※この作品はR-18です。

波間の向こうを目指して(新・本編)   作:夢枕 七変化

377 / 462
残り時間※

 涙が、止まらない。そして、エースも止まらない。

 

 「覚悟しろ」

 「……ひっ……ぁっ!」

 

 めりっ……と、音が聞こえるかと思う程の圧力で、痛みと言うには凄まじ過ぎる衝撃を伴った異物が、狭い入口をいっぱいに押し広げる。覚悟はしていたものの、皮膚を巻き込みながらジリジリと進んで来る半端で無い質量に心底驚き、エースには見えてないからこそ怯えを隠せない自身の瞳が大きく見開かれた。

 ドフィにされた時の方が、明らかに質量は多かったのに……どうして、これ程痛みや衝撃が違うのだろう。どうして、エースにされている方が……こんなにも苦痛なのかな。

 ドフィの時は両方同時に埋められたりもしたし、明らかにあの時の方が苦しかった筈なのに……どうして、エースにされる方が辛いのかな。涙が、溢れて止まらない。

 遠慮も無く侵入してきたモノの苛烈な迄の圧迫感を、私はシーツに押し付けた顔を苦渋の色に染めながら、耐えようとする。ギリっと奥歯を噛み締めて、泣き声や嗚咽は漏らすまいとするのは……私が泣いている事をエースに悟られたくないから。

 だけど、そんな抵抗も虚しいばかり。怒りに漲ったモノで酷く深い場所まで暴かれて、迫り上がって来た振動が悲鳴となって口から飛び出して行く。

 

 「ひっ……!!ぃ……たっ……も、やめっ……んうっ!!」

 

 ろくに和らいでもいないそこを、ガツガツと容赦無く穿たれる。苦痛と快楽が相乱れる肉欲だけを、強引に押し込まれていく。

 柔肌を、粘膜を、最奥を、突き刺し犯すだけの行為。これが本当に好きな相手にできる事なの?

 貪るだけ、挿れるだけ、甚振るだけのこれが、焦がれる相手にするべき行為だとエースは思ってるの?

 

 「エースッ……!!」

 「……ナミ?……泣いて、る、のか?」

 「強姦されて、苦痛しか与えられなくて、心も想いも向けない相手に、抵抗も出来ないのよ!?逆の立場ならどう思うか、考えてみなさいよっ!!」

 

 巫山戯るんじゃないわよと、心が叫ぶ。こんなもの、どうやって受け止めたらいいの。

 悲鳴を上げるその心に、触れる事さえ出来ない。エース、貴方に何があったの?

 いつもなら、どれ程無理に及ぶ行為でもある筈の想いが無い。優しさも、通い合うものもない。

 戸惑っているような声は聞こえるけど、その腰が止まる事もない現実。激しい抜き差しに合わせて、肉の摩擦が生み出す熱で、例えそこに快感が生まれるのだとしても、情のひとつも伴わない行為では、心は冷えて離れゆくばかり。

 互いの間にひとつも伝わるものか無ければ、身体だけの繋がりになんの意味があるのよ。そう思い首だけ回して背後を伺えば、そこにはちっとも楽しんでないエースがいた。

 強ばった表情のまま、単調で粗暴な抜き差しを続けるだけ。そこには、愉悦を追う為の細やかなうねりの欠片も無い。

 何とは分からない。ただ、理不尽な怒りを私にぶつけているだけ。

 ただ、その瞳が……鬱々とした色とは対象的な、奇妙な熱を孕んだ。そこに何か秘められてるのでは無いかと、読み取りたくて意識を向けたのは1瞬の事。

 

 「余裕だな。まだ俺を睨む気概があるとは思わなかった」

 「んっ……!!」

 「……ナミ、いい事を教えてやる。ナミのしている行為は、ただ俺を煽ってるだけだっ!!」

 

 乱れた前髪が流れる程の勢いで、1際大きな突き上げを食らう。あまりの衝撃に、背後を伺う余裕も無くなる。

 それでも、後孔は既に開発されている。感じる事を覚えてしまっている身体は、苦しければ苦しい程に、より楽になろうと唯一のよすがである快感に縋り付いてしまう。

 苦痛ばかりの中に1点、甘い疼きが走る部分があるのを知っているから、身体が勝手に大きく広がった笠の部分に当たるようにと身をくねらせてしまう。そんな己の浅ましさに目が眩み、眦に悔し涙が溜まる。

 

 「ふっんっ!!ぁ……!そ、そこっ……やだっ……あっ、ひぁっ……!?」

 

 背後から穿たれているだけなのに、使われてもいない女の穴が、ヒクヒクと伸縮している。じっとりと濃密な蜜が溢れ出しているのが分かってしまう。

 ひくつく粘膜は勝手に蠕動して、窄まったり綻んだりしながら内部をいっぱいに満たしているモノを貪欲にしゃぶり続けている。身の内に渦巻く欲望の行き場を求めて、恐ろしい速さで心拍数が跳ね上がっていく。

 

 「あっ……ダメっ!エー……ス……っ!!」

 

 ずんずんと熟れて蕩けた奥を立て続けに抉られて、みっともなく漏れる声が抑えられない。脆い身体が既に私を裏切っている以上、どれ程〝いや〟とか〝だめ〟とかの拒絶の言葉を向けようとも、それは既にエースが言うように、エースを煽るだけの睦言でしかないだろう。

 にちゃにちゃと淫猥な音を立て続ける結合部。それが悦び悶えているのは誰の目にも明らかで、背後にいるエースの動きから更に遠慮が消える。

 

 「いくらでもしてやる。ナミの望むままにな。……安心しろ、ちゃんと……前の穴も満足させてやるから」

 「あっ……あっ!!」

 

 そんな事、私は欠片も望んでない。なのに、切れ切れに零れる嗚咽は、快楽からなのか屈辱からなのか、それすらも分からなくなる程の官能の波頭が断続的に襲いかかって、私を甘く包んでいく。

 中に放たれる熱に翻弄されて悲鳴を上げた直後に、突如引き抜かれたそれは僅かな間を開ける事もなく前の穴へと刺し貫かれる。自らが発しているとは思いたくないような、甲高い悲鳴が室内に響いて……意識が僅かに飛びそうになった。

 

 「ナミ……まだ寝るなよ。まだまだ、俺は満足なんかしてねェんだからよ」

 「……っ……んっ……あっ……ああっ……!!」

 

 そうやって身体がすっかり快楽に支配されようと、胸の奥、小さな痛みは消えない。エースの行動理由が分からなくて、それが切なくて、せめて声だけは漏らすまいと、必死で枕に顔を押し付ける。

 けれども僅かな隙間から零れ落ちる喘ぎは、酷く甘ったるい。最低な体験の中、官能と絶望の中で歯噛みしつつ、その矛先を自分の腕に向けて噛み付く事でどうにか声を押さえてみた。

 それにより声が出なくなったけど、それに即座に気付いたエースにより身体は反転させられ、その衝撃で目の前が白く瞬く。力の抜けた瞬間を利用して腕を頭上に押さえられ、そのまま流星錘の先をベッドの柵に縛られてしまえば噛む事は難しい。

 眉を寄せて、私の歯型のついた腕を見つめる。それは、多少なりとも心配しているのだろうか。

 突然された反転により、中は激しく乱されて、身体は歓喜の悲鳴をあげていた。そんな自分が悲しくて、エースから視線を外そうとした時に言葉が降って来る。

 

 「俺はナミに、怪我させるつもりはねェんだ。でもな、こんなにも淫乱な身体なんだから、大人しく認めて快楽に溺れてろよ」

 

 ここに情の欠片すら無かろうとも、無様に感じてしまう程に、この身体は快楽に弱い。いつの間にか、私の涙は止まっていた。

 絶望が、悲しみが、極限を超えて、既に涙を枯れさせたのかも知れない。視線を向けた窓の外は、月さえ無い闇の色。

 戯れと呼ぶには乱暴で、恋と呼ぶには想いが足りない。残酷過ぎる凌辱の夜は、まだ始まったばかり。

 私の嗚咽と、エースの激しい息遣いが部屋の中で谺響する。なのに、互いの心が少しも見えない奇妙な夜は、随分永く感じてしまう。

 ……いつ、それが終わったのか。意識を取り戻した時には清められて、手当も終えられた状態で寝かされていた。

 服や武器はサイドテーブルに纏められていて、その上には何やら封筒が置かれている。これで、中にお金でも入っていようものなら次会った時そのイチモツを切り落としてやると残酷な思考に陥りながらも、誰も居ない部屋でそれに手を伸ばす。

 そこには二通の便箋が入っていた。手紙を出す時は、二通の便箋を入れるのが礼儀とは言えども、無駄な1枚は……と思ったら、1枚ずつ書いた人が異なっている。

 1枚目はエースから。どうしてもやらないとならない事ができたから傍を離れる事と、やった事を謝るつもりは無い事が書かれていた。

 ……やる事って、何かしら。変な事しないで素直にマルコからの許可だけ取って、合流して欲しいんだけど。

 そんな事を考えながら見た次の便箋には、サッチさんからの謝罪で始まった。エースが私の傍を離れなくさせようと、守らせようと煽った事で暴走させた事に対する謝罪から始まり、意識なく放置されていた私の対処をしたのがサッチさんだと書かれている。

 服は抱き上げた時にサイズを理解したからと、勝手に買ってきたと書かれているのは……脱がされたと思っていた衣服が、無惨な布切れに変わっていたのが理由だろうか。どうやらあの時、破かれてたらしい。

 はぁっ……と溜息を落として、私は荷物に手を伸ばし薬を飲んだりして身支度を整えた。清められているから、シャワーを浴びる必要は無い。

 ベッドも綺麗に整えられているし、手紙には数日分の部屋代を支払ってある事が書き添えられていた。ただ、気になるのはサッチさんの手紙にもあった文言。

 エースが〝やらなければならない事がある〟と書いていた事に、心当たりがあると言う事で、エースを止めるか必要ならば参戦するかするからここには戻らないというもの。けれども完全なる体力切れで目が回ってるのもあり、私は即座に動き出す事は辞めようと諦めの境地で思う。

 エースの事は正直心配だけど、心と身体が限界を超えている。今手紙を読んだけど、目が回っていて細かい所を読み飛ばしてしまった。

 とりあえず、今は何もできないわね。目眩がおさまったら、ちゃんと、読む……か、ら…………。

 そうして私の意識は、歪む感覚に包まれながら、静かに消えて行く。夢さえ見ない深い眠りが、待っていた。

 目が覚めて最初に思ったのは、今がいつなのかという事だった。三日後にとローちゃんはドフィと約束していたから、それ迄にサニーへと戻らないといけない。

 えっと……初日に皆は情報収集で散った中、私はルフィとデートして、夜は……もにょもにょ。そんで朝になって別行動して、サッチさんに意地悪されて、エースがおかしくなって夜を過ごして……って事は、もう帰らないと不味いわね。約束の時間まで残り1日を切ってるわ。

 エースの事は気になるけど、それはロビン達も交えて話し合った方が良い。そう判断した私は、手紙を手荷物に片付けてから、私は部屋を後にした。

 太陽の傾きを見るに……お昼前って所ね。そんな時、耳に届いてしまった会話。

 

 「あれは、国王の兵士だったよな」

 「ああ、大男を捕らえていた。でもあの大男……どこか、国王様に雰囲気が似てたような気がし……「その話、本当?」」

 

 突然割って入った私に、男達は素直に教えてくれた。はぐれた兄かもしれないと告げたのも、効果的だったらしい。

 それによりわかったのは、どうやらロシーがドフィの部下に捕まったらしいと言う事。どうしてロシーがこの国に居たのかは置いといて、助けないと殺されてしまう。

 王宮の間取りが分からないけど、やってやれない事はない筈。クリマタクトもあるし、潜入は得意だもの。

 まだ時間はある。この件で皆を巻き込めば、作戦は台無しになるわ。

 笛でクーちゃんを呼びつつ、簡単な手紙を書く。私が時間迄に戻らなくても作戦を開始して欲しい事と、必ず戻る事、エースが生存していて会えた事と、その時にワノ国に共に向かう可能性が出た事を記載した所でクーちゃんが到着した。

 

 「クーちゃん!!」

 「クァー!!」

 

 喜んでくれるクーちゃんには悪いけど、託したら早く行かなきゃ。撫でたいけど、そんな時間も無いわ。

 

 「お願い、これをサニーにいる人に渡して。私、行かなきゃ」

 「クェァ!?」

 「大丈夫。必ず戻るから!」

 「グァァァア!!」

 「ごめんね!!」

 

 なんでか凄い焦ったり怒ったりしてたクーちゃんに謝ってから、私は人混みに紛れる。王宮付近には人も多くて、出入りする人の流れを確認するのは容易な事だった。

 これなら、侵入に問題無さそうね。でも、下手に顔を覚えられても面倒だからとクリマタクトで姿を消して、通ってよしと言われるだろう人の後ろについて侵入を果たす。

 城中に入ってしまえば問題は無い。辺りを見渡せば、1番歩いていて目立たたないだろう衣服が兵士の物だったので、それを拝借しておく事を決める。

 見聞色の覇気を使える相手からすれば、姿を隠している方が問題になるもの。帽子の中に髪の毛を纏めて、サングラスで瞳を隠すという簡易的な変装をして、肩にライフルを下げて歩き出す。

 途中雑談しながら歩く二人組を見付けて声を掛ければ、素直に道を教えてくれた。やはり、下っ端までは教育が行き届いてないらしい。

 

 「あのっ!本日付けで王宮に配属が変わったのですが、囚人の捕らえられている部屋はどちらでしょうか」

 「へ?今はドフラミンゴ様の部屋に居る筈だが、何故だ?」

 「囚人に食事の配給をと言われたのですが、場所が分からないままに食べ物を持って移動すると落としそうで……」

 

 不安げに俯いて言えば、何だか素直に信じて貰えた。こういう時、可愛いってのは得である。

 

 「ああ、初日じゃ緊張するもんな。今まではどこに?」

 「工場におりました」

 「なら、わかんねェよな。地下とじゃ別世界だもんな。よし、ここからだと……」

 

 そう言って丁寧に道を教えて貰い、部屋のドアを確認してから食事取りに行きますと笑えば、焦るなよと肩を叩かれた。どこの組織も、素直に聞いてくる新人には親切なものである。

 そんな訳で居場所は確認できたので、言われた部屋の隣の部屋に入り、クリマタクトで姿を隠すと月歩を使って隣室の窓から中を確認する。とりあえず部屋のドアに鍵はかかっている様子は無く、代わりに手錠に繋がれたロシーの姿を確認できてしまう。

 見張りは二人。どうやって室内に侵入するかよね。

 そこで私は、暫くその場に残る物として考えたミルキーロードを使う。窓の外に雲を発生させれば何事かと見張りが窓に駆け寄るのが分かった。

 それを確認してから応援を呼ぶ声に合わせて集まる数人に紛れて、姿を消したまま入室しそっとロシーの傍まで駆け寄る。これで、第一関門は突破と言える筈よね。

 雲は時間で消えるから、その騒ぎが落ち着くまでにロシーの手錠を外してしまおうと決めて、そっとその背後に移動した。この時の私は、危険がすぐそばに仕掛けられている事に、まったく気が付いてはいなかったのだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。