言葉ばかりではなく、本当に獣と化した熱い楔で、1番感じるその場所に伝えられる。私はそうして、最後に残った理性の欠片を放り出す。
「ああっ……!い……ぃの!ルフィッ!!もっと、もっと突いてぇ……!!」
忘我の中で両足をルフィの背に絡めれば、埋め込まれたモノの位置が変わる。新たに湧き上がって来た愉悦にぶるりと身を震わせ、受け入れる事に特化した女の身体を駆使するように、果肉が内側にいるルフィをギリギリと容赦なく締め付けて行く。
それに合わせてルフィは歓喜の声を上げる。それが私には本当に嬉しいの。
「くっ……!!そうだ、ナミ……もっと、締めろっ!!」
どくりと私の中でルフィが大きく脈打って、ただでさえいっぱいに満たしていたモノが明らかにサードのそれに影響された。そうわかる程の質量の変化に、でも……ルフィならば笑って受け止められる。
苦しさが無い訳じゃない。痛みだって間違いなくあるわ。
でも、それを凌駕する幸福感。そして、快楽と共に与えられる真っ直ぐすぎる愛情。
「ルフィの、太いのが……いっぱい……っ!あっ、はぁんっ!!」
官能の海の中、激しさを増すばかりの律動に揺らされ、身も夜もなく喘ぎながら私もまた決して過たず、ルフィの動きを追って上り詰めていく。……不思議、自分の中にルフィが入る場所がある。
ルフィの全てを受け止める為に、ルフィの形が刻まれた場所がある。私の身体はルフィを感じる為に作られたものなのではないか……と、陶然とした頭で思う。
でも、そんな答えはどちらでも構わない。そんな事、本当にもう、どっちでもいいの。
抽送は更に激しさを増して、濡れた音とベッドの軋みしか聞こえない部屋の中、私はルフィの逞しい背中にしがみつく。そしてルフィは熱い迸りを身の内に、私は内から外へ放ちながら、絶頂の極みへと飛び立って行った。
「ナミ……」
何処かで誰かが呼んでいる。目覚めを誘うキスが、額に落ちてくる。
甘くて、優しくて……でも、少し危険な声が鼓膜を揺らす。なんで危険なのかって?
だって、この声の持ち主は嘘をつけないんだもの。言葉は常に本心だけ。
「ナミ、いつまで寝てんだよ。寝顔も可愛いけどよ、あんまり焦らすとケダモノになっちまうぞ」
あの後散々意識を飛ばした私を、言葉通りに揺さぶり起こしてくれた。その癖、瞼さえ開けるのがしんどい私にルフィが不埒な脅しをかけてくる。
私としては、本当はもう少し微睡んでいたい。けれど、今にも野獣に変身しそうな男が痺れを切らせて待ってるから、まだ重い瞼を押し開けた。
「おはよう、ナミ」
いっぱいの朝日の中に、幸せそうなルフィの顔を見付けて、うっとりとしながら微笑んだ。もう、ルフィの瞳に哀しみの色は見えない。
「ルフィ、おはよう」
逞しい胸に、鼻を擦り付けるように寄せる。そのまま首に抱き着くように腕を伸ばして、触れるだけのキスを送れば息も止まるような熱いばかりの抱擁の中に攫われた。
「ナミ……帰らないと、だよな」
「情報収集しないといけないもの。私達だけ手ぶらで帰れないでしょ」
その瞬間、それ以上の確認は必要ないとばかりに、唇がルフィの唇で塞がれる。口付けの間から、息をつく事も忘れたように貪り続ける男の唇に、小さな笑いを送る。
それに気付いたルフィが少しばかりムッとした様子を見せたから、それに余計に笑いが込み上げてしまう。そんな私にルフィは覚悟しろよ……と言ったかと思うと、両手を押さえ付けてから擽り倒して来るのだからタチが悪い。
「やっあ……ルフィっ!ごめっ……や……はははっ擽った……いっ!!」
「擽ってんだから当然だろ。反省したか?」
「したした!!だから辞めて~!!」
「……仕方ねェな、許してやるけど、トクベツだからな!!」
「はぁい……」
何が特別なのか、既に分からない。でも逆らえば、また擽られるからと頷いておいた。
私は自分の首を絞めない子なのだ!……たぶん。
「今日、ナミはどうすんだ?」
「私はシャワー浴びたら酒場に行く予定よ」
「ふぅん……なら俺は風呂メンドーだから、このまま飯に行く!」
何がどう〝なら〟なのかは不明だけど、とりあえずそっかと言って頷いておく。そういう訳で私は、今日1人での行動が決まった。
ルフィは言葉の通り食事を楽しみに出掛けて行ったし、私としてもゆっくりシャワー浴びられるので不満は無い。私がシャワー浴びてる間、ルフィが待てる筈が無いのはよく分かる。
シャワーを出て身支度を整えたら、レストランの人に声をかけてお店を後にした。ルフィはここで朝食を楽しんだらしいけど、既にその姿は無い。
私は近くの酒場を目指して歩き出して……突然肩を掴まれそうになり手を振り払いながら距離を取る。するとそこに居たのは安否不明の代表者。
殺気立つ私のそれを瞬時に霧散させたのは、その存在なのか、それとも反応なのか。……元白髭海賊団四番隊隊長のサッチさんが、その場に突っ立っていた。
「驚かせた、か?」
「……ええ、物凄く……驚いたわ」
生きているとは思ってたけど、こんな所にいるなんて誰が思うのよ。でも……と、そっと手を伸ばしてその腕に触れれば、抵抗せずに居てくれる。
トレードマークみたいなその前髪が下ろされているから、きっと他の人が騒がないんだと気がつく。指先が触れたその場所が熱くて……。
「サッチさん、よく、無事で……」
「ああ、何人か無事なのが居てな。逃走はかるのにバラバラにはなっちまったが、隊長格は大半が生き延びたと思うぞ」
「なら、エース……も?」
私の声は、掠れて震えてる。それくらいの緊張感。
ああ、マルコとイゾウさんについても、聞かなきゃ。そう思うのに、何も言葉が生まれてこない。
期待と不安で心臓が嫌な音を立てる。脂汗が滲んで、視界さえ歪みそうな程。
「エースなら、この島に来てるぞ」
「え!?」
「ちょっと目を離した隙に消えちまいやがって……。この島は人が多いから大抵の物を揃えられる上に他人をあまり気にしないから、買出しに来たんだよ」
驚く私にサッチさんは小さく笑う。そして当然の事として説明してくれるから、私は確認するように言葉を紡いだ。
「そっか……潜伏、してるの、よね?」
「マルコと1緒にな。……覚えてるか、あの、墓のある島」
「ええ、覚えてるわ」
「そこに人の住む地域があってな、墓守しながらそこでのんびり過ごしてんだよ。ま、墓に来たらエースが居たってなると流石に不味いから、エースは夜しか墓に近付けない事になってるけどよ」
それは、暗くて判別できないからなのかな。それとも、お化けのフリでもして誤魔化そうとしてるのかしら?
死んでる筈の男が夜な夜な墓の周りを彷徨いてたら、知らなかったらきっと怖い。……でも、死んでいても逢えるなら……それは幸福かも。
「にしても、早くエース捕まえねェとな」
「そうね、トラブルメーカーだも……ん?」
「どうした?」
「雨が降るわ!3分後!!」
「短ェ!!」
そんな事を言いながらお店を適当に探して、と言うかお店に飛び込んで何とか濡れなくて済んだ事に二人で息を吐き出した。問題は、連れ込み宿に飛び込んだ事くらいなもの。
まぁ、雨宿りだけならご休憩のそれでなんとかなるわよね。あんまりお金使いたくないから早く止んで欲しいけど、どうやら数時間は降りそうである。
「やだわ。最低三時間は降りそう」
「流石だな、ナミちゃん」
「まぁ、ほら、私航海士だし……当然の事でしょ」
「世の航海士に謝れ」
どうやら航海士は、天気を読める事の言い訳には使えないらしい。航海士がダメなら、測量士も駄目よね……。
なら……ここは。これしかないかな。
「ほら、私、宝玉だし」
「どんな理由だよ!?」
「なら、どんな理由なら納得してくれるのよ。サッチは我儘ね」
困った人ねとばかりに視線を向けたら、サッチさんがうがァ!!と声を出すからクスクスと笑ってしまう。それから気を引き締めてエースについて問い掛けたら、なんとドフィがメラメラの実を手に入れたとの情報が入ったので、盗み出そうとしてるらしいとの話を聞いてしまった。
それは1大事と慌てて立ち上がった所で腕を掴まれて、雨に濡れる事を気にしてる余裕なんか無いわ!と睨み付けたら唇が重なっていた。その瞬間、思考が、停止する。
何が起きてるのか、全く理解できなくて、抵抗するのが遅れてしまう。その間にベッドに沈められてしまい、ハッとして抵抗しようとした所で声が降って来た。
「ナミちゃんのピンチなら、エースから帰って来ると思うぞ?」
「え?」
「あいつも覇気は三種類とも使えるからな」
「……そうだった」
覇王色を持ってて、他が使えないなんてある訳無かったわね。そう思って納得した時、サッチさんが当然のように上着を剥ぎ取り、首筋に吸い付いて来た。
そこは今朝ルフィに跡を付けられた場所で、消されるような気がして抵抗したけど、明らかに腕力じゃ敵わない。泣きそうになってサッチさんを見詰めたら、息を飲んで硬直するから……どうしたんだろうって思う。
「これは……本気にさせられそうだ」
「え?」
「ナミちゃん、その顔は不味いよ」
「何が!?」
解放される事は無かったけど、サッチさんは困ったような顔で私の首筋から唇を離してくれる。私の事を抑え込むのは片手で良いらしく、余裕の態度を隠しもしない。
なのに何故か空いてる片手は自らの顔を覆って、何も無い……木目しか見えない天井を見ているのだから混乱くらいする。それからそっと顔を動かして、私を覗き見た。
「どうしてナミちゃんは、イゾウに弄ばれて、エースに犯されて、マルコに丸め込まれてもそんなに純真なままで居られるのか、俺には分からないよ」
「は、い……?」
「その上、涙の滲む視線を向けるとか……どんだけ男煽れば気が済む訳?」
「煽ってないわよ!!」
思わず叫んだ私に、サッチさんは目を眇める。そして、真剣な顔で否定して来た。
嘘は無いのだと、その瞳の強さで教えて来る。どうして、そんなに真剣な顔で、熱い視線で、私を見るんだろう。
「煽ってる。……俺がさ、エースを煽る為だけにナミちゃんに手を出そうとしてると思ってないか?」
「違うの?」
船の上でのキスはエースの回復を、生きる意思を求めての事だった。それのお陰で、エースが悪魔の実を食べてないと知れたのよね。
それに今も、私に反応するエースを誘き寄せるためにこんな事してるのは明白。優しいお兄ちゃんなんだって、知ってるわ。
……でも、そうか。原作では死んでいたから、予定にない動きに自動的になっちゃうのね。
そう考えたら不思議よね。私は恐らくだけど、原作よりも随分死に近い生き方をしてるのに。
サッチさんはきっと〝運命の輪〟とか、私の考える〝修正力〟と言う概念から外れてるんだわ。そうでなくて、どうしてドフィのおさめている島に平然と買出しに来られると言うのか。
「なんか考え込んでるとこ悪いけど、違うからな」
「へ?」
「俺はさ、手紙貰って、最初は不思議に思ってたけど、エースの話聞いて……憧れてた」
ここで、誰にとか聞いたら怒られるのはきっと間違いない。私は賢明にも口を噤んだ。
何も言えないというのも正直な話だけど。そんな私にサッチさんは言う。
「俺はずっと……ナミちゃんに憧れていて、会ってみたら壊れかけてて、回復したら優し過ぎて……今は、抜けてるだけの少女で……それに、振り回されてるよ」
「あの……?」
何が言いたいのか分からなくて、私は言葉に詰まってしまう。ただ、唇が動く度に、言葉が紡がれる度に、その身を自ら切り刻んでいるような……痛みに耐えているようなその空気が見ていて耐えられない。
だから、泣かないで欲しくて手を伸ばそうとしたけど、抑え込まれた手は微動だにしない。私は、それが何故か苦しくて……。
「ナミちゃんは、本当に蜜柑なんだな」
「何言って……」
「甘くて、優しくて、優秀で……
そう言ってサッチさんは動き出す。胸を揉みしだき、その合間に指で乳首を挟み刺激して、空いている側には唇が寄せられる。
その刺激に身体は簡単に熱を持つ。もう辞めてと言ってみても、声に艶があるのは自分でもわかってしまう。
望んでもいないのに高められる身体に、嫌気がさす。どうして私の身体はこんなにも〝男好き〟なんだろう。
「〝ナミが男好きなら、俺はナミ好きだ。ナミは何も悪くない。自分を責めんな〟」
その刹那、ルフィの声が耳元で聞こえた気がした。けれども、舌も指もその肌も、全てがルフィではない事実に胸が痛む。
今ここにいるような気がするくらいハッキリ聞こえたのに、目の前にいるのは、私の身体に触れているのは……ルフィじゃない。ルフィじゃなきゃ、嫌なのに。
「甘い……な」
頬を伝う涙は、いったいどんな感情を含んでいるのか。それは、自分でも分からない。
悔しいのか、悲しいのか、切ないのか、それとも……哀しいのか。私を好きだと、憧れていると言いながら、私の言葉を無視して抑え込んでくるその強引さが苦しさを呼ぶ。
「や……サッチ、さ……もう……」
「分かった」
そう言って頷いたサッチさんは、妙に優しい顔をしていて、だからこそ私の身体は弛緩した。私は捨て犬みたいな顔とか雰囲気とかに弱いけど、こういう大人な顔にも弱いのだ。
前者は守りたくなるし、甘やかしたくなる。後者はホッとして、力が抜けて抵抗できなくなるの。
けれどもその顔でサッチさんは腕の拘束をやめたと思ったら、そのまま私の両足を掴んで迷いも何も無く挿れて来るから、身体がそれに歓喜する。そして私は、悲鳴をあげた。
「俺は他に、気持ちを伝える手段を知らねェんだ。悪いけど、付き合ってくれ」
「やっああああああああぁぁぁ!!」
決して乱暴では無いし、がっついてる感じでもない。なのに、初めて繋がった筈なのに私の弱い所を知り尽くしてるかのようにピンポイントで責めてくるから、呼吸さえままならないの。
そんな私にサッチさんは言葉を紡ぎ続ける。それを脳はしっかりと聞き取っているのだから、この身体は本当に優秀だと嫌味のように思ってしまう。
「出遅れたのは、間違いねェから……それによ、ナミちゃんは……言葉だけだと伝わらないだろ」
「んっあ……!!」
「それとなくアピールしても通じなかったし、イゾウやエースから散々聞かされたからな。だから、俺の想いが
「わか、た……から!!も、やぁ……!!」
「悪い、もう、止まれねェッ!!」
そうして奥に吐き出された熱は、私の身体をも上り詰めさせた。それでも、それだけで終わってくれる気配は無い。
それどころか私の身体がその熱をもっとと望み、男芯に絡み付き、逃げ無いで続けてくれと懇願する。それは終わる事の無い嬌艶の宴の始まりを意味している気がして、でも、心は嫌だと悲鳴をあげていた。
そのまま私の身体はどれほど高められ、中に放たれたのか。意識を失い次に気が付いた時には、苦笑するサッチさんの顔が目の前にあった。
「無理させて悪かったな。……そろそろエースが下の酒場に来たみたいだから、行けるか?」
「しゃわー……」
「そんな余裕、あると思うか?」
その言葉にしょんぼりしながら、私は震える手で何とか衣服を身に着けて動き出す。そんな私の歩く速度に合わせてくれる優しさがあるなら、こんな事しないで欲しかった。
でもきっと、こうされなければ私は……サッチさんの気持ちが恋愛なのだとは永遠に気付けなかっただろうとも分かる。私は、疲れきった身体を引きずるような気持ちで前へ前へと歩いていた。