!!」
「これだけ汗かいてんだ。それに今抱かれてきたなら、もう1人相手にしても、そんなに問題ねェだろ」
問題しかないわよ!そう言いたいのに、口を開けば喘ぎ声しか出ないと自分でわかってしまう。
立ったまま、ゾロに乳首を吸われて、立っているのも難しくなってる。竜に寄り掛かるようにして、何とか立ってるのが現状なのだ。
「……言った筈だ。もう、俺も遠慮はしねェってな。同盟なんざ俺はどうでもいい。ただ、ルフィは楽しみにしてるし、ナミも〝ローちゃん〟が可愛いんだろ?どうする」
「ひど、い。そんな……の……」
「毎回強姦じゃ、流石に酷いからナミの同意を得てやろうって言ってんだ。優しいだろ」
これは、脅迫だと思う。だけど、ここで私が拒んだら、ローちゃんとの同盟は消える。
そうなったら、多分ローちゃんは1人で事を進めるから、ローちゃんが生き残れる可能性はなくなってしまうわ。そんなのは、嫌。
強く目を瞑り、気持ちを落ち着かせようと努力してみる。震えるな、私!!
「ゾロ……優しく、して」
「……分かった。極力、な」
優しく笑いかけられて、私は堪らなくなって声を出してしまう。聞いてはいけないような、そんな気もしてるのに止められない。
「っ……!!ど、して」
「あ?」
「どうして、私にそんなに執着するの。体型だけならロビンも含めて近い人は多いわ。勿論ロビンはフランキーが居るし、そんな事したら切り落すけど」
「……自分の時は切り落とさないのに、ロビンだと切り落とすのかよ」
「ロビンは、これ迄に苦労して来たし、親友だもの。守りたいわ」
素直に言えばゾロは笑った。何とも優しい顔で。
愛しいと、その瞳で伝えて来る。遊びなんかじゃないのだと、その空気で伝えて来るのは……卑怯だと思う。
「そんなナミだから、欲しいと思った。本気で、惚れてる。ルフィの女だからって諦めようと思った。アーロンの時に疑った俺に想いを伝える資格なんてねェって思ってたさ。だが……鷹の目と二年過ごして、喪ってからじゃ遅いって気付いただけだ」
私とゾロの年齢差は殆どない筈。それどころか、中身的な事だけ考えるなら私の方が何倍も生きてる可能性もあるのに……どうして、こんなにも大人に思えるんだろう。まるで、私が子供みたい。
そうよ、誕生日の関係で数ヶ月だけだけど、私はゾロと年齢が重なる。なのに……今は明らかに私の方が幼い。
「それに、そんな顔で誘っておいて、我慢しろってのが無理な話だろ」
「私、誘って、ない……!」
「……無自覚、だな。……ナミは普段、気の強い魔女の画面被ってるが、内面は単なるお人好しの臆病者だ」
呼吸が、止まるかと思った。強いとか言われるのは多かったし、甘いとか優しいとかもよく言われるけど、臆病者だなんて、言われた記憶が無い。
「失う事、傷付ける事に怯える臆病者だろ。だから俺はナミがどれ程戦えても……弱いって言ってんだ。実力は認めてる。頼れるのも、知識が有るのも分かってる」
褒められてる……のかな。それとも、事実確認?
「それでも、怯えた顔したりしてる素のナミは幼いし、誘われてる気分になる。守ってやりたくなるし、同時に……自分だけのものにしたくなるんだ」
珍しく長く喋ってるなって思う。もう、思考が上手く働いてないのだけは確かだ。
「だけどな、ナミは手に入らない。それも分かってる」
「なら、こんな脅迫するような事しないでよ」
「そうだな……。だが、それならどうしたらナミを抱ける?俺は、心が無理ならとりあえず、身体だけでも貰いたい。後悔はしたくねェからよ」
その言葉に、私は何と答えたら良いんだろう。どうしたら良いのか分からないよ。
泣きそうになってる自覚はある。ルフィじゃなきゃ嫌なのに、拒み方さえ分からないの。
「……やるよ」
「え?」
「ナミが、俺に何も寄越せないなら、ナミに俺をやる。返品は受付ねェ」
「ちょっ……ちょっと……!何言っ……!!」
言葉が終わらない内に、竜の真横に押し倒される。そして私が服と呼べる唯一のズボンを簡単に脱がせてしまうのだから、動揺するのも当然だと思う。
ついでとばかりに自らの羽織ってるだけみたいなそれを肌消させると、二年でついた無駄に良い筋肉が目の前に現れる。ローちゃんが死ぬのも、ルフィが悲しむのも嫌だからと1度は良いと言ったのだからと、そう思うけど怖くて……不安で……私は強く両目を瞑った。
吐息が近付く気配を感じて、耳の後に柔らかな物が押し付けられるのを感じる。それが唇なのが分かり、少し眼を開けば目の前にはゾロの特徴的な緑頭が見えた。
「んっ……やっ……」
首筋から鎖骨にかけての線を舌先でなぞられると、吐息まじに声が漏れる。肌をまさぐる手や唇が、そんな声で止まる筈もなく、いつの間にか頭が移動して胸の飾りを口に含む。
チュッと音を立てて吸われて、ゆっくりと胸を揉まれて、尖端を抓られて、徐々に身体がゾロを求めようとしているのが分かる。……ここは外なのにとか、色々思うけど、今ゾロを止める手段を私は何も持たなかった。